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2024年04月25日
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妹「猫薬?」 兄「猫薬」 前編

2012年03月24日
妹「何それ」

兄「猫っぽくなる薬」

妹「具体的にどうなるの?」

兄「ネコミミとしっぽが生える」

妹「ふーん。ところで、お兄ちゃんって猫属性保持してたっけ?」

兄「ああ、割と昔から持ってるぞ」

妹「んじゃ飲む」クピクピ

兄「わくわく」

妹「生えた」ニョキニョキ

兄「やったあ」

拍手[18回]

妹「にゃーにゃーにゃー」

兄「猫言語機能はなかったと思いましたが」

妹「サービス」

兄「これは喜ばしい」

妹「それはそうと、学校行かなきゃ」

兄「そうだな。はい、パン」

妹「ありがと。ぱくりむしゃ熱っつい!」

兄「猫舌にもなるのか」

妹「水、水……いや、ミルクがいい」

兄「おお、猫っぽい。ほい、牛乳」

妹「ミルクの方がそれっぽいと思って。またしてもサービス」

兄「これはあまり嬉しくない」

妹「ちぇ。ごくごく……ふー。熱かった」


兄「俺も食うか。もしゃもしゃ。ごちそうさま」

妹「早いよ。早食いは太るよ?」

兄「以後気をつけよう。んじゃ、そろそろ行くか」

妹「ん。カギしめて……はい、おっけー。んじゃ行こっか、お兄ちゃん」

兄「あいあい」

妹「んー。そろそろ春だね。空気が暖かいね」

兄「そだな。気持ちいいな」ナデナデ

妹「なんで私の頭なでてるの?」

兄「ネコミミが可愛いので」

妹「じゃあしょうがないね」

兄「ああ、しょうがない」


妹友「おはよーおにーさん、それと妹……いもっ、妹っ!? どしたの、それっ!?」

妹「生えた」

妹友「生えたって……え、ええっ!? ちょっとちょっとおにーさん、どういうことなんですかっ!?」

兄「生えた」

妹友「いや、生えたって……なんでそんなローテンションなの!? とんでもないことじゃないの!? え、私がおかしいの?」

兄「いや、そんなことはないと思う」フニフニ

妹「お兄ちゃん、ミミ触るの好き?」

兄「ああ、ふにふにしてて気持ちいい」

妹友「いやいや、何をアンタら普通にしてるの!? ていうか何を普通に登校してるのっ!?」

妹「遅刻するよ、妹友」

兄「早くしないと置いてくぞ」

妹友「ああもう……もうっ! 説明を要求しますっ!」


妹友「なるほど、猫薬を……って、なんですか、猫薬って」

兄「さっきも説明した通り、猫っぽくなる薬だ」

妹友「それは聞きましたけど! そもそも、何のための薬なんですか? どこから手に入れました? 安全なんですか?」

妹「くぁぁ……」

兄「お、あくび。やっぱ普段より眠いとかあるか?」

妹「んー……分かんない。今日はいつもより暖かいし」

兄「そか。確かに暖かいもんな」ナデナデ

妹「んー」

妹友「私の話を聞いてくださいよぅっ!」

兄「あまり頭がよくないもので、難しい話は分からないんだ」ナデナデ

妹「ほふー」


妹友「じゃあせめて片手間に話すんじゃなくて、私ときちんとお話してくださいっ! 妹ちゃんの頭なでるの一時やめて!」

兄妹「「えー」」

妹友「えーじゃない」

兄妹「「ぶーぶー」」

妹友「しゃーらっぷ! ほらほら、とっとと離れる! はい、妹ちゃんは私の左! おにーさんは私の右!」

