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2019年10月18日
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【チャーハンを作ろうとして失敗したツンデレ】

2010年02月12日
 お腹が空いたので娘にチャーハンを所望した父ですこんにちは。
「娘よ、父のお腹が今にも背中にくっつきそうだ。この危機を脱するには娘製作のチャーハンを早急に胃に収める必要がある。さあ!」
「黙れ、父。今まさに製作中だ。声をかけられると気が散って失敗するぞ」
 娘の背に声をかけると、少し面倒くさそうな声が返ってきた。
「はは、これは異な事を。娘が料理に失敗しようか。いやしない。反語。反語?」
「何故不安げになる、父。いいから黙ってろ」
「ふふ、父がそんなことで黙るはずがないだろう。そう、父の心はどこにでも羽ばたける……ええと、なんだろう。えっと、えっと……そう、風になびく」
「黙ってないとチャーハンがゴマに変化するぞ」
 脅されたので黙る。しかし……なんだな。愛娘の料理する後姿というのは……こう、いいなあ。
「ばふー」
「黙れと言っているだろう!」
「鼻息もダメとは! ナチスも涙を禁じ得ない圧政に父はいま遭遇している!」
「五月蝿い! ……あ」
 こちらを向いた時にひじが当たったのだろう、中華鍋がコンロから外れて地面に落ちた。慌てて娘の元へ向かう。
「娘よ、大丈夫か?」
「あ、ああ……」
 娘の体を確認する。幸いにして娘の体には鍋もチャーハンもあたらず、ただ床が汚れただけのようだ。良かった。
「怪我がないなら問題ない。いや、色々声をかけて注意を逸らしてしまったな。悪い父だ」
「そんな! 私の不注意だ、何故父が謝る!」
「父の七不思議のひとつだ、気にするな。はっはっは」
 適当な事を言いながら汚れた床を掃除する。ぽいぽいゴミ箱にチャーハンを捨ててると、娘が申し訳なさそうな顔をして手伝ってくれた。
「初めての共同作業だな、娘よ」
「馬鹿」
 軽口に、少しだけ娘は微笑んだ。
 しばらくそのまま黙って掃除をしてたら、腹がぐうと鳴った。途端、娘の顔が先ほどの申し訳なさそうなものに戻ってしまった。
「私が落としさえしなければ、今頃は食事だったものを……」
「空腹は最高のスパイスと聞く。この後の食事は最高のものになるに違いない。そうは思わないか、娘よ?」
 軽くおどけて片目をつぶってみる。思い切り娘が吹いた。
「ぶふっ! ……ち、父、あまりに不器用なウインクだな」
「父はウインクをし慣れるほど女性に慣れていないんだ」
「ああ、そのような感じはとてもする」
「超ショック」
 明るくなった雰囲気の中、やっと掃除が終わった。ぐいーと背中を伸ばしていると、娘がくいくい父である俺の服の裾を引っ張った。
「どうした、娘よ?」
「……つ、次は失敗しない。見ていろ、父」
 決意を見せ付けるように、娘は両手に握りこぶしを作り、胸の前でぐっと握った。
「頼もしい限りだ」
 ぽふりと娘の頭に手を乗せ、優しくなでる。
「……また子供扱いする。父は私を子供扱いしすぎるきらいがあるな」
 満更でもなさそうな顔で娘が口をとがらせる。
「小学生は子供に充分値すると思うがな。そして、なでられるのが好きなのもまた子供である証とも思うがな」
「それは父がなでるから……なっ、なんでもない、なんでも! 忘れろ!」
 思わず口をついてしまったのか、娘は顔を真っ赤にして父のお腹をぎゅーっと押した。
「『お父さん大好き♪』って言いながら父にキスしてくれたら忘れる」
「断固断るッ!」
「馬鹿な、ここは『し、仕方のない父だな……ちゅ♪』となる場面ではないのか! 選択肢誤ったか!? ロードロード!」
「はぁ……全く、困った父だ」
 娘は俺の服を引っ張り、しゃがませた。そして、頬に触れる柔らかな感覚。
「……と、特別だぞ、父。忘れさせるためにしたのだからな」
 娘の恥ずかしそうな表情に、父ドキドキ。……ドキドキ?
「まだ忘れない。もっと」
「なっ、ま、まだ!? ……む、むう。あと一回だけだぞ?」
 再びしゃがまされ、頬にちゅ。
「まだ。も一回」
「まだだと!? いったい何度すれば満足すると言うのだ!」
「満足などするはずがない。大好きな娘になら、何度だってキスしてほしいものだ」
「~~~~~っ!!! はっ、恥ずかしい台詞を真顔で言うな、馬鹿父っ!」
 真っ赤な顔で父の尻を蹴る娘だった。

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