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2019年10月15日
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【病み上がりの男】

2012年01月07日
 風邪を引いてしまい、数日学校を休んだ。しかし、ようやっと体調が戻ってきたので、まだ少しだるいが頑張って登校してみた。
「あら? 貴方、放校処分になったんじゃなかったんですの?」
「登校するなり語尾と頭がおかしい奴にからまれた。なんてついてないんだ」
「いきなり酷すぎですのっ!」
「いや、この場合の頭がおかしいとは髪形のことを指してるから安心しろ」
「このお嬢様然とした髪形のどこがおかしいんですのっ!?」
「ドリル(笑)」
「今すぐ殺しますわッ!!!!!」
「ごめんなさい冗談です。お願いだから殺さないでください」
 あまりの恐怖に震えながら土下座で許しを請う。プライド? そんなものとうの昔に犬にくれてやったわ!
「……貴方、哀れにもほどがありますわね」
 効果は抜群なようで、リナの俺を見る目が虫か何かを見る目になったけど、死なずに済んだようだ。やれやれ。
「それはそうと、おはよう。リナ」
「土下座からの挨拶っ!?」
「それは挨拶じゃないぞ」
「わ、分かってますわ。おはようございますですわ」
「うーん、やっぱ語尾がおかしい」
「貴方失礼にも程がありますわよっ!?」
「や、悪い悪……げほっげほっげほっ」
「……大丈夫ですの? まだ顔が青いですわよ?」
 いい加減土下座させるのも悪いと思ったのか、俺を起こしながらリナは心配そうな顔を覗かせた。
「そういうリナは顔が緑色だぞ。ナメック星人だったっけ? 口から卵産み系?」
「そんな系統ありませんわっ! 全力で人間ですっ! 頭と一緒に目までおかしくなったんですの!?」
「病み上がりだからか、視力もおかしくなっちゃったんですの」
「真似しないでくださいまし!」
「ジャッジメントですの!」
「ドやかましいですわっ!」
 しんどいのに無理してかっこいいポーズを決めたのに、超怒られたんですの。
「全く……。それより、感染されては敵いませんわ。近寄らないでくださいまし」
「そうだな。俺もリナの奇病、頭ドリルが感染ったら嫌だから近寄らないよ」
「これは別に病気じゃありませんわっ! そういう素敵な髪形ですの! ていうか奇病って酷いですの!」
「俺みたいに短髪の奴が感染したら、頭蓋骨がねじられるの? ガン並に致死確率の高そうな病気ですね」
「だから、病気じゃないと言ってるんですのっ! どんだけ失礼なこと言えば気が済むんですの!?」
「分かった分かった、悪かった。とにかく、お前の言う通り二度とリナなんかには近寄らない」
「な、なんか言い方が酷いですわっ!」
「寄るな」
 手でしっしってやったら、半泣きの人にいっぱい叩かれたので土下座して謝る。
「すいませんでした」
「うぅ~……」
「ただ、病み上がりということを加味していただけると何かと助かります。ほら、頭がうまく回らないんですよ」
「……ホントですの? わたくしのこと、嫌いになったとかじゃないんですの?」
「う」
「……っ!? べっ、別に貴方なんかに嫌われても蚊に食われたほども感じませんけど!? 感じませんけども、なんとなく聞いただけですわっ!」
「うーん。熱がぶりかえしたのか、なんかあちい」
「な、何を照れてるんですのっ!? そ、そういうのとは違うんですのっ! 勝手に勘違いしないでくださいましっ!」
「か、勘違いしないでよね、勘違いしただけなんだからねっ!」
「ややこしいですわっ!」
「自分で言っておいてなんだが、俺もよく分からない。しょうがないからサメの話でもしようか」
「なんでそうなるんですの!? しませんわ!」
「リナはお嬢様だけあってワガママだなあ」
「これでワガママって言われたら、世の中の人ほぼ全てがワガママですわ!」
「ところでワガママを英訳するとmy motherなのかな?」
「脈略がなさすぎですわっ! そろそろ殴りますわよ!?」
 お嬢様が暴力を訴えてきたので黙ることにする。
「全く……いつも頭が悪いですが、今日はそれに輪をかけて頭が悪いですわね」
「まだスッキリ治ってなくてね。いつもなら検閲に引っかかるボケも繰り出しちゃってるんだ」
「ものすごい迷惑ですわ……あ、そうですわ!」
「それはどうかな?」
「何がですの!?」
「何か提案されそうだったから、とりあえず煙に巻いてみた」
「……いいからしばらく黙っててくださいまし」
 お願いされたからには黙らざるを得ない。……べ、別に怒りに打ち震えているリナが怖いとかじゃなくてね!?
