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2020年02月18日
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【弁当を忘れたツンデレ】

2010年02月23日
 お昼休みになったので弁当をぱくついてたら、自称亡国の姫のまつりが視界に入った。何やら鞄をひっくり返しているようだが、一体どうしたのだろう。あ、こっち来た。
「そこな貧相な男。特別にわらわがおぬしのちっぽけで安っぽい弁当を食ってやろう。寄こにゃっ!」
 居丈高にそんなこと言って来たので、玉子焼きを咥えたままデコピンしてやったら猫っぽくなった。
「な、何をするのじゃ!」
「もぐもぐ……失礼な輩にやる飯はない」
「な、なんじゃと! 特別にわらわがおぬしの臭くて中国産の野菜たっぷりの超危険な弁当を食ってやろうと言ってやっておるのに、失礼とはなんにゃっ!」
 再びデコピンしたらまた猫っぽくなった。痛かったのか、まつりはおでこを押さえている。
「うぐぐ……き、貴様! わらわの珠のような肌に傷がついたらどうするのじゃ!」
「タマのような肌? タマ……ああ、猫か。まつりだしなあ」
「猫じゃないわいっ! タマ違いじゃ、珠じゃ、珠! ほら、真珠とかを表すときに使う方の珠!」
「どうでもいい」
 断言してポテトをぱくり。冷えててパサパサだけどおいしい。
「どうでもいいとは……そ、それより、あまり食ってはならんぞ? わらわが食う分がなくなるではないか」
 弁当の減る量に危惧の念を抱いたのか、まつりはそんな勝手なことを言った。
「まつりは俺みたいな庶民飯を食べたりする人種じゃないから問題ない」
「……じ、実はのう。わらわ、弁当を忘れたようなのじゃ。だ、だから、特別に献上を許すぞ?」
「いや、まつり様にこんな貧相な弁当を献上だなんて、恐れ多くてとてもとても」
 見せ付けるようにご飯をぱくぱく。まつりは羨ましそうな、悔しそうな表情で俺を睨んだ。
「ぐぎぎ……そ、そんな畏まる必要はないぞよ? 庶民の飯を食うのも姫としての勉強じゃからのう」
 ……うーん、確かに飯抜きだとこの後辛いだろうしなあ。ぼちぼちいじめるのやめようかな。
「ま、いーや。半分くらい食っちまったけど、残りやるよ」
「おおっ、そうか! 褒美として、わらわに仕える事を許してやろう。おぬしのような下賎な輩には身に余る光栄であろう?」
 偉そうなので顔面にアイアンクローしてやる。
「痛い痛い痛いのじゃ! 許してたもれ! 言い過ぎましたごめんなさいわらわが悪かったです! わらわが仕えますから手離してお願いします!」
 満足したので手を離してやる。まつりは痛そうに顔をさすった。
「うぐぐ……おのれ別府タカシ、許すまじ」
「主君に対しその態度はなんだ」
「そんな口約束守るわけないじゃろうが、ばーか! 誰がおぬしのような阿呆に仕えるものか!」
「…………」(無言で手をわきわき)
「お、怒るでないぞ? 姫とはわがままなものなのじゃ。わらわは姫なのじゃから、怒ってはならぬぞ?」
「…………」(にっこり笑顔)
「……よ、よかったのじゃ。分かってくれて嬉しいのにゃああああ!?」
 再びアイアンクロー発動。苦痛にもがいているが、逃れる力より俺の握力の方が強いので逃れられないようだ。
「痛い痛いごめんなさいわらわが悪かったです! やめてくださいご主人様このお仕置きすっごく辛いんです!」
 再び満足したので手を離してやる。まつりは悔しそうに俺を睨んだ。
「くっ……よくもわらわを手篭めに。許さん、許さんぞよ、別府タカシ! いつか必ずこの恨み晴らしてくれようぞ!」
「恨まれてる相手に弁当やるの嫌だなあ」
「……わ、わらわは心が広いので、恨んだりはしないぞよ? じゃから、弁当をよこすのじゃ」
「『ご主人様のたくましくて黒光りしてるものください』と悩ましく言ったらやる」
 たくましく黒光りする海苔弁当片手にして、何を言ってるのだろう、俺は。
「だっ、誰が言うか、阿呆!」
 案の定、まつりは顔を真っ赤にして断った。
「じゃああげない」
「お……おぬしはいじわるなうえ、えっちなのじゃ! もー最悪なのじゃ! いいから早くわらわに弁当をよこすのじゃ! 早くせぬと、チャイムが鳴ってしまうではないか!」
「はっはっは、何を言うのやら。まだまだチャイムが鳴るのは先かと」
 俺の台詞がチャイムに遮られた。
「ほれ見たことか! もー食べる時間ないのじゃ! おぬしがわらわをいじめるからなのじゃ! 責任を取れ、別府タカシ!」
「しょうがないな……で、式はいつにする?」
「誰も結婚しろとは言ってないのじゃあ!」
 教室に響くほどの大声で叫ぶまつりだった。

 その後の5時間目、まつりは隠れて俺のやった弁当を食っていたが、先生に見つかり怒られてた。
「怒られたではないか! どうしてくれる、別府タカシ!」
「『ご主人様のたくましくて黒光りしてるものから出る白濁としたものをください』と悩ましく言ったら謝ってやる」
「言うわけないのじゃっ! そも、もう弁当は食ってしまったのじゃ! というか、もうそれは何か別物なのじゃ!」
「いや、この場合は想像通りのものを指す」
「こやつ、ただの変態じゃっ!」
 半泣きで叫ぶまつりだった。

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