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2026年03月21日
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【ツンデレと初詣に行ったら】
2010年02月04日
お正月なので家でぐだぐだしてたら、携帯が鳴った。担任の大谷先生からだ。
「あい」
『あ、別府くん。あけましておめでとおございます』
「ん、おめでと。悪いけど、大谷先生に代わってくれるかな、お嬢ちゃん?」
『? 代わるも何も、私が先生ですよ?』
「え、そうなのか? 電話口から舌っ足らずなロリ声が聞こえてきたもんだから、親戚の5歳くらいの子が間違えてかけてきたもんだと」
『正月から失礼ですよっ、別府くん!』
「大丈夫、俺はいついかなる時でも失礼だ」
『何が大丈夫なんですかっ!? ……こほん。まあいいです、先生、大人なので怒ったりしません。あのですね、今から一緒に初詣行きませんか?』
「いいけど、先生の晴れ着を七五三って馬鹿にするから覚悟しておいてくれよな」
『あらかじめ宣言するくらいなら馬鹿にしないでくだたいっ!』
「くだたい?」
『いーから準備して待っててくださいっ! 先生、すぐ行きますから!』
言うだけ言って、通話を切られた。よし、引き続きぐだぐだしよう。
ぐでぐでしてたら、また電話が鳴った。大谷先生だ。
『先生、家の前に着きました! 行きましょー』
「分かった、ひと眠りしたら準備する」
『寝ないでくださいっ! ていうか準備って……まだ準備してなかったんですか?』
「うん」
『もーっ! 準備しててくださいって言ったじゃないですかっ! 先生も手伝ってあげますから、玄関のドア開けてください!』
「鍵かけてないから勝手に入って来い」
『物騒ですねぇ……』
なんかぶちぶち言いながら、通話を切られた。ほどなく、ちっこい生き物が入ってきた。
「なーんにも準備してないです。ほらほら、早く準備して初詣行きましょう?」
「分かったよ。……あれ、先生晴れ着じゃないのか」
折角の正月だというのに、先生は晴れ着ではなく普段着だった。つまらん。
「だって、別府くんが七五三って馬鹿にするって宣言してましたし……」
「ちぇ。先生の晴れ着見たかったなー」
「え? ……あ、あの、馬鹿にするんですよね?」
「するけど、それはそれとして、見たい男心」
「うにゅ……あ、あの、先生、ひとっぱしり家戻って着替えてきましょうか? べっ、別に別府くんに見せるためじゃなくて、急に着たくなっただけですけど!」
「いや、わざわざいいよ。それより、さるルートで手に入れた魔法少女の服があるから、そっちを着ろ」
「絶対嫌ですっ! そんなの、お子様が着る服です! 先生、大人だから着ませんっ! ていうか着れません! ぼんきゅっぼんのせくしーぼでーに魔法少女なんて無理無理ですっ!」
つるーんぺたーんボディの持ち主が何を言ってるのやら。
「じゃあ、残るはスク水かブルマだな。どっちがいい? 今なら特別にオプションでランドセルつけてやる」
「お正月からそんなの着てたら頭おかしいと思われますっ!」
「じゃ、正月過ぎたら着てくれよな」
「それならいいです。……え?」
言質は取った。絶対着てもらう。スク水ランドセル……ふふ、想像するだけで俺の浪漫回路が高速回転を!
「あ、あの別府くん? 先生、そんなの無理……」
「楽しみだなあ! もし嘘だったら即死するくらいショックを受けるけど、そんなわけないから楽しみだ!」
「即死!? あ、あのあの、別府くん、あの……」
なんか先生が涙目で俺の服の裾を引っ張ってるが、気づかない体のまま準備を終える。
「さて! 準備も終わったし、行くか先生?」
「はい……」
来た時のテンションからは考えられないほど落ち込んだ先生と一緒に外へ出る。
先生と一緒に近所の神社へ向かう。小さな神社とはいえやはり正月、普段の静けさから考えられないほど人で溢れている。
「すごい人だな……先生、はぐれるなよ」
先生は小さいので見失いやすく見つけるのも困難なため、迷子対策にあらかじめ手を握っておく。
「ふわ!」
「わあ」
すると、大きい声を出されてびっくりした。
「あ、あの、ごめんなさい。ちょっとびっくりしただけです」
「いや、いいけど……何をびっくりすることが」
「あ、あの、いきなり手をぎゅってされて、びっくりしたんです」
「あ、悪い。これ以降は二度と先生の手なんて触らないから安心しろ」
「なんか感じ悪いです!」
「じゃあ、もうこの人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから」
「ふ、ふえ……!?」
まっすぐに先生の目を見つめて言い切ると、先生の顔が目に見えて赤くなっていって愉快痛快。
「あ、あの、あのあの、せ、先生、こ、困ります、困ります。で、でもそのあの、別に別府くんがどうとかって話じゃなくて、そのですね、生徒と先生がそういうのって、その」
「というキャッチコピーのゲームがありまして。俺はそのゲームが好きなんですよ」
「……げぇむ?」
「うぃ」
先生の目が点になったので、イタリアっぽく返してみる。
「……もーッ! 先生を混乱させるなんて、別府くんはとってもとってもダメな生徒ですっ! 先生怒りますよ、怒りましたよ? 別府くん、めっ!」
先生は背伸びして俺のおでこをぺしっと叩いた。
「さて、そろそろお参りするか」
「先生怒ってるんだから、ちょっとは反省してくださいっ!」
「ほらほら、行くぞ先生」
「ひ、引っ張らないでくださいっ!」
先生の手を握ったまま、人でごったがえしている拝殿へ向かう。
「す、すごい人です、すごい人です! 先生、人で埋まりそうです!」
「きちんと埋葬するから安心しろ」
「その前に助けてくださいっ!」
列に並び、順番を待つ。何を願掛けするか考えてたら、先生に軽く引っ張られた。
「あのですね、別府くん。何をお願いするんですか?」
「先生の身長が縮みますようにって」
「別府くん鬼です悪魔です酷すぎますっ!」
ものすごい嫌がられた。
「で、先生は何を願うんだ?」
「うー……えっとですね、生徒みんなが元気でいられますようにってお願いします。別府くんを除いて」
俺は先生に嫌われているようだ。ムカつくので先生の鼻をつまむ。
「ひゃう!? ひゃ、ひゃへへふははひ、ひゃへへふははひ!」
わたわたする先生を見ながら何をお願いするか考えてたら、俺たちの番になった。先生の鼻から手を離し、賽銭箱に小銭を入れる。
「うー……鼻がひりひりします。別府くんのばか」
隣から聞こえてくる悪口を聞きながら、何を願うか考える。……やっぱアレかな。
隣で目を瞑り、口の中で何かを一生懸命つぶやいてる先生を見て、願い事を固める。
「…………。よしっ、先生行くぞ」
「あっ、もうちょっと、もうちょっと待ってください。すぐですから」
先生は少しだけ何か口の中だけでつぶやくと、賽銭箱の前から離れた。
「それで、別府くんは何をお願いしたんですか?」
拝殿から離れ、境内を散歩してると、先生が尋ねてきた。
「ん? んーと。なんだっけっか。忘れちった。はっはっは」
「…………」
「ど、どした?」
「……ひょっとして、先生のこと、ですか?」
「え? え、いやその、いや、まさか。はっはっは」
「先生が縮むよう、お願いしたんでしょう?」
「いやいや、先生がいつまでも元気でいられますようにってお願いしただけで──」
