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2024年05月17日
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【ツンデレから幼女分を補給したら】

2013年12月15日
「幼女成分が足りなくなったので補給しに来ました」ナデナデ
「それでなんで先生のところへ来るですかっ!? 先生は幼女じゃないです、幼女じゃないです! 立派な大人です! せくしーです! うっふーん!」
 廊下をトテトテ歩いてた小学生(大谷先生)を捕獲してなでたら、怒られた。……怒られた、か?
「それはともかく、二回言うな。カナ坊か」
「か、金棒?」
「そう、金棒」
 イントネーションから何か勘違いしていることを感じ取ったが、そのまま推し進める。
「せ、先生は幼女だけじゃなく、金棒と思われているのですか? もはや無機物なのですか? ……あ、ロボットって思われてるのかな。が、がしゃーんがしゃーん?」
 その結果、先生がオーパーツ化してしまった。奇怪なロボットダンスもどきを見せつけられる身になれ。
「かくし芸はともかく、幼女分が足りないのでもう少しなでさせろ」ナデナデ
「かくし芸のつもりなんてないですっ! というかですね、別府くんっ! 先生をなでても幼女分は補充されませんよ! そもそも幼女分ってなんですか!?」
「こういうぷにぷにした幼女を触ると補給される成分」ナデナデ
「また幼女と!? 先生はものすっごく大人だと何度言ったら! ええ、先生は大人なのでぷにぷにとかいう単語なんてちっとも似合わないのです! 肌だってガサガサしてるのです、お肌の曲がり角なのですっ!」
「ほう、では触って確かめてみよう」
「ふぇ?」
 先生のほっぺを両手で包み込み、ゆっくりとさすったり押し潰したりする。……全身全霊でぷっにぷにだ。潤いも尋常ではない。ぷりっぷりでつやつやだ。
「んぅ、んー、はびゅ。べ、別府くん、先生のほっぺをふにふにしちゃダメです、ダメなのですよ?」
「……先生、太鼓判を押そう。先生は幼女だ!」
「がーん!? 先生は大人です、先生は大人です!」
「だから、二回言うなっての。カナ坊か」
「また金棒ですかっ!? 幼女なのかロボットなのかはっきりしてほしいですっ!」
「その場合どちらでも先生の望む大人には成り得ないのだが」
「う? ……あーっ、本当ですっ! どしてそういう意地悪をするですかっ!?」
「今回は俺のせいじゃないだろ……」
 先生の頭をなでたりほっぺをふにふにできたので、幼女分の補給が完了した。大満足。
「よし。もう行っていいぞ」
「なんか別府くんが格上みたいなのが非常に不愉快なので行きませんっ! 先生はここにずーっといます!」
「どうしてもと言うなら止めはしないが、職務を放棄するのは大人としてどうかと思うぞ」
「い、意気込みの話ですもん。実際は授業しますもん。先生は大人ですからっ!」ドヤァ
「うるせぇ」グリグリ
「あううーっ!? つ、つむじを指でぐりぐりしてますねっ!? 見えないから分からないと思うでしょうが、先生は大人なので完全に理解していますっ!」
「はいはい」ポムポム
「うぐぐ……今度は頭をぽんぽんと、明らかに子供扱いです……! 次の授業はラッキーにも別府くんの教室です、ものすごく当ててやります!」
「先生が俺をえこひいきする」
「逆です、いじめてるんですっ!」
「なんだ。よく先生の授業では当てられるし、俺を率先して教えてくれてるんだと思ってた」
「うぐぐ……なんというポジティブシンキングですか。ちょっとはくじけてくだたいっ!」
「お、くだたいが出た。やーい幼女」ナデナデ
「むがーっ!」キーンコーンカーンコーン
「お、チャイム。よし先生、教室戻ろうか」ナデナデ
「最後までなでなでするとは、最早あっぱれです! 通知表を楽しみにしてくださいっ!」
「『今学期はいっぱいなでてくれて嬉しかったです。次学期もいっぱいなでなでしてくただいっ』と書かれているのだな?」
「そんなの書きませんもん! 別府くんのばか!」ポカポカ
「わはは。先生は俺相手でも面倒臭がらずに全力で相手してくれるので、非常に楽しいですね」ナデナデ