「こほん。治ってないなら早退すればいいんですの。そのまま退学しちゃえばいいんですの。ついでに人生からも卒業すればいいんですの」
「なるほどそいつぁいいと頷きそうになったが、よく考えたら死ねって言われてるよね?」
「気のせいですわ♪」
「なんだそうか! じゃあ言われた通り人生を卒業しよう! リナ、縄ってどのくらいの値段なのかな?」
「死ぬ気満々ですわっ! ちゃんと否定なさいっ!」
 自分で言っておいて、俺が受け入れると怒る。変な奴。
「あー……しかし、なんかやっぱだるいな。どうしよう、折角登校したけど、無理せず早退するかなあ」
「それがいいですわ。少しでも早く学校を出て、わたくしの視界から出て行ってくださいな」
「んー。そうする」
「ちょ、ちょっとお待ちなさいな! そこは少し言い返してもらわないとわたくしが酷い事を言っただけの悪人になってしまいますわ!」
「ええい、面倒な奴め。えーと、今日もリナは可愛いなあ。抱っことかしてえ」
「は、はいぃ!?」
「あ、いかん。それは今は関係なかった。うーむ、まるで頭が回らん。何の話だっけ? サメ?」
「……べ、別に、その。……も、もう、早く帰ったらいいんですの!」
 なんか知らんが超顔の赤いリナに背を押され、教室から追い出されたんですの。
 その勢いのまま素敵に早退。何しに来たんだか。そんなわけで帰宅。早々にベッドに入る。どうにも力が入らない。やっぱ無理すんじゃなかったと思っていると、急激な眠気が。あっという間に眠りに落ちた。

 そんな感じでfade outした意識だったが、何やらガサゴソ物音がしたことで視界がfade inしてきた。
「そーっと、そーっと。……まだ寝てますわよ、ね?」
 ぼやけた視界に映るは、何やら両手に土鍋を持った女性の姿。
「ヤベェ、知らぬ間に人食い部族が我が家に侵入し、俺を煮込んで食おうとしてる」
「食べませんし人食い部族じゃないし寝起きの台詞じゃありませんわっ!」
「む。聞き覚えのある声。知り合いに人食い趣味の奴はいなかったハズだが」
 視界がはっきりするにつれ、人食い悪魔が侵入したと思っていたことは勘違いと判明した。
「なんだ、カニバリズムな人でなくてリナだったか。おはよう」
「おはようじゃないですわ。どうして人食い部族に間違われなくちゃいけないんですの?」
「だって、鍋持った奴が枕元にいたら誰だってそう思うだろ」
「思わないですわっ! どういう頭の構造してるんですの?」
「ところで、なんで鍋持ってるの?」
「うぐっ」
「うぐ? ……ああ! うぐぅ、な! いや懐かしいな、kanon。超好きだったよ」
「違いますわっ! 言葉に詰まっただけですわっ!」
「なるほど。じゃ、それも踏まえて、どうしてリナがここにいるのか詳しく聞かせてもらいましょうかね」
「べ、別に大したことじゃないですわ。学校も終わったし、暇つぶしに苦しんでる貴方を観察しに来ただけですわ」
「ふむ、看病に来てくれたのか。なんだかんだ優しいな、リナは。ありがとうな」
「か、看病じゃありませんわっ! 観察ですわっ! むしろ嫌がらせに来たんですわっ!」
「はいはい。んで、その鍋は?」
「こっ、これは、そのー……煮えたぎったおでんを貴方の口につっこむ『駝鳥倶楽部的拷問』をしようとしただけですわっ!」
「ほう」
「あっ、ふた取っちゃダメっ!」
 鍋の中身は、ほこほこと小さく湯気を立ててるおかゆだった。上にかかってる玉子がおいしそう。
「……お、おでんがないレベルの貧民だと思わなかったんですの! 冷蔵庫におでんがなかったから、しょうがなくお米を炊いただけですのっ!」
「このおかゆを、食べさせてくれると」
「たっ、食べ!? ど、どうしてわたくしがそこまでしなくちゃいけないんですのっ!?」
「いや、ダチョウ倶楽部のアレをやるんだったら、食べさせなくちゃいけないだろ」
「あ……そ、そっか。……じゃ、じゃあ、食べさせてもいいんですよ……ね?」