いかん。先生の顔がにんまりしたものへと変化していく。謀られた。
「別府くんって、素直じゃないですねー♪」
先生はニコニコしたまま俺の手をぎゅっと握った。ええい、ニコニコしおって。
「あのですねっ、あのですねっ。先生、ちょっとだけひいきしました。他の生徒より、別府くんのこと、神様にいっぱいいっぱいお願いしました。……ナイショですよ?」
先生は得意げな顔で指を一本立て、口元に当てた。わざとかどうか知らないが、破壊力がでかすぎる。
「別府くん? どしました、鼻なんてつまんで」
「いや……深い意味はない」
「ぬ? まーいいです、それじゃ帰りましょ? 帰ったら一緒にお勉強です」
「正月から何を言ってるのだろう、この小学生は」
「しょ、小学生じゃないですっ! 立派な大人ですっ! ほらほら、めんきょしょー!」
人の顔に免許証をべしべし当ててくるちっこいのと一緒に家に帰りました。
「あい」
『あ、別府くん。あけましておめでとおございます』
「ん、おめでと。悪いけど、大谷先生に代わってくれるかな、お嬢ちゃん?」
『? 代わるも何も、私が先生ですよ?』
「え、そうなのか? 電話口から舌っ足らずなロリ声が聞こえてきたもんだから、親戚の5歳くらいの子が間違えてかけてきたもんだと」
『正月から失礼ですよっ、別府くん!』
「大丈夫、俺はいついかなる時でも失礼だ」
『何が大丈夫なんですかっ!? ……こほん。まあいいです、先生、大人なので怒ったりしません。あのですね、今から一緒に初詣行きませんか?』
「いいけど、先生の晴れ着を七五三って馬鹿にするから覚悟しておいてくれよな」
『あらかじめ宣言するくらいなら馬鹿にしないでくだたいっ!』
「くだたい?」
『いーから準備して待っててくださいっ! 先生、すぐ行きますから!』
言うだけ言って、通話を切られた。よし、引き続きぐだぐだしよう。
ぐでぐでしてたら、また電話が鳴った。大谷先生だ。
『先生、家の前に着きました! 行きましょー』
「分かった、ひと眠りしたら準備する」
『寝ないでくださいっ! ていうか準備って……まだ準備してなかったんですか?』
「うん」
『もーっ! 準備しててくださいって言ったじゃないですかっ! 先生も手伝ってあげますから、玄関のドア開けてください!』
「鍵かけてないから勝手に入って来い」
『物騒ですねぇ……』
なんかぶちぶち言いながら、通話を切られた。ほどなく、ちっこい生き物が入ってきた。
「なーんにも準備してないです。ほらほら、早く準備して初詣行きましょう?」
「分かったよ。……あれ、先生晴れ着じゃないのか」
折角の正月だというのに、先生は晴れ着ではなく普段着だった。つまらん。
「だって、別府くんが七五三って馬鹿にするって宣言してましたし……」
「ちぇ。先生の晴れ着見たかったなー」
「え? ……あ、あの、馬鹿にするんですよね?」
「するけど、それはそれとして、見たい男心」
「うにゅ……あ、あの、先生、ひとっぱしり家戻って着替えてきましょうか? べっ、別に別府くんに見せるためじゃなくて、急に着たくなっただけですけど!」
「いや、わざわざいいよ。それより、さるルートで手に入れた魔法少女の服があるから、そっちを着ろ」
「絶対嫌ですっ! そんなの、お子様が着る服です! 先生、大人だから着ませんっ! ていうか着れません! ぼんきゅっぼんのせくしーぼでーに魔法少女なんて無理無理ですっ!」
つるーんぺたーんボディの持ち主が何を言ってるのやら。
「じゃあ、残るはスク水かブルマだな。どっちがいい? 今なら特別にオプションでランドセルつけてやる」
「お正月からそんなの着てたら頭おかしいと思われますっ!」
「じゃ、正月過ぎたら着てくれよな」
「それならいいです。……え?」
言質は取った。絶対着てもらう。スク水ランドセル……ふふ、想像するだけで俺の浪漫回路が高速回転を!
「あ、あの別府くん? 先生、そんなの無理……」
「楽しみだなあ! もし嘘だったら即死するくらいショックを受けるけど、そんなわけないから楽しみだ!」
「即死!? あ、あのあの、別府くん、あの……」
なんか先生が涙目で俺の服の裾を引っ張ってるが、気づかない体のまま準備を終える。
「さて! 準備も終わったし、行くか先生?」
「はい……」
来た時のテンションからは考えられないほど落ち込んだ先生と一緒に外へ出る。
先生と一緒に近所の神社へ向かう。小さな神社とはいえやはり正月、普段の静けさから考えられないほど人で溢れている。
「すごい人だな……先生、はぐれるなよ」
先生は小さいので見失いやすく見つけるのも困難なため、迷子対策にあらかじめ手を握っておく。
「ふわ!」
「わあ」
すると、大きい声を出されてびっくりした。
「あ、あの、ごめんなさい。ちょっとびっくりしただけです」
「いや、いいけど……何をびっくりすることが」
「あ、あの、いきなり手をぎゅってされて、びっくりしたんです」
「あ、悪い。これ以降は二度と先生の手なんて触らないから安心しろ」
「なんか感じ悪いです!」
「じゃあ、もうこの人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから」
「ふ、ふえ……!?」
まっすぐに先生の目を見つめて言い切ると、先生の顔が目に見えて赤くなっていって愉快痛快。
「あ、あの、あのあの、せ、先生、こ、困ります、困ります。で、でもそのあの、別に別府くんがどうとかって話じゃなくて、そのですね、生徒と先生がそういうのって、その」
「というキャッチコピーのゲームがありまして。俺はそのゲームが好きなんですよ」
「……げぇむ?」
「うぃ」
先生の目が点になったので、イタリアっぽく返してみる。
「……もーッ! 先生を混乱させるなんて、別府くんはとってもとってもダメな生徒ですっ! 先生怒りますよ、怒りましたよ? 別府くん、めっ!」
先生は背伸びして俺のおでこをぺしっと叩いた。
「さて、そろそろお参りするか」
「先生怒ってるんだから、ちょっとは反省してくださいっ!」
「ほらほら、行くぞ先生」
「ひ、引っ張らないでくださいっ!」
先生の手を握ったまま、人でごったがえしている拝殿へ向かう。
「す、すごい人です、すごい人です! 先生、人で埋まりそうです!」
「きちんと埋葬するから安心しろ」
「その前に助けてくださいっ!」
列に並び、順番を待つ。何を願掛けするか考えてたら、先生に軽く引っ張られた。
「あのですね、別府くん。何をお願いするんですか?」
「先生の身長が縮みますようにって」
「別府くん鬼です悪魔です酷すぎますっ!」
ものすごい嫌がられた。
「で、先生は何を願うんだ?」
「うー……えっとですね、生徒みんなが元気でいられますようにってお願いします。別府くんを除いて」
俺は先生に嫌われているようだ。ムカつくので先生の鼻をつまむ。
「ひゃう!? ひゃ、ひゃへへふははひ、ひゃへへふははひ!」
わたわたする先生を見ながら何をお願いするか考えてたら、俺たちの番になった。先生の鼻から手を離し、賽銭箱に小銭を入れる。
「うー……鼻がひりひりします。別府くんのばか」
隣から聞こえてくる悪口を聞きながら、何を願うか考える。……やっぱアレかな。
隣で目を瞑り、口の中で何かを一生懸命つぶやいてる先生を見て、願い事を固める。
「…………。よしっ、先生行くぞ」
「あっ、もうちょっと、もうちょっと待ってください。すぐですから」
先生は少しだけ何か口の中だけでつぶやくと、賽銭箱の前から離れた。
