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2024年04月26日
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【ツンデレ悪魔っ子 追加補足】

2011年07月17日
※前の話はこちら

「ところで、契約がどうとか言ってましたが、それはどうなりましたか」
 家への道すがら、悪魔っ子に訊ねる。……べっ、別にその辺りのを全部後で書くつもりが忘れてたんじゃないからねっ! 推敲したのに見落としたんじゃないんだからっ!
「あっ、そうそう。簡単な話よ。アンタの魂をあたしにちょうだいって話」
「もう盗られてますが」
「人聞き悪いわねー……ちゃんと返したわよ。魂がないと動けないでしょ?」
「いや、知らない。そういうものなのか?」
「自分の体のことなのに分かんないの? ちゃんと魔法具の中で動いてるでしょ。人間って何も知らないのね。ばーかばーか」
 悪魔っ子は俺の眉間に指をちょいんと押しあて、にひひと笑った。
「うわ、超可愛い。魂あげますから結婚してください」
「すっ、するかっ、ばかっ! 悪魔に結婚を申し込むな、ばかっ! ていうかそんな簡単に魂渡すなっ!」
 素気無く断られた。悲しい。
「え、えと、なんだっけ……そ、そだ。え、えっと、返したけど、改めてあたしに魂を捧げてほしいの」
 悪魔っ子は顔を赤くしながらおろおろしつつも、頑張って俺に話しかけた。
「なるほど話は分かった。だが断る」
「さっき魂やろうとした奴が何言ってんのよ……」
「そうだった。しょうがない、やるから結婚してください」
「だ、だからするわけないって言ってるでしょうが、ばかっ!」
 この悪魔っ子はなかなかうんと言ってくれないので困る。ただ、まあ、その度に恥ずかしげに頬を染めるのでお兄さん大満足です。
「何をニヤニヤしてんのよ。気持ち悪いわねぇ……」
 俺の満足顔は気持ち悪いらしいです。
「しかし、魂を渡したりなんかしたら、死んでしまうのではなかろうか」
「別に今すぐどうこうしようって話じゃないわよ。アンタが死ぬ時……つまり、アンタの魔法具が動かなくなった時に魂を貰うって話よ」
「なるほどそれなら構わない感じがするのでいいよって言いそうだがそう言った瞬間に殺されそうだなあ。……しまった、もう既にいいよって言ってしまったつまり殺される助けてぇ!」
「長い叫ぶな踊るなあッ!」
 怒られたうえに殴られた。
「俺の名誉のために一応言っておくが、別に踊っていたのではなく、逃げようとしたが身体が恐怖でうまく動かず、結果的に奇怪なダンスを披露してしまっただけです」
「どっちにしろ、アンタの名誉なんて元から地に落ちてるわよ……」
 それは考えもしなかった。残念。
「無理矢理奪ったりなんてしないわよ。アンタが能動的にあたしに捧げないと意味ないの」
「どう違うの? てか、魂とか普通に言ってるけど、具体的にどういうものなの?」
「んー……」
 悪魔っ子はあごに手をあて、しばし思案に耽った。
「悪魔にとって、ごちそうかな。人間の魂を食べるとね、悪魔は力が増すの」
「ほう。マッスリャーになるのだな」
「……いや、別に筋力が増すわけじゃないから。魔力が増すの。無理矢理刈り取った魂でもいいんだけど、捧げられた魂ならその価値はさらに上がるの」
「ふーん。なんで?」
「捧げられた者は地獄行き確定になるから、その苦痛が悪魔の力になるからじゃない? ……あっ」
 たたたたいへんなことをきいてしまった。
「ぼく、たましいをささげません」
「う、嘘よ、嘘! 魂を捧げたら天国行きって噂よ?」
「やめておきます」
「魂捧げないと殺す」
 どこからか現れた超鋭い感じの巨大な鎌がどうして僕の首元で鈍く光っているのですか。
「どっ、どど、恫喝ってアリなの?」
「……ナシよ。ああもうっ!」
 悪魔っ子が悔しげに歯噛みすると、鎌はぽふりと煙をあげて消えた。
「あっ、そうだ! あたしに魂捧げないと、魔力補充してやんないわよ? そしたら魔力尽きて死んじゃうわよ?」