兄「ああ妹が、妹が離れていく」

妹「おにーちゃーん」

妹友「茶番はいいからっ!」

兄「叱られたね」

妹「怖いね」

妹友「きちんと説明してくれないと、妹ちゃんのネコミミを引き千切る」

兄「きちんと説明します」


兄「と言っても、大したことじゃないんだ。起きたら手に猫薬と書かれた薬瓶が握られてて、ラベルにさっき言ったようなことが書かれていただけなんだ」

妹友「……そんな怪しげなものを、妹ちゃんに飲ませたんですか?」

兄「猫っぽくなるって話だし」

妹友「妹ちゃんも、なんでそんな怪しげなものを飲んじゃうの?」

妹「お兄ちゃんが猫属性持ってるし」

妹友「アンタら、揃って馬鹿だ」

兄「馬鹿にされたね」

妹「本当だね」

妹友「ちょっとは深刻になってくださいっ! そんな訳の分からないものを妹ちゃんに飲ませて、何かあったらどうするんですかっ!?」

兄「責任をとって嫁にもらう」

妹「責任をとってもらって嫁にもらってもらう」

妹友「アンタら実の兄妹だっ!」


兄「とか言ってる間に学校に着いた」

妹「それじゃお兄ちゃん、また後でね」ピコピコ

兄「ああ。しっぽでバイバイは素晴らしい」ナデナデ

妹「んー」

妹友「ほら妹ちゃん、行くよ! おにーさんも、いつまでなでてるんですか!」

兄「ネコミミの感触がたまらないんだ」ナデナデ

妹「お兄ちゃんになでられるのはたまらないの」

妹友「ほらほら、いーから行くわよ!」

妹「ああお兄ちゃん、お兄ちゃーん」

兄「妹、妹ぉぉぉぉぉ」

兄友「……何やってんだ」

兄「おはよう」


兄友「ああ、おはよう。……いや、そうじゃない。私の見間違いじゃなければ、妹さん、なにか獣の耳が生えてたような……あと、しっぽも」

兄「ああ。生えた」

兄友「何を事も無げに……何があった?」

兄「さっき妹友に説明した通りだ」

兄友「……いや、私はその場にいなかったので分からないのだが」

兄「何度も説明するのが面倒なんだけど、それでも説明しなきゃダメか?」

兄友「ああ、そうしてくれると有難い」

兄「分かった。ひとまず教室へ行こう」


兄友「ふむ、着いたぞ。じゃあ、説明してもらおうか」

兄「かくかくしかじか」

兄友「ふむふむ、なるほど。いや、なるほどと言ったが、分からん。どうして寝てる間に薬瓶など持っている」

兄「俺に言われても」

教師「はいはい、授業を始めますよー」

兄友「む、もうそんな時間か。詳しい話はあとでまた聞かせてもらうぞ」


妹友「あの……妹ちゃん? みんなすっごい見てるけど……隠さなくていいの?」

妹「別に。ていうかなんで妹友がそんな恥ずかしそうにしてるの?」

妹友「だ、だって、みんなじろじろ見てるし……」

妹「気にしすぎだと思うけど」

妹友「妹ちゃんが気にしなさすぎなのっ!」

妹「そう? 別にどこの誰とも知れない視線なんて気にならないけどなあ」

妹友「どこの誰って……同じクラスの人くらいは分かるよね?」

妹「……ふあああ。猫になってるからか、なんだか眠いよ」

妹友「はぁ……本当に妹ちゃんはおにーさんのこと以外は興味ナシね」

妹「妹として当然じゃない」

妹友「これを冗談じゃなくて本気で言ってるから怖いよね」

教師「はい、授業を始めま……いっ、妹さんっ!? そ、その耳は!?」

妹「生えました」

妹友「先生にまでそれで押し通す気なの!?」


