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2024年05月21日
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妹「猫薬?」 兄「猫薬」 後編

2012年03月24日
──通学路──

妹「昨日は驚いたね。兄友さんにまでネコミミが生えるんだもの」

兄「俺としては願ったり叶ったりだけどな」

妹「ちくしょう、お兄ちゃんが変態なので禁忌を気にしないのはいいが、そのせいであっちへフラフラこっちへフラフラしやがる。私だけを襲えばいいのに」

妹友「あー……ええと。おはよう、二人とも」

兄「ああ、妹友か。おは……ッ!」

妹「なんとなく嫌な予感はしてたぜ」

妹友「まあ、なんていうか。……その、こんな感じよ」ピコピコ

兄「ふははは。ふはははは」ナデナデナデ

妹友「ちょ、ちょっとおにーさん、何を勝手に人の頭を……」

兄「快い。快いぞ、妹友よ」ナデナデナデナデ

妹「ちくしょう、ネコミミが三人も揃っちまいやがった。もはやアドバンテージは0に等しい。どうすりゃいいんだ」

拍手[24回]

妹友「……お、おにーさん。……そんなになでないでください///」ペタリ

兄「うお」

妹友「? どーしたんですか、おにーさん?」ピコピコ

兄「いや、なんというか、普段とのギャップが」

妹「ちくしょう、よもや妹友が鬼軍曹キャラだけでなく、庇護欲をかきたてる照れ屋な純情キャラまで保持していようとは。勝ち目がねぇ、妹キャラだけでは勝ち目がねぇよ」

兄「よく分からんが、俺は妹キャラも大好きですよ」ナデナデ

妹「なんだ。じゃあいいや。にゃーにゃー」スリスリ


兄「ところで勝ち目って何に対して?」

妹「DOKI☆DOKI誰が最初に孕むかレース」

妹友「わっ、私はそんなつもりありません! ええ、ありませんとも! た、ただ、なんというか、みんな楽しそうだから、私もネコミミを生やしただけで……ほ、他の理由なんてないですからね!」

妹「ツンデレテラモエス」

妹友「舐めんなオタ猫」

妹「しゅっしゅ」

兄「よく分からんが、喧嘩するな子供たち」ナデナデ

妹友「こ、これは喧嘩とかじゃなくて、いつものコミュニケーションというか……うぅ、おにーさんはネコミミが生えてたら誰かれ構わずなでますね///」

妹「あー今日も脳が溶ける。ごろごろ」

兄友「おはよう、み……まっ、まさか妹友くんまでかい!?」

妹友「……みんな揃ったようだし、まとめて説明しますよ」

妹「あー」


妹友「……というわけで、私も皆さんと同じように、起きたら猫薬ってのを握ってたんですよ」

兄「ふぅむ。こうも立て続けに俺に近しい人だけにそんな現象が起きるとは、とても嬉しい半面、少しばかり怖いな」

兄友「今更かい!? 兄くんは随分とのんきだね……」

兄「でもネコミミハーレムが結成できたからどうでもいいやうへへへへ」ナデナデ

兄友「な、なんて言い草だい。そ、そもそも私はそんないかがわしい組合に入った覚えは、その……き、聞いているのかい兄くん?///」

妹友「よ、世が世なら粛清されてますよ、おにーさん。まったく、平和な世の中でよかったですね///」

妹「手が足りねえ。私だけがなでられていねえ。ちくしょう、嫌な予感が的中しやがった。悲しさが胸に去来しやがる。にゃあにゃあ」ションボリ

兄「ああションボリ妹猫が可哀想で仕方が無い。なんて酷いことをしてしまったのだ俺は。許せ妹よ」ナデナデ

妹「しめしめ」スリスリ

妹友「全く誤魔化そうとしないのは、ある意味感心できるわね」

兄友(私も兄くんに頬ずりしたいなあ。……いかん、想像だけで鼻血が出そうだ)