「それで、別府くんは何をお願いしたんですか?」
拝殿から離れ、境内を散歩してると、先生が尋ねてきた。
「ん? んーと。なんだっけっか。忘れちった。はっはっは」
「…………」
「ど、どした?」
「……ひょっとして、先生のこと、ですか?」
「え? え、いやその、いや、まさか。はっはっは」
「先生が縮むよう、お願いしたんでしょう?」
「いやいや、先生がいつまでも元気でいられますようにってお願いしただけで──」
いかん。先生の顔がにんまりしたものへと変化していく。謀られた。
「別府くんって、素直じゃないですねー♪」
先生はニコニコしたまま俺の手をぎゅっと握った。ええい、ニコニコしおって。
「あのですねっ、あのですねっ。先生、ちょっとだけひいきしました。他の生徒より、別府くんのこと、神様にいっぱいいっぱいお願いしました。……ナイショですよ?」
先生は得意げな顔で指を一本立て、口元に当てた。わざとかどうか知らないが、破壊力がでかすぎる。
「別府くん? どしました、鼻なんてつまんで」
「いや……深い意味はない」
「ぬ? まーいいです、それじゃ帰りましょ? 帰ったら一緒にお勉強です」
「正月から何を言ってるのだろう、この小学生は」
「しょ、小学生じゃないですっ! 立派な大人ですっ! ほらほら、めんきょしょー!」
人の顔に免許証をべしべし当ててくるちっこいのと一緒に家に帰りました。
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【ボクっ娘は辛いものが苦手のようです】
2010年02月04日
寒いのでラーメンが食いたいラーメン。
「というわけで、ラーメン屋に来ました」
「うわわっ、知らない間に連れてこられてる!?」
俺に腕を掴まれびっくりしてるボクっ娘は愉快だなあ。
「さて、ボクっ娘よ。何食う?」
「ボクっ娘ってゆーな! 梓って呼べ! あと、ボクは食べないよ。タカシが無理やり連れてきたから、お金持ってくる暇なかったもん」
「あ、店員さん。チャーシュー麺とギョーザ、それと四川坦々麺をお願いします」
「聞いてないよこの人!?」
なんか知らんがびっくりしてる梓の横で、淡々と注文を聞く店員さん。
店員さんの後姿を見送り、梓のほっぺをなんとなく引っ張りながらラーメンが来るのを待つ。
「むにー……あのさ、さっきも言ったけど、ボク、お金ないんだけど……」
「あらかじめ警察呼んでおこうか?」
「普通おごるだろ! こーゆー展開だと!」
変なことを言う梓のほっぺをむにむにしてたら、注文した品々が来た。
「よし、食うぞ。梓、お前どれ食いたい?」
「えっとねえ……って選んでるのにチャーシュー麺取られた!?」
「ずぞぞぞぞーっ。んむ、うまい」
「うー……ボクもチャーシュー麺がよかったのに……タカシのばか」
「まあそう言うな、坦々麺もうまいぞ?」
「汁が真っ赤じゃん! 辛いよコレ絶対! それでなくても熱いの苦手なのに!」
「知ってます」
「タカシから悪意を感じるよ!」
「知ってます」
「うー……ね、ね、交換しない? ほら、タカシ辛いの好きじゃん」
「好きだけど、それ以上に辛いのを食って苦しそうな梓の顔を見る方が好き」
「最悪だようっ!」
「ほれ、いーから早く食え。のびるぞ」
「うー……分かった、分かったよ。食べればいいんだろ?」
梓は意を決し、箸をラーメンの中に入れた。掬い上げたそれに、麺が絡まっている。心なしか、箸を持つ手が震えている。
「……か、辛そう」
「大丈夫、俺のは辛くない」
「知ってるよッ!」
ずるずる麺をすする俺の横で、梓は思い切って麺を口に含んだ。
「ひゃー! 辛い! 辛いよコレ! 水、みずー!」
「待て、落ち着け。すぐに俺が水を口に含み、それを吐き戻したものを用意するから」
水を取ろうとする俺を殴り飛ばし、梓は水をがぶ飲みした。
「……ふーっ。もーっ! 余計なことばっかすんな!」
「ばか、俺が本気で余計なことをしようと思ったらこの程度では済まないぞ」
「なんでいばってるのこの人!?」
「まあそれはともかく、早く食っちまえ。のびちまうぞ」
「……でも」
よほど辛かったのだろう、梓の手は動かなかった。
「……はぁ。ほら、貸せ」
「え?」
「俺が食べる。元々俺が嫌がらせで注文しただけだし」
「タカシ……うわっ、危ない危ない。危うく感動しそうになっちゃったよ。ていうか、先にこんなの注文したこと謝れー!」
ムカつくのでチャーシュー麺に俺のツバ混入。
「ひゃああああ!? そ、そんなことしたらボク食べられないじゃんか!」
「大丈夫、俺はお前のツバが混入した坦々麺を平気な顔で食べれる」
言葉通り、坦々麺の汁をごくごく。うわ、辛え。
「つ、つばなんて入ってないよ! そもそも女の子はつばなんて出ないの! バニラエッセンスが出るの!」
「歯にも体にも悪そうだな。改造人間?」
「らいだーぱんち!」
改造に失敗したようで、攻撃力が全くないぱんちが俺に当たった。
「はぁあ……ボクも普通のラーメン食べたかったよ」
「食えよ、チャーシュー麺」
「タカシの毒唾が混入した毒汁なんて食べれないよっ!」
「元々毒チャーシュー麺だから、中和されて普通のチャーシュー麺になってるから大丈夫」
偶然聞いてた店の親父さんが悲しそうな顔をした。
「そんなわけないじゃん! もー、食べ物を粗末にして……神様に祟られるよ?」
「じゃあ、神に祟られて死んだら、俺が梓を祟るよ」
「なっ、なんでボクの目をじーっと見つめて、あまつさえ手を握りながら言うんだよっ!」
「いや、なんか素敵っぽい台詞だし」
「っぽいだけで、内容が酷すぎだよ! これが死んだ後もずっと見守ってるとかならかっくいーのに……」
「じゃあ……こほん。もし俺が死んだら、ずっとずっと梓を見守るよ。ずっと傍にいる」
梓の手を握り、真摯に見つめる。
「た、タカシ……」
梓の頬が朱に色づく。俺を見つめ返す瞳も、心なしか潤んでいた。
「永遠に貴様につきまとってやる」
「感激度がMAXから0へ急落下だようっ!」
「内容は一緒だよ?」
「言葉を選べ、言葉を!」
「選んだ末の結果だ」
「ロマンスの神様が裸足で逃げ出すよぉ……」
しょんぼりしながら、梓はチャーシュー麺をすすった。
「いいのか? それ、俺の毒唾が混入した毒チャーシュー麺なんじゃ?」
「へ? ……あああああっ! すっかり忘れてたじゃんか! もーっ、タカシが変なことばっか言うからだぞっ!」
「いやいや、普通のことも言うぞ? 稀に」
「ずっと言えっ! ……はぁ、もういーよ。一回食べたら後はもう一緒だもん、食べるよ、毒チャーシュー麺」
またしても偶然聞いてた店の親父さんが悲しそうな顔をしてた。
「ずるずるずる。……まあ、タカシのつばが入ってるけど、おいしいはおいしいよね」
「俺の唾が梓の体内へ。これって間接キスだよな」
「ロマンの欠片もない間接キスだよぅ……」
やや落ち込みながら、梓はギョーザを食べた。
「あ、おいひい♪」
「この店の毒ギョーザは絶品なんだ」
「これも毒!? 毒まみれだよ……」
半泣きの店の親父さんが店員さんに慰められているのが見えた。
「というわけで、ラーメン屋に来ました」
「うわわっ、知らない間に連れてこられてる!?」
俺に腕を掴まれびっくりしてるボクっ娘は愉快だなあ。
「さて、ボクっ娘よ。何食う?」
「ボクっ娘ってゆーな! 梓って呼べ! あと、ボクは食べないよ。タカシが無理やり連れてきたから、お金持ってくる暇なかったもん」
「あ、店員さん。チャーシュー麺とギョーザ、それと四川坦々麺をお願いします」