「こっちは必死なのに!? 別府くんのばか、ばーか!」ポカポカ
 涙目でポカスカしてくる担任教師を連れて教室に戻る俺だった。

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【たぬきちなみん】

2013年12月06日
「……おっすおらたぬき。……いっちょやってみっか。……ぽんぽこ」
 極めて久しぶりに、俺の部屋に変なのがいる。
「なんだか久しぶりですね」ナデナデ
「……たぬきをなでるとは何事か」
「ダメですか」ナデナデ
「……ダメとは言ってない。……これだからタカシはダメなんだ」
「ややこしい。つまり……どういうことだってばよ?」ナデナデ
「……たぬきをなでることは法律で禁じられているが、ちなみをなでることは禁じられていないので、特別に許可する、ということ」
「俺の知ってる法律と違う」
「……んふ」
 ちなみはよっこらしょっと言いながら俺のベッドにあぐらをかいた。
「若いんだからよっこらSHOTを撃つな」
「……たぬきだから仕方ない」
「便利な免罪符を手に入れたようだな」
「……ぽんぽこ」
 ぽんぽこじゃねえ、と思いながらちなみの頭をなでる。可愛いので仕方がない。
「……ん。……さて、たぬきです」
「はぁ」
「……昔話によると、たぬきは大抵たぬき汁にされている」
「あー……まあ、そうかも。結構な割合で悪者ポジションにいますよね」
「……と、いうことは。……たぬきちなみんも汁物にされておいしくいただかれるの?」
「知らん。お前はおいしくいただかれたいのか」
「……やれやれ。隙あらば性的な話へ持って行こうとする。これだから童貞は困る」
「テメェが先に話を振ったんだろうがっ!」
「……たぬきなのでよくわからない」
 シレーっと、コイツは……。
「言っとくが、別にたぬきは万能じゃないぞ」
「……ぽこー」
「あと、ぽんぽこは鳴き声じゃない」
「……平成狸合戦に騙された」ションボリ
「まあ、いいや。結局どうしたいんだ」
「……まあまあ。結論を急ぐな、若人よ」
「うるせえ同い年」
「……ここはひとつ、たぬきの腹鼓を聞いてはどうかぽんぽこ」
「だからぽんぽこは鳴き声じゃないと……あと、腹鼓と言うが、今日の着ぐるみは全身を覆ったものではなく、耳としっぽを付けただけの簡易包装のようだが、どうやって鼓を打つんだ?」
「……こう」
 ちなみの奴が普通に服をまくり上げた。柔らかそうな可愛らしい腹が映る。
「……あの。もう少し恥じらいというか、そういうものはないんですかねェ……?」
「……?」
 不思議そうな顔で小首を傾げられた。ないらしい。
「……じゃあ、ぽこー」
 自称たぬきの鳴き声を奏でながら、ちなみは自身の腹を叩いた。ぺち。
「……むぅ。ぽんぽこ鳴らない」
 二度、三度と打つが、ぺちぺちと鳴るばかり。そりゃそうだ。
「……鳴んない。……タカシ、やって?」
「俺がやっても鳴らないと思うが……」
 まあ、やれと言われたからやるが。とはいえ、女性を打つなんてできないので、軽く触る程度に抑える。ふに。
「予想を遥かに通り越して柔らかいですね!」フニフニ
「……うう。叩けと言ったのに、タカシのやろう、私のお腹をすべすべふにふにと触りやがる。確実に欲情してる。このまま一気に犯されるに違いない。エロ同人みたいに」
「しねェよ! あと、エロ同人とか言うな」
「……たぬき相手だから、これも獣姦になるの?」
「コスプレは含まれません」
「……よかった。……はっ、しまった。……これで初体験が獣姦でないと安心したタカシは、鼻息荒くして改めて私に襲いかかってしまう」
「お前は襲われたいのか」
「……んんん。ぜんぜん」
 やはり馬鹿にしてるだけかコンチクショウ。
「……じゃあ、ぽんぽこ鳴るまで頑張るので、手伝うように」
「無茶を言いやがる」
 ちなみは俺をベッドに座らせると、その上に乗った。
「この態勢は?」
「……私とタカシが同時に腹鼓を打つことにより、共鳴してぽんぽこ鳴る可能性に掛けてみた。……この態勢は、同時打ちに適した態勢なので嫌々行っている。別にタカシの膝に乗りたいわけではないので、誤解すると奇病で謎液体をまき散らして死ぬので、誤解しないように」
