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2026年03月23日
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【喫茶店で朝食をとっているとツンデレがやってきました】
2010年01月24日
休日の朝は喫茶店でモーニングを。……かっこいい、かっこよすぎる。もし俺が乙女であれば、今すぐ全裸で飛びついているところだろう。
「あっ、タカシだ。……なんで来たの?」
そんなことを夢想しながらコーヒーを傾けていると、エプロン姿のボクっ娘が店の奥からやってきた。
「貴様、俺の朝の素晴らしい妄想をボクっ娘特有の甘ったるい声で汚すなっ!」
「朝から酷い! 何もかもが!」
困ったことに何も反論できない。
「まあいいや。お座りなさいな」
「もー……なんで朝から怒鳴られなくちゃなんないんだよ」
文句を言いながらも対面のソファに腰を沈めるボクっ娘。
「朝から不愉快だよ。だからご飯おごりね」
「すいません、味噌トーストを目の前のばかっぽい娘に一つ与えてください」
「そんなのないし、ばかっぽいってなんだよ!」
髭顔のマスターにめぬーを伝えると、梓が怒った。
「訂正。おばかな娘にひとつ作ってやってはくれませんか」
「うー!」
「痛いです」
涙目で人の頬を全力で引っ張るボクっ娘な人。
「もー! いじわるばっか言って! おとーさん、ボクトースト。あとホットミルクちょーだい」
「おとーさん? 果て面妖な、お前は髭面の人物をお父さんと呼ぶ習慣があるのですか?」
「ここボクの家! で、あっこでせまそーにちょこまかしてるのボクのおとーさん! 何度も来てるんだから知ってるだろ!」
ちらりとマスターに視線を向けると、会釈された。……お父さん?
「ええと、マジで?」(ひそひそ)
「あれ、知らなかった? ボク、てっきり知ってるもんだと思ってたけど」
いったいどこの遺伝子が目の前のぽややんとした生き物に伝達されたのか検討もつかないが、カウンターの向こうでミルク入れてる熊みたいな生物はこやつの親らしい。
「ひ、髭サイコー。俺も将来は髭生やすんだー」
「別に怒ってないと思うよ。ていうか、おとーさんが怒ってるところ見たことないし」
「ほう。では、俺がお前を嫁に貰うと言っても怒らないのだな?」
「よっ、よよよよよ嫁っ!?」
ぐしゃり、と何かが潰れる音がした。見ると、マスターの持っていたケトルの柄が砕けていた。なんつー力だ。
「見ろ、梓。あれが俺の未来予想図だ」
「潰れるの!?」
「それも已む無し、かなあ」
上半身は平常を保ちつつ下半身ガクガク震わせていると、マスターがやってきた。潰れるの?
「お、おとーさん、ダメだよ、こんなのでもいちおー友達なんだよ! 全然、恋人とかじゃないから!」
「確かに。だが、友達以上恋人未満の状態にあると自負している」
「なななんでこんな時にそんな自殺わーどを口にするんだよっ!?」
親父さんの手がこちらに向かってくる。死んだに違いない、と思ってたら、目の前にアイスが置かれた。
「これ、サービス。今後もよろしく」
そう言って小さく地響きを立てながらカウンターの向こう(棲家)に戻っていく熊、もとい梓の親父さん。
「……ふー。いやはや、死んだと思った」
「じゃーあーゆーことわざわざ言うなっ、ばかっ!」
「いやあ、将来の親に嘘を言うのもなんだし」
「まったくもー。……へ?」
「もしゃもしゃ。む、このアイスうまい」
「え、あの、それ自家製なの。じゃなくて、今の……え?」
「お前も食うか? ほい、あーん」
「じゃなくてじゃなくて! さっき! なんか! すっごいワードが飛び出したよーな!」
「あーん」
「だから! そじゃなくて!」
「あーん」
「……も、もう。あ、あーん」
ためらいがちに開いた口に、アイスを入れる。
「もにゅもにゅ。……うー、おいしい。おいしーけど、おとーさんの前でこーゆーことするの、……ちょっと恥ずかしーよ」
「お前は恥ずかしいで済むが、俺は死の危険と隣り合わせと言うことをお忘れなく」
さっきから熊(梓の親父)が俺を超睨んでるし!
「じゃあなんですんだよ!」
「本当はするつもりなんてなかったんだけど、梓を目の前にすると我慢できなくなった」
「う!? ……う、うー!」
「鼻を摘まむな」
「そ、そっちこそ恥ずかしーこと真顔でゆーな、ばかっ!」
「一発芸、ヘリウムを吸い込んだ声」
「鼻つまんでたら誰でもそーなるの!」
朝からやかましい俺たちだった。
「あっ、タカシだ。……なんで来たの?」
そんなことを夢想しながらコーヒーを傾けていると、エプロン姿のボクっ娘が店の奥からやってきた。
「貴様、俺の朝の素晴らしい妄想をボクっ娘特有の甘ったるい声で汚すなっ!」
「朝から酷い! 何もかもが!」
困ったことに何も反論できない。
「まあいいや。お座りなさいな」
「もー……なんで朝から怒鳴られなくちゃなんないんだよ」
文句を言いながらも対面のソファに腰を沈めるボクっ娘。
「朝から不愉快だよ。だからご飯おごりね」
「すいません、味噌トーストを目の前のばかっぽい娘に一つ与えてください」
「そんなのないし、ばかっぽいってなんだよ!」
髭顔のマスターにめぬーを伝えると、梓が怒った。
「訂正。おばかな娘にひとつ作ってやってはくれませんか」
「うー!」
「痛いです」
涙目で人の頬を全力で引っ張るボクっ娘な人。
「もー! いじわるばっか言って! おとーさん、ボクトースト。あとホットミルクちょーだい」
「おとーさん? 果て面妖な、お前は髭面の人物をお父さんと呼ぶ習慣があるのですか?」
「ここボクの家! で、あっこでせまそーにちょこまかしてるのボクのおとーさん! 何度も来てるんだから知ってるだろ!」
ちらりとマスターに視線を向けると、会釈された。……お父さん?
「ええと、マジで?」(ひそひそ)
「あれ、知らなかった? ボク、てっきり知ってるもんだと思ってたけど」
いったいどこの遺伝子が目の前のぽややんとした生き物に伝達されたのか検討もつかないが、カウンターの向こうでミルク入れてる熊みたいな生物はこやつの親らしい。
「ひ、髭サイコー。俺も将来は髭生やすんだー」
「別に怒ってないと思うよ。ていうか、おとーさんが怒ってるところ見たことないし」
「ほう。では、俺がお前を嫁に貰うと言っても怒らないのだな?」
「よっ、よよよよよ嫁っ!?」
ぐしゃり、と何かが潰れる音がした。見ると、マスターの持っていたケトルの柄が砕けていた。なんつー力だ。
「見ろ、梓。あれが俺の未来予想図だ」
「潰れるの!?」
「それも已む無し、かなあ」
上半身は平常を保ちつつ下半身ガクガク震わせていると、マスターがやってきた。潰れるの?