──校門前──

兄「さて、今日も一日勉強頑張ろうな、ネコミミズ」

兄友「間違ってはいないが、酷い言い草だね」

妹友「それにしても……ものすごい注目を集めてますね。通る人みんながこっち見てますよ」

妹「なでれ」

兄「流石に三人も揃うと目立つからな。ああネコミミに囲まれて幸せだ。正直死んでもいい」

兄友「流石に言い過ぎじゃないかな、兄くん?」

妹友「まったく……おにーさんはある意味幸せものですね」

妹「なでれ」

兄「こうか」ナデナデ

妹「執念の勝利」スリスリ

妹友「ほら、行くわよ妹ちゃん」ガシッ

妹「うぬれー。今日もか、今日もかー」ズルズル

兄友「兄くんも、行くよ」ガシッ

兄「分かった、分かったから引っ張るない」ズルズル


──2年教室──

兄友「ところで、兄くんはどう思っているんだい?」

兄「ああ、一夫多妻制の国への移住ってどうすればいいのか調べる予定だ」

兄友「なっ、何の話だい、何の!? そ、そうじゃなくて、これのことだよ!」ピコピコ

兄「ああ、ネコミミな。確かに、三人続けて、それも俺の知り合いばかりとなると、何らかの意味があるように思えるな」

兄友「そ、そうだよね。……と、ところで、さっきの話なんだけど、その……い、一夫多妻制の国というのは?」

兄「これほどネコミミ娘が増量したのだ、何らかの方法でかどわかして件の国へ連れていき、そこで洗脳して俺のお嫁さんになってもらう予定なんだ」

兄友「そ、そうなのかい。……べ、別に私は、その、せ、洗脳とかしなくても……///」

兄「ああ何度見てもネコミミは可愛いなあ」ナデナデ

兄友「あ、兄くん!? 人が一生懸命話してるのになでるなんて酷いじゃないか!」

兄「失敬、耐えられなかったので」ナデナデ

兄友「ううぅ……///」


──1年教室──

妹友「なんとなく想像はついてたけど……ものすごく注目を集めるわね、このミミは」ピコピコ

妹「さて、一時間目は何だったかな」

妹友「妹ちゃんは歯牙にもかけてないのね。この豪胆さは見習いたいものね」

妹「媚びるべき相手に媚び、そうでない者は意に介さない。簡単な話だ」

妹友「時々妹ちゃんを野武士のように感じるわね」

教師「はい授業を始……毎日ネコミミの生徒が増える。なんなんだこの学校は」


──2年教室──

兄「さあて、と。昼になったし、今日も行くか」

兄友「そうだね。……ところで兄くん、休み時間ごとに私をなでるのはやめてくれないかい? さすがに私も衆人環視の中でそんなことをされるのは、少しばかり照れるというか……」

妹友「話は聞かせてもらいました」

兄「うわあっ」

妹「もらったー」

兄友「妹友くん!? それに、妹くんも!? ど、どうしたんだい、教室にまで来るなんて」

妹友「たまには迎えに行こうという話になりまして。それよりおにーさん」

兄「は、はい」

妹「なでれ」

兄「ああなんだそういう話か。秘技、ダブルなでなで」ナデナデ

妹友「違いますっ! 邪魔しないで、妹ちゃん!」

妹「あー」


妹友「そうじゃなくて、妹ちゃんをないがしろにするのは許せないって話です。兄友さんをなでた分だけ、妹ちゃんもなでてください」

妹「なるほど、それは名案だ。あと、もちろん妹友にもな」

妹友「え?」

兄「ないがしろにしたつもりはなかったが……そうだな。じゃ、とりあえず中庭に行こう。流石の俺も教室でネコミミハーレムを愛でられるほどレベルが高くないんだ」

妹友「え、え?」

兄友「……なるほど。ふふ、よくよくできた友人を持っているじゃないか、妹友くん?」

妹友「え、え、え?」


──中庭──

兄「着いた」

妹友「な、なんで私の腕を押さえてるんですか、兄友さん? 妹ちゃんまで!」

兄友「いやなに、逃げられないようにね」

妹「往生際が悪いぜ、おじょうちゃん」

兄「それじゃあなでるわけだが……ええと。両側から押さえつけられているネコミミ少女を無理やりなでるなんて、絵面が悪すぎやしないか?」

妹友「そっ、そうですよ! 後で通報されたくなかったらやめてください、おにーさんっ!」

妹「ネコミミの以心伝心能力により、そんなことはしないと判明」

兄「えっ、そんな力があるの?」

妹友「ないですないです、あるわけないですっ!」

妹「…………」クイクイ

兄友「? ……ああ、なるほど。兄くん、妹友くんは嘘をついている。大丈夫、彼女はなでられたがっているよ」

妹友「兄友さんまで!? な、何を言っているんですか!?」

兄「そうなのか。じゃあいいか、なでよう」

妹友「いえいえちっともよくないですっ!」


兄「とりゃ」ポフリ

妹友「ひゃっ」

兄「そして、とうっ」ナデナデ

妹友「~~~~~~~!!!///」

兄「うむ、よいモフり加減。しかし、三者三様でそれぞれミミの感じが違うのな」フニフニ

妹友「う、うぅ……触らないでください。おにーさんのばか。へんたい。えっち」

兄「興奮しかしねぇ」

兄友「兄くん……」

妹「流石お兄ちゃんだ、なんともないぜ。他人だったら通報してるけど」

妹友「も、もうなでたからいいでしょう? ほ、ほら、終わったから手を離してよ、二人とも」

兄「いや、もうちょっと」ナデナデ

妹友「~~~~~!! お、おにーさん、手つきがいやらしいです」

兄友「兄くん、年下の子にセクハラするのは感心しないよ」

妹「ちくしょう、私もセクハラされてぇ」

兄「普通になでてるだけなのに」


妹友「はぁ、はぁ……ほ、ほら、もういいでしょう? 私なんかより、妹ちゃんをなでてあげてください、おにーさん」

妹「まだか。まだそんなことを言ってるのか。構わないからもっとなでてやってくだせえ、お兄ちゃん」

兄「小悪党みたいな台詞だが、分かった」

妹「それと、あとでいいから私もなでれ」ピコピコ

妹友「ほらほらっ、妹ちゃんもあんなこと言ってますし! 私はもう放っといて、妹ちゃんをなでてあげてくださいよ、おにーさんっ!」

兄「心配するな、妹友よ。こんな時に、あってよかったダブルなでなで」ナデナデナデ

妹「ほふぅ」

妹友「あっ……。う、うぅー、なんで私までなでるんですかっ。妹ちゃんだけでいいのにっ。おにーさんのばかっ」

兄友(…………。私は年上だからな。この位、我慢できる。羨ましくなんてない。いや、本当。全然)

兄友(……兄くんは後で私もなでてくれるだろうか)