「怖っ!? 何、謎の病原体を打たれるの!?」
「……ぐだぐだ言ってないで、手伝う」
 とても怖いのでちなみの腹を打つ……のは嫌なので、すべすべする。なめらかすべらかで、非常に気持ちいい。
「うう……やはり欲情してるに違いない。おしりになんか固いの当たってるし」
「や、まだまだこんなもんじゃないですよ!?」
「ま、まだおっきくなるの!?」
 混乱するのはよくないなあ、と思いながらはわはわしてるちなみの腹をすべすべしました。

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【雪ねえ 日常風景】

2013年11月29日
 近頃の冬めき具合と来たら、朝起こしに来た雪ねえがそのまま俺の布団の中に潜り込んでくる程度には寒いらしい。
「だから、彰人が起きた時にお姉ちゃんが布団の中にいても、全然変なことじゃないんだぞ?」
「いいえ」
「彰人が騙されない……」
 今日も朝から雪ねえが人の布団に潜り込んでくるので、それはダメだと説教をしています。
「むぅ。しかしだな、彰人。毎日お前はお姉ちゃんに起こされているのだし、お姉ちゃんに少しくらいサービスしてくれてもいいと思うのだが!」
「もうちょっと別の何かでお願いします」
「むぅ。仕方ない、お風呂で身体の流しっこをすることで、今日のところは我慢してやろう。あーあ、残念残念」チラッチラッ
「ダメだ」
「ええっ!?」
「この姉は学年首位常連のくせに頭が悪いなあ」
「真顔!? ううっ……ひどいぞ彰人!」
「へーへー」
 適当に姉をあしらいつつ、パジャマを着替える。
「…………」ジーッ
 だが、ものすごい顔でこちらを凝視している姉が非常に気がかりなので、ご退室願う。
「あ、大丈夫だ。お姉ちゃんはお姉ちゃんだから、気にしなくていい。それとも手伝うか? 手伝ってもいいか? 脱がしっこするか?」
「NONONO」
「オラオラですかー……」
 肩を落として雪ねえが部屋を出て行った。手早く着替えてリビングへ向かう。
「むー」
 すると、ちょっとご立腹な感じの雪ねえがチョコンと椅子に腰掛けていた。その前のテーブルには、朝の用意がしてある。俺が着替えている間に温め直してくれたのだろう。
「毎日ありがとうな、雪ねえ」ナデナデ
「あっ、こ、こら、お姉ちゃんをなでるとはなにごとかー」ニコニコニコ
 超満面の笑みで不満を口にする雪ねえは今日も可愛い。
「分かった、二度となでない」
「その場合、今日からご飯を作ってあげない」
「すいませんでした」
 胃の管理を任せている以上、勝てるわけもない。最初から勝負は決まっていた。壊れたオモチャのようにペコペコ謝り、雪ねえの隣の席に座り飯を食う。
「どうだ? おいしいか?」
「おいしい」モグモグ
「ふふ、そうか。お代わりもあるから沢山食べるんだぞ? あ、こぼれてるぞ。まったく、仕方がないなあ」フキフキ
 幸せそうに微笑みながら、ハンカチで俺の口元を拭う雪ねえ。完全に幼児扱いだ。
「あの、雪ねえ。言ってくれれば自分で拭うから」
「お姉ちゃんの仕事を取るな」
「俺の口を拭うことは、雪ねえの仕事に含まれません」
「横暴だ! そんなこと言う彰人なんて、直接舐めて汚れを取ってやる!」
「雪ねえが妖怪化した」
「してない!」
 いつものように楽しく食事を終え、家を出る。
「お弁当はいつものように鞄に入れておいたからな?」
 てろてろと学校へ向かっていると、隣から雪ねえが声をかけてきた。
「ん、サンキュ。雪ねえの弁当は毎日楽しみだよ」
「お、お姉ちゃんをおだててどうするつもりだ! この、このー!」
 普通に感謝しただけなのに、ものすごくニコニコしながら抱っこされたうえ、全力で頭をなでられた。
「幼児扱いからペット扱いに位が下がった気がする」
「ふふーうふふー彰人は人に感謝ができるいい子だなー」ナデナデ
「普通です」
「ふふ……ふう。なあ彰人。これは提案なんだが、今日はもう学校サボってお姉ちゃんと一緒に一日中イチャイチャしないか?」キリッ
 このように、時折ではあるが雪ねえは頭がおかしくなるので、俺がチョップして直してあげないといけない。というわけで、てい。