「聞いてないよこの人!?」
なんか知らんがびっくりしてる梓の横で、淡々と注文を聞く店員さん。
店員さんの後姿を見送り、梓のほっぺをなんとなく引っ張りながらラーメンが来るのを待つ。
「むにー……あのさ、さっきも言ったけど、ボク、お金ないんだけど……」
「あらかじめ警察呼んでおこうか?」
「普通おごるだろ! こーゆー展開だと!」
変なことを言う梓のほっぺをむにむにしてたら、注文した品々が来た。
「よし、食うぞ。梓、お前どれ食いたい?」
「えっとねえ……って選んでるのにチャーシュー麺取られた!?」
「ずぞぞぞぞーっ。んむ、うまい」
「うー……ボクもチャーシュー麺がよかったのに……タカシのばか」
「まあそう言うな、坦々麺もうまいぞ?」
「汁が真っ赤じゃん! 辛いよコレ絶対! それでなくても熱いの苦手なのに!」
「知ってます」
「タカシから悪意を感じるよ!」
「知ってます」
「うー……ね、ね、交換しない? ほら、タカシ辛いの好きじゃん」
「好きだけど、それ以上に辛いのを食って苦しそうな梓の顔を見る方が好き」
「最悪だようっ!」
「ほれ、いーから早く食え。のびるぞ」
「うー……分かった、分かったよ。食べればいいんだろ?」
梓は意を決し、箸をラーメンの中に入れた。掬い上げたそれに、麺が絡まっている。心なしか、箸を持つ手が震えている。
「……か、辛そう」
「大丈夫、俺のは辛くない」
「知ってるよッ!」
ずるずる麺をすする俺の横で、梓は思い切って麺を口に含んだ。
「ひゃー! 辛い! 辛いよコレ! 水、みずー!」
「待て、落ち着け。すぐに俺が水を口に含み、それを吐き戻したものを用意するから」
水を取ろうとする俺を殴り飛ばし、梓は水をがぶ飲みした。
「……ふーっ。もーっ! 余計なことばっかすんな!」
「ばか、俺が本気で余計なことをしようと思ったらこの程度では済まないぞ」
「なんでいばってるのこの人!?」
「まあそれはともかく、早く食っちまえ。のびちまうぞ」
「……でも」
よほど辛かったのだろう、梓の手は動かなかった。
「……はぁ。ほら、貸せ」
「え?」
「俺が食べる。元々俺が嫌がらせで注文しただけだし」
「タカシ……うわっ、危ない危ない。危うく感動しそうになっちゃったよ。ていうか、先にこんなの注文したこと謝れー!」
ムカつくのでチャーシュー麺に俺のツバ混入。
「ひゃああああ!? そ、そんなことしたらボク食べられないじゃんか!」
「大丈夫、俺はお前のツバが混入した坦々麺を平気な顔で食べれる」
言葉通り、坦々麺の汁をごくごく。うわ、辛え。
「つ、つばなんて入ってないよ! そもそも女の子はつばなんて出ないの! バニラエッセンスが出るの!」
「歯にも体にも悪そうだな。改造人間?」
「らいだーぱんち!」
改造に失敗したようで、攻撃力が全くないぱんちが俺に当たった。
「はぁあ……ボクも普通のラーメン食べたかったよ」
「食えよ、チャーシュー麺」
「タカシの毒唾が混入した毒汁なんて食べれないよっ!」
「元々毒チャーシュー麺だから、中和されて普通のチャーシュー麺になってるから大丈夫」
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「そんなわけないじゃん! もー、食べ物を粗末にして……神様に祟られるよ?」
「じゃあ、神に祟られて死んだら、俺が梓を祟るよ」
「なっ、なんでボクの目をじーっと見つめて、あまつさえ手を握りながら言うんだよっ!」
「いや、なんか素敵っぽい台詞だし」
「っぽいだけで、内容が酷すぎだよ! これが死んだ後もずっと見守ってるとかならかっくいーのに……」
「じゃあ……こほん。もし俺が死んだら、ずっとずっと梓を見守るよ。ずっと傍にいる」
梓の手を握り、真摯に見つめる。
「た、タカシ……」
梓の頬が朱に色づく。俺を見つめ返す瞳も、心なしか潤んでいた。
「永遠に貴様につきまとってやる」
「感激度がMAXから0へ急落下だようっ!」
「内容は一緒だよ?」
「言葉を選べ、言葉を!」
「選んだ末の結果だ」
「ロマンスの神様が裸足で逃げ出すよぉ……」
しょんぼりしながら、梓はチャーシュー麺をすすった。
「いいのか? それ、俺の毒唾が混入した毒チャーシュー麺なんじゃ?」
「へ? ……あああああっ! すっかり忘れてたじゃんか! もーっ、タカシが変なことばっか言うからだぞっ!」
「いやいや、普通のことも言うぞ? 稀に」
「ずっと言えっ! ……はぁ、もういーよ。一回食べたら後はもう一緒だもん、食べるよ、毒チャーシュー麺」
またしても偶然聞いてた店の親父さんが悲しそうな顔をしてた。
「ずるずるずる。……まあ、タカシのつばが入ってるけど、おいしいはおいしいよね」
「俺の唾が梓の体内へ。これって間接キスだよな」
「ロマンの欠片もない間接キスだよぅ……」
やや落ち込みながら、梓はギョーザを食べた。
「あ、おいひい♪」
「この店の毒ギョーザは絶品なんだ」
「これも毒!? 毒まみれだよ……」
半泣きの店の親父さんが店員さんに慰められているのが見えた。
【犬子 正月】
2010年02月04日
お正月なので人間なのか身体がコタツの亀なのか分からない生物になってる符長彰人ですこんにちは。
暖けえと思ってたら、インターホンが鳴った。しかし、今の俺は亀なので移動に時間がかかるので移動せずにぬくぬくモードを持続する。
すると、今度は連続してインターホンが鳴った。うるせえ。しかし、今の俺は強情な亀なのでやっぱり移動せずにコタツに篭る。
「符長くん符長くん符長くーん!」
無視を決め込んでいたら、表から頓狂な叫びが聞こえてきた。正月から俺の名前を見知らぬ人々に知らしめても恥ずかしいだけなので、急いで表へ向かう。
「ミラクルうるせえ!」
「あ、符長くん。あけましておめでとうございます。今年もよろしくね?」
表でニコニコしてる友人の犬子の頭をはたく。
「ぶった!? 符長くん、わたし女の子、女の子!」
「俺は男の子だ」
「知ってるよ?」
「じゃあいいや。それじゃまた学校で」
「待って待って閉めないで遊びに来たんだよ!」
玄関のドアを閉めようとしたら、犬子は慌てて用件を伝えた。
「なんだ。最初からそう言えばいいのに。寒かったろう、早くあがれ」
「言う暇も与えられずドア閉められそうになったのにぃ……」
ぶちぶち言いながら犬子は家に入った。ドアを閉め、外から鍵を閉める。さらにノブを押さえて開かないようにする。
「えへへ。あのね、符長くん。……符長くん? あれ、いない!? 符長くん外!? ……あっ、開かない! 閉じ込められた!?」
混乱する様が面白かったので、しばらく様子をみることにする。
「出して符長くん出して! あっ、そだ、中から鍵開けたら……あれ、開けたのにドア開かない!? 符長くんドア押さえてる?」
黙ったまま事の成り行きを眺める。
「む、無視しないでよ符長くん! そ、それともいないの? ……ふ、符長くん?」
声が不安そうになってきた。よし、いい感じだ。
「ふ、ふえぇ……」
あ、いかん。慌ててドアを開けると、涙目の犬子が迷子の子供みたいな表情でそこにいた。
「い、いるなら返事してよぉ! うー……」
怒ったようなほっとしたような表情で、犬子は俺を見た。
「すまん。一人で混乱するお前が面白くて面白くて」
「符長くん、悪趣味だよぉ……」
「確かにちょっとやりすぎた。ごめん」
詫びの意味も込めて犬子の頭をなでる。
「わふー……」
変な声で不満を訴える犬子。鳴き声?