妹「諦めろ妹友、お兄ちゃんは天性の変態だ。ネコミミが生えた時点でお終いなんだ」

兄「酷い話だ」

妹友「……でも」

妹「あと、二人から三人に増えた所で、大して変わりはしない。それを受け入れる度量も、お兄ちゃんにはある」

兄「何の話か分からないので、邪魔をせずに暇つぶしに兄友をなでていよう」ナデナデ

兄友「あっ、こら兄くん!? そ、そんな空気じゃないのに……///」ピーン

妹「ああ私もしっぽを立たせたい。でも今は我慢。まあ、そんなわけで、あとは妹友の気持ち次第だ」

妹友「わ、私は、別に、そんな……」

兄友「……言う必要などないとは思うが、一応言っておこうか。私達に遠慮など必要ないからね? ……んッ! あ、兄くん、ミミをくりくりするなと言っているだろう?///」

妹「あそこのえろいお姉さんもそう言っている。本当に興味がないなら、これ以上はもう何も言わない。ただ、遠慮して身を引くなんて言うつもりなら、ぶっとばす」

兄友「えろいお姉さんって言われた……」ションボリ

兄「大丈夫、兄友はえろいよ」ナデナデ

兄友「確言されても嬉しくないよ、兄くん!」


妹友「……知らないわよ。後になって後悔しても」

妹「その程度で後悔するほどヤワな絆なんて持ちあわせてないものでね」

妹友「……本当、男前なネコミミね。もし妹ちゃんが男だったら惚れてたかも」

妹「残念ながら可愛い女の子なんでね、諦めてくれ」

妹友「というわけで、おにーさん」

兄「なんか話がこっち来た」ナデナデ

兄友「それならもう私を解放してくれないかい、兄くん? いつまで人をなでて……んぅッ! み、ミミの穴に指を入れるなんて、兄くんは何を考えているんだい!?///」

妹友「遅ればせながら、私も参戦させてもらいます。嫌なんて言わせませんからね?」

兄「何に?」

妹友「……妹ちゃん。この人、本当に分かってないの? それとも分かっててとぼけてるの?」

妹「ヒャア がまんできねぇ0だ! お兄ちゃんなでれ! あと抱っこしろ!」ピョンピョン

兄「飛びつくな」ナデナデムギュー

妹「あー。シリアスはきつい。あー」スリスリ

妹友「……あれほどかっこよかった人物とは思えない緩みっぷりね」


兄友「はは……でもまあ、らしいと言えばらしいね。……それで、君は混ざらないのかい?」

妹友「う。……さ、流石にあそこに飛び込む勇気はないですよ」

兄友「何を言ってるんだか。ほらほら、さっさと行った。大丈夫、兄くんは絶対に受け入れてくれるよ」グイグイ

妹友「わっ! お、押さないでください、兄友さん! ……って」ポフリ

兄「こんにちは」

妹友「……こ、こんにちは///」

妹「妹友が隣に来た。お兄ちゃん、親友丼の時間だ」

妹友「違いますっ! 違うけど……わ、私も、なでてください///」


兄「妹友がデレた!」

妹「これはめでてぇ。赤飯を炊こう。祭だ祭だ」

妹友「ええいこの兄妹は本当に腹が立つ。……そ、それで、なでてくれないんですか?」

兄「いや、ちょっとびっくりして。はい」ナデナデ

妹友「んっ……///」

妹「ほほう。間近で見るとなかなかえろい。妹友よ、兄友さんの後継者になれるかもしれないぞ」

妹友「そ、そんなのなりたくないわよっ!」

兄友「正直泣きそうだよ、兄くん」

兄「あとで嫌というほどなでて慰めてあげるので我慢してくれ」

兄友(これは死ねる)


妹友「おにーさん、それよりもっとなでてくださいっ」

兄「あ、はい」ナデナデ

妹友「はふぅ……///」

妹「ちくしょう、早くも自分のペースをつかんでやがる。この女、思ったよりやりやがる。お兄ちゃん、こっちもだ、こっちもなでやがれ」

兄「とてもじゃないが女性の口調とは思えないな、お前は」ナデナデ

妹「ぐにゃー。たまらん」ダレーン

兄「涎を垂らすな」

兄友(……私の入る隙間がない)

妹友「おにーさんっ、おにーさんっ。こっちもお願いしますっ」

兄「少しだけ疲れてきたよ」ナデナデ

妹友「えへへぇ♪ まだまだですよ、おにーさん?」

妹「にゃー。こっちもなでれー。にゃー」

兄「少し、というのを訂正させてほしい」ナデナデ

妹「ふにゃふにゃ。ああいっそお兄ちゃんに膝に住みてえ」

兄友(……私は大人なんだ。こんなことで泣くものか)


兄「ところで、そろそろ飯を食うのはどうだろうか。兄友もお腹が空き過ぎて涙目になってることだし」

兄友「なっ、泣いてなどいないぞ!? ……こほん。人をハラペコキャラに仕立て上げるのは感心しないな、兄くん?」

妹友「……もうちょっとなでてほしいです。ダメですか?」

兄「なんて破壊力だ。世界が終わるその時までなでていたい」ナデナデ

妹友「……おにーさん♪」スリスリ

妹「これはまずい。この妹、眠れる獅子を起こしてしまったやもしれんな」

兄友(本気で羨ましすぎる)