「あうっ。うー、ひどいぞ彰人ぉ!」
「いや、雪ねえの頭の中身に比べたら、俺なんて全然」テレテレ
「本当にひどいぞ彰人……」
 恨めしげな目で睨まれているので、頭をなでてご機嫌を回復させる。
「ふん。こんなものでお姉ちゃんの機嫌が直るとでも思ったか。今日は一緒にお弁当食べないと許さないからな!」
「え」
 雪ねえと一緒に昼飯。それはつまり雪ねえの教室(当然周りは上級生ばかり)で、雪ねえ謹製のお弁当を雪ねえに食べさせられる……。
「いかん、震えてきた」
「風邪!? いかん、このままだと彰人が死ぬ!」
「死にません」
「いいや、死ぬ!」
 姉が酷いことを断言した。
「そう言われると、死ぬかも」
 流されやすいことで評判のある俺なので、急に死ぬ気が増してきた。このままでは死ぬ。
「ほら! やっぱり今日は学校を休んでお姉ちゃんとイチャイチャイチャイチャしよう! 決定だ! やったあ!」
「看病は?」
「さて、何からしようかなあ……とりあえず一緒に布団で寝るだろ、抱っこだろ、ちゅーだろ、それからそれから……」
 雪ねえが夢の世界へ旅立った姿を見ている内に、俺の死ぬ気が失せてきた。
「じゃあそろそろ学校へ行きましょうか」
「え、あれ? え、休んでイチャイチャするんじゃないの……?」
「学校をサボるなんていけないことだぞ?」
「う、そ、そうだけど、わかってるけど……お姉ちゃん、たまには弟とイチャイチャしたいんだもん!」
「だもんじゃねえ」
「うう……なんて冷たい弟だ。お姉ちゃんは悲しいぞ」
「冬だから冷たいのは仕方がないよ」ピトッ
「わひゃっ!? そういうことじゃ……本当に冷たいじゃないか」
 雪ねえの頬に手を当てたら、その手を掴まれ、ジローっと睨まれた。
「え、あ、はぁ。冬ですから」
「暖かくしないと風邪をひくといつもいつも口を酸っぱくして言っているだろっ! まったく、これだから彰人は……」
 ブツクサ言いながら、雪ねえは俺の手を両手で包み込み、優しくスリスリとこすった。
「どうだ? 少しはマシか?」
「あ、うん。そだね」
「……むぅ。だが、手はあまり暖かくなってないぞ。そもそも私自身の手も暖かくないし……そうだ!」
 次の瞬間、雪ねえは普通に俺の手を自分の豊満な胸に押し当てた。
「…………。え?」
「ほら、こうしたら温かいだろう。後で反対の手もしてやるからな?」
 そう言いながらも、俺の手を自分の胸に埋めることは忘れない。気がつけば俺の手は雪ねえの谷間に挟まれている!
「…………。ああ。夢か。そりゃそうだ。流石にないよな」
「何を言っているのだ?」
「夢ならえっちなことをしてやれ」ムニムニ
「あっ! こ、こら、手を動かすな! うう……お姉ちゃんのおっぱいで遊ぶな、ばかもの」
「…………」
 どうにも手触りが生々しい。どうしても夢とは思えない。手に伝わる温かみも、柔らかさも、指が胸に埋まる感覚も、その全てが現実と告げている。
「ははぁ。つまり俺のしていることは、ただのどえらいセクハラだな?」
「つ、次は反対の手だが……もうお姉ちゃんのおっぱいを揉んだらダメだぞ? そーゆーのは家でしないとダメだからな?」
 雪ねえは顔を赤くしながら俺の右手を自分の胸からどけると、今度は俺の左手を取り、先ほどと同じように自分の胸に挟んだ。
「……いやいや、いやいやいや! いい、しなくていい! いいって、雪ねえ!」ワタワタ
「あうっ! も、揉むなと言ったのにぃ!」
 雪ねえの狼狽した顔に、思わず視線を下にずらすと、成る程俺の手が雪ねえの胸の形を制服の上からでもはっきり分かるほど大きく歪めていることが分かる。
「ああ、動揺した時に思わず手が動いておっぱいを揉む動作になったんだろうね。ははは」
「うう~。お姉ちゃんは温めているだけなのに……どうして彰人はそんなにえっちなんだ?」
 突然乳に手を挟まれたら誰だって似たような行動をとると思います。
「そ、そーゆーのは、外でしたらダメなんだぞ? 分かったか、彰人?」
 外だけでなく家でもしてはダメだと思います。
「わ、分かったなら大人しくしているんだぞ」
 そしてどうして再び温め直そうとしますかこの姉は!!!