「お、おとーさん、ダメだよ、こんなのでもいちおー友達なんだよ! 全然、恋人とかじゃないから!」
「確かに。だが、友達以上恋人未満の状態にあると自負している」
「なななんでこんな時にそんな自殺わーどを口にするんだよっ!?」
親父さんの手がこちらに向かってくる。死んだに違いない、と思ってたら、目の前にアイスが置かれた。
「これ、サービス。今後もよろしく」
そう言って小さく地響きを立てながらカウンターの向こう(棲家)に戻っていく熊、もとい梓の親父さん。
「……ふー。いやはや、死んだと思った」
「じゃーあーゆーことわざわざ言うなっ、ばかっ!」
「いやあ、将来の親に嘘を言うのもなんだし」
「まったくもー。……へ?」
「もしゃもしゃ。む、このアイスうまい」
「え、あの、それ自家製なの。じゃなくて、今の……え?」
「お前も食うか? ほい、あーん」
「じゃなくてじゃなくて! さっき! なんか! すっごいワードが飛び出したよーな!」
「あーん」
「だから! そじゃなくて!」
「あーん」
「……も、もう。あ、あーん」
ためらいがちに開いた口に、アイスを入れる。
「もにゅもにゅ。……うー、おいしい。おいしーけど、おとーさんの前でこーゆーことするの、……ちょっと恥ずかしーよ」
「お前は恥ずかしいで済むが、俺は死の危険と隣り合わせと言うことをお忘れなく」
さっきから熊(梓の親父)が俺を超睨んでるし!
「じゃあなんですんだよ!」
「本当はするつもりなんてなかったんだけど、梓を目の前にすると我慢できなくなった」
「う!? ……う、うー!」
「鼻を摘まむな」
「そ、そっちこそ恥ずかしーこと真顔でゆーな、ばかっ!」
「一発芸、ヘリウムを吸い込んだ声」
「鼻つまんでたら誰でもそーなるの!」
朝からやかましい俺たちだった。
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【犬子 寂しい】
2010年01月24日
冬というのは結構厄介なもので、普段は鳴りを潜めている感情が鎌首をもたげて俺に襲い掛かってくる。いわゆる物悲しいという奴だ。
「具体的に言うと、犬子が最終的にルーベンスの絵の前で全裸の子供たちに連れて行かれるくらい寂しい」
「いきなり電話で家まで呼び出されたと思ったら、人の最後を勝手にパトラッシュと極めて相似にされた!?」
友人の犬子が部屋に入ってくるなりモノローグの続きを言ったら、大変驚かれた。
「いや、似てるのはネロの最後であり、パトラッシュは犬なので違うと言いたかったが、よく考えるとどっちも犬なのでそうなんだ」
「最終的に犬にされた!? ていうか、いっつも言ってるけど、私は犬じゃないよ! 符長くんが私のこと犬子犬子って言ってるだけなの!」
犬子犬子言う符長彰人ですこんにちは。……ううむ、心の中で自己紹介するクセどうにかしないとな。それより。
「犬耳があるクセになに言ってんだ」
「こ、これは犬耳じゃなくてそーゆー髪型なの! マクロスのランカちゃんといーっしょ! ほらほら!」
自身の髪を持って俺に見せ付けるが、何を言っているのか分からないフリをする。
「うー……分からないフリするしぃ」
「俺の特権だ。で、だ、犬子」
「うん? なぁに、符長くん?」
こいこいと手招きすると、さっきまでの悲しそうな雰囲気を一瞬で粉砕し、犬子はこっちへ寄って来た。
「えへ。なぁに?」
「全く用はないのだが、一人になると寂しさのあまり自害する、もしくは半狂乱になって近くの人物を殺害する可能性が極めて高いので俺を構え」
「うさぎより性質が悪いよこの人!? ……ていうか、寂しいの?」
こっくりうなずくと、犬子は嬉しそうにほにゃーっと笑った。
「貴様、俺の物悲しさを笑ったなあ!? チクショウ、後でお前の家に火をつけてやる!」
「普通に犯罪だよ! じゃなくて、なくて、そじゃなくてさ。……そーゆー時に私を頼ってくれたのがね、なんかね、……うれしーなあって。えへ♪」
照れ臭そうに指をからませ、赤い顔ではにかまれたりしたら、俺の頭はおかしくなります(断定)。
「じゃ、寂しい符長くんのため、私が一緒にいたげるね♪」
「よきにはからえ」
「王様だ!」
違うと思う。
「それで、何しよっか? ゲーム?」
「何でもいい。傍にいてくれたら、それで」
「ふぇ!?」
突如、犬子の顔が真っ赤になった。ヤクイ病気が突然発症したに違いない。
「帰れ。移る」
「何が!? じゃ、じゃなくて、そ、その……び、びっくりしたの」
「自分の余命に? たぶんそう長くないが、気を落とすな」
「なんで病人扱いされてるの! そーじゃなくて、……そ、そゆこと言われたの、初めてだから」
「俺も遊びに来た友達に余命宣告するの初めてだ」
「そっちじゃなくて! ……そ、傍にいてくれとか言われたの、初めてだったから。……びっくりした」
む。よく考えたら、まるで恋人同士の台詞ではないか。……いかんな。どうも犬子が相手だと、気安くしすぎてしまう。
「じゃ、じゃあその……いるね、ずっと。そばに」
言葉を訂正しようとしてたら、犬子は俺の手を包むように両手で握り、赤い顔のままにっこり笑った。出かけた言葉をノドの奥に仕舞い込む。
「いやはや、なんというか、恋人のようで素敵ですね」
「こっ! こっ、こここっ、こ、こー!?」
「コー。フランス、ノルマンディーの一地方。ルーアン、ディエップ、ル・アーブルを結ぶ三角形の範囲を指す」
「知らないよっ! 動揺してるんだよっ!」
冷静に自分の動揺を説明するな。
「う、うう~……ふ、符長くんはそーゆーこと、するっと言うからずるいよね」
「するっと坊主と呼んでくれ」
「するっと坊主」
嫌になるくらい嬉しくなかった。
「やめてくれ」
「最初から言わなきゃいいのに……」
「するっと坊主だから仕方ないんだ」
「するっと坊主」
「やめてください!」
「あはは。……ね、まだ悲しい?」
「む? ……おお!」
言われて気づいたが、犬子が来てから件の感情は消えていた。それどころか、幸せいっぱい夢いっぱい(?)だ。
「えへ。お役に立てたようで嬉しいよ」
「あっぱれ。褒美をとらす」
「王様だ! ……いや、殿様?」
どっちでもいい。
「じゃ、じゃあね、ご褒美……いい?」
「いいけど、その結果俺の生命反応が停止するような褒美は勘弁してください」
「しないよ! ……えっとねえ?」
で。
「こんなのが褒美?」
「褒美だよ。すっごいご褒美♪」
犬子が言うご褒美とは、俺が彼女を後ろから抱っこし、一緒にゲームをするというものだった。
「よいのですか?」
「よいのです。……あっ! もー、ちゃんと手加減してよ!」
よそ見をしていたのか、犬子操る白い機械人形が爆風に巻き込まれ消えた。
「あと、符長くんばっかアイテム取るの禁止!」
「無茶を言うな」
「無茶を言うの! そんな爆弾ぽこぽこ置かれたら勝てるものも勝てないもん! ……ああっ!」
犬子は自ら爆弾で入り口を塞ぎ、勝手に自滅した。
「うー……」
「そんな目で見られても、今のはしょうがないだろ。お前の操作ミスだ」
「めーれー。死んで悲しい私を慰めなさい」
「命令ならばしょうがない」
後ろから犬子のほっぺをゆっくりさする。
「ふゃ……はふー♪ う、ううー♪」
「どういうことだ」
「符長くんの手から発射されてる幸せ光線により、脳がとけました。……学会に発表したいよ。いい?」
「嘲笑の渦に包まれるのでやめて」
「ノーベル平和賞間違いなしなのにぃ……」
犬子はもうコントローラーから手を離し、身体をこちらに向けていた。抱き合って座っている形だ。人が見たら10人中10人が恋人同士と言うだろうが、誰も見てないので良し。
「符長くん」
「はい?」
「抱っこー」
「してます」
「もっと!」
もっと、とな。more抱っこ?
