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2024年04月25日
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【世話焼きツンデレ】

2010年04月24日
 遅刻しそうだったので朝飯を食べれなかった。すると、腹が減ってお腹がぐーと教室中に鳴り響く。
「またでっかい音やなぁ……飯食うてこんかったん?」
 馬鹿にした様子でいずみがやってきた。
「時間がなかったんだよ……うう、腹減った」
「アカンで、ご飯はちゃんと食べんと。朝はご飯とみそ汁、ほかほかの焼き魚で決まりや!」
「え~? 朝はパンとかの方が入りやすいだろ。パンとコーヒーがあれば幸せかと」
「何言うてんねん! 米の神様に謝らんかい!」
「うー、いずみとくだらん話してたら余計腹減った。ちょっと学食行ってくる」
「ちょ、ちょっと待ちいや! いま学食行ったら、次の授業間に合わへんで?」
「授業を受けてたら餓死する可能性が80%を越すと電波が告げたので、行く」
 ふらふら教室を抜け出ようとしたら、いずみが俺の腕を掴んだ。
「だから、アカンて! アンタようサボるから、先生にマークされてるで?」
「要注意人物か……ふふ、悪くない」
「悪いわ! しかもな、奇行が多すぎてどうしようって、ウチこないだ先生に相談されたわ! 先生泣いてたで!」
「へー、意外と先生に信頼されてんだな、いずみ」
「そんなんええから、もうちっとちゃんとしいや。ちゃんと卒業したいやろ?」
「俺はいつだってちゃんとしてるぞ。そういうわけで学食行ってくる」
「人の話を聞かんかい!」
 いずみはすぐ暴力に訴えるので怖い。首を絞められると、人は死ぬことを理解しているのか。
「……しゃあないな、昼まで待ったらウチの弁当分けたるさかい、我慢できひんか?」
「マジか!?」
「ま、マジや」
「なら待つ! たとえ餓死しようとも、待つ! いずみの弁当か……久しぶりだな」
「な、なんや、そんなウチの弁当食べたかったん?」
「ああ。いずみの弁当は絶品だからな。うう、想像するだけで涎がじゅるりと」
「う……そ、そっか。……た、タカシは普段ろくなもん食うてへんから、そう感じるのもしゃあないな」
「否定はしないが、それ以上にいずみの弁当はうまいんだって。こんな嘘つかねえぞ」
「う……そ、そないなこと真顔で言うな!」
 なんか知らんが殴られた。鼻血出た。

 そんなこんなで昼休み。鼻血は止まりました。
「待ちわびたぞ! 20kgは痩せてること間違いなしだ!」
「んなわけあるかい。ほら、はしゃいでないで準備して」
 いずみと一緒に飯の準備をする。いまかいまかと、腹がずっと鳴っててうるさい。
「ホンマに腹減ってんのやなぁ……はい、準備完了」
「食っていいか!? 食っていいか!? いいな!?」
「ええで……うわっ、早ッ!」
 おあずけを解除されたので、弁当の蓋を開け貪り食う。
「ちょ、ちょっとは落ち着いて食べ! 誰も取らへんから」
 飯がノドに詰まった。呼吸不能。あと数秒で死ぬ。
「ほら、急いで食べるからそうなんねん! ほら、お茶飲み」
 いずみから水筒のコップを受け取り、一気に飲み干す。
「……ふぅ~、死ぬかと思った」
「ちょっとは落ち着き、アホ」
 コクコク頷いてから再びカロリーを摂取する。しかし、腹が減ってるのを引いても、いずみの弁当はうまい。
「えらいがっついて……そ、そんなに美味しいん?」
 喋る暇すらもったいないので、頷きで返す。
「そ、それやったら、……その、タカシの分も作ってってもええけど?」
 俺は恐ろしい勢いで首を縦に振った。こんな美味い飯が食えるなら何を差し出してもいい。
「そ、そか……ほな、明日っから作ってくるな♪」
 なんだか知らないが、いずみはえらく嬉しそうに笑顔を見せた。
「……あ、いずみの分まで食っちまった」
 気がつけば、弁当箱は空になっていた。
「ええってええって。そんだけ美味しかったってことやろ?」
「いや、まぁそうなんだが……悪いな、後でなんか奢るよ」
「ええねん。そんだけ美味しそうに食べてくれると、作った甲斐があるわ」
 にっこり笑ういずみを見てると、なんだか顔が火照ってくるのは……気のせいだ。
 そういうことにしとこう、うん。

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