「だー! もういいっての!」
 これ以上は理性が持たない。柔らか地獄から勢い良く手を引き抜く。さよなら天国。
「ひゃっ! もう、いきなり手を抜いたら危ないじゃないか!」
「ええい! どれだけ危ないことをしているのか自覚ないのか、この無防備美人め!」
「お、怒りながら褒めるな、ばかもの!」
 雪ねえは照れながら怒った。かわいい。
「いくら寒そうだからって、誰かれ構わず胸に挟んで温めるってのは年頃の乙女として正直どうかと思いますよ! 痴女としては大正解ですが!」
「痴女!? ば、馬鹿にするな! ここは彰人専用に決まっているだろう!」
 雪ねえが胸を張って言った。その手は自分のボインとした感じのところを指している。
「……と、というか、お姉ちゃんの身体は全部彰人専用だし」
 何か下向いてゴニョゴニョ言ってる。そして全部聞こえてる。
「じゃあ雪ねえはシャア専用ザクとズゴックのどっちが好きなんだよ!?」
「何が!?」
「というか、なんだ。それなら無防備美人と言ったのは誤りだ。悪かった。雪ねえはただの美人です。拍手」パチパチ
「褒め殺しか!?」
「ああ、将来の夢ははめ殺しだ」
「……窓?」
 適当なことばかり言っていたら将来の夢が窓になってしまった。
「窓なのに展望が見えないとはこれいかに」
「今日も彰人は意味不明だな」
「んなことより雪ねえ、そろそろ急いだほうがよろしいかと」
「ん? 家を出た時はまだまだ余裕があったと……」
 ケータイを取り出した雪ねえの顔色が変わった。
「雪ねえが第二形態に」
「一時間目までもう10分しかないぞ!? 30分以上余裕があったのに!」
「慌てるな、雪ねえ! 逆に考えるんだ、『遅刻してもいいや』と考えるんだ」
「お姉ちゃんも好きだけど、お前は本当にジョジョが好きだな……」
 雪ねえはちょっとウンザリした顔をした。
「というわけで、気にせず行こう。大丈夫、運がよけりゃギリギリで着くさ」
「……そう、だな。うん、お姉ちゃんの皆勤賞なんかより彰人と一緒にゆっくり歩くほうが大事だ! よし、のんびり行こうか、彰人」
「走るぞ雪ねえ!」
「のんびりはどこへ行った!?」
 なんか半泣きの姉の手をとって必死に走りました。

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【ハーロウィーン】

2013年10月30日
「そういえば、もうすぐハロウィンですね。ハーロウィーン(カイザード・アルザード・キ・スク・ハンセ・グロス・シルク 灰燼と化せ冥界の賢者七つの鍵を持て開け地獄の門)!」
「にぃさまが七鍵守護神を!?」
 何やら妹の瑠璃葉がびっくりしている。今日も可愛いのでにぃさまは嬉しいです。
「というわけでハロウィンだが、瑠璃葉はコスプレとかしないのか? 魔女っ子スタイルになって兄を誘惑してほしいのだが」
「そ、そんなこと言われても困ります……」
「大丈夫、ちゃんと既に用意してある。あとは瑠璃葉が着るだけだ」
「衣装がないから困っているのではないです、にぃさま! ……あ、あの、ええと。……どしても着てほしいのですか?」
「どうしてもと問われたらならば、それほどでもない、と答えよう。ただ、三回までなら土下座してお願いする覚悟はできている!」ドゲザ
「早速の一回目!? 分かりました分かりました、着ますからやめてくださいっ!」
「やったね」ランラン
「うぅ……どうしてこんなことに……」

 と、いうわけで。
「瑠璃葉の魔女っ子姿、お披露目ですっ!」ジャーン
「あぅぅ……見ないでください、あんまり見ないでください、にぃさま……」モジモジ
「いいや、見るね! にぃさまは目を皿にして見るね!」ジィーッ
「あぅぅぅぅ……///」
「胸部と下腹部しか覆っていないという露出の激しさが目を惹きつけるが、やはり最大の魅力はヘソ! 腹出しが最大のポイントではないだろうか!」ジーッ