「もっと全身全霊で抱っこしなさい。ゲームしながらとかじゃなくて」
「お前が一緒にゲームしようとか言ったと記憶してますが」
「みょみみみみ。記憶操作。したのでゲームとかもういいから、抱っこ」
脳を操作されては仕方ないので、スーファミの電源を落とし、犬子を抱っこする。
「うー♪」
俺の肩と頭の間に自分の頭を収め、犬子は幸せそうな声をあげた。
「あぐあぐあぐ♪」
「食うな」
「犬だから仕方ないもん。符長くんが私を犬認定したから仕方ないもん。わんわん!」
「困り犬だな、お前は」
「わんわん♪」
それから犬子を撫でたりほっぺをすりすりしてたら日が暮れたのでびっくりした。また次の休みに同じことしよう。
「具体的に言うと、犬子が最終的にルーベンスの絵の前で全裸の子供たちに連れて行かれるくらい寂しい」
「いきなり電話で家まで呼び出されたと思ったら、人の最後を勝手にパトラッシュと極めて相似にされた!?」
友人の犬子が部屋に入ってくるなりモノローグの続きを言ったら、大変驚かれた。
「いや、似てるのはネロの最後であり、パトラッシュは犬なので違うと言いたかったが、よく考えるとどっちも犬なのでそうなんだ」
「最終的に犬にされた!? ていうか、いっつも言ってるけど、私は犬じゃないよ! 符長くんが私のこと犬子犬子って言ってるだけなの!」
犬子犬子言う符長彰人ですこんにちは。……ううむ、心の中で自己紹介するクセどうにかしないとな。それより。
「犬耳があるクセになに言ってんだ」
「こ、これは犬耳じゃなくてそーゆー髪型なの! マクロスのランカちゃんといーっしょ! ほらほら!」
自身の髪を持って俺に見せ付けるが、何を言っているのか分からないフリをする。
「うー……分からないフリするしぃ」
「俺の特権だ。で、だ、犬子」
「うん? なぁに、符長くん?」
こいこいと手招きすると、さっきまでの悲しそうな雰囲気を一瞬で粉砕し、犬子はこっちへ寄って来た。
「えへ。なぁに?」
「全く用はないのだが、一人になると寂しさのあまり自害する、もしくは半狂乱になって近くの人物を殺害する可能性が極めて高いので俺を構え」
「うさぎより性質が悪いよこの人!? ……ていうか、寂しいの?」
こっくりうなずくと、犬子は嬉しそうにほにゃーっと笑った。
「貴様、俺の物悲しさを笑ったなあ!? チクショウ、後でお前の家に火をつけてやる!」
「普通に犯罪だよ! じゃなくて、なくて、そじゃなくてさ。……そーゆー時に私を頼ってくれたのがね、なんかね、……うれしーなあって。えへ♪」
照れ臭そうに指をからませ、赤い顔ではにかまれたりしたら、俺の頭はおかしくなります(断定)。
「じゃ、寂しい符長くんのため、私が一緒にいたげるね♪」
「よきにはからえ」
「王様だ!」
違うと思う。
「それで、何しよっか? ゲーム?」
「何でもいい。傍にいてくれたら、それで」
「ふぇ!?」
突如、犬子の顔が真っ赤になった。ヤクイ病気が突然発症したに違いない。
「帰れ。移る」
「何が!? じゃ、じゃなくて、そ、その……び、びっくりしたの」
「自分の余命に? たぶんそう長くないが、気を落とすな」
「なんで病人扱いされてるの! そーじゃなくて、……そ、そゆこと言われたの、初めてだから」
「俺も遊びに来た友達に余命宣告するの初めてだ」
「そっちじゃなくて! ……そ、傍にいてくれとか言われたの、初めてだったから。……びっくりした」
む。よく考えたら、まるで恋人同士の台詞ではないか。……いかんな。どうも犬子が相手だと、気安くしすぎてしまう。
「じゃ、じゃあその……いるね、ずっと。そばに」
言葉を訂正しようとしてたら、犬子は俺の手を包むように両手で握り、赤い顔のままにっこり笑った。出かけた言葉をノドの奥に仕舞い込む。
「いやはや、なんというか、恋人のようで素敵ですね」
「こっ! こっ、こここっ、こ、こー!?」
「コー。フランス、ノルマンディーの一地方。ルーアン、ディエップ、ル・アーブルを結ぶ三角形の範囲を指す」
「知らないよっ! 動揺してるんだよっ!」
冷静に自分の動揺を説明するな。
「う、うう~……ふ、符長くんはそーゆーこと、するっと言うからずるいよね」
「するっと坊主と呼んでくれ」
「するっと坊主」
嫌になるくらい嬉しくなかった。
「やめてくれ」
「最初から言わなきゃいいのに……」
「するっと坊主だから仕方ないんだ」
「するっと坊主」
「やめてください!」
「あはは。……ね、まだ悲しい?」
「む? ……おお!」
言われて気づいたが、犬子が来てから件の感情は消えていた。それどころか、幸せいっぱい夢いっぱい(?)だ。
「えへ。お役に立てたようで嬉しいよ」
「あっぱれ。褒美をとらす」
「王様だ! ……いや、殿様?」
どっちでもいい。
「じゃ、じゃあね、ご褒美……いい?」
「いいけど、その結果俺の生命反応が停止するような褒美は勘弁してください」
「しないよ! ……えっとねえ?」
で。
「こんなのが褒美?」
「褒美だよ。すっごいご褒美♪」
犬子が言うご褒美とは、俺が彼女を後ろから抱っこし、一緒にゲームをするというものだった。
「よいのですか?」
「よいのです。……あっ! もー、ちゃんと手加減してよ!」
よそ見をしていたのか、犬子操る白い機械人形が爆風に巻き込まれ消えた。
「あと、符長くんばっかアイテム取るの禁止!」
「無茶を言うな」
「無茶を言うの! そんな爆弾ぽこぽこ置かれたら勝てるものも勝てないもん! ……ああっ!」
犬子は自ら爆弾で入り口を塞ぎ、勝手に自滅した。
「うー……」
「そんな目で見られても、今のはしょうがないだろ。お前の操作ミスだ」
「めーれー。死んで悲しい私を慰めなさい」
「命令ならばしょうがない」
後ろから犬子のほっぺをゆっくりさする。
「ふゃ……はふー♪ う、ううー♪」
「どういうことだ」
「符長くんの手から発射されてる幸せ光線により、脳がとけました。……学会に発表したいよ。いい?」
「嘲笑の渦に包まれるのでやめて」
「ノーベル平和賞間違いなしなのにぃ……」
犬子はもうコントローラーから手を離し、身体をこちらに向けていた。抱き合って座っている形だ。人が見たら10人中10人が恋人同士と言うだろうが、誰も見てないので良し。
「符長くん」
「はい?」
「抱っこー」
「してます」
「もっと!」
もっと、とな。more抱っこ?