兄「しかし、いい加減に飯を食わないと昼休みが終わってしまう。なでるのはまた後日にしないか?」

妹友「……分かりました。我慢します。でも、あとでまたお願いしますよ?」ピコピコ

兄「あ、ああ」

妹「兄友さん、何らかの策が必要と思うのだけど」

兄友「……奇遇だね。私も似たようなことを相談しようと思っていたところだよ」


兄「さてと、準備もできたし、いただきまー」

妹友「おにーさんっ、おにーさんっ」クイクイ

兄「す?」

妹友「はい、あーん♪」

妹「一切の駆け引きのないあーん。純粋だからこそ美しい、か」

兄友「な、何を言っているのだい妹くんは!? い、いいのかい?」

妹「遠慮するなと言った手前、どうにも言いにくいのです」

兄「もがもが、ごくん。……うん、おいしい」ナデナデ

妹友「えへへへへっ♪」ピーン

兄友「とか言ってる間に兄くんが食べさせられているよ!? しかも、なでなでまで!」


兄「おいしいけど、俺ばかりが食べるのは悪いよ。ほら、後は自分で食べな?」

妹・兄友「「良しッ!」」

妹友「……じゃあ、食べますから、その代わりご飯の間、ずっとなでなでしてくれますか?」

妹「耐えらんねえ、これ以上耐えらんねえよ。私もなでてよお兄ちゃん。にゃあにゃあ」

兄友「何事も限度というものがあるのだよ。当然私にもその権利はあるよね、兄くん?」

兄「俺の腕の筋組織粉砕フラグがいま立った」


妹友「ほぉ……///」

兄友「ふぅ……///」

妹「にゃー……///」

兄「ぼくのいしにはんして、うでがぴくぴくとうごめいています」

妹友「……えへへ、とってもよかったです。また明日もお願いしますね、おにーさん?」

兄「お前は俺の腕の面白い感じが見えていないのか」

兄友(……死んでしまう。こんなことを毎日していたら死んでしまう。……だが、それも本望……ッ!)

兄「戻って来い、兄友」

妹「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん」ペロペロ

兄「うべべ。顔を舐めるな」

兄友「っ!? そ、それは流石にルール違反だよ、妹くん!」

妹友「そうよっ、妹ちゃん!」

兄「頼もしい援護射撃だが、そこはかとなく嫌な予感がする」


兄友「そ、その、なんだ、私達もしていいなら、話は別だが?」

兄「ほら見ろ」

妹友「舐めていいですか、おにーさん?」

兄「なんて台詞だ。ここは学び舎だぞ、ダメに決まってるだろ」

妹「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん」ペロペロペロ

兄「うべうべ。お前もいい加減止まれ」

妹「実は冷静」ペロペロ

兄「なお悪い」

兄友「ああもう、妹くんだけとは贔屓に過ぎるだろう! 今日は特に冷遇されているんだ、これくらいはいいだろう!?」ペロペロ

兄「ういいっ!? ちょ、ちょっと待て兄友、お前はそんなキャラじゃないだろう!? ていうか冷遇なんてしてたか?」

兄友「したさ! 君が悪いのだよ、兄くん! ひとつ年上なだけで我慢させられる私の気持ちも考えたまえ!」ペロペロ

兄「待て舐めるな鼻を舐めるな顔が俺の顔が」

妹友「じゃあ私もおにーさんをぺろぺろしちゃいますねっ♪」ペロペロッ

兄「いや別に全員がやる必要など欠片も存在しないようなうべべべ」

妹「お兄ちゃんうめぇ」ペロペロ


兄「涎まみれだ」

妹「やりすぎた」

妹友「途中から楽しくなっちゃって思わず」

兄友「今は反省している」

兄「ああもうベタベタだ。顔も手も……よくもまあここまで。ただ、よくよく考えてみれば、ネコミミ少女らに舐められるなんて嬉しい以外の感情が浮かばないので、結果としてはありがとうございます」

