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2024年04月26日
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【ツンデレに「金ならある、俺はないけど。きっとどこかにあるさ」と言ったら】

2010年05月21日
 いずみにカツアゲされた。
「あんな、金返してくれへん? 先月貸したやつ。2000円」
「誰か助けてぇ!」
 得意の萌えっ子ボイスで助けを求めたら、殴られた。
「何を叫んでんねん、アホ!」
「いきなり友人にカツアゲされるという境遇に陥ったため、頭がおかしくなったんだ」
「アンタ、いっつも頭おかしいで?」
 あんまりな台詞に泣きそうだ。
「カツアゲちゃう。借金の取立てや。利子ついてもう3000円になってるで、借金」
 俺の手を振り払いながら、いずみはとんでもないことを言い出した。
「馬鹿な! 利子が1000円って、どんだけあくどい商売なんだよ!」
「うちに借りたアンタが悪い。さ、耳揃えて返してんか」
「……金なら、ある」
「あ、ホンマか? なら……」
 一転して笑顔で催促するいずみを、俺は手で制した。
「俺はないけど、きっとどこかにあるさ!」
 さわやかな笑顔でサムズアップ。この爽やかさ、もう借金のことなんてどうでもよくなっているだろう。
「…………」
 腕を極められた。おかしい。
「何考えてんねん! アンタが持ってなかったら、どこかにあっても意味ないやんか!」
「そうでもないぞ。銀行強盗でもすりゃ、あっという間にお金持ち。いぇーい、はっぴー」
「捕まったらどうすんねん」
「そういう難しいことは、考えなくていい」
 腕を極められた。めりめり、と破滅の音がする。
「アンタなぁ、ええから早よ返してんか。うちにかって色々予定あんねんから」
「分かった分かった。もうちょいしたらバイト代入るから、それまで待って」
 折れかけた手をさすりながらそう言うと、いずみは少し甘えた声で言った。
「うち、たこ焼き食べたいなぁ~。食べたら、もうちょっと待てそうやな~」
「……金のない俺にたかるのか」
「借金が一万円になってもええんやったら、別に奢ってくれんでもええけどな」
「さぁ行こうたこ焼き食いに! 正直死にそうなほど金ないからそんなには奢れないけど!」
「しゃあないなぁ。……ほな、ひとつのたこ焼きを二人で食べよか♪」
 まぁ、この笑顔を見れるなら瀕死の財布を使うのもいいかな、と思った。

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