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2024年04月25日
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【カードキャプターちなみん】

2010年04月23日
 寝てると、なんか頭を殴られてる感触。
「……えいえい、起きろ、えいえい」
 奇妙な衣装に身を包んだちなみが、棒で俺の頭を殴っていた。
「深夜に人の部屋に忍び込み、あまつさえ暴行を加えてるちなみさん」
「……あ、起きた。おはー」
「いや、挨拶より前に言うことがあると思うが」
「……挨拶は大事だよ?」
「そんなことを言いに忍び込んだのか?」
「……ああ、そうだ。……カードキャプター風、ちなみ。……萌える?」
「女子が萌えるとか言ってはダメですッ! それはダメな人のみに与えられた特権なのです!」
 手でバッテンを作ると、ちなみは頬を膨らませて俺の頭を棒でぺしぺし殴った。
「……偉そう。えいえい」
 ぺしぺし、と打撃音は軽いが、実はとても痛くて泣きそう。突端が尖っててかなりの殺傷力があります。
「で、何用ですか?」
「……カードキャプターと言えばレリース。レリース、と言えば封印。タカシの存在を封印する」
「殺すってこと?」
「……まぁ、似たようなもの」
 ちなみは殺傷棒を掲げてにやりと妖しく笑った。いかん、殺される。
「どどど、童貞を殺して平気なの?」
「……平気じゃないけど、タカシなら平気」
 特別扱いされてるのに、ちっとも嬉しくないのは何故だろう。
「そんなフリフリでロリロリな衣装着た娘さんが殺すとか言うのはおかしい。そういった娘さんは愛でられるべき対象にあると私ことタカシは思うのです」
「……話が長い」
 棒でぺしぺし殴られた。ぺしぺし、という音なのに頭が割れるほど痛いのはどういうことか。
「簡潔に言うと、愛でたいのです」
「……なんだ、はい」
 ちなみはコロンとベッドに横になった。
「へ?」
「……愛でても、いいよ?」
「……美人局?」
 違う、と言いながらも棒で俺を殴ることは忘れない。忘れてください。
「……最後の晩餐。……素敵な思い出を、あなたに」
 なるほど、殺されることは確定済みなのか。
「逃げてもいい?」
「……根性なし」
「ムカっ腹が立った! だがしかし、頂くと死が確定するのでサラバ!」
 逃げようと窓に走り寄ると足を掴まれ顔面が床に打ち付けられて超痛ぇ。
「……別に、えっちなこととかじゃなくて、……その、すりすりとかだと、死なない予感」
 腕を組んで考える。……つまり、スキンシップを図りたいだけと。他に意図はないと。
「じゃあいいや。えい」
 ベッドに飛び乗り、ちなみを抱きかかえてすりすりすり。
「わ、わわ、積極的……」
「はふーっ、はふーっ」
「わ、わわ、鼻息荒い……怖い、えいえい」
 棒で殴るのはもうやめてほしい。ほら、流血した。
「……血、出てるよ?」
 誰が出させたのかよく考えた方がいい。手に持ってる棒が怖くて言えないけど。
「……ぺろ」
「ちっ、ちちちなみさん!?」
「……カードキャプターの唾液には、傷を癒す力があるのです」
「いいえ、ないです」
「むっ。……カードキャプター風ちなみの唾液には、あるのです」
 そう言われると、信じる他ない。
「ぺろっ、ぺろぺろっ」
「……ちなみっ!」
 勢い余って押し倒すとまた棒が俺の頭をぺしぺしと。そして治まりかけた血が噴出。
「……また出た。……はぁ、タカシはやっかいだ」
 そんなわけで、押し倒す→棒→ぺろぺろ→押し倒すのコンボは夜明けまで続きました。

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