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2024年04月20日
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【ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら】

2010年05月24日
 昼飯にパンを買ったのはいいが、ジュースを買う金がない。しかたないのでパンだけ食ってると、かなみがジュースを飲みながらこっちにやってきた。
「アンタなにパンだけ食べてるの? ジュース買うお金ないの?」
「貧乏学生にそんな高級なもんは買えん。……バイト代入るの、放課後なんだよ」
「じゃあ今が一番お金ないんだ。アハハハ、カワイソ」
 心底馬鹿にした笑い声をあげ、かなみはジュースを飲んだ。
「……そうね。『かなみ様、哀れな私にどうかお恵みを』って言ったら、ちょっとあげてもいい」
「かなみ様哀れな私にどうかお恵みを」
 一瞬の躊躇もなく言い切る。土下座も忘れるな。
「……なんかホントに哀れになってきた。ほら、半分しかないけどあげるわよ」
「おおおおお! 予想以上にいい奴だったんだな、かなみって」
 かなみの手から素早く紙パックを受け取り、ストローに口をつける。
「あ、そういやこれって間接キスだよな」
「え? ……な、なな、あ、アンタ何言ってんのよ! バッカじゃないの! ホント馬鹿ね! ばか、ばーか!」
 顔を真っ赤に染め、かなみは狼狽した様子でまくしたてた。
「か、かか、間接キスなんかで喜んじゃって。ホント、タカシってばお子ちゃまよね~!」
 見ていて可哀想になるくらい真っ赤なままで、かなみはツインテールを揺らしながら必死に言葉を並べた。
「別に喜んじゃいないが……とにかくサンキュな、かなみ。よかったらパン半分食うか? 間接キスだけど」
「いらないわよっ!」
「残念」
 ずちゅーっとジュースを飲み干す。捨てようと席を立つと、かなみに止められた。
「わ、私が捨ててってあげるから、それ、貸しなさいよ」
「え、いや別に自分で捨てるから……」
「いいから貸しなさいっ!」
 俺の手からジュースをひったくると、かなみはえらい勢いで教室を出て行った。
「捨てないのか……?」

「……間接キス、だって。バッカみたい。……へへへ♪」
 誰もいない屋上で、かなみは紙パックを見つめてはニコニコ笑っていた。

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