「お詫びと言ってはなんだが、姫初めしよう」
「しっ、しないよっ! 符長くんのえっち!」
「思春期の男子なんてこんなもんだ。さて、どうする? どっか遊び行くか? それとも家で遊ぶか?」
「んー……とね、家で遊ぼ? 外はどこも人多いし。ね?」
「そうすっか」
犬子と一緒に家に入り、そのまま滑らかにコタツへ侵入。もう動けねえ。
「あ゛ー……寝間着で外にいたから、コタツのありがたみが普段より150%増しだ」
「猫みたいだね、符長くん」
「お前は犬だからコタツ苦手だろ」
「いっ、犬じゃないよ、犬じゃないよ!?」
「犬子という頓狂な名を持つくせに犬じゃないとな。解せぬ」
「犬子って符長くんがつけたあだ名だよ!? 解せぬ、じゃないよ!」
変なことを言う犬だなあ。
「うー、分かってないフリするしぃ……」
「何のことやら。さて、何する? ゲームでもするか?」
「んー……どしよっかな」
俺のすぐ隣に座り、犬子は軽く宙を眺めた。何をするか考えを巡らせているようだ。
なんとなく、無言で犬子の犬耳をいじる。
「ん? なぁに?」
「体温を感じないが、この犬耳は血が通ってないのか?」
「こっ、これは犬耳じゃなくて髪型だよう!? マクロスのランカちゃんの髪型といーっしょ!」
変な犬耳だなあ。
「うー、ちっとも聞いてないしぃ……」
変ではあるが、さらさらで気持ちいいなあ。
「……あの、符長くん。なんで私の髪ずーっと触ってるの?」
「あ、すまん」
慌てて手を離す。いくら親しい仲とはいえ、馴れ馴れしかったか。
「あ、嫌とかじゃなくて! なんでなのかなーって」
「いや、深い理由はない。さらさらして気持ちよかったから触っただけだ」
「え、そう? えへ、ちょーっとだけ自信あるんだ。もっと触りたい?」
「大胆な犬だな。よし、乳をまろびだせ。揉みしだいてやる」
「髪の話だよう!?」
「知ってたけど、話の展開によってはむにむにできるかなーと思ったんだ」
「できないよっ! 符長くんのえっちえっちえっち!」
犬子はぺけぺけ俺の胸を叩いた。犬子はよわよわなのでちっとも痛くないが、鬱陶しいことこの上ない。
「さてと、何するかな」
「うー、叩いてるのにちっとも堪えてない……」
「……そうだ! 飼い主と犬ごっこをしよう! 説明しよう、飼い主と犬ごっことは」
「全部言ってるよ! どーせ私が犬なんでしょ? わんわん!」
「早速犬になりきっている……なんという犬ぢからか!」
「ばかにされてるよぉ……」
「というわけで、この遊びをしましょう。やったことない上にさっき思いついただけの底の浅い遊びだけど、きっと楽しいよ?」
「楽しそうな要素ぜろだけど、いいよ。することないし、やるよ。でも、あんまり酷いことしたらヤだよ?」
「…………。うん、酷いことしない」
「不安しか感じないよぉ……」
俺はあまり犬子に信頼されていないようだった。
「じゃ、今から犬子は犬。あまり変化がないな。わはは」
「ありまくりなのに……それで、どんな犬なの? 室内犬?」
「ちっこいの。飼い主が好きだぜ好きだぜ好きすぎて死ぬぜってくらいの犬」
「え……そ、そーゆーのを私がするの?」
「じゃあ、飼い主が嫌いで嫌いで隙あらば喉笛を噛み千切ろうと画策している犬にするか」
「物騒だよ! そ、それなら最初の、……えと、符長くんのことが好きな犬でいいよ」
「よし、それなら開始。可愛いなあ、犬子は可愛いなあ」
今の俺は飼い主なので、飼い犬の犬子の頭をなでて可愛がる。
「わ、わわ……は、はぅ」
「はぅ、じゃねえ。犬だろう、今は」
「あ、そだった。えと……わ、わんわん♪」
「いやはや、まったく犬子は可愛いなあ。特に小便を所構わず垂れ流すのが頭足りない感じでたまらないな」
「酷い設定だよう!?」
「喋るなっての」
「うー……不満がたっぷりだよ」
その不満を消すように、犬子の頭をなでる。
「くふ。……わふ?」
上目遣いで俺を見る犬子の頭を、さらになでなで。
「……わふわふ。わふ♪」
嫌いではないようだ。さらに犬子の頭をなでる。
「くぅ~ん……ふゅん」
犬子は自分の鼻を俺の胸に押し付け、胸いっぱいに息を吸い込んだ。
「……きゅー♪」
よく分からんが、楽しそうで何よりだ。
「わんわん、わんわん♪」
満面の笑みでわんわん言う犬子を見てると、こう、胸の内側がきゅーっとしてくる。
「むう。心筋梗塞か?」
「符長くんが死にかけてる!?」
「あ、喋った。アウト」
「アウト!? え、そーゆールールなの?」
「そう。なので、罰ゲーム」
「は、はぅぅ……何するの? 痛いのなしだよ?」
「丸刈り」
「女の子に対してあんまりな仕打ちだよう!?」
「それが嫌なら、今年も俺と仲良くすること。それが罰ゲーム」
「? それ、罰ゲームでもなんでもないよ? だって、私と符長くんは仲良しさんだもんね?」
犬子は俺の手を取り、にっこり笑った。まっすぐな笑顔を向けられると、俺みたいな根性ひん曲がった人間は照れて身動きができなくなる。
「あっ、符長くん顔真っ赤! あは、かわいー♪」
調子に乗ってる犬子のほっぺをぎうーっと引っ張る。
「ひゃ、ひゃふー……」
困った顔をする犬子だった。
暖けえと思ってたら、インターホンが鳴った。しかし、今の俺は亀なので移動に時間がかかるので移動せずにぬくぬくモードを持続する。
すると、今度は連続してインターホンが鳴った。うるせえ。しかし、今の俺は強情な亀なのでやっぱり移動せずにコタツに篭る。
「符長くん符長くん符長くーん!」
無視を決め込んでいたら、表から頓狂な叫びが聞こえてきた。正月から俺の名前を見知らぬ人々に知らしめても恥ずかしいだけなので、急いで表へ向かう。
「ミラクルうるせえ!」
「あ、符長くん。あけましておめでとうございます。今年もよろしくね?」
表でニコニコしてる友人の犬子の頭をはたく。
「ぶった!? 符長くん、わたし女の子、女の子!」
「俺は男の子だ」
「知ってるよ?」
「じゃあいいや。それじゃまた学校で」
「待って待って閉めないで遊びに来たんだよ!」
玄関のドアを閉めようとしたら、犬子は慌てて用件を伝えた。
「なんだ。最初からそう言えばいいのに。寒かったろう、早くあがれ」
「言う暇も与えられずドア閉められそうになったのにぃ……」
ぶちぶち言いながら犬子は家に入った。ドアを閉め、外から鍵を閉める。さらにノブを押さえて開かないようにする。
「えへへ。あのね、符長くん。……符長くん? あれ、いない!? 符長くん外!? ……あっ、開かない! 閉じ込められた!?」
混乱する様が面白かったので、しばらく様子をみることにする。
「出して符長くん出して! あっ、そだ、中から鍵開けたら……あれ、開けたのにドア開かない!? 符長くんドア押さえてる?」
黙ったまま事の成り行きを眺める。
「む、無視しないでよ符長くん! そ、それともいないの? ……ふ、符長くん?」
声が不安そうになってきた。よし、いい感じだ。
「ふ、ふえぇ……」
あ、いかん。慌ててドアを開けると、涙目の犬子が迷子の子供みたいな表情でそこにいた。
「い、いるなら返事してよぉ! うー……」
怒ったようなほっとしたような表情で、犬子は俺を見た。
「すまん。一人で混乱するお前が面白くて面白くて」
「符長くん、悪趣味だよぉ……」
「確かにちょっとやりすぎた。ごめん」
詫びの意味も込めて犬子の頭をなでる。
「わふー……」
変な声で不満を訴える犬子。鳴き声?