「もっと全身全霊で抱っこしなさい。ゲームしながらとかじゃなくて」
「お前が一緒にゲームしようとか言ったと記憶してますが」
「みょみみみみ。記憶操作。したのでゲームとかもういいから、抱っこ」
脳を操作されては仕方ないので、スーファミの電源を落とし、犬子を抱っこする。
「うー♪」
俺の肩と頭の間に自分の頭を収め、犬子は幸せそうな声をあげた。
「あぐあぐあぐ♪」
「食うな」
「犬だから仕方ないもん。符長くんが私を犬認定したから仕方ないもん。わんわん!」
「困り犬だな、お前は」
「わんわん♪」
それから犬子を撫でたりほっぺをすりすりしてたら日が暮れたのでびっくりした。また次の休みに同じことしよう。
【いきなり男の部屋をチェックするツンデレ】
2010年01月22日
部屋でぼんにゃりラブプラスをしてたら、突然勢いよくドアが開いて闖入者が現れた。
「何事か!? チクショウ、凛子は俺が守る!」
「凛子って誰よ!?」
闖入者はかなみでした。ほっとしたのもつかの間、凄い勢いで俺に詰め寄ってきた。
「僕の最愛の人です」
「アンタを殺してあたしも死ぬっ!」
安心したので素直に言ったら、ダメな選択肢だったようで。このままヤンデレENDかと思われたが、俺の手元にあるDSを見てかなみは落ち着きを取り戻した。
「……なんだ、ゲームか。それならそうと最初から言いなさいよ、馬鹿」
「すいません。でも、いきなり人の部屋に乱入してきて殺すとか言う人の方が馬──すいません何でもないです」
途中でかなみの鬼のような目を見てしまったので謝ざるを得なくなる。目は時に言葉より多くを語りやがるので悔しい。
「まったく……さて、と」
そう言うと、かなみは俺の部屋を不躾にじろじろ眺めた。
「見るのは構わないけど、本棚の方は見ないでください。見る人によっては気分を害する可能性があります」
「アンタまたエロ本を堂々と本棚に並べてる! しかもロリエロ漫画! こんなの誰が見ても気分を害するわよ!」
「なんだと!? お前と同じ体型の方々がくんずほぐれつ大騒ぎしてるのにか!?」
沢山殴られた。
「この変態! 変態変態!」
「そんな連呼されると、いささか興奮します」
「ちょっとは堪えろ、ばかぁ!」
正直に答えたのに怒られた。ままならぬ。
「うぅ……ま、負けないんだから!」
かなみは決意の炎を目に灯らせると、本棚に手を伸ばし、俺のエロ本を手に取ったあ!?
「こんなのがあるからコイツはいつまで経っても変態なのよ! 全部捨てちゃえ!」
「待ってそれは流石に洒落にならない!」
「うっさい変態! アンタの言うことなんて聞かないわよ!」
「俺のほとばしる性欲が行く場所をなくし、その結果かなみを襲ってしまったらどうすると言うのだ!?」
無茶な理論だが、今はそれで捨てる気をなくさせるしかない! ……と思ったのに。
「……あ、あたし相手でも、そーゆー気分になるの?」
手をぴたりと止め、かなみは俺をじーっと見つめた。なんでほんのり頬を染めてますですか。
「え、ええと、そりゃ、まあ」
「う……じゃ、じゃあ、あたしがここの本ぜーんぶ捨てたら、あたし、襲われちゃうの?」
背中を汗が伝う。なに、この状況。なんでちょっと声に期待の色が入ってるの。そして、なんで俺が追い詰められてるの。
「あー……」
「(どきどき、どきどき)」
「ちょっと思考がパンクしそうなので、とりあえずパンツを見せて。そうすることで脳の血液が股間に送られ、結果冷静になるのです」
「…………」
「うん? どうしました、かなみ嬢。パンツです、パンツ。できるならば羞恥で泣きそうになりながら両手でスカートを捲り上げて欲しいものです」
「……うん、よし。やっぱ殺そう」
「おや、まあ」
で。
「はー……殴りすぎて手が痛いわ」
「ふふ。生きているのが不思議だ」
ぼろ雑巾か俺なのか判別が難しい状況まで追い込まれた俺です。
「まったく、どこまで馬鹿なんだか……じゃ、この本全部捨てるわね」
「畜生! させるかあ!」
最後の力を振り絞り、かなみに襲い掛かる!
