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2017年10月19日
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【男が苦手なボクっ娘】

2010年04月21日
「梓さん、よかったら次の休みに映画観にいかない? 今、面白いのやってるよ」
 下校中、公園を通りがかると、ボクっ娘がデートに誘われていた。
 好奇心と、なんだか分からんモヤモヤに誘われ、陰から見守る。
「……あ、その、ぼ、ボク、その、ええっと、……ごっ、ごめんなさいっ」
 梓は震える言葉を残して公園を走って出て行った。後に残された男は、呆然と梓のいた場所を見ていた。
 うむ、青春の一ページって感じだな。さ、見るもん見たし帰ろう。
 ……って思ってるのに、なんで俺、梓追いかけてんだ。しかも、こんな必死に。
 しばらく走ると、梓の後姿を見つけた。すかさず後ろ頭を軽く殴る。
「いたっ! ……あ、タカシ」
「よ、よう、何やってんだ」
 なんで俺、こんなに芝居が下手なんだ。これじゃ一部始終見てたって言ってるも同じじゃねえか。
「……見てたの?」
「や、その、見てない……ような見たような、その、……見ました。ごめん」
 観念して答えると、梓は深く息を吐いた。
「……ボクね、男の人苦手なんだ。なんか、怖くって」
「ボクっ娘が男苦手とは、これはまた異なことを」
「関係ないだろ! ……あーあ、なんでボクこんななんだろ」
「んー……よし。特訓しよう」
「へ? 特訓?」
「俺も男だし、俺で慣れろ。俺が近寄っても平気になれば、他の男も多少は平気だろ」
「……ボク、タカシは平気だよ?」
 そう言って、梓は俺の側にぴたりと寄った。
「ね? 別に怖くないもん」
「む……なんでだ?」
「いっつもひどいことされてるから、耐性がついちゃったのかないてててて!」
「酷いことなど一度もしたことないぞ」
「ほっぺ引っ張ってる! まさに今、ひどいことされてるよぉ!」
「まったく、失礼な奴だ」
 手を放すと、梓は不満そうに俺を半泣きで睨みながらほっぺをさすった。
「うー……とにかく、タカシじゃダメだよ」
「じゃ、誰か友人に頼むか。誰がいいかな……」
「ところで、特訓て何やるの?」
「そりゃ、男に慣れさせるためなんだから、デートだろう。映画行ったり、飯食いに行ったり、だらだら喫茶店で喋ったり」
「うー……男の人とだよね? ……嫌だなぁ」
「男に慣れたいんだろ? 我慢しろ」
「……タカシは平気なの?」
「ん?」
「ボクがタカシの友達とデートして、タカシは平気なの?」
 梓の言葉に、友人と梓がデートしている様子を想像する。楽しそうな梓と、だらしなく頬を緩ます友人の顔に、訳の分からない胸のムカつきを覚える。
「やっぱ特訓なし」
「ええっ!?」
「なんか知らんが、嫌だ。不愉快すぎる」
「……ボクがタカシの友達とデートするの、嫌なんだ」
「まぁ。……なんだよ、その顔」
 男嫌いが治らないというのに、梓はなんだか随分と嬉しそうに破顔した。
「えへへへへっ♪ 嫌なら仕方ないよね、ボク、特訓諦めるよ。あーあ、残念だなぁ♪」
 これっぽっちも残念そうじゃなさそうに、梓は笑顔を振りまいた
「……まぁ梓がいいなら、いいか。じゃ、暇になったことだし、映画でも観にいくか」
「あっ、うん! 行く行く! 今なにやってるの?」
「なんか、なんとかっていうホラー。血ぃドバーの、内臓ドーン! らしいぞ」
「あ、ボク急用思い出した! またね、タカシ!」
 逃げようとする梓の首根っこを掴む。
「きっと(梓の怖がる様が)面白いぞ、一緒に見ような」
「やだやだ、怖いのヤダ! うわ~ん、引っ張んないでよぉ!」
 既に半泣きの梓を引きずり、俺は映画館へ向かうのだった。

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