「に、にぃさま、そんなに瑠璃葉のお腹を見てはダメです、おへそばっかり見ちゃ嫌ですっ」
「うーん」フニフニ
「お、お腹をふにふにするのもダメです、嫌です、えっちですにぃさま!」
「あ、はい。にぃさまはえっちです」フニフニ
「ひーんっ!」
「すごいなあ……二次元と三次元の狭間の傑物が今ここに存在しているなあ……これが2.5次元かあ……」
「瑠璃葉は三次元です、にぃさま!」
「いや、ほら、お人形さんみたいに可愛い、とか言うだろ? それを兄っぽく言ってみた」
「ちっとも嬉しくないです、にぃさま!」
「そうか? じゃあ……えーと。ザクよりも可愛いよ、瑠璃葉」
「もびるすーつと比較されても嬉しくないです、にぃさま!」
「ジム?」
「種類の問題ではないのですっ! もー、もういいです。にぃさまなんて知らないですっ」プイッ
「プイッてされた。あちゃあ、やりすぎたな。どうしたら瑠璃葉の怒りを鎮められるだろうか」フニフニ
「……に、にぃさま。怒ってる人のお腹をふにふにしたらダメです、困ります、怒ってるのがどっかいっちゃいますよぅ」
「このスイッチ押したら鎮められるかな?」スポッ
「はにゃっ!? ……る、瑠璃葉のおへそはスイッチじゃないです、に、にぃさまっ」
「うーん。なんか収まりがいいな」スポスポ
「はぅ、あぅぅッ!? ……に、にぃさま。おへそをすぽすぽしちゃダメです、……く、くすぐったいです」
「あ、ごめんな」ナデナデ
「んぅ。別にいいですが、おへそは敏感なのであんまり触っちゃダメなんですよ?」
「分かった。これからはへそ周辺を重点的に触ることにするよ」フニフニ
「おへそ以外なら触っていいわけじゃないです、にぃさま!」

「ひととおり触って満足したが、よく考えたら卑猥な衣装を着せた小学生の妹にセクハラしただけで、これちっともハロウィン関係ねぇや」
「聞くだけで捕まりそうな内容ですね、にぃさま」
「あちゃあ、本当だ。黙っていてね? じゃないと自首する」プルプル
「にぃさまがケータイ片手に爆弾を解除せしめんばかりの決意をにじませ、今にも警察に!? 分かりました分かりました、黙ってますから!?」
「なんだ。よかった。じゃあ安心したところで、Trick or Treatをしましょうか」
「とりっくおあとりーと? どゆ意味ですか、にぃさま?」
 こてりと小首を傾げて質問された。あまりの愛らしさに、なでずにはいられない。
「んー、んぅー。にぃさま、なでなでより質問に答えてほしいのですが……」
「や、悪い悪い。ええと、お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ、という悪辣な犯罪宣言をイベントに仕立てあげた資本主義のある種の偉大さを体現した言葉だ」
「はぁぁ……よく分かりませんが、にぃさまは博識ですねぇ」
「瑠璃葉よりは長く生きてるからね」ナデナデ
「はぅぅ。じゃ、じゃあ、その……ええと、なんでしたっけ?」
「Trick or Treat」
「そう、それです。とりっくおあとりーとをします。んと、にぃさま。とりっくおあとりーと?」
「じゃあ、いたづらしてください」
「ええっ!?」
「兄の弱点は可愛い妹にちゅーされることだ。あっ、悪霊か何かが兄の身体の自由を奪う! このままでは何の抵抗もできずに瑠璃葉にちゅーされてしまう! あ、頬でいいですから」
「しっ、しませんっ! もー、にぃさまのえっち!」
「想定の範囲外だ。ちくしょう。しょうがない、お菓子をあげよう」
 机の引き出しに入れておいた小さな袋を取り出し、瑠璃葉に渡す。
「わっ、可愛い♪ ……開けてもいいですか、にぃさま?」
「どうぞどうぞ」
「どきどき。……わっ、わっ! クッキーです! クッキーですよ、にぃさま! わっ、わっ!」
「嬉しそうで何よりです」
「えへへー。いっぱいあるし、これなら毎日食べてもなかなか減りそうにないですね、にぃさま?」
「一日で食べられる量だと思うが……」
