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2024年04月26日
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【お嬢様と執事】

2010年06月02日
「タカシ! ちょっとタカシ! いないの!?」
「へーへー、なんか用かお嬢様」
「何ですの、その口の利き方は。私が貴方の借金を肩代わりする代償に、執事になったんでしょう? もっと言葉遣いをしっかりなさい」
「くっ……カシコマリマシタ、お嬢様。で、なんか用ですか? こう見えても掃除やら飯の準備やらで忙しいんですが」
「肩がこったの。揉みなさい」
「……お嬢さん、俺の話を聞いてましたか?」
「そんなことは、他の使用人にやらせればいいんです。貴方は大人しく私の言うことをきいてればいいのよ」
「……(チクショウ、借金さえなけりゃ!)分かりました、お嬢様。では、揉ませて頂きます」
 リナの細く、すべすべな肩を揉む。
「んっ……そうそう、上手よ」
「……お嬢様、全然こってませんが」
「えっ!? そっ、そう? じゃ、じゃあ、腰を揉みなさい」
 そう言って、リナはベッドに横になった。言われるがまま、腰を揉む。
「……お嬢様、やっぱりこってません」
「そ、それじゃ……胸?」
「できるか」
 思わずタメ口で突っ込んでしまう。
「じ、冗談よ冗談! 当たり前じゃないの、おほほほほ! ……はぁ」
 リナはなんだかがっかりしていた。……揉まれたいのか?
「用事がないなら行きますよ。仕事はいくらでもあるんですから」
「あっ……ま、待って! そうだ、お茶! お茶を淹れなさい!」
 俺は軽くため息をついて、部屋に備えられたティーセットで紅茶を淹れた。
「……ん、ダメね。温度の調整もなってないし、葉も入れすぎね」
「悪かったですね。紅茶なんてティーパックぐらいでしか飲んだことないもんで」
 自分の無知が恥ずかしくて少しぶっきらぼうに言うと、リナは楽しそうにクスクスと笑った。
「仕方ないわね。私が美味しいお茶を淹れてあげますから、これから毎日それを飲んで勉強なさい」
「毎日!?」
「そうよ。執事が美味しいお茶を淹れられないなんて大問題だわ。いいわね? 毎日部屋に来るのよ? 絶対よ? 来ないとひどいわよ?」
 何か別の理由が見え隠れしたが、俺はあえて気にせず「分かりました、お嬢様」と笑って言った。

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