「お詫びと言ってはなんだが、姫初めしよう」
「しっ、しないよっ! 符長くんのえっち!」
「思春期の男子なんてこんなもんだ。さて、どうする? どっか遊び行くか? それとも家で遊ぶか?」
「んー……とね、家で遊ぼ? 外はどこも人多いし。ね?」
「そうすっか」
犬子と一緒に家に入り、そのまま滑らかにコタツへ侵入。もう動けねえ。
「あ゛ー……寝間着で外にいたから、コタツのありがたみが普段より150%増しだ」
「猫みたいだね、符長くん」
「お前は犬だからコタツ苦手だろ」
「いっ、犬じゃないよ、犬じゃないよ!?」
「犬子という頓狂な名を持つくせに犬じゃないとな。解せぬ」
「犬子って符長くんがつけたあだ名だよ!? 解せぬ、じゃないよ!」
変なことを言う犬だなあ。
「うー、分かってないフリするしぃ……」
「何のことやら。さて、何する? ゲームでもするか?」
「んー……どしよっかな」
俺のすぐ隣に座り、犬子は軽く宙を眺めた。何をするか考えを巡らせているようだ。
なんとなく、無言で犬子の犬耳をいじる。
「ん? なぁに?」
「体温を感じないが、この犬耳は血が通ってないのか?」
「こっ、これは犬耳じゃなくて髪型だよう!? マクロスのランカちゃんの髪型といーっしょ!」
変な犬耳だなあ。
「うー、ちっとも聞いてないしぃ……」
変ではあるが、さらさらで気持ちいいなあ。
「……あの、符長くん。なんで私の髪ずーっと触ってるの?」
「あ、すまん」
慌てて手を離す。いくら親しい仲とはいえ、馴れ馴れしかったか。
「あ、嫌とかじゃなくて! なんでなのかなーって」
「いや、深い理由はない。さらさらして気持ちよかったから触っただけだ」
「え、そう? えへ、ちょーっとだけ自信あるんだ。もっと触りたい?」
「大胆な犬だな。よし、乳をまろびだせ。揉みしだいてやる」
「髪の話だよう!?」
「知ってたけど、話の展開によってはむにむにできるかなーと思ったんだ」
「できないよっ! 符長くんのえっちえっちえっち!」
犬子はぺけぺけ俺の胸を叩いた。犬子はよわよわなのでちっとも痛くないが、鬱陶しいことこの上ない。
「さてと、何するかな」
「うー、叩いてるのにちっとも堪えてない……」
「……そうだ! 飼い主と犬ごっこをしよう! 説明しよう、飼い主と犬ごっことは」
「全部言ってるよ! どーせ私が犬なんでしょ? わんわん!」
「早速犬になりきっている……なんという犬ぢからか!」
「ばかにされてるよぉ……」
「というわけで、この遊びをしましょう。やったことない上にさっき思いついただけの底の浅い遊びだけど、きっと楽しいよ?」
「楽しそうな要素ぜろだけど、いいよ。することないし、やるよ。でも、あんまり酷いことしたらヤだよ?」
「…………。うん、酷いことしない」
「不安しか感じないよぉ……」
俺はあまり犬子に信頼されていないようだった。
「じゃ、今から犬子は犬。あまり変化がないな。わはは」
「ありまくりなのに……それで、どんな犬なの? 室内犬?」
「ちっこいの。飼い主が好きだぜ好きだぜ好きすぎて死ぬぜってくらいの犬」
「え……そ、そーゆーのを私がするの?」
「じゃあ、飼い主が嫌いで嫌いで隙あらば喉笛を噛み千切ろうと画策している犬にするか」
「物騒だよ! そ、それなら最初の、……えと、符長くんのことが好きな犬でいいよ」
「よし、それなら開始。可愛いなあ、犬子は可愛いなあ」
今の俺は飼い主なので、飼い犬の犬子の頭をなでて可愛がる。
「わ、わわ……は、はぅ」
「はぅ、じゃねえ。犬だろう、今は」
「あ、そだった。えと……わ、わんわん♪」
「いやはや、まったく犬子は可愛いなあ。特に小便を所構わず垂れ流すのが頭足りない感じでたまらないな」
「酷い設定だよう!?」
「喋るなっての」
「うー……不満がたっぷりだよ」
その不満を消すように、犬子の頭をなでる。
「くふ。……わふ?」
上目遣いで俺を見る犬子の頭を、さらになでなで。
「……わふわふ。わふ♪」
嫌いではないようだ。さらに犬子の頭をなでる。
「くぅ~ん……ふゅん」
犬子は自分の鼻を俺の胸に押し付け、胸いっぱいに息を吸い込んだ。
「……きゅー♪」
よく分からんが、楽しそうで何よりだ。
「わんわん、わんわん♪」
満面の笑みでわんわん言う犬子を見てると、こう、胸の内側がきゅーっとしてくる。
「むう。心筋梗塞か?」
「符長くんが死にかけてる!?」
「あ、喋った。アウト」
「アウト!? え、そーゆールールなの?」
「そう。なので、罰ゲーム」
「は、はぅぅ……何するの? 痛いのなしだよ?」
「丸刈り」
「女の子に対してあんまりな仕打ちだよう!?」
「それが嫌なら、今年も俺と仲良くすること。それが罰ゲーム」
「? それ、罰ゲームでもなんでもないよ? だって、私と符長くんは仲良しさんだもんね?」
犬子は俺の手を取り、にっこり笑った。まっすぐな笑顔を向けられると、俺みたいな根性ひん曲がった人間は照れて身動きができなくなる。
「あっ、符長くん顔真っ赤! あは、かわいー♪」
調子に乗ってる犬子のほっぺをぎうーっと引っ張る。
「ひゃ、ひゃふー……」
困った顔をする犬子だった。
【テストにまったく自信のない男】
2010年02月04日
今日はテストですが、昨日「早起きして勉強した方がはかどるよね。よし、寝よう」とか思って寝たら、早起きどころか遅刻しそうな勢い。
そんなわけで全力疾走で学校へ来て、今更ながら必死で試験範囲の内容を頭に詰め込んでると、嬉しそうな顔をしたかなみがやってきた。
「ずいぶん必死ねー。アンタひょっとして、勉強してこなかったんじゃ?」
嬉しそうなかなみの眉間にチョップを入れ、黙らせる。
「ぐおお……あ、アンタいきなり何すんのよ! 割れるかと思ったじゃない!」
「割ろうとしたんだ」
「なお悪いッ! ……ったく、図星つかれたからって、女の子に暴力振るうってサイテーよ」
「大丈夫、性格の悪い奴にしか俺の力は振るわれない」
「誰が性格悪いってのよ!」
なんかぎゃーぎゃー言ってるが、それどころではないので必死で頭に教科書の内容を詰め込む。
「……ね、なんだったらあたしが勉強教えてあげよっか?」
「結構です」
「まーまー、そう言わずに。こう見えてもあたし、結構頭いいのよ?」
「頭から昆布が垂れてるのに?」
「昆布違うッ! 髪! ツインテールだっての!」
「そう怒るなよ、はるぴー」
「かなみだって言ってるでしょうがッ!」
八重歯をむき出しにして、はるぴー(自称かなみ)が怒った。
「まあ、そうだな。そこまで(?)言うなら勉強教えてもらおうか」
「ふふ……だぁれがアンタなんかに教えてやるもんですか! どうしても教えてほしいなら、跪いてあたしの靴を舐めることね! そしたら考えてあげなくもないわ」