兄友「……ううむ、どれほど聞いても分からん。どういうことだ? それとも、私の頭がおかしくなってしまったのか?」

兄「いつまで言っている。もう昼だぞ。弁当を食わんのか。食わんのなら一人で行くぞ」

兄友「ああいやいや、私も行こう。今日も妹さんと一緒か?」

兄「当然だ」

兄友「このシスコンめが」

兄「当然だ」

兄友「怯みもしない、か……いやはや、本当に君は強敵だな」

兄「そんなヤワな絆なんて持ちあわせてないものでね」


妹友「あっ、おにーさんが来た。兄友さんも。……いやー、いつ見ても綺麗よね、兄友さん?」

妹「なんていやらしい笑み」

妹友「うっふっふー。傍観者は楽しいよね?」

妹「この野郎、いつか泣かす」


兄「おまたせ」

兄友「やあ、今日もお邪魔させてもらうよ」


妹「本当に邪魔かも」

兄「こら。そんなことを言うものではない」

妹「……そだね。ごめんなさい、兄友さん」ペコリ

兄友「いや、別に気にしてないからいいんだけど……いや、本当に猫の耳だね。すごいね、触っても構わないかい?」

妹「構います。私に触ってもいいのはお兄ちゃんだけです」

兄「やったあ」フニフニ

妹「んー♪」

妹友「そこは叱るところじゃないんですか!?」

兄「そうだった。ええと、どうしても嫌か?」

妹「……あとでお兄ちゃんが全力で甘やかしてくれるなら、我慢する」

兄「いっそ今甘やかそう。おいで、妹」

妹「予想外。だが好都合。ごろごろにゃーん」

兄「よしよし」ナデナデ

妹「ふにゃふにゃ」

兄友「……えーっと。私達はどうすればいいんだろうか」

妹友「石でもぶつけてやりましょう」


兄「堪能した」

妹「堪能した」

妹友「そこの馬鹿兄妹、終わったらとっとと飯の準備をしろ」

兄「あの娘さんは怖いね」

妹「怖いね」ペタン

兄「やや、ネコミミが恐怖でぺたりと。これは可愛い」ナデナデ

妹「はふぅ」

妹友「……この兄妹は学習機能がないの?」プルプル


兄友「あの、君達。妹友くんの身体が怒りで震えるレベルに達してしまった。これ以上怒らせる前に、早めに準備をした方がいいんじゃないかな?」

兄妹「「はい」」

妹友「あと1秒遅かったら殴ってました」

兄「とても怖いね」

妹「ね」プルプル

兄「ああ小動物のように震える妹はなんて可愛いんだ」ナデナデ

妹「にゃあ」

妹友「うがぁー!」

兄友「忠告したのに」


妹「怖かった」ブルブル

兄「痛かった」

妹友「はぁー……はぁー……」

兄友「大丈夫かい、兄くん?」ナデナデ

兄「あ、ああ」

妹「ふしゃー」

兄「ああ妹が威嚇を。だが、なでられて満更でもないのもまた事実。俺は一体どうすれば」

妹友「大人しく席に着け」

兄「はい」

妹「妹友がもうお兄ちゃんに敬語使わなくなってる」

兄友「……はぁはぁ」ナデナデ

妹友「兄友さん、そろそろおにーさんをなでるのやめてください。あと、息が荒いです」

妹「最後の砦と思われた兄友も実は変態か。ちくしょう、ここにいる全員頭おかしいぜ」

兄「俺も?」

妹「泣きそうなお兄ちゃん可愛い」


妹友「みなさん席に着きましたね? じゃあ、いただきます」

兄「いただきます(性的に)」

妹「いただかれます(性的に)」

兄友「…………」(違和感を感じるが、何が、とまでは分からない)

妹友「普通に食え」(言外のことを見通した)

兄「怖いね」

妹「ね」

兄友「……むう」(自分だけ分からなくて悔しい)


