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2020年02月18日
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【ツンデレに押しかけられたら】

2010年03月24日
 物を書いて飯を食うようになって早数年。近頃はどうにか書き物だけで暮らしていけるようになった。
 ただ。まあ、なんというか、その。俺の小説の挿絵を書いてくれてる人がいるのだけど、この人がちょっと。
 いや、ありがたいんですよ? 俺みたいなのの小説に絵をつけてくれるなんて。毎回素晴らしい出来だし、そのおかげで売り上げも悪くないみたいだし。……ただなあ。
 とか思ってると、携帯が鳴った。液晶に映し出された名前に一寸身体の動きが止まる。とはいえ、出ないわけにもいかない。恐る恐る通話ボタンを押す。
『遅いッ! 早く出なさいよ馬鹿ッ!』
「ごめんなさい」
『まったく……んで、なんなの、これ』
「ふんぬっ! ……いや、ごめんなさい。超能力を今この瞬間に開花させ貴方が言っていることが何か探ろうとテレパシーで貴方の脳内を調べたものの、なしのつぶてで」
『いらんことはせんでいいっ! じゃなくて、アンタの今回の小説よッ!』
「はぁ」
『なんだってまたこんなシーンがあるのよッ! 論外よ、論外! どういうこと!?』
「いや、どうと言われても、どの箇所の事を差していっているのか分からないので、俺にもちっとも」
『……ああもう、埒が明かないわ。いいわ、今からアンタの家行くから、首洗って待ってなさいッ!』
「え、いや、でも今はまだ学校の時間ではないのだろうか。そして俺の首はそんなに臭うのだろうか。ふがふが……ふむ、よく分からん」
『そういう意味じゃないッ! いーから待ってるのよ、いいわねッ!?』
 はいともいいえとも言ってないのに、一方的に通話が切られた。嗚呼困った。
 ほどなくして、家政婦さんが誰か来たと怯えた様子で俺に伝えに来た。上がってもらうよう伝え、しばし待つ。
「来てやったわよ!」
 先ほど電話で話してた相手で、俺の小説の挿絵を描いてくれてるお嬢さん、智恵理が襖障子を勢いよく開けて部屋に入ってきた。
「頼んでません」
「何か言った!?」
「お腹が痛くなってきた」
「便所にこもるのは後にしなさいっ!」
 俺の頬をうぎーっと引っ張ってから、智恵理は学生鞄の中を探った。そして紙の束を取り出すと、俺に見せつけた。
「ほら、ここ! 何なの、これ!」
「ところで智恵理さん、学校は?」
「早退! 気になって授業どころじゃないわよ!」
 智恵理は学生という身分でありながらイラストレーターという肩書きも持つ、ダブル草鞋の人物だ。
 俺も以前はコンビニ店員と小説家モドキというダブル草履を履いていたが、近頃は小説家風味という草履だけ履けるようになった。……草履? ……ふむ、草履か。
「聞いてるの!? ……あー、また空想の世界に入ってる。聞きなさい!」
「みぎゃあっ」
 智恵理は自分のツインテールを持つと、俺の両目にざくりと突き刺したので超痛い。
「髪を武器にしないで」
「うるさいっ! ほら、ここ! 見なさいよ!」
「ツインテールが俺の視力を一時的に奪ったため、何も見えません」
 智恵理は再び俺の頬をうぎーっと引っ張った。引っ張られてもそんなすぐは回復しません。
「もー! まだ!?」
「ああ待て、徐々によくなってきた。徐々の奇妙な回復」
「イチイチ余計なことは言わなくていいのっ! ほら、回復したならコレ見なさいッ!」
「もがもが」
「食べるんじゃなくて見るの!」
 しかし、紙の束を顔に押し付けられている現在、見るのは大変に難しい。
「もが……ふむふむ。相変わらず俺の話は面白いなあわはははは!」
 紙の束は前に書いた俺の小説のコピーのようだ。とりあえずプライドを保つために大笑いしてみる。
「虚しい自画自賛はしなくていーの!」
 超ショックなので寝る。