「きゃあ! こっ、こらっ、どこ触ってんのよ!」
「この本は俺の命だ、させないぞ! あと触ってる箇所は胸です。触っていると言うよりも揉んでいます」
「冷静に説明するなあっ!」
「見た感じはほぼ平らでしたが、ちゃんと揉めたことに、そして何よりその柔らかさに感動しています。埋もれた指の一本一本が幸福に満ちています」
「だから、説明するなってばあ! ふゃっ……いっ、いーから手ぇ離せ、ばかぁっ」
「混乱しているフリをして胸を揉み、さらには全てをうやむやにする作戦だったのですが、思いのほか冷静に胸を揉んでしまい俺はどうしたら」
そう言いながらも指はかなみの胸部をまさぐり続けている。服ごしとはいえ、その柔らかさは俺の脳髄を痺れさせるに充分だった。
「ひゃんっ! ……いっ、いいから、……ふンっ、……ひ、人の胸を、も、揉むなぁ」
「本を捨てないと約束するならやめます」
「す……るっ、約束する、……す、るっ! ……か、からっ」
約束されてしまったので、しぶしぶかなみの胸から手を離す。もっと触りたかった。あと俺の股間が大変なことに。
「はぁ……っ。……うー」
自分を抱きしめるようにしながら、かなみは前屈みな俺を睨んだ。
「いや、あの。……混乱していたのですよ?」
「嘘つけっ! ものすっごい冷静に説明してたじゃない!」
「いやはや。自分の冷静さが嫌になる」
「うっさい馬鹿! ……うー、でも、一応約束は約束だから今回は捨てないでおく。でもね! 次来た時は絶対に捨てるからね!」
「じゃあ俺も次は服ごしではなく、直接揉めるよう精進します」
「つ、次とかないわよ、この変態っ! 覚えときなさいよ、ばかっ!」
かなみはアッカンベーすると、真っ赤な顔のまま逃げるように部屋を後にしたのだった。
「何事か!? チクショウ、凛子は俺が守る!」
「凛子って誰よ!?」
闖入者はかなみでした。ほっとしたのもつかの間、凄い勢いで俺に詰め寄ってきた。
「僕の最愛の人です」
「アンタを殺してあたしも死ぬっ!」
安心したので素直に言ったら、ダメな選択肢だったようで。このままヤンデレENDかと思われたが、俺の手元にあるDSを見てかなみは落ち着きを取り戻した。
「……なんだ、ゲームか。それならそうと最初から言いなさいよ、馬鹿」
「すいません。でも、いきなり人の部屋に乱入してきて殺すとか言う人の方が馬──すいません何でもないです」
途中でかなみの鬼のような目を見てしまったので謝ざるを得なくなる。目は時に言葉より多くを語りやがるので悔しい。
「まったく……さて、と」
そう言うと、かなみは俺の部屋を不躾にじろじろ眺めた。
「見るのは構わないけど、本棚の方は見ないでください。見る人によっては気分を害する可能性があります」
「アンタまたエロ本を堂々と本棚に並べてる! しかもロリエロ漫画! こんなの誰が見ても気分を害するわよ!」
「なんだと!? お前と同じ体型の方々がくんずほぐれつ大騒ぎしてるのにか!?」
沢山殴られた。
「この変態! 変態変態!」
「そんな連呼されると、いささか興奮します」
「ちょっとは堪えろ、ばかぁ!」
正直に答えたのに怒られた。ままならぬ。
「うぅ……ま、負けないんだから!」
かなみは決意の炎を目に灯らせると、本棚に手を伸ばし、俺のエロ本を手に取ったあ!?
「こんなのがあるからコイツはいつまで経っても変態なのよ! 全部捨てちゃえ!」
「待ってそれは流石に洒落にならない!」
「うっさい変態! アンタの言うことなんて聞かないわよ!」
「俺のほとばしる性欲が行く場所をなくし、その結果かなみを襲ってしまったらどうすると言うのだ!?」
無茶な理論だが、今はそれで捨てる気をなくさせるしかない! ……と思ったのに。
「……あ、あたし相手でも、そーゆー気分になるの?」
手をぴたりと止め、かなみは俺をじーっと見つめた。なんでほんのり頬を染めてますですか。
「え、ええと、そりゃ、まあ」
「う……じゃ、じゃあ、あたしがここの本ぜーんぶ捨てたら、あたし、襲われちゃうの?」
背中を汗が伝う。なに、この状況。なんでちょっと声に期待の色が入ってるの。そして、なんで俺が追い詰められてるの。
「あー……」
「(どきどき、どきどき)」
「ちょっと思考がパンクしそうなので、とりあえずパンツを見せて。そうすることで脳の血液が股間に送られ、結果冷静になるのです」
「…………」
「うん? どうしました、かなみ嬢。パンツです、パンツ。できるならば羞恥で泣きそうになりながら両手でスカートを捲り上げて欲しいものです」
「……うん、よし。やっぱ殺そう」
「おや、まあ」
で。
「はー……殴りすぎて手が痛いわ」
「ふふ。生きているのが不思議だ」
ぼろ雑巾か俺なのか判別が難しい状況まで追い込まれた俺です。
「まったく、どこまで馬鹿なんだか……じゃ、この本全部捨てるわね」
「畜生! させるかあ!」
最後の力を振り絞り、かなみに襲い掛かる!
「きゃあ! こっ、こらっ、どこ触ってんのよ!」
「この本は俺の命だ、させないぞ! あと触ってる箇所は胸です。触っていると言うよりも揉んでいます」
「冷静に説明するなあっ!」
「見た感じはほぼ平らでしたが、ちゃんと揉めたことに、そして何よりその柔らかさに感動しています。埋もれた指の一本一本が幸福に満ちています」
「だから、説明するなってばあ! ふゃっ……いっ、いーから手ぇ離せ、ばかぁっ」
「混乱しているフリをして胸を揉み、さらには全てをうやむやにする作戦だったのですが、思いのほか冷静に胸を揉んでしまい俺はどうしたら」
そう言いながらも指はかなみの胸部をまさぐり続けている。服ごしとはいえ、その柔らかさは俺の脳髄を痺れさせるに充分だった。
「ひゃんっ! ……いっ、いいから、……ふンっ、……ひ、人の胸を、も、揉むなぁ」
「本を捨てないと約束するならやめます」
「す……るっ、約束する、……す、るっ! ……か、からっ」
約束されてしまったので、しぶしぶかなみの胸から手を離す。もっと触りたかった。あと俺の股間が大変なことに。
「はぁ……っ。……うー」
自分を抱きしめるようにしながら、かなみは前屈みな俺を睨んだ。
「いや、あの。……混乱していたのですよ?」
「嘘つけっ! ものすっごい冷静に説明してたじゃない!」
「いやはや。自分の冷静さが嫌になる」
「うっさい馬鹿! ……うー、でも、一応約束は約束だから今回は捨てないでおく。でもね! 次来た時は絶対に捨てるからね!」
「じゃあ俺も次は服ごしではなく、直接揉めるよう精進します」
「つ、次とかないわよ、この変態っ! 覚えときなさいよ、ばかっ!」
かなみはアッカンベーすると、真っ赤な顔のまま逃げるように部屋を後にしたのだった。
【沙夜 学校で寝起き】
2010年01月22日
昼食後の授業というのは眠いものだ。それが古文なら尚更だ。だから、授業が終わったというのに未だ眠っている幼なじみを責めるのは酷だろう。
とはいえ、このまま放置して次の授業まで寝続けさせるわけにもいくまい。
「沙夜、起きろ。沙夜」
軽く肩をゆすって沙夜を起こす。多少なりとも効果があったのか、薄く沙夜のまぶたが開いた。
「お、起きたか。顔でも洗って目を覚ま……」
「♪」
沙夜は俺の顔を見るなり、薄目のままにぱーっと笑って俺の首元に抱きついた。
「え、あ、い、いや、沙夜……そう、沙夜。あの、あのですね?」
「♪♪」
沙夜はきゅんきゅん鼻を鳴らながら俺のほっぺをあむあむと甘噛みしている。……さてはこいつ、ここを自宅と勘違いしているな?