妹「そう言えば、今日はお弁当作ってなかった」

兄「総入れ歯?」

妹「そんなこと言ってない。そう言えば、って言った」

兄友「ん? 兄くんはみなぎ信者なのかい?」

兄「ああ、うん、そう。あれだけの情報量でよく分かったな、兄友。すごいな」

兄友「ま、まあね。私も漫画は好きだからね。……えへへ///」

兄「やや、兄友の照れる姿は中々の破壊力を誇っているなあ」

妹「デレデレするな」ギュー

妹友「おにーさん、ちょっと黙ってた方がいいです」ギュー

兄「双方から頬をつねられ、俺は一体どうしたら」

兄友「そ、そう褒めるものではないよ。簡単なことだよ。別に以前君から聞いて買い漁ったのではないよ。……えへへへ///」

兄「兄友はまだ夢の中か。ええい可愛いなあ」

妹「お兄ちゃん」ギュギュー

妹友「おにーさん」ギュギュー

兄「あと数刻で俺の頬は取れる」


兄友「……はっ! むぅ、どうやらしばし夢でも見ていた……うん? どうした兄くん、頬を押さえて」

兄「さる事情により、もげかけたんだ」

妹「仕方ないよね」

妹友「そうね」

兄友「……? まあいい、食事をしよう」

妹「そうだ、お兄ちゃん。そういうわけで、お弁当がないの。どうしよう」

兄「霞を食べよう」

妹友「仙人でもない限り無理です!」

妹「さすがお兄ちゃん、ないすあいであ」

兄友「妹くんはどうして賛同しているんだろうか」

妹友「何も考えずてないんですよ、きっと」

兄「じゃあ早速食べよう。ぱくぱく」

妹「まくまく」

妹友「私たちは普通にお弁当を食べましょう、兄友さん」

兄友「あ、ああ。……えっと、放っておいていいのかな?」

妹友「しばらくしたら泣きついてきますよ、絶対」


兄「ぱくぱく。……お腹空いたね」

妹「ね」

妹友「兄友さん、その卵焼き美味しそうですね。私の魚フライと交換してくれないですか?」

兄友「構わないが……それだと少々交換レートに見合わないな。よし、それじゃこのミートボールを一つつけよう」

兄「しょうがないから妹のミミを噛んで我慢しよう」

妹「これは嬉しい提案。どうぞ」ピコピコ

妹友「おいそこの破廉恥兄妹、嬌声とか上げたりしたらタダじゃおかねえぞ」

兄「怖い人に釘を刺されたのでパンでも買いに行こうか」

妹「にゃあ」

兄友「あ、それは少し遅いかもしれないよ? もう昼休みになって10分は経過している、残ってるパンは人気のないものばかりだと思うよ?」

兄「これはやはり妹をミミを甘噛みして新たな性感帯を探す方向で行った方がいいのでは」

妹友「いいから素直に弁当分けてくれって言えや馬鹿兄妹」

兄「分けてください」

兄友「な、何も土下座までする必要はないと思うけど? あ、頭を上げてくれないか、兄くん? ……うぅ。妹くんも何か言ってやってくれないか?」

妹「土下座するお兄ちゃん可愛い」

妹友「知っていたけど、この兄妹はダメだ」


兄「どうにか昼食にありつけてよかった」

妹「でも、お兄ちゃんにミミを噛んでもらいたかった」

兄「家に帰ってから舐め倒すよ」

妹「その台詞だけでパンツが大変なことに」

妹友「ああコイツら殴りたい」

兄友「い、妹くんはとてもリベラルだね。う、うん、素直なのはいいことだよ///」

兄「なんでもない風を装って密かに照れてる兄友可愛い」

妹「死ね」ギュー

妹友「死ね」ギュー

兄「言われずとも、首を締められると死にます」

兄友「か、可愛いとか、そんな心にもないことを言うものではないよ。……う、うぅ///」

兄「ほら見ろ、可愛い」

妹「妹友、もっとだ。パワーを指に」ギュギュー

妹友「いいですとも」ギュギュー

兄「ぐげげぇ」


兄友「ま、まったく。兄くんもおかしなことを言うものだ。……兄くん? どうしてぐったりしているんだい?」

兄「ほんの少しの間、涅槃にいたんだ」

兄友「涅槃!? な、何があったと言うんだ!?」

妹友「気にしないでいいです」

兄友「え、いや、だが」

妹「大丈夫。いつものことだから」


兄友「……よく分からないが、兄くん、何かあったら相談してくれて構わないよ。これでも私は君の友人のつもりなのだからね?」

兄「唯一と言っていい常識人の心遣いに感謝する。もしもの時は頼むよ、兄友」ギュッ

妹友「おにーさんは兄友さんのトリップを見てなかっのかな」

妹「たぶん、なかったことにしたいんだろうね」

兄友「そ、そんな、結婚なんて……えへへぇ///」

妹友「手を握られて早速トリップしてるけど、あれでも見ないフリをできるの?」

妹「よく訓練されたお兄ちゃんだから、問題ないよ」

兄「…………」

妹友「トリップしてる隙に兄友さんのスカートを覗こうとするな」ズビシ

兄「目が、目がぁ」

妹「私のスカートの中を覗かないからだよ」

妹友「いや、それもどうかと思う」

兄友「内的宇宙の旅から戻ってきたら何やら兄くんがもんどりうって苦しんでいる。何があった」


兄「大変な目に遭った」

妹友「自業自得ですよ、おにーさん」

妹「そうだね。私のスカートを覗いていたらこんな事にはならなかったのに。……あ、箸がない」

兄友「私のを使えばいい。いつも余分に一膳持ってきているんだ」

妹「ありがとうございます、兄友さん」ペコリ

兄「そして俺も箸がない。誰か余分に持ってない?」

兄友「生憎だが、私はもうない」

妹友「私も持ってきてません」

妹「当然私も持ってないよ」

妹・兄友・妹友「「「…………」」」

妹・兄友・妹友「「「これは食べさせるしかない」」」

兄「いや、そのりくつはおかしい」


兄友「い、いや、そんなことはない。誰かが使い終わるのを待っていたら、昼休みが終わってしまう。な、なあ、そうだろう、妹友くん?」

妹友「え、ええ、そうですね。私もおにーさんみたいな人に食べさせるのは正直不本意なのですが、大事な友人のおにーさんを飢えさせるのもアレなので、しょうがなく食べさせてあげます。そ、そうだよね、妹ちゃん?」

