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2020年02月18日
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【ハナ ツンデレ風味】

2010年06月03日
 お昼休み。恋人のハナと一緒に校庭で飯を食ってると、ふとハナの口元に目が行った。一口一口が小さいくせに沢山ものを口に入れるため、頬が膨らんでいる。一生懸命咀嚼してる姿は可愛いが、なんかリスみてえ。
「? どしました、彰人くん?」
「てっきり人間だと思ってたんだけど、ハナってリスだったんだな」
「……彰人くんの中でどのような会議が行われていたのか全くわかりませんが、人間ですよ?」
「ほう。では、試してみよう」
 ハナのほっぺをふにふにする。
「は、はや……ふにふにされてます。そ、それで、どですか? ちゃんと人間って確信が持てましたか?」
「実を言うと、適当に難癖つけてハナに触りたかったんだ」
「あ、彰人くんはえっちです。えっちですが、……彰人くんなら許しちゃいます」
「チクショウ、この生物は可愛いなあ!」
「は、はや……」
 なんだかむきゅーっとなってしまったので、勢い余ってハナをぎゅーっと抱きしめたら顔を赤くされた。
「あー可愛い。しかしなんだな、平和ですな」
「だ、抱っこされている現在、私の心臓は平和とは程遠い音を奏でてます。ばくばく言ってます」
「ほう、では実際に聞いてみよう」
「あっ、彰人くん!?」
 ハナのうすぺたい胸に耳をあててみる。ドコドコドコドコ中の小人が全力でノックしていた。
「うむ。すげぇ音」
「あ、彰人くん、彰人くん、彰人くん!?」
「あ、うん。俺はここにいるよ。よしよし」
「は、はや……」
 ハナの頭をなでてみると、落ち着いたのか、顔が安らいでいった。
「──ではないですっ! あ、彰人くん! こ、こんな昼間から、学校で、こ、こんなえっちなことはダメです!」
「えっちなこと?」
「わ、私のおっぱいに顔を埋めました。恥ずかしくて死にそーです」
「あー、客観的に見るとそう見えるか。……でも、まあ、いいか!」
「ちっともよくないです! ……あ、あの、抱っことかはすっごくすっごく嬉しいですが、そーゆーえっちなのは、そ、その、こゆとこじゃ、ちょっと……」
「言葉の裏を読んでみよう。『家でえろいことをしろ』……その命令、承った!」
「ちっとも言ってないです! ……あ、あの、でも、……そ、そのうち、なら……」
 ハナは顔を真っ赤にし、うつむきながら俺の服の袖をちょこんと引っ張った。ああ、もう。
「お前は可愛さで敵を殺す新型の兵器か」
「……あ、彰人くん限定で、そうです。がちゃーん、がちゃーん」
 奇怪なロボットダンスもどきを見せられ、俺はどうすれば。
「……何か言ってください」
「今日はいい天気だね」
「……言外にへたと言われました。しょっくです」
「まあそう落ち込むな。ところでハナ」
「はい?」
 ハナはこてりと小首を傾げ、俺の言葉を待った。
「唐突だが、ツンデレっぽく振舞って」
「……本当に唐突です。どしてですか?」
「えい」
「きゅっ」
 ハナの鼻を摘まむ。ハナは小さく鳴いた後、困ったように眉根を寄せて俺を見つめた。
「こういうわけだ」
「まったく分かりません。……でも、だ、大好きな彰人くんの頼みですから、が、頑張ります」
「極めて嬉しい事を言ってくれる。しかし、鼻声のままだったのでイマイチ感動できなかった」
「勝手な言い分です……」
 とりあえず鼻から手を離す。ついでにほっぺを手ですりすりする。
「……えへへ。彰人くん♪」
 ハナは俺の手に自分の手をあて、うっとりした顔でつぶやいた。
「じゃ、とりあえずお願いします」
「……も、もちょっとすりすりダメですか?」
「しょうがない。あと7時間だけだぞ?」
「思ったより長かったです! 嬉しい誤算とはこのことです」
 実際は3分ほどだったが、ハナのほっぺの感触を堪能した。
「……はぁ。大満足です。……じゃ、その、えっと、ツンデレっての、やってみますね?」
「頑張れ。俺はここで応援してるぞ」
「こほん。……そ、その。……か、勘違いしないでください。彰人くんなんて好きでもなんでもない……こともないです。実を言うと大好きです」
「それはツンデレではないです」
「む、難しーです。至難の業です。で、でも、頑張ります」
 再度咳払いをして、ハナは俺を見つめた。
「あ、彰人くんなんて、彰人くんなんて……え、えと、嘘ですけど、大嫌いです」
「前置きが余計です」
「……む、無理です。言えません。頑張ったけど、無理です」
「そこをなんとか頑張れ、ハナ! 言えなかったら罰としておでこ全開の刑が待ってるぞ!」
「なんとしても言わなければならない理由が出来てしまいました……」
 ハナがしょんぼりした。しかし、意を決したように目をくわっと開き、俺を見つめた。
「あ、彰人くんなんて……だ、だ、だ……だいっ嫌いです!」
「ハナに嫌いって言われた!?」
「嘘です、嘘ですよ!? ホントはすっごくすっごく好きですよ!?」
 なんとなくショックを受けた風を装ったら、俺の5倍くらいうろたえるハナの姿を見ることができた。
「なんだ。それなら俺と一緒だな」
「え? ……え、えへへ。い、いっしょ。いっしょ、です」
 ハナははにかみながら俺の服をそっと握った。
「……ふぅ。なんだかとっても疲れてしまいました。……これというのも、彰人くんが思ってもない事を私に言わせるからです。私、ちょっと怒ってます」
「おや、珍しい」
「そです。めずらしーです。……だ、だから、その罰として、その……だ、抱っこ、いーですか?」
 うつむきがちに甘えるハナに、俺は両手を広げておいでおいでするのだった。

 すると、二人してチャイムが聞こえないくらい抱っこに耽溺するというオチまでつく始末。
「抱っこの魅力、恐るべし、です……」
「全くだな。もうこれは抱っこ禁止令を出すしかないな」
 俺の言葉を聞いた瞬間にハナが泣きそうになったので、禁止令は施行されないことが可決されました。

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