「なんで俺に聞いてんだ」
「べ、別に聞いてませんわ! ほ、ほら、口をお開けなさい! 熱々のおかゆで、火傷させますわよ!」
「あー」
「ちょ、ちょっとは抵抗なさいな……もう」
 リナは少し困った顔をすると、おかゆをレンゲで一掬いし、ふーふーと息を吹いて冷ました。
「はい。あーん、ですわ」
「火傷はどこいった」
「あ。……ち、ちょっと間違っただけですわ」
 素だったのか、リナは顔を赤くして照れた。
「と、とにかくこれは食べちゃいなさいな!」
「はいはい。あーんもぐもぐ」
「……ど、どうですの?」
「もぐもぐ。ん、うまいな。リナはお嬢様のくせに料理上手なのな」
「高貴なる者はなんでもできるんですの。料理なんてわたくし専用の厨房があるレベルなんですから、出来て当然ですのよ?」
「ブルジョアは凄いなあ。死ね」
「怖いですわっ!!!」
「や、悪い悪い。俺の妬み根性が出た」
「うぅー……食べさせてもらってる者に言う台詞じゃないですの。酷いですの」
「無意識レベルで金持ちを恨んでるからなあ。諦めろ」
「より一層怖いですわっ!」
「分かった分かった。今回世話になったし、リナは除外しとくよ」
「せ、世話なんてしてませんわ! 拷問してるんですわ!」
「へいへい。それより、もっとくれ。ちょっと食べたら余計に腹減った」
「わ、分かりましたわ。ふーっ、ふーっ。はい、あーん、ですわ」
「あー、もぐもぐ。……いや、俺はありがたいんだが、冷ましていいのか」
「あ。も、もーっ! ごちゃごちゃ言うからすぐ忘れちゃうですの!」
「俺にとっては幸いだな。次もずっと忘れてくれると、とても嬉しい」
「そ、そうはいきませんわ! 次こそ熱々おかゆでアチチ火傷地獄ですわ!」
「そいつぁ怖いな」
「そうですのよ? もー舌が熱い熱いってなって、何も食べられなくなっちゃうんですのよ? それで……お腹空いちゃって……でも舌が痛いから食べられなくて……」
 何やら想像しちゃったのか、リナの目がうるみだした。
「お前が泣いてどーする」
「っ!? なっ、泣いてなんていませんわっ! それとこれはちっとも関係ないですが、諸事情により火傷作戦は中止ですのっ!」
「どんだけ優しいんだ、お前」(なでなで)
「やっ、優しいとか意味分かりませんわっ! 頭なでないでいただけますことっ!?」
「あ、悪い悪い。ついね、つい」
「……べ、別に、どーしてもと言うなら続けても構いませんが……」
「…………」
「しっ、してほしいわけじゃないですわよっ!? ……ほ、ホントに。……ホントですわよ?」
「あー。何やら無性にリナの頭部をこする嫌がらせをしたくなったが、どうだろうか?」
「……あ、貴方はすっごく性格が悪いから、わたくしが嫌がってもするでしょう?」
「いや、俺ほど性格がねじ曲がってると、一周回って逆にしないんだ」
「……本当に、いじわるですの」(半泣き)
「ああ嘘ですごめんなさい俺が悪かったですどうか泣かないで」(なでなで)
「……でも、とっても優しいですわよね?」
「ははーん。嘘泣きだな?」
「何のことか分かりませんわ♪」
「女性ってのは怖いなあ」(なでなで)
 そのような感じで、ニコニコしてるドリル頭の変な奴をしばらくなでてました。

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やっぱりリナは安定して可愛いなあ
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リナも、もっと積極的になるといいとおもうんですの…ジャッジメントですの!
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飯はどこ行った

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