妹「お兄ちゃんと恋人ごっこしてえ」

兄「妹に代わり謝罪する。こんな妹で申し訳ない」

兄友・妹友「「は、ははは……」」

妹「じゃあ、私が一番。二番が私。三番も私。ネバーエンド私」

兄友「待て。それは流石に酷すぎじゃないか? いくら妹くんとはいえ、看過できるものではないぞ」

妹友「そ、そうよ、妹ちゃん。おにーさんは共有財産ってこの間決めたじゃない」

兄「俺のあずかり知らない所で俺の処遇が決められていた」


兄友「……こうして議論を重ねていても悪戯に時間を消費するだけだ。ここは一つくじ引きで順番を決めないか?」

妹友「異論ありません。私のくじ運、見せつけてあげますよ」

妹「お兄ちゃんとぺろぺろしてえ」

兄「何やら協議しているようだが、そんなことをしている間に箸を貸してもらえばすむ話だと思うのだけど」

妹「わけの分からないことを話してる暇があるなら、萌え動作の練習してて」

兄「前の台詞も合わせ、妹が酷過ぎる」

兄友「せーの……っ! そ、そうか、私が一番か。そ、そうか。うん。一番か」

妹友「二番……まあ、いいわ」

妹「三番。……三番」

兄「よく分からないが、落ち込むな妹よ」ナデナデ

妹「んー。やはり、ネコミミ効果は抜群だ」

兄友「…………」ギリッ

妹友「兄友さん、そんな歯を噛み締めて悔しがらないでください。見てるこっちが怖いです」


兄友「と、とにかく、私が一番なんだ。妹くん、しばしの間、その席はもらうよ」

妹「……少しの間だけですからね」

兄友「……しょっと。じゃ、じゃあ、兄くん。食べさせるが、その、いいかい?」

兄「あまりよくはないけど、妹たちからのプレッシャーが尋常ではないので断れない」

兄友「え、ええと。兄くんは何が好きだい? 卵焼きはなんかはどうだい? ……あ、それはもう妹友くんに渡してしまった」

兄「卵焼き」

兄友「……知ってはいたが、兄くんはいじわるだね」

妹友「見て妹ちゃん、いじわると言っておきながら嬉しそうだよ」

妹「お兄ちゃんの常套手段だよ。普段はああして意地悪とか冗談ばっか言って、ここぞという時は優しく決めるんだもん」

妹友「あー……」(思い当たることがちらほらある様子)

