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2024年03月29日
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【ボクっ娘はなでなでして欲しいけど素直には言えないようです】

2010年03月18日
 ボクっ娘をお家に招待しました。それはいいんだけど、さっきからすごい見られてる。
「……あの、何か用でしょうか」
「別に」
 訊ねてもそっけない。これはアレですか、頭の中で俺をミンチにする作戦を虎視眈々と練っていると? 生きたままミキサーに? 特製タカシ汁のできあがり、なんて。
 嫌だ、そんな死に方嫌だ! 死にたくねぇ!
「うわっ、いきなり泣き出したよこの人!?」
「うっうっ、タカシ汁は勘弁してくださいぃ……」
「? タカシ汁ってなに?」
 泣きながら説明したら怒られた。
「なんでボクがタカシをミンチにしなきゃいけないんだよ!」
「いや、普段よく馬鹿にしてるし、憤懣やるかたないとか言いながら巨大ミキサーに俺を入れるのかな、と」
「やるかたくないよ! まったく、タカシは変なことばっか言うから困るよっ!」
「しかし、そうじゃないとしたら一体なにをお考えで? さっきから俺のことじーっと見てるし」
「う……み、見てなんかないもん。何も思ってないもん」
「やはりタカシ汁をご所望で」
「ごしょもわないよ! ちょっとなでなでしてほし……ななな、なんでもないよっ! 何も言ってないよ!」
「ふふ……語るに落ちたな、梓! いやさ、あずっさ!」
 ジョジョ立ちを決めながらずびしとあずっさに指をさす。
「う、うう……変なポーズで変な呼ばれ方したけど、それどころじゃないよぉ……」
 失礼な。
「しかし、頭なでてほしいって……まるっきり犬だな、犬。梓、お手」
「わんわんじゃないよ! 超人間だよ、ちょー! お手とかしない!」
「お手したらなでなですること請け合い」
「……う、うう……し、しないもん。ホントはなでなでとかしてほしくないもん。ほら、ボク大人だし? 大人はなでなでとかしてもらっても嬉しくないし? 第一タカシなんかになでなでしてもらっても?」
「じゃあいい。遊ぼう。ゲームしようゲーム」
「でででもタカシがどうしてもボクの頭なでたいって言うならボクもやぶさかでないというかそのボクとしては」
「長い! もっと短く! 3文字以内で!」
「う、う~……な、『なでて』」
 まさか3文字で収められるとは思ってもいなかった。不覚。
「お、収めたよ! ほら、約束は守るべきだよ!」
「む、それは確かに。約束は守るべきだ。古今、エロいゲームにおいて幼少時代の約束がそのままフラグになることは多々あるからな」
「意味分かんないよ! いーからその、……アレしろよ! “な”がつくアレ!」
「な……殴り合いか! しかし、いかに相手が梓とはいえ、女性を殴る趣味はないなあ。なので、俺が一方的に梓の胸部やらでん部やらをまさぐる遊びにしよう」
「それただの痴漢だよっ! じゃなくて、分かってるだろいじわる虫っ!」
「はははははは」
「もういいよっ。ふん、別になでなでしてもらわなくても死なないもん。へーきだも……え?」
 からかうのに満足したので、今度は梓を満足させる番。優しく優しく梓の頭をなでる。
「……い、今さらなでられても、その……」
「じゃ、やめよっか?」
「ダメっ! ……う、あ、いやその……ふにゅ」
 変な鳴き声を発し、梓は困ったように視線をさ迷わせた。
「なでなでなでなで」
「あ、あの……た、タカシって本当ボクの頭なでるの好きだよね。ま、まったく、付き合ってあげるボクに感謝するんだよ?」
「そういうことは顔の赤さを取り除いてから言え」
「赤くないよ、全然赤くないよ! ……赤くないよね?」
「赤い。真っ赤。赤といえば梓、と連想するくらい赤い。しかし」
「気のせいだよ目の迷いだよ目が潰れたんだよ! だから色々言うのはやめたほうがいいよ!」
「自分から言い出したくせに、照れなくてもいいと思うんだが」
「……て、照れるとか意味分かんない。なんでボクが照れなきゃいけないんだよ。ふん、だ」
 とか言いながら湯気が出そうなほど顔を真っ赤にさせる梓をなでまくる俺でした。
「……えへへぇ」
「梓たん、物凄くにやけてますが」
「にやけてないっ、にやけてないよ! 嬉しくなんかないよ!?」
 大満足。

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