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2019年10月15日
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【龍を召喚できる姉ちなみん】

2010年04月02日
「……タカくん、タカくん」
 ゲームをしてたら、ちなねぇが俺の背をつんつん突いてきた。
「ゲーム中なので後で」
「……えい」
「あああああ! リセットした! 猫リセットならぬ、姉リセットした!」
 膝を突いて悲しみに浸っていると、ちなねぇが顔を覗き込んできた。
「……どんまい」
「誰のせいで悲しんでると思ってんだ!」
「……あのね、タカくん。……お姉ちゃん、すごい特技を編み出しました」
 俺の話なんてちっとも聞かずに、ちなねぇは変なこと言い出した。
「特技? セーブせずに2時間ぶっつけでしてたゲームのデータを復元するとか?」
「その特技とは……龍を召還することなのです」
 すごい? と目が訴えてるが無視。
「そんなのできるわけねぇじゃん、ばーか」
「むっ。……姉を馬鹿呼ばわりとは、いい度胸です。……すなわち、グッド度胸」
 あまり怒られている気がしない。
「……そんなグッド度胸保持の弟を、召還した龍に噛み砕いてもらいましょう」
「え」
「……なむなむ、なむなむ」
 なむなむ言い出した姉を見る。……いや、まさか、マジ?
「……龍さん龍さん、出て来いはよーん」
 両手を上げ、聞くだけでやる気を根こそぎ奪われるような掛け声を上げるちなねぇ。刹那、上げた両手の間から煙が出た。
「……ふふ、せいこー」
 煙が消えると、そこに一匹の龍がいた。……手の平サイズの。
「小さッ!」
「……山椒は、小粒でもぴりりと辛いと言います。……うなぎに最適。……そうだ、今日はうなぎにしましょう。タカくん、作るの手伝ってください」
「や、それは構わんが今はうなぎより龍を! 助けてちなねぇ!」
 このままではミニ龍に噛み砕かれ、新聞の一面を飾ってしまう。……いいとこスポーツ新聞だな。
 なんて考えてると、龍が俺めがけ躍りかかってきた!
「うわぁっ!」
 目を瞑って痛みを待つ。待つ。……来ない。そっと目を開ける。
「ぴー♪」
 龍は長い舌を器用に操り、俺の頬をぺろぺろ舐めてた。
「あ、味見されてる! ちなねぇ、助けて!」
「……おかしい、敵を襲うはずなのに。……説明書、せつめいしょ……」
 ちなねぇは胸元から薄い冊子を取り出し、読み始めた。一刻も早くこの状況から脱すべく、俺も隣から覗き込む。
『犬っぽい何かでも出来る! 必殺召還の書!』
 説明書の題にやる気を削がれながら、問題の箇所を探す。……あ、あったあった。
『召還された龍は召還主と同じ思考をします。対象を憎めばその対象を攻撃しますが、近くに好意を抱く対象がいた場合、その対象と遊ぶ事を優先します』
「…………」
「…………」
「ぴー♪」
 俺の部屋に、龍の甲高い鳴き声が響き渡る。
「えーと、ちなねぇ、これって……」
「ち、違う、違うのです。誰も弟に好意なんて抱いてません」
 真っ赤な顔で否定されても、そうですかと頷くのは難しいです。
「まーとにかく噛み砕かれることはないみたいだな。よかったよかった」
 胸を撫で下ろし、龍を見る。落ち着いて見てみれば、愛嬌があって可愛いと言えなくもない。
「ぴー♪」
「おっ、あははっ。うん、結構可愛いじゃないか」
 ぺろぺろと舌を伸ばしてきた龍の顎の下をなでる。龍は嬉しそうにぴーぴー鳴いた。
 そんな俺たちを、ちなねぇは面白くなさそうにじっと見ていた。
「……ぴー」
 なんか怖いなぁと思ってたら、突然ちなねぇが龍の鳴きマネをしながら俺のほおを舐めた。
「ちっ、ちちち、ちなねぇ!?」
「……召還主ですから、召還した龍の真似をするのも仕方ないのです」
「そっ、そそ、そっかな?」
「そうなのです。……やれやれ、弟の頬を舐める羽目になるとは。……さまなーも大変です」
 大変です、と言いながら、ちなねぇは凄く嬉しそうだった。

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