「こら、寝るな! 意味わかんないわよ!」
「砂で出来たプライドの山が今の台詞で崩れたので復旧作業中だ」
「あーもう、めんどくさいわねぇ……こほん。わ、わー、このお話、とっても面白いー♪」
「台詞が超棒読みだったが、それでもなんとか元気を取り戻した俺をどう思うか。褒めるか?」
「面倒くさい」
 立ち上がった勢いのまま再び不貞寝。
「だーかーらーっ! イチイチ寝るなッ!」
「傷つけられたから今日は傷心記念日。なので一日寝る」
「だーっ、もうっ! 大人が簡単に傷つくな! ほら、起きろ!」
 俺の身体にまたがり、智恵理はべしべし人の頭を叩いた。
「一叩きにつき俺の脳細胞が一万破壊されることを忘れるな! あ、一万。あ、また一万。もう面白いのなんて書けない」
「うるさいのっ! ほら、起きる起きる!」
「いていて……いて?」
 髪を掴まれ上半身を起こしたが、そこで気づいた。智恵理の奴、俺にまたがってるのはいいが、スカートがまくれてますよ。グリーン地のパンツが俺に丸見えですよ。小さなリボンのアクセントが素晴らしいですよ。
「うん? 何を見て……っきゃああああ!!!」
「ぐへっ」
 気づかれたため、俺のみぞおちにナイスパンチが炸裂。内臓飛び出そう。
「みっ、見るなっ、ばかっ! えっちえっちえっち!」
「おげげぇ」
「おげげーじゃないっ! おっ、大人だったら注意しなさいっ、ばかっ!」
「うぐぐ……お、俺がそんな出来た大人なわけないだろう。パンツがあれば凝視する。当然だろ?」
「この変態変態変態っ!」
「ごめんね?」
「うう……まるで誠意が感じられないし」
「まあ、その、このシチュエーションは作品に役立たせていただきます。そこで、詳しく取材したいのでもう一度同じ状況を再現してはくれないでしょうか? 寝るので再び俺に乗り、スカートをまくってください」
 寝そべったらいっぱい殴られた。
「畜生、未成年だからって安心して犯罪を行いやがる……! こうなったらエロ小説もかくやと思うほど超緻密に書いてやる!」
「うっさい! ていうか、書くなッ!」
「担当からも言ってもらい、その場面を挿絵にするよう仕組んでやる」
「絶っっっっっ対、描かないっ!」
「頑なに描かないといいつつ、プロとして描かずにはいられない。資料として自身のパンツを見ながら、しかしやはり羞恥で頬は桜色に……おおっ、何やらイマジネーションが! ありがとう、智恵理! いいネタが浮かんだぞ!」
「うっ、浮かぶなっ、ばかっ! そ、それより、て、手っ! 掴まないでよっ!」
「あ、こりゃ失敬」
 喜びのあまり思わず智恵理の手を握ってしまっていた。慌てて離すと、智恵理は顔を赤くしながら手をぷらぷらと振った。
「……もー、ばか」
「いやははは。とまれ、ありがとな。思いがけずネタが手に入った」
「……まぁ、いいケドさ。あんまりえっちなの、やめてよね。……は、恥ずかしいんだからさ、描くの」
「仕事だろ。ていうか、お前が選ぶんじゃないのか、描く箇所は」
「だ、だって、こーゆーえっちなシーン描いた方が効果的だし……そりゃもちろん過剰にやりすぎたら逆効果だけどさ」
 恥ずかしくても、そういうところはプロなのな。ちょっと感心する。
「……な、何よ。勘違いしないでよね、本の売り上げが悪かったらあたしにも影響があるから描くだけだからねっ! アンタのどーしようもない話なんてどーでもいいんだからっ!」
「ぐふっ、うっ、うぐっ……」
 面と向かってどうしようもない話と言われたので、全力で傷ついた。
「泣くなっ! 大人でしょうがっ! ……な、何よ。私が悪いみたいじゃない」
 もういい。どうせ書いててもさっきのような心ない誹謗中傷が襲ってくるだけだ。辞めよう。で、死のう。
「……うー、も、もう。ほ、ほら。泣かないの」
 智恵理は申し訳なさそうに俺の頭をなでた。
「ど、どーしようもない話だけど、つまんなくないことはない……よ?」
「……抱腹絶倒?」
 ちらりと顔を上げ、智恵理に伺う。
