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2019年10月18日
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【ツンデレに鞄を持たされたら】

2010年02月20日
「おい、そこの人間廃棄物」
 帰る準備をしてたら酷いあだ名で呼ばれたので振り向くと、みことが腕を組んで立っていた。
「違います」
「うるさい。貴様なぞ廃棄物で充分だ。特別に私の鞄を持つ栄誉を与えてやろう」
 当然のように鞄を俺に放り、みことは教室を出て行った。
「なんつー傲慢な奴だ! この俺がホイホイついていくと思ったら大間違いだ! 今すぐこの鞄を引き裂き、中身を千切っては投げ千切っては投げ」
「早くしろ愚図」
「はい」
 廊下からの声に、しょんぼりしながら教室を出る。まだ残ってた数人の級友が可哀想な人を見る目で俺を見ていた。
「遅いぞ莫迦。私を待たせるなぞ100億光年早い」
「光年は距離の単位だと思うますが」
「私に意見するなぞ100兆年早いわ、廃棄物。貴様は黙って鞄を持っていればいいのだ」
 くの……この野郎。怒り心頭、犯してくれる!(脳内で) ふははは、スク水姿でよがり狂っておるわ!(脳内で)
「おい、貴様の見るに耐えない醜悪な顔が更に歪んでいる。私の視界に入らぬ位置でやれ」
「はい、すいません」
 半泣きでみことの家まで着いていき、鞄を届ける。
「寄っていけ、廃棄物」
「あい」
 てってけてーとみことに着いていき、彼女の部屋へ。
「適当に座れ」
 言われた通り適当に座布団の上に座り、その俺の上にみことが座る。
「ふん。人間の屑のくせに、座り心地は中々だな」
「そいつはどうも」
 偉そうに鼻を鳴らし、みことは俺にもたれた。
「今日の稽古も、貴様が相手しろ」
「とても嫌だ」
「何か言ったか?」
「みことに相手してもらえるだなんて、光栄の至りだなあ」
 本当は竹刀でべこんぼこんにされるので、とても嫌だ。
「ふん、当然だ。私に選ばれた栄誉を噛み締めていろ」
「や、別にいいんだけど……俺、弱いよ? みことは強いんだから、俺みたいな素人じゃなくて、門下生の人とやった方がいいんではないかと」
 みことの家はなんとかという流派の道場の始祖らしく、今では全国に沢山の道場があるらしい。当然、その娘であるみことはトテモツヨイので、俺なんかじゃ到底相手できないのだが……。
「私に意見するな、愚図。貴様は黙って私の相手をしていればいいのだ」
 そう言って、みことは全国から選りすぐられた門下生たちと手合わせせず、俺ばかりいじめる……もとい、稽古をつける。
「……それに、貴様も一応は門下生ではないか」
「誰も頼んでないのにな」
 気がつけばみことに無理矢理入門させられていた。本当は俺みたいな素人は門前払いされるらしいが、みことの知り合いということで特別に入門を許されたのだ。
「貴様の軟弱さがあまりに目に余ったからだ。私の優しさに感激し、涙で溺れぬようにな」
「そいつぁどうも」
「……感謝の念が感じられんな。貴様はもっと私を尊敬しろ」
「無茶を言うない。まったく、みことがいなけりゃ、こんなとこ今すぐ辞めてんだけどなあ」
 後ろからみことをぎゅっと抱きしめ、胸いっぱいに彼女の匂いを吸い込む。
「……何をしている」
「みこと臭を吸収中」
「やめんか、変態めが! ええい、離せ!」
「うーん、ムラムラしてきた」
「ふ、ふざけるな! そんなつもりで連れてきたのではないわ、たわけ! ええい、いつもいつも私に欲情しおって……この変態が!」
「ちゅーしたいな、ちゅー」
「だ、ダメに決まっているだろう、莫迦が!」
「ちゅー」
「んぷ……む、ちゅ……や、やめろと言ったはずだ、この莫迦が。ど、どうしてお前は毎回私にちゅーをするのか。まったく、貴様の脳はどうかしている」
「…………」
「な、なんだ? 己の低脳さに気づき、命を絶つ事を決心したか?」
「悪口言いながら俺にしがみ付いてるみことラブ」
「んにゃ!? ち、ちちち違うぞこれは違うぞ!? こ、これは……そ、そう、このまま貴様を締め落として殺そうと画策している最中だ!」
「あーもう、たまらんなあ!」
「んにゃ!? こ、このみこと様をぎゅーっとするなぞ、本来なら万死に値するぞ、莫迦めが。……と、特別に今だけは許してやるが」
 むぎゅーと抱きしめられ、憮然とした表情で頬を高揚させるみことだった。

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