兄友「土下座っ!?」

妹「さすがお兄ちゃんだ、ブレないぜ」

妹友「おにーさんはよく訓練されてますね」

兄「とはいえ顔中ベタベタだ。ちょっと顔洗ってくる」

妹「じゃあ洗ったそばからお兄ちゃんの顔を舐めるために追随する」

妹友「それを止めるために一緒に行きますね、おにーさん?」

兄友「なら、私は妹友くんが暴走しないようついていくかな」

兄「全員ここにいてください」

妹・妹友・兄友「「「ぶーぶー」」」


兄「ふぅ……サッパリした」

妹友「あ、お帰りなさいおにーさん。言われた通り待ってましたよ? 偉いですか? 思わずなでたくなっちゃうくらい偉いですか?」

兄「今日はもう勘弁してください」

妹友「残念です……」

妹「げふー」

兄「そしてなんで俺の妹はゲップしながら腹をさすっているんだ」

兄友「もうチャイムが鳴るまで間がないので、残すのももったいないということで、兄くんの余った弁当を食べてしまったんだ」

兄「あ。そういや自分の弁当食った記憶がねえ」

妹友「私が最初に少しあーんした時の分しか食べてないんじゃないですか、おにーさん?」

兄「そうかも。どうしよう。このままじゃお腹が空いて授業中に泣いちゃうかも」

妹「私の兄がこんなに可愛いはずがない」

妹友「子供みたいですね、おにーさん。グミでよかったらありますけど、食べます?」

兄「それはよかった。ありがとう、いただくよ」

妹友「えっへっへー。どうしましょうかね?」

兄「グミくれよ!」


──2年教室──

兄「あの後、やーだよと言われたものの、なんとかグミを手に入れることに成功。もきゅもきゅしながら授業を受けていたら放課後になった」

兄友「誰に説明しているんだい、兄くん?」

兄「兄友は、今日は生徒会か?」

兄友「……非常に残念だが、肯定だ。明日までお別れだよ、兄くん」シュルリ

兄「そんなしっぽを巻きつかせるほど悲しむこともないだろ」ナデナデ

兄友「こっ、これはそのっ! ……あの、ところで手は大丈夫なのかい?」

兄「授業中に休めていたら治った」ナデナデ

兄友「……つまり、ノートをとっていないんだね。仕方ないな、兄くんは。また今度ノートを貸してあげるよ」

兄「ありがとうな、兄友。お前には頭が上がらないよ」

兄友「気にしなくていいよ。友達、だろう?」

兄「ああ、未来永劫永久不滅に友達だ」

兄友「……なんだか泣きそうだよ」

兄「友情に泣けてきたのだな」

兄友「わざとかい、兄くん?」


兄「なんだか分からんが元気出せ」ナデナデ

兄友「誰のせいだと思って……んッ! ああ、兄くんっ!? 教室でミミを触るのは反則だろう!?///」

兄「ああ今日も兄友はえろい」

兄友「き、君は本当に……んんッ!/// だ、だから触るのはダメだと……ひゃッ!」

妹「えろい」

妹友「えろいです」

兄「あ、来た」

兄友「きっ、ききき君達ッ!?」

妹「我らも一年であれほどえろくなれるのだろうか」

妹友「体つきは私達とそれほど違わないというのに……あれが上級生のえろさなのかしら?」

兄友「あ、あまり人のことをえろいえろいと言わないでもらえるかな?///」

兄「大丈夫、兄友はえろいよ」

兄友「だから、確言されても困るよ、兄くんッ!」


──通学路──

兄「ああ楽しかった」

妹友「あまり兄友さんをいじめてはダメですよ、おにーさん?」

兄「そうだな。以後気をつけよう」

妹「それにしても、変われば変わるものだ。あれほど恐ろしかった妹友の鬼軍曹もなりを潜め、今では萌え萌えにゃんしか表に出てきてこないのだから」

妹友「馬鹿にしてんのか妹猫」

妹「しゅっしゅ」

兄「なんでお前らはすぐ喧嘩すんだ。ほれ、落ち着け」ナデナデ

妹「ああー。あああー」

妹友「……本当に落ち着きますよね、これ」

兄「そうなのか? 自分じゃ分からんが」

妹「たまらんー。もっと、もっとなでれー」

妹友「ええ。なんと言いますか、安心するって言うんですか?」

兄「……コイツも?」

妹「なでれー。お兄ちゃん、なでれー」


妹友「……訂正。私は、安心します」

妹「私も安心する。なのでお兄ちゃん、もっかいなでれ」

兄「また今度な。今日はなですぎて疲れた」

妹「がーん」

妹友「ざまぁ」

妹「しゅっしゅ」

兄「だから、喧嘩すんなって言ってるだろうが」ナデナデ

妹友「あっ……つい。ごめんなさい、おにーさん」

兄「謝る相手は俺じゃないだろ?」ナデナデ

妹友「……そうですね。ごめんね、妹ちゃん。ついからかっちゃった」

妹「結果としてお兄ちゃんになでられたので許す」

妹友「このおにーさん至上主義者め」

妹「そのまま言葉を返す」

妹友「う」

兄(何度触ってもネコミミの感触はたまらないなあ)フニフニ


──兄妹宅──

妹「にしても、増えたよね。ネコミミ所持者」ピクピク

兄「あー、そだな。最初はお前だけだったのにな」ナデナデ

妹「ふにゃふにゃ。爆発的感染力だ」

兄「感染というが、猫薬を飲まなけりゃ生えないんだけどな」

妹「そもそも、あの薬はなんなの? 特に疑問を持たずに飲んじゃったけど」

兄「何、と言われても……以前説明した通りで、俺もそれ以上のことは分からない」

妹「まあ、これが生えてからお兄ちゃんとより一層仲良くなれたし、どうでもいいか。あとは最後の一線を超えるだけ」

兄「左手を添えるだけ?」