もう実にイキイキとした表情で言うもんだから、ぽかーんとしてしまった。アレか、これが言いたかったから勉強教えるとか言い出したのか。
「まあいいや、靴じゃなくて足なら舐めよう」
「え? ちょ、こら何すんのよ!」
かなみの靴&靴下を脱がし、足を取って指先を舐める。
「ひゃ……っ、く、靴よ、靴! 靴を舐めるの! 足じゃなくて!」
「ぺろぺろ。水虫の味がする」
「水虫なんてないわよッ!」
『聞いたか? 椎水さん、水虫だってよ』
『うわ、ショック……』
周囲から漏れ聞こえてくる声に、かなみの顔がゆっくりと赤く染まっていく。
「ど、どーしてくれんのよ!」
「水虫で可哀想だと思う。でも、それ以上に水虫を舐めさせられる俺が可哀想だと思う」
「だから、水虫じゃないって言ってるでしょうがッ! いーから舐めるなッ!」
足を思い切り引っ張り、かなみは俺の舌から逃れた。
「ったく……なんだってこんなことになるのよ。はぁ、もういいわ。ほら、見てあげるからノート貸しなさい」
「え、マジに? なんだ、いい奴じゃん、かなみって」
「かっ、勘違いしないでよね! テストの成績が悪かった理由をあたしに押し付けられても迷惑だから、教えてあげるだけなんだからねっ!」
「なんでもいいや。ほら、教えて教えて」
「わ、分かったわよ……あ」
チャイムっぽい音が鳴った。先生っぽい人も来た。
「あ、あは。……たいむおーばー?」
「…………」
テスト終了。机に突っ伏し、思い切り息を吐く。
「うぉーい、生きてるかー?」
「…………」
「へんじがない。ただのしかばねのようだ」
「生きてるよっ! 散々な結果だったぜ……」
顔を上げると、少しだけ申し訳なさそうな顔をしたかなみがいた。
「あ、あたしが悪いんじゃないわよ? アンタが勉強しなかったせいなんだし……」
「登校してすぐ勉強したら、多少なりとも挽回できたと思うが。そして、お前が邪魔しなけりゃそれも叶ったはずだが」
「ひ、人のせいにしないでよねっ! そもそもアンタが勉強してくれば済む話でしょうが! そ、それに、教えようともしたでしょ! 時間足んなかったけど!」
「いや、仮に教えられたとしても、頭から昆布垂らしてるような奴の教えでは成績も変わらんだろ」
「だから、髪だって言ってるでしょうがッ! あーもー、そこまで言うなら家に来なさい! 明日の試験の勉強見てあげるわよ!」
「いいえ、結構です」
「断るなッ! いいわね、絶対よ? 首に縄つけても連れてくからねっ!」
「なんと強引なデートの誘いだろうか」
「で、デートなんかじゃないわよ、ばかっ!」
真っ赤な顔で叫ぶかなみだった。
そんなわけで全力疾走で学校へ来て、今更ながら必死で試験範囲の内容を頭に詰め込んでると、嬉しそうな顔をしたかなみがやってきた。
「ずいぶん必死ねー。アンタひょっとして、勉強してこなかったんじゃ?」
嬉しそうなかなみの眉間にチョップを入れ、黙らせる。
「ぐおお……あ、アンタいきなり何すんのよ! 割れるかと思ったじゃない!」
「割ろうとしたんだ」
「なお悪いッ! ……ったく、図星つかれたからって、女の子に暴力振るうってサイテーよ」
「大丈夫、性格の悪い奴にしか俺の力は振るわれない」
「誰が性格悪いってのよ!」
なんかぎゃーぎゃー言ってるが、それどころではないので必死で頭に教科書の内容を詰め込む。
「……ね、なんだったらあたしが勉強教えてあげよっか?」
「結構です」
「まーまー、そう言わずに。こう見えてもあたし、結構頭いいのよ?」
「頭から昆布が垂れてるのに?」
「昆布違うッ! 髪! ツインテールだっての!」
「そう怒るなよ、はるぴー」
「かなみだって言ってるでしょうがッ!」
八重歯をむき出しにして、はるぴー(自称かなみ)が怒った。
「まあ、そうだな。そこまで(?)言うなら勉強教えてもらおうか」
「ふふ……だぁれがアンタなんかに教えてやるもんですか! どうしても教えてほしいなら、跪いてあたしの靴を舐めることね! そしたら考えてあげなくもないわ」
もう実にイキイキとした表情で言うもんだから、ぽかーんとしてしまった。アレか、これが言いたかったから勉強教えるとか言い出したのか。
「まあいいや、靴じゃなくて足なら舐めよう」
「え? ちょ、こら何すんのよ!」
かなみの靴&靴下を脱がし、足を取って指先を舐める。
「ひゃ……っ、く、靴よ、靴! 靴を舐めるの! 足じゃなくて!」
「ぺろぺろ。水虫の味がする」
「水虫なんてないわよッ!」
『聞いたか? 椎水さん、水虫だってよ』
『うわ、ショック……』
周囲から漏れ聞こえてくる声に、かなみの顔がゆっくりと赤く染まっていく。
「ど、どーしてくれんのよ!」
「水虫で可哀想だと思う。でも、それ以上に水虫を舐めさせられる俺が可哀想だと思う」
「だから、水虫じゃないって言ってるでしょうがッ! いーから舐めるなッ!」
足を思い切り引っ張り、かなみは俺の舌から逃れた。
「ったく……なんだってこんなことになるのよ。はぁ、もういいわ。ほら、見てあげるからノート貸しなさい」
「え、マジに? なんだ、いい奴じゃん、かなみって」
「かっ、勘違いしないでよね! テストの成績が悪かった理由をあたしに押し付けられても迷惑だから、教えてあげるだけなんだからねっ!」
「なんでもいいや。ほら、教えて教えて」
「わ、分かったわよ……あ」
チャイムっぽい音が鳴った。先生っぽい人も来た。
「あ、あは。……たいむおーばー?」
「…………」
テスト終了。机に突っ伏し、思い切り息を吐く。
「うぉーい、生きてるかー?」
「…………」
「へんじがない。ただのしかばねのようだ」
「生きてるよっ! 散々な結果だったぜ……」
顔を上げると、少しだけ申し訳なさそうな顔をしたかなみがいた。
「あ、あたしが悪いんじゃないわよ? アンタが勉強しなかったせいなんだし……」
「登校してすぐ勉強したら、多少なりとも挽回できたと思うが。そして、お前が邪魔しなけりゃそれも叶ったはずだが」
「ひ、人のせいにしないでよねっ! そもそもアンタが勉強してくれば済む話でしょうが! そ、それに、教えようともしたでしょ! 時間足んなかったけど!」
「いや、仮に教えられたとしても、頭から昆布垂らしてるような奴の教えでは成績も変わらんだろ」
「だから、髪だって言ってるでしょうがッ! あーもー、そこまで言うなら家に来なさい! 明日の試験の勉強見てあげるわよ!」
「いいえ、結構です」
「断るなッ! いいわね、絶対よ? 首に縄つけても連れてくからねっ!」
「なんと強引なデートの誘いだろうか」
「で、デートなんかじゃないわよ、ばかっ!」
真っ赤な顔で叫ぶかなみだった。
【ツンデレはクルトンを知らないようです】
2010年02月03日
