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2024年04月24日
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【バレンタインに豆を浴びせてくるツンデレ】

2011年02月15日
 登校するなり豆を浴びせられ俺はもう一体どうすれば。
「今日は節分じゃないですよ?」
「うっさい、ばーか! 来るの遅いのよ!」
 そう言いながら依然俺に豆をぶつけ続けるかなみさん。酷い。
「いつも通りの登校時間なのですが」
「バレンタインデーなんだから、アンタみたいな勘違い男は早く来てソワソワしてたらいいの!」
「や、それがね、お前の言う通り登校中はチョコ何個貰えるかなあ、とか思ってたんですが、途中でふと我に返り、もらえるわけねえかとなり生きるのを諦めかけてたんだ。それでもどうにか登校した俺を褒めろ」
「ばーか」
 褒められるどころか、馬鹿にされた。
「バレンタインデーにチョコではなく豆を配る奴に馬鹿呼ばわりされしたくないな」
「うっさい! アンタなんか豆で充分よ、ばーか!」
 などと言いながら、なおも俺に豆をぶつけるかなみ。なんて酷い奴だ、許せない!
「くそぅ、こうなったら豆が地面に落ちるより早く口の中に入れて滋養にしてやる!」
 酸素不足の金魚みたいに口をぱくぱくさせたが、その様子を見たかなみが嫌そうな顔をしてもう豆を投げてくれなかったので、結果そこには変な金魚がいるだけになりました。
「……恥ずかしいじゃないか」
 居住まいを正すが、居心地の悪さはとんでもない。周囲のクラスメイトがこちらをちらちら見ながら何かひそひそ言い合ってるし。
「知らないわよ!」
「まあいいや。それよりチョコおくれ、チョコ。義理でいいから」
「アンタなんかにあげるわけないでしょ、ばーか」
「じゃあもう本命でもいいから」
「なんで本命の方が下の扱いなのよっ!」
 叱られる&豆を投げられるばかりで一向にチョコが手に入らない。まあ、ダメ元で頼んでるし、しょうがないか。
 などと自分を納得させていると、先生がやってきてこの豆はなんだと言う。
「コイツが投げてました」
 あろうことか、かなみの奴が俺のせいにした。俺も必死に反論したが、クラスメイトが一丸になって俺のせいにする。普段の行いがこういうところで出るよね。敗訴。