妹「にゃっ。スラムダンクが読みたくなった。おのれ、なんという策。ちくしょう、今日もしてやられたぜ。というわけでお兄ちゃん、ちょっと部屋に戻って漫画読んでるね」

兄「あいあい。飯ができたら教えるな」

妹「にゃーっ」


──夢?──

兄『……ん、んぅ……』

???『おい、起きぬか』

兄『はい』

???『うわあっ! 目覚めよすぎじゃ、馬鹿者!』

兄『それだけが取り柄で……って、誰? また新しいネコミミ娘? ちょっと多すぎでは。飽和するぞ』

???『くっくっく……馬鹿にするのもそこまでじゃ。ワシは、神じゃ!』

兄『へへー』ドゲザ

神『嘘っ、一発で信じた!? え、あれ、神通力が上がって威厳が上がったとかかの? ……えへへー、やったのじゃ♪』

兄『いや、ごめん嘘。信じた方が楽しそうだから信じたフリした』

神?『なっ、なんじゃとぉ!? せっかく力が強くなったと思ったのに……やっぱり人間は酷いのじゃ!』

兄『いや、酷いのは人間じゃなくて、俺という一個人だ』

神?『うるさいのじゃっ! やっぱり人間などろくでもないのじゃっ!』

兄『はぁ……まあいいや。それで、俺に何か用か?』

神?『ふん。近頃貴様の周辺で何か変なことがなかったか?』


兄『ない』

神?『ええっ!? えっ、いや、あるじゃろ? 何か突飛な事件が』

兄『ない。一切ない』

神?『え、あれ……あ、あの、最近の? 貴様の周辺で猫の耳が生えた哀れな娘とか現れなかったかの?』

兄『現れた』

神?『ほらあるじゃろーが! なんでないとか言うんじゃっ! 心配しちゃったじゃろーが!』

兄『落ち着け』ナデナデ

神?『ふにゃふにゃ……はっ! か、神をなでるでないっ、愚か者めがっ!』

兄『あーやっぱネコミミはいいなあ』


神?『うるさいのじゃっ! よいか、今日が貴様の命日じゃ!』

兄『そんなぁ! 頼む、助けてくれ!』

神?『早いッ! まだ命乞いするところまで話は進んでおらん! もうちょっとワシが話してからやるのじゃ。よいな?』

兄『断る』

神?『断ってはいかんのじゃあ! ああもう、貴様は黙っておくのじゃ! よいかっ!?』

兄『…………』コクコク

神?『うむっ。えっとの、えーっと……あ、そうじゃ。……ふわはははーっ!』

兄『うわぁ』

神?『喋ってはいかんと言っとるじゃろーが! 特にうわぁとか言ってはならんっ! 泣いちゃうのじゃっ!』

兄『…………』コクコク

神?『まったく……ええと。ふわはははーっ! 今日が貴様の命日じゃ!』

兄『…………』

神?『近頃立て続けに猫薬なる怪しげな薬が出現したじゃろ? あれらは全て、ワシの仕業じゃ!』

兄(なんだって! なんていい神なんだ! 一生拝んでやる!)

神?『あの薬にはワシの呪いが込められておる。飲んだが最後、見るも無残な猫娘になってしまうという……恐怖の薬なのじゃ!』


兄(恐怖? 一体どこに恐怖などがあるのか。とてもありがたい薬じゃないか)

神?『あの娘どもには夢の中で甘言を弄し、飲ませたのじゃ。……当然、元に戻して欲しいじゃろ?』

兄(いや、全然。むしろ世界中の女性に飲ましてほしいくらいだ)

神?『ならば、その生命を捧げよっ! さすれば、元に戻してやるのじゃ!』

兄(いや何を言ってんだ)

神?『ふふ……どうするのじゃ? 貴様の大事な者か、貴様自身の命か。特別に好きな方を選ばせてやるのじゃ』

兄『…………』

神?『あ、もう喋ってもいいのじゃ。ふふーん、どうじゃ!』

兄『いや、どうも何も、ばーか』

神?『えええええっ!? 神様なのに馬鹿って言われたあ!?』

兄『あんな可愛い物を元に戻してどうする。悩むところがなさすぎるだろ』

神?『な……何を言っとるのじゃっ! 人間は、人間は誰もが猫を忌み嫌ってるじゃろッ!』

兄『え、いや、そんなことは』

神?『そうに決まっとる! じゃなければ、ワシは、ワシはどうして……』

兄『え?』


神?『……いや、なんでもない。ともかく、あの呪いを解いて欲しくば、その生命を捧げるのじゃ』

兄『いや、だから呪いだろうがなんだろうが、解くつもりなど毛頭ないっての』

神?『……神と交渉するつもりかえ? 言っておくが、貴様の態度次第では、かの娘らは一生あのままなのじゃぞ?』

兄『いいじゃん、一生ネコミミ。ああもう超可愛い』

神?『……適当な嘘をつくなッ! あんな気持ち悪いものを可愛いと思うハズないじゃろッ!』

兄『は?』

神?『人は皆、猫と見れば戯れで蹴り、石で打ち、川に放り投げる。……そんなものを、どうして可愛いなどと言えるッ!』

兄『いや、そんな酷いことしないだろ』

神?『うるさいうるさいうるさいッ! 貴様が何と言おうとも、猫など誰もが忌み嫌っておるのじゃッ!』

兄『…………はぁ。いい加減にしろよ、このクソ神』

神?『ひッ! す、凄んでも呪いなど解いてやらんのじゃ!』

兄『……ああもうなんか腹が立ってきた。あのな、こんな可愛いものを気持ち悪いと思うなんて、ましてや忌み嫌うだなんて、ありえないだろッ!』ナデナデ

神?『にゃあーっ!? こっ、こら、なでるな!』

兄『大人しく聞いてりゃ勝手なことばっか言いやがって。いいか、このネコミミは超可愛いんだ!』ナデナデナデ

神?『う、嘘じゃ嘘じゃ嘘じゃ! 絶対嘘じゃ! 貴様は呪いを解いてもらうため、嘘を言ってるだけなのじゃ!』


兄『ええい、まだ言うか! そもそも俺はネコミミのままでいてほしいのに、嘘なんてつくわけないだろーが! 俺の寝起きの良さと並ぶ特技、なでなでを喰らえッ!』ナデナデナデ

