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2019年10月15日
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【あぶく銭が入った男とそれを嗅ぎ付けたツンデレ】

2010年01月29日
 宝くじで! 当選して! お金が! 沢山! 潤沢に! 手に入った!
 その翌日、目覚めると枕元にふみの顔。
「うわらばっ!?」
「うわらば?」
「あ、いや……え? なんでふみがここにいるの?」
「ふむ。おにーさんは私の存在を否定しますか。じゃ、私は全身全霊でそれに対抗します。とー」
 極めてやる気のない声をあげながら俺の目を潰そうとする知り合いの魔の手から必死で逃げる。
「そんなつもりはありません! ありませんとも!」
「なんだ。おにーさんは紛らわしいです。反省してください」
 朝っぱらから人の命を奪おうとする行為の方が反省に値すると思います。言うと怖いので言わないけど。
「まったく……で、何用ですか」
「おにーさん、宝くじが当たったそうですね」
「いいえ」
「……どうして顔を背けるんですか」
「ふみの顔があまりに美しすぎて、直視するのが難しいんだ」
「男性なら美しい女性におごるのが当然ですよね、おにーさん」
「ロリ趣味だから美しい女性よりも可愛らしい女性のほうが好みなんだ」
「幸いなことに私はロリ系なので、可愛い系ですよ、おにーさん」
 普段は子供扱いしたら怒るくせに、こういう時だけ自分の武器を使いやがる。
「……欲求は」
「おにーさんのお金で贅沢三昧」
「ものすごく真っ直ぐに金をせびるその気概が気に入った! 分かった、今日は一日ふみとデートだ!」
「デートじゃないです。放蕩三昧です。おにーさんは財布です」
「デートなら行く」
「じゃ、来なくていいんで財布だけください」
「そんな青いサイバーロボネコのポケットなしみたいな扱いは嫌だあ!」
「ぐだぐだ言ってると昏倒させて財布だけ奪いますよ」
 脅迫されたので、着替えて出かけることに。
「さて。おにーさん、何を買いますか。あのビル買いますか。入ってるテナントもこの不況で少ないし、安いと思いますよ」
「買わない」
「おにーさん、ケチです……」
 無茶を言うふみを引き連れ、近所のモールにやってきた。
「ここを買うんですか。……10億くらいいるんじゃないですか? お金足ります?」
「なんでお前はすぐに店を買おうとする」
「昨日、いただきストリートをやったので」
 ああ、と納得しそうになる自分が嫌。
「まー、デートだしここで軽く飯でもと思いまして」
「デートじゃないです」
「クレープか。美味そうだな」
「……デートではないですが、おにーさんがどうしてもと言うのであれば食べてあげます」
 表面上は嫌がるふみと一緒にクレープ屋台の前に並ぶ。休日ということもあってか、そこそこの列ができていた。
「おにーさん、お金を投げて並んでる愚民たちを追い払ってください」
「酷い成金もいたものだ」
「早くしないとクレープが売り切れます」
「そう簡単に売り切れねーよ」
「売り切れたらおにーさんのせいです。一生恨みます。その上で財布も奪います」
 ことあるごとに人の財布を付け狙うふみだったが、幸いにしてそのような事態にはならなかった。
「さて。何にするかなー」
「私はバナナカスタード。おにーさんには梅昆布茶をひたひたに浸した生地のバナナカスタードを」
「和洋折衷の均衡が崩れた!?」
 しかし、そんなメニューはなかったのでイチゴジャムを注文する。
「はむはむ。……おいしーです」
「そいつは重畳」
 おいしそうにクレープを食べるふみの頭をなでながら、俺も自分のクレープを食べる。数年ぶりだが、昔と変わらずおいしかった。
「おにーさん、この店舗を買い取るべきです。いつでもこの味を楽しめます」
「だから、すぐに店を買おうとするな。どんな衝動買いだ」
「おにーさん、宝くじ当たったのに全然お金使ってません。お金腐りますよ?」
「腐らねーよ。それに、金ならさっき使ったじゃんか」
「こんなの、全体のちょっぴーりです。全然、ぜーんぜんです」
「しかし、もう残りも2万と……9000円ちょいだしなあ」
 はむはむしてるふみの動きがぴたりと止まった。
「……おにーさん、宝くじ、いくら当たったんですか」
「沢山」
「……具体的な数字を」
「三万円」
「全然たくさんじゃないです! そんなの、ちょっと遊んだらすぐなくなっちゃいます!」
「え、いやでも、高校生に三万円ってお前、結構な額だぞ? バイト半月分くらいには」
「うー……一生たかるつもりだったのに。計画が崩れました」
「まあまあ。少なくとも、数ヶ月は遊べる額だぞ?」
「……しょうがないです。数ヶ月たかってやります」
「うむ。数ヶ月デートしましょう」
「デートじゃないです」
「ふみ、口にカスタードついてる」
 指でついてたクリームを拭ってやる。そして、そのクリームをぺろりと舐める。甘い。
「デートじゃないのにデートっぽいことされました。恨みます」
「じゃあ、黙ってて道行く通行人たちに心の中で笑われた方がよかったか?」
「……ハンカチとかでさらりと拭うと、エレガントです」
「エレガント率は極めて低いから、ハンカチを携帯してないなあ」
「じゃ、今日はそれを買いにいきましょう。私が見立ててあげます」
「実にデートっぽくなってきましたな!」
「デートじゃないです」
 再三デートじゃないと繰り返すふみと一緒にデートをしました。アンパンマンハンカチ買わされた。
「ふみ……あの、このハンカチ」
「おにーさんの精神年齢にぴったり。お似合いです」
 色々言い返したかったが、嬉しそうに笑うふみを見てると、何の文句も出なくなってしまうから女の子はずるい。
「明日から学校にも持っていってください。おにーさんが手を洗うたび巻き起こる失笑……私も高校生ならよかったです」
 流石に文句言った。
「むー」
 可愛くむくれられたので、学校に持って行くことになってしまった。畜生。

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