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2024年04月27日
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【ツンデレに「いつか俺の魅力の虜にしてやる」って言ったら】

2010年04月16日
 どっかの国から転校生がやってきた。一目惚れ。
「レミットって言います。まだこっちに来て日は浅いですが、仲良くして……」
「付き合ってください、娘っ子」
「うわっ! な、なにアンタ!? いま自己紹介してるの見て分かんないの!?」
 言われて見れば、その通り。思わず前まで出てきてしまったが、さてどうしよう。
「ええとだな……そう! この燃えたぎる欲望は止められないという理由を今思いついた! というわけで、付き合え」
「嫌に決まってるでしょ! 初対面の相手と付き合えるわけないじゃない!」
「がーん」
 すごすご自分の席に戻り、悲しみのあまり手を眺める。……爪伸びてるな。
「うわ、普通に爪切ってる……先生、アイツなんなの?」
「んー……遠巻きに見てる限り安心だから大丈夫だいじょうぶ。はっはっは」
 先生がとても聖職者とは思えないほど失礼なことを言ってるが、爪を切るのに忙しいので放置。
「ま、まぁいいわ……それで、私の席はどこ?」
「ああ、アレの隣だ。遠巻きに、と言ったそばから悪いが」
「ええっ、アレの!?」
 人のことをアレアレ言うない。失礼にも程があるぞ。
 しかし、それでも嫌そうな顔をしてやってきた転校生を笑顔で迎える。小さな積み重ねが大事だ。
「うわっ、笑ってる……気持ち悪」
「惚れた?」
「惚れるか! 気持ち悪って言ってるでしょ! アンタ耳ついてるの!?」
「……おかしい、俺のエンジェリックスマイルが通用しない」
「何がエンジェリックスマイルよ。下心見え見えのデビルスマイルって感じよ」
「むぅ……ままならん。しかし、いつか俺の魅力の虜にしてやるから待ってろよ」
「無理に決まってるでしょ、ばーか」
「……じゃあ、これならどうだ?」
 そっとレミットの机の上に物を置く。
「お金でどうこうなる話じゃないでしょ! しかも10円って、アンタ私のこと馬鹿にしてない!?」
「今日は300円しか持ってきてないんだ。これ以上払うと昼飯のグレードが下がるから、それが限界」
「……はぁ。無視しよ、無視。それが一番ね」
「…………」
「無視されたからって人の髪いじくるな! 勝手に三つ編みすんな!」
「器用だろ? すごい?」
「褒めてない、怒ってんの! 分かってる? その頭、飾り?」
「んなわけないじゃん、はっはっは」
「うぐぐ……こいつ、マジでムカつく……」
 どうしたことか、凄い勢いで嫌われている気がする。
「まぁとにかく、よろしく」
「よろしくしたくないっ! 先生、場所変えて!」
 癇癪を起こしたようにレミットは叫んだ。
「まーまー。いーじゃん、おまえら面白いぞ? いや、しばらく面白いことなかったし、これはいい暇つぶしになるな」
「うう……先生まで変な奴だぁ。なんてクラスなの……」
 絶望したように机につっぷすレミットだった。
「…………」
「だから、髪いじるなって言ってるでしょ!? ツインテールにしたらいいって話じゃない!」
「なんか落ち込んでるし、サービス」
「巨大なお世話よッ! もう話しかけてこないで!」
 好意を持たれるどころか、話しかけると噛み付かれんばかりに嫌われているような。
 頑張ります。

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