 そんな悲しい時間を過ごしてると、もう放課後。
「……あー、まあ、こんなもんだわな」
 収穫0。しょうがないとはいえ、やっぱ悲しいね。
 まあないものねだりをしてもは仕方ない。家に帰って不貞寝するかと思いつつ鞄に教科書を詰めてると、不意にかなみが教室に戻ってきた。先に帰ったと思ったのだけど……?
「な、何一人で居残りしてるのよ。まさか誰かにチョコもらえるかもとか思って残ってたの? 気持ち悪いわねー」
「気持ち悪い言うない。じゃなくて、朝の豆事件の責任を被らされ、さっきまで一人で掃除してたんだよ。分かったか真犯人」
「私は普段から品行方正に生きてるから、先生の覚えがいいの。アンタとちょうど真逆ね?」
「よくもまあいけしゃあしゃあと……帰ってから想像の中で3回くらい犯してやる」
「変態っ!」
 俺の思想はよく弾圧されます。
「まったく……でも、なんで掃除サボらなかったの? 私が言うのもなんだけど、アンタが豆まいたんじゃないのに」
「教室が汚いままだと明日みんなが嫌がるかも、と偽善者精神をフル回転させた」
「ぎ……あ、先に言った! ずるい!」
「お前の言わんとすることなど、俺にかかればまるっとお見通しだ!」
「……え、えっち」
 何がだ。
「そ、それより。アンタ今日は誰かにチョコもらったの?」
「なんかね、女子が男子に渡すシーンはいっぱい見たんですが、その鉢が俺には回ってこないんですよ」
「あははっ、やっぱもらってないんだ?」
「義理でもくれりゃいいと思うんだけどな。うちのクラスの女子はみんな冷たいよ」
「アンタを集団リンチしないだけみんな優しいわよ」
「そこまで目の敵にされてたのか、俺」
「しょっちゅう更衣室で覗きしておいて、よくもまあ嫌われてないと思えるわね……」
 毎回見つかるが、それでも未だ停学になってない辺り、俺もなかなかの話術を持っているといえよう。
「覗きで思い出したが、なんでかなみってブラしてるの? 必要か? 絆創膏で充分かと」
「分かった、死ね」
 かなみから殺気が質量を伴って一気に噴出した。近辺の犬が一斉に悲鳴とも思える甲高い声を上げる。いかん、死ぬ。
「すいません嘘です凄い巨乳なので絆創膏ではとてもとても!」
「くっ……この、白々しいことを」
「いや、本当に! 一見するとただの平原だが、心の目で見るとそこはもうエベレストもかくやと思えるほどの山がそびえ立っているという噂が!」
「結局見た目はうすぺたいって言ってるじゃない!」
「おお、本当だ。はっはっは。でもまあいいじゃん、俺貧乳大好きだし」
「あっ、アンタの好みなんて知らないわよ! ばーかばーかばーか!」
「痛い痛い痛い」
 いっぱい殴られたが、普段の生存を諦めそうになる暴力と違い、なんかちょっと手加減してる感じだった。いやそれでも充分痛いですが!
「そ、それより。話を戻すけど。……チョコの話だけど」
「ああ、はあ。まだ馬鹿にし足りないのか」
「そ、そじゃなくて! ……え、えと」
 何か言いづらいことでもあるのか、かなみは髪をいじくりながら視線をさまよわせた。
 ……む、何やら空気が変貌を。さっきまでの血で血を洗う戦場空気はどこへやら、何やら青春っぽい雰囲気が!
「ち、チョコ。……えっと、えと、あの。……ち、チョコ」
 視線が俺の顔に来たかと思えば、胸元に行ったり腰に行ったり忙しない。かと思えば、なんかどんどんかなみの顔が赤くなっていってるし。
「は、はい」
 いかん、なんか俺まで緊張してきた。呼吸ってどうやるんだっけ!?
「あ、あの、あのね。ぎ、義理。そう、義理なの。義理だからいいの」
「は、はい。いや全くその通りで?」
「だ、だから、いる?」
「はい?」
「だ、だから。チョコ!」
「は、はい!」
「ぎ、義理だから。絶対義理だから。アンタに本命なんてありえないから。勘違いしたらぶっ殺すから」
「こんな可愛いらしい殺意ぶつけられたの初めてだ」
「い、いーから受け取りなさい!」
「へぎゅっ」
 鼻っ柱になんかぶつけられた。
「いたた……あ、これ」
 俺の鼻に押し付けられていたのは、可愛くラッピングされた箱だった。
「義理だから! 絶対に義理だから! 中にも義理って書いてるから! ハート型のチョコ真ん中で割って失恋を意味してるから!」
「悪意しか感じられねえ」
「悪意てんこもりだから! 毒入りだから!」
「食べられません」
「食べないと殺すから!」
 知らない間にDEAD ENDルートに入ってたようだ。どっちにしても死ぬ。
「しょうがない。どうせ死ぬなら食って死のう」
「そ、それがいい。食べて死んで」
 かなみは俺の隣の席に座り、真剣な表情でこちらを見つめている。視線を感じながらピンク色の包装をぺりぺりと破ると、両手で収まるほどの大きさの箱が姿を現した。なるほどハート型だが、これを開けると亀裂があるのだなあ。
 そう思いながら蓋を取ると、本来あるはずの亀裂がない。しかも、義理とも書いてない。これはどういうことかとかなみを見ると、
「あ、わ、割るの忘れてたし、義理って書くのも忘れてた」
 なんて、あわあわしながら棒読みで読み上げる始末。
「……な、何よ。文句あるなら言いなさいよ!」
「勘違いしてもよろしいか?」
「だ、ダメに決まってるでしょ! ばか、ばーか!」
「痛い痛い痛い」
 またしてもぺこぽこ殴られた。
「ほ、ほら。いーから早く食べなさいよ、ばか」
「あ、うん。ちなみに、毒は?」
「入ってる。食べたら死ぬ」
「なるほど」
 ということで、一口かじる。大変甘くておいしい。
「ど、どう? おいしい? 死ぬ?」
「ふむ。おいしいけど、死なない」
「あ、え、えっと、毒入れるの忘れてた。残念、それただの義理チョコね」
「しかも、亀裂も義理って入れるのも忘れてるから、俺に本命チョコと勘違いされ、喜ばれる始末」
「……め、迷惑よね。ちょー迷惑よね」
 気づいてるのかどうか知らないが、かなみの口角が吊りあがってる。なんかすっげー嬉しそう。言うと怒られそうだが。でも言いたいなあ。
「かなみ、ニコニコしてる」
 欲求に耐え切れず、口から言葉がこぼれる。
「わ、笑ってないわよ! こ、こっち見るな、ばかっ! 変態っ!」
「はっはっは。あのさ、かなみ。ホワイトデー、覚悟しろよ」
「う……」
「俺は勘違いする変態なんでな。義理チョコを本命と勘違いし、全力でお返しするからな?」
「う……うっさい! ばか! 死ね! 全力で死ね! 笑うな! ばかーっ!」
 などと酷いことを言いながら、真っ赤な顔で俺をぺこぽこ叩くかなみだった。

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無題

地震×ツンデレ
でどうだい?


え?不謹慎?

しるかボケぃ!!
わいはちなみんが好きなんじゃ!!


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