「な、なんて酷いことを! この悪魔! 悪魔め!」
「……いや、悪魔だし」
「そういやそうだったな。しっぽとか羽とか八重歯とかあるし。あと貧乳でもあるし」
「後半悪魔関係ないっ! 今すぐブチ殺すわよっ!?」
 貧乳が怒った。超怖え。
「と、とにかく。契約をして後で地獄に行くか、契約しないで魔力切れで死ぬか、好きな方を選びなさい」
「酷い話だ。しかし、こういう時って願い事を聞いたりしないか? ただ奪われるだけなの? なんという搾取対象なのだ俺は」
「既に命をあげてるでしょ。それ以上求めるのは贅沢よ」
「でもなあ。地獄とか怖いしなあ。針の山とか痛そうだしなあ。ハートはどこにつけよかなあ」
「知らんッ!」
 この悪魔っ子は時々超怖い。
「しょうがないわねぇ……それじゃ、普通に契約してあげるわよ。ええと、なんでも願い事をみっつ……いや、一つはもう叶えたから、残り二つね。二つ、願い事を叶えてあげる」
「何も叶えてもらってねえのになんか願い事一個消えた! どういうことだコンチクショウ!」
「イチイチ叫ぶな、ばかっ! 生き返り……は失敗しちゃったから、そじゃなくて、魔法具をつけてあげたでしょ。それが一つ目の願い事よ」
「頼んでもいないものを勝手に願い事にされるとは……なんて悪辣な奴なんだ!」
「今すぐ魔力の供給を止めてあげよっか?」
「すいません全面的に俺が悪かったです」
 命を人質に取られている以上、コイツには全く頭が上がらない。チクショウ。
「で? あと二つ願い事あるけど、どうする?」
「んーと……えろいことでも可?」
「不可!」
 悪魔っ子は顔を赤くしながら自分の身体を覆い隠した。
「いや、大丈夫。俺は丁度そういう貧乳……いや、無乳が大好きだから気にしませんよ? ていうか好都合かと」
「不可ッ!」
 拒絶の色合いが強くなった。なぜだ。
「別に乳首にピアスつけるとかそんな非道なことはしませんよ? せいぜい一日中お前の全身(主に乳首付近)をぺろぺろ舐め続けるくらいで」
「次そういうこと言ったら魔力の供給止める!」
 悪魔っ子は超顔を赤くしながら最後通達を言い放った。えろいことはダメらしい。チクショウ。
「そ、それで、どーすんの?」
「うーむむむむ……えろいことを禁止されると、願い事が何も思いつかない」
「アンタって奴は……」
「仕方ない。保留だ」
「はぁ!?」
「願い事が浮かぶまで保留。いいよね?」
「それが願い事ね。じゃ、願い事はあと一つね」
「馬鹿な!? ありえない……ありえないよ……こんなの詐欺だよ……」
「泣くなッ! 冗談に決まってるじゃない!」
「こんなことなら一緒にお風呂入れって願い事すればよかったよ……」
「人の話を聞けっ! 嘘って言ってるでしょうがっ! 変なこと泣きながら言うな!」
「……否! 今からでも遅くない! そうだ、願い事はまだ残っている! よし、こうなったらそれを使って一緒にお風呂に」
「だから、そういうことは禁止って言ってるでしょうがッ! 何度言えば分かるのよこの鳥頭!」
「じゃあ願い事とか関係なしに一緒にお風呂に」
「入るわけないでしょうが! なんでそれでOKが出ると思うのよ!?」
 なんかずーっと怒られてる。悲しい。
「ったく……こんな馬鹿な人間、初めてだわ。それとも、人間ってのはどいつもこいつもみんなこんななのかしら? ……だとしたら、こんな恐ろしい世界ないわね」
 悪魔たんはぶるりと身震いした。俺のような人畜無害な奴を捕まえて、失礼な話だ。
「あー……なんかアンタがお風呂お風呂言ってたから、あたしまで入りたくなっちゃったわ。ほら、とっととアンタの家に行くわよ」
「それはつまり一緒にお風呂に入るフラグが今まさに立ったと見てよろしいか!?」
「よろしくないっ! 一人で入るに決まってるでしょ、ばかっ!」
 尻を蹴り上げられた。悲しみに暮れながら、家路に着く俺と悪魔たんだった。

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