妹「どうして私だけにそのスキルを用いないのか。あの野郎、いつか泣かす」

兄「そこの二人、せめて声を潜める努力をお願いします」


兄友「ああ、じゃあこれはどうだい? 一口大のハンバーグだよ」

兄「ああ、うん。好きだよ」

兄友「そ、そうか! わ、私も……す、好きだ。……もっ、もちろんハンバーグの話だぞ?///」

妹友「見て、ハンバーグが好きって言うだけであれだけの空気出してるよ」

妹「ちくしょう、私の番はまだか」

兄「外野がうるさいのでとっとと食べてしまおう」

兄友「そ、そうだな。じゃ、じゃあ、その。……あ、あーん///」

兄「あー」

兄友「あ、あーん。……ハァハァ、ハァハァ」

兄「目が血走って鼻息も荒い。とにかく怖い」

妹友「兄友さんは強敵だけど、変態だからまだ付け入る隙はあるわね。問題はこっちよね」

妹「ちくしょう、お兄ちゃんがすぐ側にいるのに触れられないから禁断症状が出てきやがった。手がふるえやがる」

妹友「……色んな意味で問題よね」


兄「もぐもぐもぐ」

兄友「……はっ! うん? あれ、兄くんが咀嚼している……ま、まさか、自分で食べてしまったのか!?」

兄「いや、なんというか、俺に箸を向けたままあらぬことを呟いていたので、勝手ながら食べさせてもらったまでだ」

兄友「な、なんということだ……。貴重な一手をこのような悪手で失うとは……!」

兄「何かの競技なの? 餌付けゲーム?」

妹友「さぁさぁ、次は私の番ですよ! 兄友さんは妹ちゃんのところに行っていてくださいね」

兄友「くぅ……なんと悔いが残る結果だ」

妹「次が私の番次が私の番次が私の番」ビタンビタンビタン

兄「妹のストレスがマジヤバイ。しっぽが荒ぶってる」

妹友「じゃあ、早めに食べてくださいね。はい、あーん」

兄「……やるの?」

妹友「当然ですよ。どうして私だけ飛ばされなくちゃいけないんですか」

兄「いや、妹友は鬼軍曹キャラだからこういうのあまり興味がなさそうな気がして」

妹友「誰のせいで鬼軍曹キャラになったと思ってんだこの野郎」

妹「妹友に脅されて涙目のお兄ちゃんマジ可愛い」


妹友「とっ、とにかく! 食べたら終わりなんですから食べちゃってください! はい、あーん!」

兄「あ、あーん」ブルブル

妹友「震えないでください」

兄「さっきの余波がまだ取れてないんだ」

妹友「はぁ……。もう怒ってないから大丈夫ですよ?」

兄「う」

兄友「見たか妹くん、妹友くんのあの柔和な笑みを。飴と鞭をあれほど巧みに使い分けるとは……いや、勉強になる」

妹「ええい、私の番はまだか。あたふたするお兄ちゃんというご馳走を目の前に置かれて、これ以上耐えられそうもねぇ」

妹友「ほら、おにーさん。あーん?」

兄「あの、いや、妹友よ。妹らの声は気にならないのか?」

妹友「……聞こえないフリしてるんです///」

兄「いかん、これほど自分が雑食だと思わなかった」

妹友「はい?」

兄「何やらお前が可愛く見えるって話だ」


妹友「なっ……何言ってるんですか! そ、そういうことは妹ちゃんか兄友さんに言ってあげてください! ……も、もぉ///」

兄「もがもがもが」

兄友「高速でおかずを兄くんの口にいくつも詰めているが……あれで呼吸はできるのだろうか」

妹「あの野郎、人の親友にまで手を出すか。ちくしょう、姉妹丼ならぬ親友丼をご所望か。いいぜ、そっちがそのつもりならやってやる」

兄「もがもが……ごくん。やってやるな」

妹「にゃあ」

妹友「ほっ、ほら、私の番は終わりました。ほら妹ちゃん、貴方の番よ」

妹「待ち焦がれた私の番。覚悟せよ、お兄ちゃん」

兄「嫌な予感がてんこもりだ」


妹「じゃあお兄ちゃん、とりあえず抱っこ」

兄「はい」ムギュー

兄友「抱っこ! そういうのもあるのか」

妹友「ないです! 妹ちゃん、本筋から離れないの!」

妹「叱られたね」

兄「そうだね」ナデナデ

妹「んー」スリスリ

兄友「くっ……やはり妹くんには一日の長があるか。一瞬にして持って行かれた」

妹友「ルールを守らないなら弁当は返してもらうぞ、親友」

