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2024年04月26日
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【コンビニでおにぎりの具がどれが一番かでけんかする男とボクっ娘】

2010年02月26日
 ボクっ娘と一緒にコンビニへ飯を買いに来た。協議の結果、おにぎりを買うことになった。
「ねーねータカシ、何のおにぎりにする?」
「クリームパン」
「おにぎりって言ってるだろ! 人の話聞きなよ!」
「じゃあアンパンでいい」
「そうじゃなくて! ボクの話聞いてないでしょ!?」
「聞いてるが、聞き流してる」
「余計タチ悪いよぉ!」
「んで、おまえ何にする? シャケなんてどうだ? 俺結構好きなんだ」
「……はぁ、もういいよ。ボクは……えっと、ツナマヨにしよっかな」
「ボクっ娘の主食はツナマヨとか言う得体の知れない物、と……」
「何メモってんだよ! ボクっ娘じゃなくて梓! 別に主食じゃないよ! 得体知れてるし!」
 いっぱいつっこまれた。あと、最後の言葉日本語が変。
「じゃあ間を取ってシャケ買え、シャケ。うまいぞ」
「どこの間を取ったらそうなるんだよぉ! シャケなんてまずいの、買ってもボク食べないよ!」
「何っ、貴様シャケの美味さを知らんのか!? 嘆かわしい、ああ嘆かわしい! おっぱい揉んでやれ」
「揉むなっ! 何考えてんだよばかっ!」
 薄い乳を揉むと怒られた。どさくさに紛れて揉んだのに、なんでばれたんだろう。
「うー……タカシはすぐボクのおっぱい触るからキライ」
「ごめんなさい」
 とりあえず涙目の梓に謝っておく。
「……もうこんなことしない?」
「ああ、次は感じさせるよう努力する」
「そういう意味で怒ったんじゃないよ!」
 女心は難しかった。
「……はぁ。ホント、タカシって馬鹿だよね。シャケが美味しいとか言ってるし。ツナマヨが美味しさを知らないなんて、人生の半分は損してるよ!」
「ほう、ということは全人類は人生を半分損しているんだな」
「なんでだよっ! みんなツナマヨ大好きだから、損してるのはタカシだけだよ!」
「なら今までの損を取り返すため、梓のツナマヨくれ」
「嫌だよ! 自分で買いなよ」
「ちょっとでいいから。なんなら口移しでもいいぞ」
「な、なんでタカシなんかとキスしなきゃならないんだよ!」
「ちょっとした気遣い。梓も新品のおにぎりやるの嫌だろ?」
「そんな気遣い要らないよ! のーさんきゅーだよ! もうっ、タカシは好きにしたらいいよ」
 梓が勝手にツナマヨを抱えてレジへ行くので、すかさず後ろに張り付いてついていく。
「これくださーい」
 梓は店員のお姉さんに能天気な声で清算を頼んだ。
「二人で手と手を取り合い、さらには口移しまで行うというバカップルも裸足で逃げ出す彼氏彼女遁走作戦で食うので箸はひとつでいいです」
「しないよっ! 後ろから変なこと言うな、ばかっ!」
 店員のお姉さんは引きつった笑顔を見せた。
「もー、ホントのホントにタカシは馬鹿なんだね。ボク、恥ずかしかったよ」
 コンビニから出ると、梓はため息混じりに俺を非難した。
「俺は梓と一緒なら、誰に何を言われても平気だぞ」
「ボクはタカシのせいで恥ずかしいって言ってるんだよ!」
 叫びすぎのせいか、梓は顔を真っ赤にして叫んだ。
「まぁ気にするな。……あ」
「どしたの?」
「自分の分のメシ買うの忘れてた」
「ボクをいじめてるからだよ。罰だよ、罰。やっぱり神様は見てるんだね♪」
「くっ、無神論者の俺を前に神の名を呼ぶとはいい度胸だ。こうなったら梓のツナマヨを奪取する他方法はないな」
「なんでだよっ! あげないよ!」
「じゃあやっぱり先ほど言ったように口移しで」
「余計ダメだよっ! ……はぁ、もういいよ。ボクのおにぎり半分あげるよ」
「おっ、さすがは梓。なんだかんだ言って優しいな」(なでなで)
「わっ、な、なでないでよ。すぐボクのこと子供扱いするんだから……」
 満更でもない表情で、梓は困ったようにはにかんだ。

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