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2024年04月26日
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【ツンデレとマクドナルド】

2010年06月18日
 放課後、みおと一緒に帰ってると、突然ハラヘッタという台詞が飛び出した。
「そこに雑草が生えてます」
「オマエが食え」
「うっうっうっ……」
「泣きながら抜くな! 嘘に決まってんだろ!」
「なんだ。みおのことだ、無理やりにでも食わせるのかと思った」
「どんだけ悪人だと思われてんだよ……むかついたから、オマエの奢りでどっかで飯食わせろ」
「なんということでしょう」
 そんなわけで、近くのマクドナルドへやって来た。
「で、何食うんだ?」
 列に並びながら、みおに訊ねる。
「んと……てりやきバーガーとクォーターパウンダーとベーコンレタスバーガーとチキンタツタと」
「…………」
「無言で店から出ようとすんな!」
 首根っこを掴まれ、列に引き戻される。
「あのですね、みおさん。俺の財布は叩いても内容物が増えないので、そんなに買われると死に絶えるのですが」
「んなの知らねーよ、ばーか」
「…………」
「だから、無言で出ようとすんな! なんで半泣きなんだよ!」
「お金が、お金がないんです……」
「だーっ、もう! うるせーなー! わーったよ、ちょっとだけにしてやんよ。なっさけねーなー、オマエ」
 俺に情けがなかったおかげで、みおはてりやきセットだけ頼むことになった。俺はハンバーガーひとつ。
「んーで、なんでオマエはセットじゃねーんだ?」
 席で注文の品ができあがるのを待ってると、みおが疑問をぶつけてきた。
「さっきも言ったように、お金がないのです」
「びんぼーにん」
「その貧乏人にたかってるのは誰だ」
「にゃはは……まっ、気にすんな」
「にゃははと可愛い感じで誤魔化されては、気にしないに決まってるであろう!」
「ぅ……か、可愛いとか言うなっ!」
「照れ隠しに殴るのもまた。だがしかし、その打撃力は俺の予想を遥かに超えており、結果すいません助けてください!」
「イチイチ叫ぶな!」
 などと店に迷惑をかけていると、店員さんが注文の品を持ってきた。
「へへー、んじゃいただきまーす!」
「おあがりなさい」
「んがんが……んぅー♪ 久々だけど、やっぱうめーな!」
 みおは嬉しそうにハンバーガーをほうばった。女性とは程遠い口調だが、元気いっぱいで可愛いので頭とかなでたい。
「……なに人の頭なでてんだよ」
「お?」
 宿主の意向を無視したのか尊重しすぎたのかは知らないが、俺の腕が欲求だけに留まらず、実際にみおの頭をなでていた。
「おお! いやあのですね、説明するからせめてその間だけは生かしておいてくださると何かと助かります」
「なんで殺す前提なんだよ! ……んで、いつまでなでてんだ?」
 みおはハンバーガーをはぐはぐ食いながら、俺をじろーっと睨んでいた。しかし、その頭には俺の手が載っており、さらにせわしなくなでているので、結果俺になでられながらも怒ってるみお、という図式が完成しているので、持って帰りたい。
「な、何をにやにやしてんだ! ばっかじゃねえの? ……つ、つーか、ホントにいつまでなでてんだ」
「だってもぐもぐ中のみおがなんかもう新種の生物かーってくらい可愛いので、俺の腕が制御を受け付けないんですもの!」
「で、で、ですものじゃねえ、ばーか! ……え、えと、あと、……ばーか!」
 人をなじりながらも、みおはそれでも俺の腕を跳ね除けようとはしなかった。あと、頬の赤さは指摘しない方がいいのでしょうか。
「いや本当すいません今度俺の制御を受け付けない腕になったのであれば切除も視野に入れるのでどうか勘弁を」
「……とか言いながら、ちっともやめる気配ねーし」
「うーん……まあいいか。さよなら五体満足」
「一瞬で諦めんな! ……はぁ。も、もーいーよ。好きなだけなでたらいーよ。べ、別に減るもんじゃないしさ」
 みおはハンバーガーの包み紙で顔を隠そうとしながらもごもご言った。
「やったあ! あ、最初に言っとくが、なですぎて発火したらごめんな? いわゆるナデボッてやつ」
「…………」
 とても怖い目で睨まれたので、細心の注意を払ってみおの頭をなでる。震えながらもなでるのをやめない俺をどうか褒めて欲しい。
「もがもが……ごくん。ごちそーさま」
 向こうは食べ終わったようだが、俺のターンは未だ終了していない。俺はみおの頭をなで続けた。
「……うぅ」
 みおはちらちら俺を見ながら、目だけでまだかと催促した。それに気づかないフリをして、なでなでを堪能する。
「……うー。……うー!」
 両手で自分のズボンをぎゅっと握り、みおは声を出して俺を急かした。しかし、それでもなお俺は気づかないフリを続ける。
「うー! うー! うー!」
 俺の気づかないフリにいい加減怒ったのか、みおは俺の頬をつねりながらうーうー言った。しかし、そんなもので俺のなでなで欲を抑えられようか。俺はそれでもみおの頭をなで続けた。
「うーっ!」
 殴られたので、なでなで中止。
「お前……殴るのはナシだろ」
 あふれ出る鼻血を止めつつ、みおを糾弾する。
「うっさい、ばーか! いつまでなでてんだ!」
「お前が好きなだけなでてもいいと言ったではないか」
「限度があんだろ! いくらなんでもなですぎだ、ばーか!」
「こんな機会でもないと、みおの頭をなでられないので」
「う……な、なんでオレの頭をそんななでてーんだ?」
「恐らく、みおの考えてる通りかと」
 みおの顔が一気に赤くなった。
「えっ、ええっ!? なんでバレて!? あ、あのっ、違うぞ!? みおはオマエなんてちっとも!?」
「まあ本当はお前が何考えてるかなんてちっとも分からないのですがね。はっはっは」
「…………」
「おや? どうしましたみおさん? 何やらぷるぷると震えているようにお見受けしますが。そして嫌な予感がふつふつと」
「……しゅんごくさつ!」
 何か選択肢を誤ったようで、マクドナルド店内だというのにKOされたので辛い。あと、一人置いてかれるのも辛い。

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