「一気に食べちゃうともったいないから、毎日ちょっとずつ食べるのです。それに、いっぱい食べたら晩ご飯が食べられなくなっちゃってダメなんですよ? ……そいえば、にぃさまは時々晩ご飯を残してますよね」ジトーッ
「あ、はい。すいません。おやつ大好きなんデブー」
「変な語尾つけちゃダメです、にぃさま!」
「変な衣装着てる人に言われては仕方ない、間食は控えよう」
「にぃさまが着てくれって言ったのに!?」
「随分とまあえろい格好をした人がいるなあと思ったら、そうだ、俺が強要したんだった。でも……大丈夫! とてもよく似合ってますよ? いわゆるエロ可愛いというやつだ」ナデナデ
「んぅー。……な、なでなでしても瑠璃葉は納得しませんよ!? にぃさまにえっちな目で見られますし、瑠璃葉はもうこんな服脱いじゃいますっ!」
「むぅ。可愛いのに」ナデナデ
「……き、今日一日しか着ません。今日以降は、頼まれても着ないですもん」
「そうか。残念だね」ナデナデ
「……に、にぃさまがどしてもって言う時しか着ませんもん」
「成る程、なでるといいのか。にぃさまは理解したよ」ナデナデ
「そ、そーゆーわけじゃないです。にぃさまのばか」
「いやはや」フニフニ
「ふにゃ!? お、お腹をふにふにしちゃダメです、にぃさま! もー、にぃさまのえっちえっちえっち!」ポカスカ
「わはは」

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【ショートケーキのイチゴを先に食べるのか後で食べるのかで言い合いになる男とツンデレ】

2013年09月06日
 ケーキが食べたいのでケーキ食べたいとかなみに言ったら、うるさいと言われた。
 仕方ないので耳元で食べたいと囁いたら、超殴られた。あんなに顔を真っ赤にして怒らなくてもいいと思います。
 あと、そんなに耳を押さえなくてもいいと思う。俺の声はそんなにダメなのか。
 さて。怒られた程度で俺の甘味欲が治まるはずもなく、近所のケーキ屋さんへ出向くことにした。ということを未だ顔を赤くしてフーフーしてるかなみに告げたら、「私も行く」とか言い出した。
「発情してる犬みてえ」
 と思ったが、言わないでおこう。というつもりだったのだが、さらにかなみの顔が赤くなっていくところを見るに、ああ、言ってしまったんだなあという想いが胸に去来します。

 さる事情により頬を腫らしつつ、かなみと一緒に近所のケーキ屋へ。
「さってと。なーににするかなー」
「ケーキなんて久々ね。それもおごりなんて♪」
「えっ」
 びっくりしてかなみの方を見るが、奴ときたら楽しげにルンルン鼻歌なんて口ずさみながらショーウィンドウの中身を選んでやがる!
 楽しそうなら仕方ない。財布に大ダメージだが、甘んじて受け入れよう。さて、俺は何にしようかな。
「……ね、ねー」
 などと思いながら舐めるようにケーキを見つめていると、不意に背中を引っ張られるような感覚が。見ると、所在無さげな顔でかなみが俺の背をクイクイ引っ張っていた。
「じ、冗談だよ? おごらなくてもいいよ?」
「断る。たとえフリだとしても、あんな楽しそうなかなみを見せられ、どうして割り勘できようか! ここはおごらせてもらおう」
「いっ、いいよ! 冗談だし! ……それに、ほら、ここ結構高いよ?」
 俺の耳に顔を寄せ、かなみがポショポショと囁く。
「ウヒヒィ」
 それがなんだかむず痒気持ち良かったので、思わず声に出てしまい、かなみがしかめっ面をした。
「……妖怪なのは知ってるけど、どこでもそれを出すのはやめてよね。私まで妖怪扱いされちゃう」
「妖怪じゃないです。人間です。さもそれを既知の事実のように喋るのはやめてくれませんかねェ……?」
「あははっ」
 ケラケラと笑いながら遠慮なく人の背中をばんばん叩く。痛いっての。
「あー楽し……っ! く! は! ない! けど!」
 なんか急に顔を赤くして叫びだした。負けるかッ!
