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2019年10月15日
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【へびちなみん】

2010年05月30日
 教室に入ると、当然のような顔をして俺の席に座る奇妙な生き物が視界に入った。
「……へびです。にょろにょろ」
 にょろにょろ言ってる変なのを抱え、呆然と見守る級友たちを置いて屋上へ駆け上がる。
「なんで朝っぱらからなんだ!」
「……驚いた?」
 登校して自分の席に蛇のきぐるみを着た知り合いがいたら、誰でも驚くと思います。
「……やった、だーいせーいこーう」
「…………」
 間延びした口調がムカつく。ほっぺ引っ張ってやれ。むにー。
「……痛ひ」
「痛いようにしてるから、痛くて当然だ」
「……なるほろ」
 納得されても困る。まぁいいや、許そう。
「……で、今回はなんだ? へびだけに噛みますーきゃー毒ー助けてー、とかか?」
「……全然似てない。ぷぷー」
「…………」
 酷く傷ついた。もう一回ほっぺ引っ張ってやれ。むにー。
「……痛ひ」
 ……しかし、なんでこいつのほっぺ、こんなに柔らかいんだ。むにむにむにょんむにょんむにむに。
「……ほっぺ、こねないでください」
「いや、気持ちいいから無理だ。ひょっとして、おまえの薄い胸触るより気持ちいいんじゃないか?」
 顔を噛まれた。かなり本気で。
「……変態です。変質者です。ほっぺ愛好家です」
 歯形をつけて少し満足したのか、ちなみは愉快な異名をつけだした。
「まぁ気にするな。ほれ、そろそろ戻らないと遅刻するぞ」
 ちなみに手を差し出すも、彼女は俺の手を受け取ろうとしなかった。
「どした? 怒ってるのか?」
「……手、出ません」
 ちなみは少し悲しそうに、腕にあたる部分をもぞもぞ動かした。蛇のきぐるみらしく、手も足も外に出せない構造になっている。
「見りゃ分かる」
「…………」
 歯形が増えた。
「……馬鹿なことばっかやってないで、戻りますよ。……着替える時間、もうあまり残ってないですし」
 じゃあ最初から着るなよ、とは言えない。難癖つけると歯形増えるから。
「あっ」
 ひょこひょこジャンプしながら進んでいたちなみがバランスを崩し、こけそうになる。
「よっ……と」
 倒れかけたちなみを抱き止める。
「わ……」
「はぁ……おまえなぁ、そんな格好でちゃんと歩けるわけないだろ」
 何か言う前に、ちなみを抱き上げる。……お姫様抱っこだ。
「ひゃ……」
「……ほっぺ愛好家として、おまえの体に傷をつけたくないだけだからな」
 ちなみは何か言いたそうだったけど、やがて諦めて、小さくコクンとうなずいた。

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