スープでも飲もうかとクルトンを袋から開けてたら、俺の肩越しに誰かが顔を覗かせた。すわ飛頭蛮か、と思ったが、そうではなくてちなみだった。
「……それ、なに?」
「え、あ、これか?」
クルトンの入った袋を持ち上げると、ちなみはコクコクとうなずいた。
「クルトンだよ、クルトン。知らないのか?」
「……し、知ってる。知ってて当然。くるとん。……おいしい」
……知らねぇな、コイツ。
「じゃあ問題。ジャジャン」
「……効果音。じゃじゃん」
なんか嬉しそうに俺に続いてじゃじゃんと言うちなみ。
「クルトンは生きた豚の鼻をもぎ取り、四角く加工したものである。○か×か?」
「……怖いこと言うの禁止」
物凄く恨めしそうな目で見られた。
「問題だから仕方ない。で、答えは?」
「……ばつ。……そんな怖い加工方法など、ない」
「正解。実際は……あ、いや、怖いこと言うの禁止だから言わないでおこう」
「……し、知らないだけのくせに」
さりげなくちなみがクルトンから離れた。
「第二問。クルトンは、実はこの状態でも生きている。○か×か」
「……ばつ。……さすがにそれはない」
「正解。生きてるというか声が……あ、いや、なんでもない」
「……はっきり言え」
「怖いことを言うのを禁止されている身なので」
ちなみはさらにクルトンから離れた。
「第三問。じゃじゃん」
「……も、もういい。もういいから、クルトンとか捨てろ」
「クルトンを食べると、とある事が体内で起きますが、一体どのような惨事が起きるのでしょう。お答えください」
「……わ、私、用事思い出した。……帰る」
帰ろうとするちなみの手を取り、逃がさない。
「まあそう言うな。せめてクルトン食ってから帰れよ」
「うう……タカシが謎の食物で私を死に至らしめようとする」
「……その程度で済めばいいがな」
無駄にニヤリと笑ってみると、ちなみの毛が逆立った。実に愉快。
「もちろんじょうだんだから、あんしんしてくえ」
「……どうしてこういう時に限って棒読みなのか!」
「気にするな。ほれ食え」
クルトンを持ち、涙目のちなみを押し倒す。片手で押さえつけるも、予想以上の強い反抗に遭う。……てか、いけないことをしてるみたいで気分よくないな。
「あー、よし分かった。そこまで嫌なら俺にも考えがある」
「……う?」
「俺に抱きつきながら『お兄ちゃん大好き♪』とロリボイスで言ったら許してやろう」
「……お兄ちゃん大嫌い」
予想以上のダメージを受ける。
「……何も泣かなくても」
「うっうっ……もういい、帰ってください。再起不能なのでもう寝る」
その場にごろりと横になり、流れる涙もそのままにうつ伏せで寝る。
「……そんなところで寝ると、風邪ひく予感。……これ食べて、元気出す」
手渡された物を確認もせずにほうばる。ばりばりする。
「カリカリしてうまひ。何コレってクルトンだなげはあっ!」
「……やはり毒だったか。なむー」
「死んでません」
拝んでるちなみにでこぴん。
「……むー」(不満そう)
「ということで、クルトンは危険な食材ではなくパンを小さく切って揚げたものだ。おいしいよ」
ちなみの口にクルトンを入れる。
「もぐもぐ。……む、カリカリでおいしい。もっと」
「スープに入れる分がなくなるのでダメ。ダメなのに!」
「……もぐもぐ。おいしい」
ダメと言ったのに、全部取られた。だけどまあ、リスみたいに頬膨らませてクルトン食ってるちなみが見れたのでよしとしよう。
「……それ、なに?」
「え、あ、これか?」
クルトンの入った袋を持ち上げると、ちなみはコクコクとうなずいた。
「クルトンだよ、クルトン。知らないのか?」
「……し、知ってる。知ってて当然。くるとん。……おいしい」
……知らねぇな、コイツ。
「じゃあ問題。ジャジャン」
「……効果音。じゃじゃん」
なんか嬉しそうに俺に続いてじゃじゃんと言うちなみ。
「クルトンは生きた豚の鼻をもぎ取り、四角く加工したものである。○か×か?」
「……怖いこと言うの禁止」
物凄く恨めしそうな目で見られた。
「問題だから仕方ない。で、答えは?」
「……ばつ。……そんな怖い加工方法など、ない」
「正解。実際は……あ、いや、怖いこと言うの禁止だから言わないでおこう」
「……し、知らないだけのくせに」
さりげなくちなみがクルトンから離れた。
「第二問。クルトンは、実はこの状態でも生きている。○か×か」
「……ばつ。……さすがにそれはない」
「正解。生きてるというか声が……あ、いや、なんでもない」
「……はっきり言え」
「怖いことを言うのを禁止されている身なので」
ちなみはさらにクルトンから離れた。
「第三問。じゃじゃん」
「……も、もういい。もういいから、クルトンとか捨てろ」
「クルトンを食べると、とある事が体内で起きますが、一体どのような惨事が起きるのでしょう。お答えください」
「……わ、私、用事思い出した。……帰る」
帰ろうとするちなみの手を取り、逃がさない。
「まあそう言うな。せめてクルトン食ってから帰れよ」
「うう……タカシが謎の食物で私を死に至らしめようとする」
「……その程度で済めばいいがな」
無駄にニヤリと笑ってみると、ちなみの毛が逆立った。実に愉快。
「もちろんじょうだんだから、あんしんしてくえ」
「……どうしてこういう時に限って棒読みなのか!」
「気にするな。ほれ食え」
クルトンを持ち、涙目のちなみを押し倒す。片手で押さえつけるも、予想以上の強い反抗に遭う。……てか、いけないことをしてるみたいで気分よくないな。
「あー、よし分かった。そこまで嫌なら俺にも考えがある」
「……う?」
「俺に抱きつきながら『お兄ちゃん大好き♪』とロリボイスで言ったら許してやろう」
「……お兄ちゃん大嫌い」
予想以上のダメージを受ける。
「……何も泣かなくても」
「うっうっ……もういい、帰ってください。再起不能なのでもう寝る」
その場にごろりと横になり、流れる涙もそのままにうつ伏せで寝る。
「……そんなところで寝ると、風邪ひく予感。……これ食べて、元気出す」
手渡された物を確認もせずにほうばる。ばりばりする。
「カリカリしてうまひ。何コレってクルトンだなげはあっ!」
「……やはり毒だったか。なむー」
「死んでません」
拝んでるちなみにでこぴん。
「……むー」(不満そう)
「ということで、クルトンは危険な食材ではなくパンを小さく切って揚げたものだ。おいしいよ」
ちなみの口にクルトンを入れる。
「もぐもぐ。……む、カリカリでおいしい。もっと」
「スープに入れる分がなくなるのでダメ。ダメなのに!」
「……もぐもぐ。おいしい」
ダメと言ったのに、全部取られた。だけどまあ、リスみたいに頬膨らませてクルトン食ってるちなみが見れたのでよしとしよう。