「は! か! た! の! 塩!」
「対抗すなッ!」
「すいません」
 俺のせいで店内がスイーツムードから伯方の塩ムードに。
「かなみは天ぷら何派? ちなみに俺は天つゆ派」
 そこでさらに塩ムードを強めようと天ぷらの話をしてみたが、つい天つゆと言ってしまった。
「いきなり何を言い出してんのよ! そしてさっきの発言を使うなら嘘でも塩派って言いなさいよ!」
「俺もそう思ったが、気づいたら天つゆって言ってた。もうどうしようもないから野球の話でもしようぜ。どのバットが好き?」
「しないッ! この子は……本当に」
 何やら疲れた顔をされた。色んな人に迷惑をかけて申し訳なく思う。
「……まあいいわ。私も天つゆ派よ」
「ケーキ屋に来てなんで天ぷらの話してんの?」
「アンタがふったんでしょうがッ!」
 とても怖かったし、いい加減お客さんや店員さんの視線が気になるのでケーキの話をすることにする。
「かなみはさ、ショートケーキのイチゴって先に食う? 後に回す?」
「アンタにしてはまともな話ね。何か裏があるんじゃないでしょうね……?」
 ただ聞いただけなのに、非常に怪しまれる。普段が普段なのでこのような扱いも仕方ないと言えよう。もっとまともになろう。
「……まあ、裏があっても最悪ぶん殴ればいっか。ええとね、私はイチゴは先に食べるわ」
「えっ、殴られるの?」
「殴られるの」
 一応確認してみたが、やはり殴られるらしい。辛い。
「まあいつものことだし、いいや。しかし変わってるな、先に食うなんて。普通後で食うだろ、最後のお楽しみとして。ゆうべはおたのしみでしたね」
「いらんことは言わんでいいっ! ていうか、アンタにだけは変わってるとか言われたくないんだけど」
「そんな人を変人代表みたいに言うない。これでも一般人代表として宇宙人にさらわれるのを夢見る程度には平均的だぞ?」
 かなみが『どこがよ』って顔をした。
「ちなみに宇宙人が女性形(幼女ならなお良し)ならいいなあ、嬉しいなあ! そしたら俺、世界初……いや、有史始まって初の異世界婚するんだ!」
「もしその宇宙人がグレイみたいなのだったらどうするのよ」
「男色の趣味はないから断るよ」
「そっちのGLAYじゃないッ!」
「なんだ。急にホモ話になったからびっくりした」
「こっちの方がびっくりよ。アンタと話してると疲れるわ……」
「じゃあ甘いもの食って癒やされよう。かなみは何にする?」
「えっ? えと……じゃあ、ショートケーキ」
 俺の話に触発されたのか、かなみはイチゴがちょこんと乗ったシンプルなショートケーキを選んだ。
「俺は……えーと、これ」
 チョコケーキを指すと、ショーケースの奥にいる店員さんがトングで挟んだ。しまった、かなみとの話に夢中で店員さんがこんな近くにいるなんて気づかなかった。これは恥ずかしい。
「かなみ、『こ、こんな格好……恥ずかしいよぉ』ってM字開脚しながら言って」
「するかッ!」
 俺がいかに恥ずかしかったか、かなみに代弁させようとしたが、失敗した。あと、殴られた。店員さんにも笑われた。チクショウ。

 お金を払って商品を受け取り、店を出る。
「……ね、ねー。ホントにおごってもらっちゃったけど、よかったの?」
 宝物でも持ってるかのように大事そうにケーキの入ってる箱を抱えたまま、かなみが俺に訊ねる。
「よくない。払え。倍払え。いや、やっぱ身体で返せ。一生かけて身体で返せ。ひとまず今日のところはおっぱいを揉ませてください」
 ものすごく頬をつねられたので黙る。
「冗談はいいからさ。自分の分くらい自分で出すよ?」
「いや、いいって。俺一人でファンシーなケーキ屋に行く勇気なんて持ってないし、付き合ってもらった礼とでも思っとけ」
「むーっ……」
 むーって言いながらかなみがむーって膨れた。かわいい。
「どうしても不満なら、ケーキ食べる時に俺にあーんとかしてくれるか?」
 よし、これでかなみも『何言ってるのよ馬鹿! 死んでも嫌よ! というか死ね! 死んで生まれ変わって自殺しろ!』と言うに違いない。そして俺の中のかなみ像が酷すぎる。想像なのに泣きそう。
「えっ……。……わ、わかった。しょがないもんね。おごってもらったお礼だからね。うん」
 想像と違う。なんか頬を染めてコクコクうなずいてる。
「あ、あのー、かなみさん?」
「なに? ……え、えと、あーんの練習?」
 そんな練習聞いたことねえ。
「そ、そうよね。難しいもんね。あ、でもケーキ使うわけにもいかないし……じゃ、じゃあ、私の指で、練習する?」
 おかしい。なんか全体的におかしい。
「じゃあ、私が指をアンタの口の前に持ってくから、あーんって言ったらその指を咥えるのよ?」
 ケーキを買いに来たら野外プレイすることになったでゴザル、と思いながら帰宅しました。

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