妹「怖い子が意地悪するので普通に食べさせるね、お兄ちゃん」

兄「分かった」


妹「ただ、膝には乗せてもらう。そのくらいは都合してもらっても構わんだろう」ノシッ

兄「こっちが許可を出す前にもう乗ってるね」

妹「猫は膝に乗りたがるので」

兄「じゃあしょうがないね」ナデナデ

妹「しょうがない」スリスリ

兄友「……いいなあ」

妹友「ああもう動かなくなるまで殴りてえ」


兄「妹友が怖いので普通に進めよう」

妹「分かった。んじゃお兄ちゃん、んー」

兄「……どうして口でおかずを挟んでいる」

妹「……。食べさせる際、事故と称してキスしようと画策しているから?」

兄「なるほど。じゃあいただきます」

妹「んー」

妹友「待てそこの実の兄妹! ちょっとは疑問を持て!」

兄「? ……! そういえば妹よ、ネコミミと頭の境目ってどうなってるの?」

妹友「いやそこの疑問はどうでもいいだろ」

妹「……お兄ちゃんのえっち///」

兄「よし、この照れ顔だけで一週間は戦える」

妹「たまには媚びておかないとね」

兄友「ネコミミか……」

妹友「なんだこの空間。収拾がつかねえ」


妹「ひとまず満足したので、箸で食べさせるね」

兄「了解。あー」

妹「はい、どうぞ。おいしい?」

兄「もぐもぐ。おいしい」

妹「私が作ったものじゃないのに。嫉妬で気が狂いそうだ」

兄「しまった。どうにか誤魔化さねば。しかし、どうすれば」

妹「帰ったら監禁せねば。然る後に洗脳も必要か」

兄「……ええい、ままよ!」ナデナデ

妹「にゃあにゃあ」スリスリ

兄「誤魔化せた」

兄友「おお……流石は兄くん、あれほどの危機を脱するとは。驚嘆に値する」

妹友「何なの? ネタ? 事前に練習してたの?」


兄「妹よ、人が作ったものもおいしいが、お前が作ったものもおいしい。それでいいじゃないか」フニフニ

妹「お兄ちゃんの心は瀬戸内海より広いでー。あと、お兄ちゃん。ミミ触るのと頭なでるのと、どっちが好き?」

兄「うーん、どっちかなあ」ナデナデ

妹友「はい、食べさせたんだからもう終わり」ガシッ

妹「ああお兄ちゃん、お兄ちゃーん」

兄「妹、妹ぉぉぉぉぉ」

兄友「あれ、デジャヴ?」


兄「いや騒がしい昼食だった。だが、たまにはこんなのも悪くないかもしれないな」

兄友「何を言っているんだい? 次は私の番だよ」

兄「……え? いや、もう兄友には食べさせてもらったよ?」

妹友「一巡で食べきれるわけないじゃないですか。当然、お弁当がなくなるまで続きますよ」

兄「え」

妹「くぅ……次の私の番まで持つか?」ブンブンブン

兄「えーと。とりあえず」ナデナデ

妹「にゃふー」

兄友「な、何を勝手なことをしている、兄くん! 私の番だぞ!?」

妹友「まあ、その次は私の番なんですが。……ま、まあ、順番ですから仕方なく、ですけど」

妹「にゃふー」

兄「地獄のメリーゴーラウンドはまだ始まったばかりだ……!」


兄「ごちそうさまでした」

妹友「なんだかんだで、ほとんどおにーさんが食べちゃいましたね」

兄友「ふむ。君達、お腹は大丈夫かい? カロリーメイトでよければあるから、もしよかったらどうだい?」

妹「大丈夫です。このくらいなら晩まで持ちそうですし、家に帰れば何かありますから」

兄「俺の胃に反芻機能さえあれば、皆を苦しませずに済んだものを。すまぬ…すまぬ…」

妹友「一人で嘔吐してろ」

兄「はい、すいません」


兄「では妹、そして妹友よ。また後で」

妹「ああもうお兄ちゃんとの逢瀬の時間が終わってしまった。あとはただ耐えるだけの時間。これほど辛いならもう恋なんてしない」

兄「それにしてもネコミミは可愛いなあ」ナデナデ

妹「こんな甘くて素敵でほわほわなものをどうして捨てられようか」スリスリ

妹友「ほら、行くわよ妹ちゃん」ガシッ

妹「ああお兄ちゃん、お兄ちゃーん」ズルズル

兄友「兄くんも、行くぞ」ガシッ

兄「ああ妹、妹ぉぉぉぉぉ」ズルズル

兄友(兄くんと手を繋いでいる。……あ、兄くんと手を繋いでいる!///)

兄(引っ張られてらくちんだ。一生誰かに引っ張られてえ)