「沙夜、落ち着いて聞け」
「?」
俺の鼻をめろりと一舐めしつつ、沙夜は一応は聞く姿勢を見せた。
「ここは、学校だ」
「…………。……っ!」
ほんのすこし間を置いて、沙夜は顔を真っ赤にした。そして、どでででと勢いよく教室を出て行った。残された俺は、周囲の生暖かい視線に晒されているので大変居心地が悪いです。
ややあって、未だ顔の赤い沙夜が教室に戻ってきた。そして俺の席までやってくると、まるで文句を言うかのように俺の頬を引っ張った。
「勘違いしたお前が悪いんだろ」
沙夜はほっぺをぷくーっと膨らませ抗議を続けている。何が何でも俺のせいにしたいようだ。
「何でもいいが頬をつねるな。痛い」
すると、俺の頬をつまんでいた手が俺の鼻へ移動して摘まみだした。場所を変更すればいい話ではない。
「違う、沙夜。そういうことじゃない」
俺の鼻声が面白かったのか、沙夜はにこーっと笑った。機嫌が直ったのは何よりだが、周囲の生暖か視線に気づいて。
「だから、あれは俺も悪いかもしれないが、主にお前の責任だろ」
帰り道。あの後、ようやっと周囲の様子に気づいた沙夜が真っ赤な顔で自分の席に戻っていったはいいが、それからまた機嫌を損ねてしまったようで、今こうして一緒に帰りながらもその手は俺の腹を抓り続けており痛い。
「そもそも、お前が寝なけりゃ済む話だったんだ。というか、寝ぼけるのが悪いと言うか」
沙夜はむすーっとした顔で俺の話を聞いている。
「しかし、困ったな……寝ぼけてああなるってことは、普段の行いを改める必要があるかもな。例えば、家でひっつくの禁止とか」
沙夜の顔が驚愕の表情で固まった。
「沙夜?」
ほっぺをふにふに押してみるが、反応がない。死んだ?
「……っ!」
「うわあっ! びっくりした」
死んだと思われた沙夜だったが、どっこい生きてた。突然俺の服を掴み、激しく首を横に振ってる。
「あー、ええと、ひっつく禁止が嫌なのでせうか?」
今度は首を激しく縦に振っている。そこまで必死にならなくてもいいと思う。
と思ってたら、沙夜は俺のお腹にぎゅっと抱きつき、きゅーきゅー鳴きだした。
「あー……いや、そこまで嫌なら禁止しないから。落ち着け」
「……?」
「あ、うん、大丈夫大丈夫。これからも引っ付き放題で、沙夜にっこり俺もにっこり」
「……♪」
沙夜は安心したようにほにゃっとした笑顔を見せた。その笑顔につられるように自分の頬が緩むのを感じながら、沙夜の頭をなでる。
「♪♪♪」
嬉しそうな沙夜の顔を見てたら、頭をなでていた手が沙夜のほっぺに移動していた。そのまま優しくさすさすする。
「……♪」
沙夜はうっとりした表情で俺を見つめた。どこか目がうるんでいる。
「ほっぺ、好き?」
「♪」
「そうか。俺も好き」
ほっぺをふにふにしたり沙夜の鼻をつんつん突ついていたが、ふと我に返るとここは往来。キャッキャするに相応しくないだろう。
「とりゃーず、帰るべ。帰ってから続きをば」
「♪♪♪」
俺の手をとり、沙夜はご機嫌な様子でぶんぶん振った。
「そして今気づいたが、寝ぼけ対策を何も考えてなかった。やはり家で引っ付く禁止令を」
手をばってんされた。ダメなようです。
「ばってんならば仕方ない。また追々考えよう」
コクコクうなずく沙夜と一緒に帰宅しました。
とはいえ、このまま放置して次の授業まで寝続けさせるわけにもいくまい。
「沙夜、起きろ。沙夜」
軽く肩をゆすって沙夜を起こす。多少なりとも効果があったのか、薄く沙夜のまぶたが開いた。
「お、起きたか。顔でも洗って目を覚ま……」
「♪」
沙夜は俺の顔を見るなり、薄目のままにぱーっと笑って俺の首元に抱きついた。
「え、あ、い、いや、沙夜……そう、沙夜。あの、あのですね?」
「♪♪」
沙夜はきゅんきゅん鼻を鳴らながら俺のほっぺをあむあむと甘噛みしている。……さてはこいつ、ここを自宅と勘違いしているな?
「沙夜、落ち着いて聞け」
「?」
俺の鼻をめろりと一舐めしつつ、沙夜は一応は聞く姿勢を見せた。
「ここは、学校だ」
「…………。……っ!」
ほんのすこし間を置いて、沙夜は顔を真っ赤にした。そして、どでででと勢いよく教室を出て行った。残された俺は、周囲の生暖かい視線に晒されているので大変居心地が悪いです。
ややあって、未だ顔の赤い沙夜が教室に戻ってきた。そして俺の席までやってくると、まるで文句を言うかのように俺の頬を引っ張った。
「勘違いしたお前が悪いんだろ」
沙夜はほっぺをぷくーっと膨らませ抗議を続けている。何が何でも俺のせいにしたいようだ。
「何でもいいが頬をつねるな。痛い」
すると、俺の頬をつまんでいた手が俺の鼻へ移動して摘まみだした。場所を変更すればいい話ではない。
「違う、沙夜。そういうことじゃない」
俺の鼻声が面白かったのか、沙夜はにこーっと笑った。機嫌が直ったのは何よりだが、周囲の生暖か視線に気づいて。
「だから、あれは俺も悪いかもしれないが、主にお前の責任だろ」
帰り道。あの後、ようやっと周囲の様子に気づいた沙夜が真っ赤な顔で自分の席に戻っていったはいいが、それからまた機嫌を損ねてしまったようで、今こうして一緒に帰りながらもその手は俺の腹を抓り続けており痛い。
「そもそも、お前が寝なけりゃ済む話だったんだ。というか、寝ぼけるのが悪いと言うか」
沙夜はむすーっとした顔で俺の話を聞いている。
「しかし、困ったな……寝ぼけてああなるってことは、普段の行いを改める必要があるかもな。例えば、家でひっつくの禁止とか」
沙夜の顔が驚愕の表情で固まった。
「沙夜?」
ほっぺをふにふに押してみるが、反応がない。死んだ?