「い、いや、そこまではいかないけど」
「やっぱり死のう」
「絶倒! 抱腹絶倒だから! だから死なないのっ!」
「なんだそうか。……いややっぱりな、俺の書く話は天下一面白いからな! わーっはっはっはっは!」
「はぁ……疲れる。この情緒不安定大人が」
 智恵理はちょっと安心したような顔で俺の頬をぐにーっと引っ張った。
「わはは。それで、今日のご予定は?」
「ん? ……あーっ、そうよ! もーっ、忘れてたじゃないの! この馬鹿!」
 俺のせいではないよね、と頬を再び引っ張られながら思った。
「んっと……ここ、これ!」
 智恵理は床に落ちてたコピーを拾い上げ、目的の箇所を差しながら俺に見せた。
「ふむ……ああ、新キャラの悠里が主人公にパンツを見られるシーンな」
「なんだってアンタの小説は毎回毎回毎回毎回パンツを見られるシーンがあるのよっ! 何ルール!?」
「空想の中くらいは思う存分パンツが見たいからです」
 即答だったのに殴られた。
「だって現実でスカートまくってパンツ見たら怒られるんです。いや、怒られるどころか捕まる始末。この世界はおかしい」
「おかしいのはアンタの頭っ! なんだってこんなシーン描かなくちゃいけないのよっ! 絵にするあたしの気持ちになれっ!」
「いつも感謝してます」
「そっ! ……そ、そんなの当然じゃない、ばーか」
 深々と頭を下げると、智恵理は困ったように顔を赤くしながら悪態をついた。居心地が悪いのか、ツインテールの毛先をいじくりながら視線をさ迷わせている。
「……で、でさ。……このシーン描かなくちゃいけないから、その……」
「ん、ああ。例の」
「れっ、例のとか言うなっ! そんな言うほどしてないっ!」
 ともかく、例のアレの準備をする。襖をしっかり閉め、カーテンを閉める。
「こっちはOKだぞ」
「せ、急かさないでよ」
 智恵理は鞄からデジカメと三脚を取り出すと、布団の近くに置いた。そしてファインダーを覗き、位置を調整した。
「ん、ここでいいわね……よし、っと」
「じゃあ、そういうことで」
 智恵理がセルフタイマーのようなものを押したようなので、俺は急いで布団の上に寝そべった。これでこちらの準備は全ておーけー。
「う、うー……い、言っとくけどね、したいからしてるんじゃないからねっ! 作画に使う写真のためだからねっ!」
「はいはいはい」
「……う、うーっ」
 智恵理は俺に下半身にまたがって立つと、顔を真っ赤にしながらスカートの裾をゆっくりと上げた。徐々に露になる太ももとパンツにお兄さん大変だ。
 ……一応智恵理の名誉のために言っておくと、別に智恵理が突然露出癖に目覚めたのではなく、挿絵の参考にする写真を撮るだけだ。こんなことを頼める友人もいないようで、いつも作者である俺が被写体にされる。そして俺は誰に言っているのだ。
「あっ、あんまりジロジロ見るなっ、ばかっ!」
「い、いや、見る姿勢を収めることが大事なのではないかと」
「目を開ける必要はないじゃないっ! は、早くつむりなさいっ、馬鹿っ!」
「分かった、明日のこの時間につぶる」
「いまっ! いまつむるのっ!」
 わーきゃー言ってる間にすっかりスカートはまくり上がり、完全に智恵理のパンツはその姿を現した。 薄いグリーンに映える小さなリボン、そして何より下方にうっすら刻まれている食い込みが俺の理性を粉砕しているのがよく分かる。
「見るな見るな見るなーっ!」
「仕事って大変だよね」
 食い込みを凝視しつつ脳内のHDDに保存していると、シャッターが連続で切られた。タイマーが作動したようだ。
「ううううう……アンタのせいっ! アンタがえっちなシーンばっか書くからこんなことする羽目になんの! もっと高尚なの書きなさいよ、ばかーっ!」
「次回はお風呂のシーン入れてやる」
「書くな、ばかーっ!」
 パンツをふるふる震わせながら写真を撮られまくる智恵理だった。

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