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2017年11月22日
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【吸血鬼になったボクっ娘】

2010年03月17日
 数日前から学校に来ないなと思ってボクっ娘宅にお邪魔したら、吸血鬼になったらしい。面白そうなので、信じることにする。
「うう……なんでこんなことに」
「大変だね」
「まったくちっとも全然心がこもってないよ! ちゃんと信じてる? もっと全身全霊で同情してよ!」
 同情と言い切った。そこまで言うならこっちもやってやる!
「可哀想だ、可哀想だぞボクっ娘! だが、来世はぼいんぼいーんな巨乳に生まれると信じて、現世はつるぺたで生きろ」
「胸のことで同情しろなんて言ってない! ていうか来世って、現世はもう無理なの!?」
「む、腹が減った。ボクっ娘、菓子を持てい」
「人の話を聞けっ! あと、ボクっ娘ボクっ娘ゆーなっ! 梓って呼べよ、梓って! なんでそんな偉そうなんだよっ!」
「分かった、話も聞くし梓とも呼ぶし精神的に平民になる。で、なんだっけ? 吸血鬼?」
「そうだよ。うう……これからは語尾にザマスってつけなきゃだよ。……あ、ザマス」
 ボクっ娘の中の吸血鬼観はおかしかった。
「それでは有閑マダムのようなので却下」
「ボクとしてもありがたいよ」
「それで?」
「?」
 ボクっ娘は不思議そうに小首を傾げた。その動作は大変可愛らしいですが、そうではなくて。
「俺にどうしろというのだ。生憎と白木の杭なんて持ってなくてな。だが、明日には用意するから待っててほしい」
「杭なんてどうするの?」
 どうやら知らないようなので、俺の知っている吸血鬼の弱点(白木の杭を心臓に打ち込むと死ぬ)を述べてみる。
「なんで殺そうとするんだよッ! 怖いよ、吸血鬼ハンターだよ! 吸血鬼ハンタータカシ……ちょっとかっこいいよ!」
「怒るか褒めるかどっちかにしろ」
「えーと……じゃ、怒るよ! 殺意をぶつけられてぷんぷんだよ!」
「いかん、吸血鬼が怒ってるのにまるで怖くない」
「……し、新米吸血鬼だからカナ?」
 激しく違うと思うが、はっきり言うと泣かれてしまいそうなので黙っておこう。
「で、なんの話だっけ?」
「ええと、タカシがボクを殺そうとしたことだよ。友達を殺そうとするなんて、タカシは酷いね。極悪だね。ヤクザも真っ青だよ」
「いやなに、俺はてっきり『化け物としてでなく、人として死にたいんだよ。……せめて、愛する人の手で』とかいう展開かと思っただけで」
「あ、ああ愛してなんかないよ! ホントだよ!? ホントだもん!」
「んな全力で否定しなくとも分かってる。ただの冗談だろーが」
「……ふん、分かってないじゃん」(ぼそり)
「何をだ! 言わねば頭蓋骨を粉砕する!」
「タカシ耳が良すぎで、その上怖すぎるよ! 吸血鬼を脅すなよ、ばかっ!」
 涙目で抗議されたので、粉砕はやめておく。つーか、今の梓は吸血鬼なので逆に俺が粉砕される。
「……うー、そうじゃなくて、血が吸いたいんだよ、血。ね、ちゅーってしていい?」
「任せろ!」
 梓を抱き寄せ、顔を近づける。
「なな、ななな!? なにしてんだよぉ!?」
「ちゅー。いわゆるキス」
「ちゅー違いだよ! 吸うの! ボクが! タカシの血を! ちゅーって!」
「なんだ、紛らわしい」
 解放すると、梓はそっぽを向いて3回ほど深呼吸し、こっちに向き直った。
「ま、まったく、どんな勘違いなんだよ。やれやれ、困ったちゃんだね、タカシは」
「梓、まだ顔赤い」
「うるさいッ!」
 せっかく教えてあげたのに怒られた。
「とにかく! 血吸うの! いい? いいよね? いただきまー」
「断る!」
「……そ、そうだよね、誰もボクみたいな化け物と一緒にいたくないもんね。……一人寂しく野垂れ死んだ方がいいよね」
 いかん、梓たんが一瞬にして自分の世界に逃げ込んでいく!
「というのはフェイントで、本当は血を吸ってほしくて仕方がないんだ」
「フェイント?」
「いーから吸え。早くしないと帰る」
「あっ、あっ、分かったよ。もう、せっかちだなぁ……」
 首元をさらす。梓は歯を立て、おずおず俺の首筋に喰らいついた。
「いつっ」
 吸血鬼に血を吸われると、絶頂に近い感情を得ると何かで見たのだけど……何か吸われてる感覚だけで、気持ちよくなんてなかった。ちょっと残念。
「ちうちう……ごめんね、タカシ」
「いいさ。蚊に吸われてるのに慣れてる……あ」
「ちゅーちゅー……なに? どしたの?」
「いま気づいたが、血吸われたら俺も吸血鬼になるんじゃ?」
「…………」
「おい。黙るな」
「……え、えへへ、……吸血鬼コンビたんじょー……なんて」
 すかさず梓の頭をどつく。
「叩いた! 女の子の頭叩いたよ! 悪魔だよ!」
 半泣きのまま両手で頭を押さえる梓のほっぺを引っ張る。
「悪魔じゃなくて吸血鬼だよ!」
 言ってるそばから口中に違和感が。……伸びてるな、犬歯。
「あぅあぅ、あぅーっ!」
「ええい、日本語喋れ日本語! もしくは中国語!」
「うー……にーはお!」
 中国語を喋ったので許す。梓を解放し、自分の頭を抱える。
「はぁ……吸血鬼なぁ。困ったなあ」
「んー……けっこーへーきだよ? ご飯にちょっと困って、お日さまの光浴びてもちょっとくらくらーってするだけで、だいじょびだったし」
「……浴びたのか?」
「いや、今日寝ぼけてて、人間の時みたいにカーテン開けたらお日さまがぴかーって。てへ」
 そのまま灰になってもおかしくない事を平然とするところが、実にボクっ娘的というか。
「まーいーや。とにかく、明日から学校来い。とりあえず普通に日常をこなしつつ、人間に戻る方法を探るべ」
「別にボクはこのままでもいーけど。……タカシとおんなじだし」(ぼそり)
「性別が!? 知らなかった……」
「だから、なんでそんな耳いーんだよ! そして性別は違う! ボク女の子! がーる!」
「そうだな。……そうだといいな」
「なんでそんな慈愛に満ちた目で見るんだよぉ!? ホントだよ、女の子だよ! ……いや、パンツの中は見せないけどさ」
「なんだ」
「なんだって言った! やっぱそれが目当てだったんだ! タカシのエロ! エロ吸血鬼!」
 こんなふうに梓とじゃれあってると、別に吸血鬼でもいいかと思えてくる。……梓と一緒だし。

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