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2019年10月15日
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【アンパンを投げてくるツンデレ】

2010年03月12日
 まつりがアンパンを食べたことがないと言うので、ふぅんと答えたら、買って来いと言うので、断ったら、癇癪を起こしてうるさかったので、買ってきた。
「ふむ、これがあんぱんか。さがってよいぞえ」
「感謝の言葉がまったくないことに言及するのはまた後に回すとして、金よこせ。100円」
「恐喝は犯罪じゃぞ?」
「普通に金を徴収してるだけだ!」
 ぶちぶち文句を言われたが、どうにか100円玉を手に入れた。
「さて、味はどんなものかのう」
 ビニールを破り、まつりは大きく口を開けてアンパンにかぶりついた。そして次の瞬間、噛み砕いたパンの欠片を勢いよく俺にぶちまけた。
「ああっ、まつりの唾液が付着した小麦粉の粒が俺に! 嬉しいような嬉しくないようなこの微妙な気持ち、分かります?」
「なんじゃ、この味は! わらわにこのようなものを食べさせ、腹を壊させようとは……なんと奸計に長けた奴よ」
 買って来いと言われたので、買ってきただけです。
「しかし、貴様の企みもここまでじゃ。ほれ、残りは貴様が食え」
 ぽいとアンパンを投げたので、死後かなりの確率でもったいないお化けになる俺としては受け取らざるを得なかった。
「おいおい、食べ物を粗末に扱うな。食べ物を粗末に扱うと、巡り巡って自分が粗末に扱われるぞ」
「ふん。わらわが粗末に扱われるなぞ、ありえんわい。いいから他の菓子を用意せよ」
 ええい、無駄に偉そうな奴め。よし、こうなったら俺がまつりを粗末に扱ってやる。粗末に扱われ、身も心もぼろぼろになり、そして最後には誰にも知られず、こっそり息絶え……そんな、そんな!
「にゃーっ!?」
「あんまりだ! いくら傲慢な奴とはいえ、そんなのってない!」
 自分の想像したまつりの最後に思わず感極まり、まつりを抱きしめ号泣する。
「きっ、ききき、貴様貴様きさまーっ! 高貴なるわらわに、だだ、抱きつくなど、無礼にもほどが」
「ううう……俺は最後までまつりのこと、見捨てないからな?」
「にゃ……だ、抱きつくなと、言ってるじゃろうが……」
 抱きしめながら頭をなでると、まつりの抵抗が小さくなった。
「しかしよく考えると想像の中で非業の最期を遂げただけで、現実のまつりは相も変わらず無駄に傲慢なまま顔を赤らめているなあ」
「む、無駄とはなんじゃ、無駄とは! だいたい、なぜ貴様なんぞに抱きつかれただけで顔を赤らめねばならん! 貴様の目が腐っておるのでそう見えるだけで、わらわの顔は赤くなってない!」
 りんごのようにほっぺを赤くしながら言われても、無理があるような。
「ええい、なんでもいいから離せ!」
「なでなで」
「にゃ……な、なでるでない。わらわは子供ではないので、そんなことされても、嬉しくなぞ……」
「なでなでなで」
「……そ、そのじゃな、その……にゃう」
 まつりは困ったような一声鳴いた。
「ははーん……さてはお前、猫だな?」
「誰が猫かーっ!」
 すごく怒られたので、慌ててなでる。
「なでなでなで」
「にゃう……ぬぬ、な、なでるな! 変な声が出るじゃろうが!」
「……ああ、猫でなくて、化け猫か! 偉そうなのもこれで納得!」
「化け猫じゃないわいっ!」
「馬鹿な! それじゃ、将来は化け猫を娶って幸せに暮らす俺の将来設計はどうなる!」
「貴様の将来設計なぞ知らんし、第一化け猫なぞ存在せん! このど阿呆が!」
「化け猫いないの!? じゃ、じゃあ俺は誰と結婚すればいいんだ!?」
「知るか阿呆!」
「……むぅ、仕方ない。なでるとにゃあと鳴く娘と結婚しよう」
「ふん、勝手に……いや待て。もしかすると、わらわのことかえ?」
「そうかえ」
「なっ、なんで貴様なんぞと結婚せねばならんのじゃ! わらわは嫌じゃぞ!」
 まつりは顔を真っ赤にしながら、俺との婚姻を拒んだ。よし、ここはいかに俺がすぐれた男であるかアッピールしてみよう!
「かつおぶし毎日あげるぞ? 猫まっしぐら!」
「だから、わらわは猫じゃないっ!」
「ははっ、またまた。ご冗談を」
「誰かこのど阿呆をどうにかせよっ! ああっ、だからなでるにゃーっ!」
 怒鳴る猫をなでる一日でした。

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