神?『にゃ、ふにゃ……ご、ごろごろ……え、ええいッ! ワシを篭絡しようとしても無駄じゃっ!』

兄『いや、そんなつもりはないのだけれど』

神?『ふーっ、ふーっ、ふーっ……。なんと言われようと、ワシは騙されんぞ。貴様は、あやつの子孫なのだから……ッ!』

兄『はい?』

神?『あんな非道なことをできる愚かな者の子孫なんじゃ、貴様もどうせ他の連中と一緒じゃ!』

兄『いや、あの、ちょっと話が見えないのだけれど』

神?『……貴様の先祖は、とある猫を執拗に執拗に虐待しておったのじゃ。ワシは、その一部始終を、ずっと、ずっと見ておったのじゃ』

兄『……俺の先祖が?』

神?『……思い出すのもはばかれる、酷い虐待じゃった。結局、その猫はその男に殺されてしもうた』

兄『…………』

神?『……あの猫の無念は、相当なものだったのじゃろう。……ワシは、あの猫の無念を受け取ることにした。……あの男を、祟ることにした』

兄『祟る、って……』

神?『七代祟る。ワシはあの男とその子孫、その七代まで祟ると決めた。その最後の子孫が貴様じゃ』

兄『……そんなことが』


神?『分かったら、とっとと選べ。自らの命を捧げ忌み嫌われる猫の耳をつけられた他者を救うか、他者を放って自分は生き延びるか。悩み苦しむ行為そのものが、ワシの……あの猫の復讐なのじゃ』

兄『……なるほど。でも、俺は最初から選ぶつもりはないっての。このままが幸せなんだ』

神?『貴様、まだ言うか……ッ!』

兄『言うさ。確かにその猫は可哀想だ。あんまりだ。俺の先祖が目の前にいたらぶっ殺してやりたいよ』

神?『……もし殺したら、貴様の存在も消えてしまうぞ』

兄『そのくらいムカつくってことだ。何度も言うが、猫は可愛いんだ。これっくらい』ナデナデ

神?『だ、だからワシをなでるなっ! わ、ワシは神であって、猫ではないっ!』

兄『ふーん。……本当に?』

神?『な、何を言っとるかや! あ、当たり前じゃろうが! ど、どうしてワシが神じゃないなどと思うのじゃ!?』

兄『いや、なんかね。他人事にしては、その虐待された猫に入れ込み過ぎてる気がして』

神?『そ、それは……わ、ワシが優しいからじゃ! それ以外にどんな理由があるというのじゃ!?』

兄『そうな。例えば、……神なんて最初からいなくて、虐待された猫が化け猫になり、勝手に神を名乗って祟っているだけ……とか?』

神?『っ!? なっ、ななな、何を、い、言っとるかや? そ、そんなわけ……』

兄『よし、決めた。そうだと勝手に思い込もう』

猫?『だっ、だから違うと言っとるじゃろーがっ! 勝手に猫扱いするでないっ!』


兄『というわけで、猫。俺と一緒に来い』

猫?『は……はぁ? な、何を言ってるかや、貴様は? 今は貴様を試しておる時なのじゃぞ?』

兄『お前は虐待されて死んだ可哀想な猫、と俺が勝手に思い込んでるので、死ぬほど可愛がりたい』

猫?『か、かわっ……ふ、ふざけるニャッ!』

兄『にゃ?』

猫?『あっ、いや、違う、ニャじゃない、なって言ったニャ! ……あ、いや今のも違くて!?』

兄『うん、可愛い。よし、やっぱりお前は俺が飼う!』

猫?『かっ、飼うッ!? なっ、なな、何を言うのニャ! そ、そんなの絶対にダメニャ!』

兄『完全に語尾がニャくんになってるが、決めた。お前を俺の飼い猫にして、嫌ってほど可愛がる』

猫?『……い、いいの? ……じゃないッ! だ、誰が貴様ニャんかに飼われるか!』

兄『じゃあ、選んでくれ。夢から覚めて、そこにお前がいたらそのまま飼う。いなけりゃ、これは夢だったと諦める』

猫?『わ、ワシに選べと言うのニャ? ……で、でも』

兄『好きにしてくれ。ただ、1つだけ言わせてもらうなら、俺は本当にお前と一緒にいたいと思っている』

猫?『わ、ワシのような子猫を相手に、何を言っとるニャ、この変態っ! ……も、もう、お前なんか元の世界に戻っちゃえばいいのニャっ!』

兄『うっぷす』


──兄妹宅──

兄「ん、んぅ……よし、起きた」

猫?「……う、うにゃー」

兄「ふむ。そして夢かもと思っていたが、件の猫も隣に……えっ、人の姿?」

猫娘「な、なに? ダメかニャ?」

兄「いや、俺はてっきり猫の姿でくるものだと思っていたので。でもこの姿も可愛いし、いっか」ナデナデ

猫娘「にゃ、ふにゃ……にゅう///」

兄「わはははは。かーわいーい」ナデナデ

猫娘「にゅう……べ、別にお前の飼い猫になったわけじゃないニャ。お前が自分可愛さで猫を嫌ってないと嘘をついていないか、この目で調べるために飼い猫のフリをしてるだけなのニャ。……そ、それだけなのニャ!///」

兄「ああチクショウ可愛いなあ」ナデナデ

猫妹「にゃ、にゃう……あ、あんまりなでるニャ///」ピーン

妹「おはようお兄ちゃん、朝のみるくしぼり……てめぇ誰だ」ゴゴゴゴゴ

猫娘「ひにゃあっ!?」

兄「朝から殺気を撒き散らすな、妹よ」

妹「またか。また増えたのか。どこからこんな猫娘を拾ってきた、お兄ちゃん」


兄「かくかくしかじか」

妹「なるほど、完全に把握した。……しかし、小柄な私より背が低いとは。何cmだ? 小学生くらい?」

猫娘「ぶるぶるぶる……こ、この娘、怖いニャ! 助けてニャ、ご主人さま!」ヒシッ

妹「語尾にニャ+ご主人様? なんてコテコテな。……いや、その位の方が逆にいいのか?」

兄「ああ大丈夫大丈夫。にしても、ご主人様っていいなあ」ナデナデ

猫娘「うにゅうにゅ……にゃー♪」

妹「ちくしょう、こいつぁまずい。私も媚びねば。お兄ちゃんお兄ちゃん、うっふんにゃん」

兄「それは萌えません」

妹「ちくしょう」


兄「ところで、さっき俺のことをご主人様と呼んだようだが、その」

猫娘「ち、違うのニャ! さ、さっきのは、偶然出ちゃった言葉なのニャ。本当はそんなこと思ってないのニャ。……で、でも、一応飼い猫ってことだから、イヤイヤそう呼んでやるのニャ!///」