「……っ!」
「うわあっ! びっくりした」
死んだと思われた沙夜だったが、どっこい生きてた。突然俺の服を掴み、激しく首を横に振ってる。
「あー、ええと、ひっつく禁止が嫌なのでせうか?」
今度は首を激しく縦に振っている。そこまで必死にならなくてもいいと思う。
と思ってたら、沙夜は俺のお腹にぎゅっと抱きつき、きゅーきゅー鳴きだした。
「あー……いや、そこまで嫌なら禁止しないから。落ち着け」
「……?」
「あ、うん、大丈夫大丈夫。これからも引っ付き放題で、沙夜にっこり俺もにっこり」
「……♪」
沙夜は安心したようにほにゃっとした笑顔を見せた。その笑顔につられるように自分の頬が緩むのを感じながら、沙夜の頭をなでる。
「♪♪♪」
嬉しそうな沙夜の顔を見てたら、頭をなでていた手が沙夜のほっぺに移動していた。そのまま優しくさすさすする。
「……♪」
沙夜はうっとりした表情で俺を見つめた。どこか目がうるんでいる。
「ほっぺ、好き?」
「♪」
「そうか。俺も好き」
ほっぺをふにふにしたり沙夜の鼻をつんつん突ついていたが、ふと我に返るとここは往来。キャッキャするに相応しくないだろう。
「とりゃーず、帰るべ。帰ってから続きをば」
「♪♪♪」
俺の手をとり、沙夜はご機嫌な様子でぶんぶん振った。
「そして今気づいたが、寝ぼけ対策を何も考えてなかった。やはり家で引っ付く禁止令を」
手をばってんされた。ダメなようです。
「ばってんならば仕方ない。また追々考えよう」
コクコクうなずく沙夜と一緒に帰宅しました。
【ツンデレの鼻を押してみたら】
2010年01月22日
俺の調査によると、大谷先生はコピーロボットらしい。真相を確かめるべく、放課後、俺は職員室へと走った。
「はぁはぁ……せ、先生! 大谷先生!」
「はい? なんですか、別府くん?」
息も絶え絶えな俺に、中学生の見た目を持つ自称大人の大谷先生は笑いかけた。そんな先生の鼻をすかさず押す。
「ふぎゅっ!」
「……? おや、どういうことだ?」
「それは先生の超台詞ですっ! いきなり鼻を押すとは何事ですか!」
「回数が足りないのか?」
むぎゅむぎゅむぎゅ。
「ふきゅっ、きゅっ、きゅーっ!」
「……むぅ、ダメか。やはり本人の認証がなければ元に戻らないのか? なかなか優れた防犯機能ではないか」
「意味が分かりませんっ! 先生に説明しなさいっ!」
「ええとだな」
事細かに説明すると、先生の顔が次第にげんなりしたものへと変化していった。
「……一体誰がそんなデマを流したんですか?」
「ソースは俺の脳内」
「それはただの思い付きって言うんですっ! むしろ妄想の域に達していますっ!」
「まあそう言うな、ひょっとしたら神の悪戯か何かでコピーロボットになったかもしれないじゃないか。というわけで、えい」
「むぎゅーっ! 鼻、押さないでくだたいっ!」
「くだたい?」
「うるさいですっ! ていうかですねっ、先生は先生ですよっ!? もうちょっと、こう、敬ってください!」
「何を言うか。俺はいつだって先生を敬ってるぞ?」
言いながらも先生の鼻をむぎゅーっと押す。
「きゅふー! もーっ、先生の鼻をむぎゅむぎゅ押してながら言う台詞じゃないですっ! 尊敬のその字も感じられませんっ!」
「幼女のよの字を感じてくれ」
「よーっ!? 何を言いますか! 先生は幼女じゃないですっ! 立派な大人ですっ!」
「……そうだね、そうだといいね」
「なんで憐憫のまなざしで見られてるんですかっ!?」
「……ふむ、鼻じゃないのか? 別の箇所を押してみるか」
「な、なんで先生の胸を見てるんですか?」
「この布地の奥に、スイッチがふたつあります」
「スイッチじゃないですっ! 絶対、絶対押しちゃダメです、ダメですっ!」
「じゃあどこを押せと言うのだ!?」
「逆切れですよ!?」
「ええい、もうこうなったらここを押してやる!」
「ふぎゃーっ! ……へ?」
先生のほっぺをふにふに押す。いやまあ流石に胸はアレですよ。職員室だから電話あるし。通報されちゃうし。
「あ、あの、別府くん。……あの、あの?」
「ほう、ここはあのあのスイッチか。変なスイッチ」
「変とは何ですか! ていうかそんなスイッチじゃないです! ふにふにされてびっくりしただけですっ!」
「つまり、びっくりスイッチなのだな?」(ふにふに)
「違いますっ! ……あ、あの、別府くん」
「うん?」(ふにふに)
「……あ、あのですね。……ふにふに押すだけじゃなくて、さすさすとかしてもいーですよ?」
「…………」
「ちちちち違いますよ!? 別に気持ちいーとか嬉しーとかじゃないですよ!? 何を言うですか! まったくもう、先生びっくりです!」
何も言った覚えはない。が、その提案には何ら反対する理由はない。
「先生のほっぺはやーらかいな」(さすさす)
「あっ……う、うー」
「唸るな」
「うなってませんっ! ……て、ていうかですね、別府くんは優しい顔禁止ですっ!」
「してねえ」
「いーえ、しましたっ! なんかもーくらくらーってなっちゃう顔です! ダメです、禁止ですっ! 先生は大人なのでちっとも全然利きませんが、普通の人はくらくらーってなります!」
「…………」
「な、なんですかその目は。ほ、本当ですよ? 先生はすっごく大人なので平気なのですよ? 一般論を言ってるだけで、先生がどうこうという話ではありませんよ?」
「……ふう。ええと、先生」
「は、はい。なんですか?」
「鼻とほっぺ、触られるのどっちが好き?」
「ほっぺー♪ ……ちちちち違いますっ! 好きとか意味わかんないですよっ!?」
「正直な先生にご褒美ー」
「う、うー……違うって言ってますのにぃ……」
先生のほっぺを両手で包み込むようにさする。先生は困ったような、それでいてちょっと嬉しそうな顔をしながら俺を見ていた。
「それでだな、先生」
「う? なんですか?」
「もう放課後だけど、まだ職員室には他の先生が残ってることに気づいてるか」
「う? ……うーっ!?」
先生は視線だけで周囲をきょろきょろ見た。すると、顔が赤くなったり青くなったりするので大変愉快。
「べべべべ別府くん、別府くん、別府くん!」
「大丈夫だ、俺はここにいるぞ」