兄「教室に戻ってきてぼうっと授業を受けていたら放課後になっていた。スタンド攻撃に違いない」

兄友「何を言っているんだい、兄くん? 帰らないのか?」

兄「ああ帰る帰る。兄友は……今日も生徒会か?」

兄友「ああ。これでも私は副生徒会長でね、何かと忙しいんだ」

兄「そか。よければ手伝おうか?」

兄友「ふむ。折角の申し出だが、断らせてもらうよ。生憎と今は主だったイベントもなく、忙しいと言っても役員だけで十分まかなえる量の仕事しかないんだ」

兄「そっか。手が足らなくなったらいつでも言ってくれよ、基本的に暇なもので」

兄友「……その気持ちだけで十分だよ。ありがとうね、兄くん」ニコッ

兄「ところで、兄くんとか言われると、シスプリの千影を思い出すな」

兄友「私のとっておきの笑顔を流すのか……」

兄「照れ隠しだ。許せ」

兄友「……ふふっ。照れるだけの威力があったのだ、十二分に報われたよ」

兄「いやはや。じゃあな兄友、また明日」

兄友「ああ。また明日」


妹「そしてすかさず妹の登場」

兄「ひぎぃっ」

妹友「……ごめんなさいおにーさん、妹ちゃんの暴走を止められませんでした」

兄「びっくりした。ドアを開けたら妹が突然姿を現したのでびっくりした」

妹「そんなことより私の頭をなでなさい」

兄「あ、はい」ナデナデ

妹「はふぅ。相も変わらず痺れがくるほどの衝撃。これだからお兄ちゃんになでられるのはやめらんねぇ」

妹友「……何か薬物を?」

兄「完全なるナチュラルです」

妹「お兄ちゃん、手が止まっている。もっとなでよ」

兄「ああはいはい」ナデナデ

妹「はふぅ。はふぅ」

妹友「……本当に何も?」

兄「何も」ナデナデ


妹「はぁ。ネコミミが生えてからお兄ちゃんのなでてくれる頻度が増えた。大変に喜ばしい」

兄友「(やはりネコミミ、か……)」

兄「ん? 何か言ったか、兄友?」

兄友「いや、何も」

兄「……? まあいいか、じゃあそろそろ帰るよ。またな、兄友」

兄友「ああ。妹くんや妹友くんも、またね」

妹友「はい。さようなら、兄友さん」

妹「ばいばい」フリフリ

兄「ああしっぽでばいばい可愛い」ナデナデ

妹「大成功。フヒヒ」

妹友「お前ら早く行くぞ」ガシッ

妹「あああ」ズルズル

兄「妹だけでなく、俺まで引きずるとはなんたる膂力」ズルズル


妹友「おにーさん、いい加減一人で歩いてください」

兄「引きずられると自分で動かなくていいから楽なんだ」ズルズル

妹「引っ張られるお兄ちゃん可愛い」

妹友「年下の女の子に引きずられて恥ずかしくないんですか?」

兄「普通の年下の女の子に引きずられるのは恥ずかしいが、今回の場合は鬼軍曹が引っ張っているので特には」

妹友「あ゛?」

兄「すいません一人で歩きますのでどうか妹の命だけは」ブルブル

妹「お兄ちゃーん」ダキッ

兄「大丈夫だ、何があっても妹だけは守る」

妹「お兄ちゃん……」

妹友「茶番は家に帰ってから人目につかないようにやれ」

兄「はい、すいません」

妹「もうちょっと続けてたらキスぐらいまでならいけたかもしれないのに。ちくしょう、悔やんでも悔みきれねえぜ」


妹友「それじゃおにーさん、私はこれで。妹ちゃん、何かあったら私か警察に通報してね」

兄「俺をなんだと思っているんだ」

妹「了解、孕んだら連絡する」

兄「しまった、妹の方が一枚上手だ」

妹友「三度目だが、お前ら実の兄妹だからな?」

兄「禁忌だね」

妹「燃えるね」

妹友「誰か止めてくれ」


兄「家に着いたね」

妹「そだね」ピコピコ

兄「何度見てもネコミミはいいなあ」ナデナデ

妹「よい薬を飲んだものだ。世界中の人にネコミミが生えたら争いなんて消えるのに」

兄「いや、野郎にそんなものが生えてもしょうがないだろ」ナデナデ

妹「お兄ちゃんなら似合いそう。食物に猫薬を仕込まれ、知らず摂取しネコミミが生え、私にミミを引き千切られまいと必死で逃げるお兄ちゃん萌え」

兄「妹がSに過ぎる」

妹「それじゃご飯の用意するね」

兄「……仕込まないでくださいね?」

妹「そうしたいのは山々なんだけど、もう薬が残ってないので。今考えると少しでも残しておけばよかった。そうすれば泣き叫ぶお兄ちゃんを見れたのに」

兄「俺のこと嫌い?」

妹「性的な目で見てる程度には好き」

兄「よかった」


──兄友家──

兄友「……ふぅ。いい湯だった」

兄友「それにしても、ネコミミ、か……」

兄友「……いやいや、何を言っているのだ、私は。猫薬などという怪しげな代物が、どこにあるというというのだ。そもそも、あんな可愛らしいものが私のような無骨な者に似合うはずもない」

兄友「……妹くん、兄くんになでられていたな。何度も何度も……」

兄友「……もし、もしだ。もし私にもネコミミが生えたら」

兄友「…………」

兄友「…………」

兄友「…………///」

兄友「っ!? いや、だから何を想像しているのだ私はっ!? ああもう、寝てしまおう!」


???『…………』

兄友『……? ……?』

???『…………』


兄友「……んっ、んぅ。……えっ?」
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No title
ちくしょう・・・!なんて爆弾を投下しやがる!萌死なんぞ久々だ!
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ちくしょう・・・!なんて爆弾を投下しやがる!萌死なんぞ久々だ!
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