妹「ああこの可愛らしさが憎い。川に流してしまいてえ」

猫娘「この時代でも流されるのニャー!?」

兄「落ち着け。そして妹よ、冗談でもそんなことは言うものではない。ほら、猫娘も震えているではないか」ナデナデ

猫娘「ぶるぶるぶる……」ヒシッ

妹「ああ、そっか。……ごめんね、猫娘ちゃん。お姉ちゃんを許してくれる?」

猫娘「……わ、ワシは寛容だから、特別に許してやるのニャ。で、でも、次言ったら許さないのニャ!」

兄「妹が自らをお姉ちゃんと。……これはこれで!」ナデナデ

妹「計画通り」スリスリ

猫娘「いいニャー」


──通学路──

兄「普通に猫娘も連れてきたが、よかったのだろうか」

妹「今更ネコミミが一人や二人増えた所で変わらないよ」

猫娘「うにゃー……ご主人さまと同じ服を着た人がいっぱい」

妹友「……また増えてる。おにーさん、この子誰ですか?」

兄「かくかくしかじか」

妹友「なるほど。……ん? 何か見覚えあるわね」

猫娘「それも当然なのニャ。お前の夢に出て、猫薬を与えたのはこのワシなのニャ。えっへんなのニャ!」

妹友「……なるほど。今のネコミミの群れの全ての元凶なんですね」

猫娘「そうニャ。本来は猫の耳が生えて周囲の人間どもに忌避される予定なんだったのに、ご主人さまのせいで何もかも台無しニャ。なんか受け入れられてるのニャ。おかしいのニャ!」

兄「おかしくない。喜ぶだろ、普通」

猫娘「喜ばないのニャ! ご主人さまがおかしいのニャ!」

兄「まだ言うか。こんな可愛いのにまだ言うか」ナデナデ

猫娘「にゃ、うにゃ……な、なでなではずるいニャ、ご主人さま///」

兄「ああ可愛い」スリスリ


猫娘「ふにゅー……///」

妹友「これはマズイわね」

妹「しかも、私達と違って天然物のミミときた。……いっそ千切るか?」

猫娘「にゃーッ!?」

兄「そこの娘さんがた、うちの猫が怖がってるのでやめてくれませんか」ナデナデ

猫娘「ぶるぶるぶる……」ヒシッ

妹友「う。……ちょっと可愛いのがムカつくわね」

妹「こうか。ぶるぶるぶる。……お兄ちゃん、可愛い?」

兄「可愛い」ナデナデ

妹「しめしめ」スリスリ

妹友「いかなる隙も見逃さないわね」

猫娘「いいニャー」


兄友「……毎日増えるね」

兄「おはよう。かくかくしかじか」

兄友「なるほどね。……ということは、この子も兄くんのハーレムの一員なのかい?」

兄「ハーレム?」

兄友「以前言っていたじゃないか、一夫多妻制の国へ移住すると」

妹「そいつぁ聞き捨てならねぇな」

妹友「そこは英語圏ですか? それならなんとかなりますが、それ以外となると今から勉強する必要がありますね」

兄「あれ、なんでみんなそんな乗り気なの? え、冗談じゃないの?」

兄友「冗談……?」

妹「お兄ちゃんが何を言っているかわからない件」

妹友「一人で全員分の稼ぎを得るのも難しいでしょうし、当然共働きですよね。海外でも有用な資格を在学中に取っておきましょう」

兄「あれ? あれ?」


猫娘「よく分からないけど、ご主人さまはみんなに好かれてるのかニャ?」

兄「いや、嫌われてはいないと思うけど、好かれてるかどうかは」

妹「まだそんなこと言ってるのかお兄ちゃんは。可及的速やかに種を仕込まれる必要があるな」

兄友「こっ、ここでかい!? ……せ、せめて最初くらいはちゃんとした場所がいいよ、兄くん///」

妹友「私はやはり妹ちゃんの親友として、一緒に奪われるんでしょうか。……や、優しくしてくださいね、おにーさん?///」

猫娘「……ひょっとして、ワシもなのニャ? ……し、しょうがない。一応飼い猫だから、特別に我慢してやるのニャ!/// ……でも、入るかニャ?」

兄「すごいことになってきた」


妹「誰が最初かじゃんけん、じゃんけん」

兄友「負けられない戦いがここにある……!」

妹友「私の勝負強さを知ってて挑むとは、妹ちゃんも落ちたものね。一緒に奪われるとはいえ、おにーさんの最初は私がもらうわよ」

猫娘「新参だからって負けないのニャ! ご主人さまのため、猫の底力、見せてやるのニャ!」

兄「……まあ、いっか。よし、頑張ろう」

妹・妹友・兄友・猫娘「「「「最初はグー、ジャンケンポン!!!」」」」


おわり
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Comment
無題
ブラボー…おぉブラボー!
No title
ここまですっきりした気分も初めてだな。
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