「そんな心配ちっとも全然してませんっ! て、手を離してくだたいっ! み、見てます、みんな見てますよ!」
「それなんだが……実は、突然手が痺れて動かないんだ」
「信憑性ぜろの発言が出ましたよ!? なぜなら今こうしている瞬間も先生のほっぺをさすさすしているから!」
「ははははは。先生かわいー」(ぐにー)
「うー! ほ、ほっぺ引っ張らないでくださいっ!」
半泣きで困る先生だった。
結局、先生はコピーロボットではなく、ただの人間だということが分かった。あと、思う存分ほっぺをふにふにできたので個人的には大変満足。また次もしよう。
「超お断りですっ! ていうかなんで先生の机で感想書いてるんですか!?」
「次は先生の小さなおっぱいをいじくりたいので頑張る……と」
「MAXでお断りですっ! ていうか小さいは余計ですっ!」
後ろからぎゃんぎゃん吠えられる俺だった。
「はぁはぁ……せ、先生! 大谷先生!」
「はい? なんですか、別府くん?」
息も絶え絶えな俺に、中学生の見た目を持つ自称大人の大谷先生は笑いかけた。そんな先生の鼻をすかさず押す。
「ふぎゅっ!」
「……? おや、どういうことだ?」
「それは先生の超台詞ですっ! いきなり鼻を押すとは何事ですか!」
「回数が足りないのか?」
むぎゅむぎゅむぎゅ。
「ふきゅっ、きゅっ、きゅーっ!」
「……むぅ、ダメか。やはり本人の認証がなければ元に戻らないのか? なかなか優れた防犯機能ではないか」
「意味が分かりませんっ! 先生に説明しなさいっ!」
「ええとだな」
事細かに説明すると、先生の顔が次第にげんなりしたものへと変化していった。
「……一体誰がそんなデマを流したんですか?」
「ソースは俺の脳内」
「それはただの思い付きって言うんですっ! むしろ妄想の域に達していますっ!」
「まあそう言うな、ひょっとしたら神の悪戯か何かでコピーロボットになったかもしれないじゃないか。というわけで、えい」
「むぎゅーっ! 鼻、押さないでくだたいっ!」
「くだたい?」
「うるさいですっ! ていうかですねっ、先生は先生ですよっ!? もうちょっと、こう、敬ってください!」
「何を言うか。俺はいつだって先生を敬ってるぞ?」
言いながらも先生の鼻をむぎゅーっと押す。
「きゅふー! もーっ、先生の鼻をむぎゅむぎゅ押してながら言う台詞じゃないですっ! 尊敬のその字も感じられませんっ!」
「幼女のよの字を感じてくれ」
「よーっ!? 何を言いますか! 先生は幼女じゃないですっ! 立派な大人ですっ!」
「……そうだね、そうだといいね」
「なんで憐憫のまなざしで見られてるんですかっ!?」
「……ふむ、鼻じゃないのか? 別の箇所を押してみるか」
「な、なんで先生の胸を見てるんですか?」
「この布地の奥に、スイッチがふたつあります」
「スイッチじゃないですっ! 絶対、絶対押しちゃダメです、ダメですっ!」
「じゃあどこを押せと言うのだ!?」
「逆切れですよ!?」
「ええい、もうこうなったらここを押してやる!」
「ふぎゃーっ! ……へ?」
先生のほっぺをふにふに押す。いやまあ流石に胸はアレですよ。職員室だから電話あるし。通報されちゃうし。
「あ、あの、別府くん。……あの、あの?」
「ほう、ここはあのあのスイッチか。変なスイッチ」
「変とは何ですか! ていうかそんなスイッチじゃないです! ふにふにされてびっくりしただけですっ!」
「つまり、びっくりスイッチなのだな?」(ふにふに)
「違いますっ! ……あ、あの、別府くん」
「うん?」(ふにふに)
「……あ、あのですね。……ふにふに押すだけじゃなくて、さすさすとかしてもいーですよ?」
「…………」
「ちちちち違いますよ!? 別に気持ちいーとか嬉しーとかじゃないですよ!? 何を言うですか! まったくもう、先生びっくりです!」
何も言った覚えはない。が、その提案には何ら反対する理由はない。
「先生のほっぺはやーらかいな」(さすさす)
「あっ……う、うー」
「唸るな」
「うなってませんっ! ……て、ていうかですね、別府くんは優しい顔禁止ですっ!」
「してねえ」
「いーえ、しましたっ! なんかもーくらくらーってなっちゃう顔です! ダメです、禁止ですっ! 先生は大人なのでちっとも全然利きませんが、普通の人はくらくらーってなります!」
「…………」
「な、なんですかその目は。ほ、本当ですよ? 先生はすっごく大人なので平気なのですよ? 一般論を言ってるだけで、先生がどうこうという話ではありませんよ?」
「……ふう。ええと、先生」
「は、はい。なんですか?」
「鼻とほっぺ、触られるのどっちが好き?」
「ほっぺー♪ ……ちちちち違いますっ! 好きとか意味わかんないですよっ!?」
「正直な先生にご褒美ー」
「う、うー……違うって言ってますのにぃ……」
先生のほっぺを両手で包み込むようにさする。先生は困ったような、それでいてちょっと嬉しそうな顔をしながら俺を見ていた。
「それでだな、先生」
「う? なんですか?」
「もう放課後だけど、まだ職員室には他の先生が残ってることに気づいてるか」
「う? ……うーっ!?」
先生は視線だけで周囲をきょろきょろ見た。すると、顔が赤くなったり青くなったりするので大変愉快。
「べべべべ別府くん、別府くん、別府くん!」
「大丈夫だ、俺はここにいるぞ」
「そんな心配ちっとも全然してませんっ! て、手を離してくだたいっ! み、見てます、みんな見てますよ!」
「それなんだが……実は、突然手が痺れて動かないんだ」
「信憑性ぜろの発言が出ましたよ!? なぜなら今こうしている瞬間も先生のほっぺをさすさすしているから!」
「ははははは。先生かわいー」(ぐにー)
「うー! ほ、ほっぺ引っ張らないでくださいっ!」
半泣きで困る先生だった。
結局、先生はコピーロボットではなく、ただの人間だということが分かった。あと、思う存分ほっぺをふにふにできたので個人的には大変満足。また次もしよう。
「超お断りですっ! ていうかなんで先生の机で感想書いてるんですか!?」
「次は先生の小さなおっぱいをいじくりたいので頑張る……と」
「MAXでお断りですっ! ていうか小さいは余計ですっ!」
後ろからぎゃんぎゃん吠えられる俺だった。


