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2019年10月15日
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【ツンデレに昼は大体コンビニかなって言ったら】

2011年04月27日
 今日は休日だが、特に用もないのでぷらぷら街を歩いてたら、腹が減った。近くのコンビニで何か買おうと入ると、何やら見知った後ろ姿が。回れ右する前にその後ろ姿が振り向いた。
「……これはこれは、おにーさんじゃないですか。身体が横向きで、そのうえ顔が引きつってるのは気のせいですか?」
「い、いやぁ、ふみに会えたのに引き返そうとか顔が引きつったりとかするはずなんてないじゃないか」
 本を元の場所に戻し、とてとてとこちらに歩み寄ってきた知り合いであるところの中学生、ふみに笑顔を作りながら答える。まあ、その笑顔が完璧とはとてもじゃないが自信をもって言えやしないが。
「とう」
「へぶっ」
 嘘笑いを看破され、ふみに腹を突かれる。
「痛たた……お前なあ、いきなり殴るな」
「嫌そうな顔をするのが悪いんです。おにーさんのばか」
「いや、別に嫌という訳じゃないんだぞ? ただ、すげー厄介な奴だとは常々思っているが」
「とう」
「へぶっ」
 先ほどのやりとりをもう一度繰り返す。
「それで、おにーさん。私に何か用ですか」
「別にお前に用なんかねーよ。小腹が空いたから何か買いにきただけだ」
「むっ。私に用がないとはおにーさんのくせに生意気です。いつもいつも人の中に出すだけ出して、スッキリしてる時は用なしですか」
 ふみを抱え、慌ててコンビニの隅に逃げる。
「人聞きが超悪ぃッ! ていうかいつお前に手出したッ! 日夜我慢してるってのになんたる言い草か!」
「私の夢にいつも出てくるおにーさんが毎夜毎夜私にします」
「……いや、夢までは面倒見れねぇよ」
「おかげで毎日睡眠不足です。慰謝料ください。いちおくえんでいいです」
「あーまた今度な」
 ふみの頭をくしゃくしゃとなでてやりすごす。まったく、こいつにはほとほと困る。
「まあ、面白い情報が手に入ったので今回はいいです。……我慢してるんですか」
 ふみの頭をなでる手がピタリと止まる。これは分かりやすい失言をしたような。
「流石はおにーさん、いつだって中学生の肢体に興味津々なんですね?」
「い、いや、何の話だか俺には皆目」
「今度一緒にお風呂入りましょうね。あ、見たり触ったりしたら通報しますから」
「すげー楽しそうですね、ふみさん」
「気のせいです」
 と言いながらも、いつもの無表情の中に小さな笑顔を含ませている。まあ、付き合いの長い俺くらいでなければ見逃してしまうほど些細なものだけど。
「はぁ……ともかく、飯買うべ。ふみ、お前飯は?」
「まだです」
「んじゃ来い。安いのでよけりゃおごってやるよ」
「嫌です。高いのがいいです」
「安いのな」
「おにーさん、甲斐性ナシです」
「ただの学生に無茶を言うない。ていうか、コンビニにそんな高い飯なんてないだろ」
「そこは量でカバーです」
「絶対食いきれねえだろ。ヘタすりゃ一個でも多いんじゃないか?」
「そんなことないです。……小さめのお弁当なら食べ切れます」
 こいつは普通の奴より小さいだけあって、食う量も相応だ。別にそんなこと気にする必要もないと思うのだけど、こいつはそうでもないようで。
「大人なのに沢山食べられないなあ、ふみ?」
 つーわけで、早速大人げなく攻める。
「沢山食べるロリコンよりマシです」
 思わぬところで反撃を喰らう。もう立ち上がる気力なんて残ってません。
「もうお前にはおごってやらん」
「些細なことですぐに腹を立てるロリコ……おにーさん、素敵です」
「もうちょっと褒める箇所を推敲して! ていうか明らかにロリコンって言おうとしただろ!」
「ところでおにーさん、おにーさんはどうして生きてるんですか?」
「おおぉう。なんというシンプルかつ鋭利な攻撃だ。立て続けの攻撃に膝が笑ってるぜ」
「あ。ちょっと言葉が足りませんでした。おにーさんはお休みの時、お昼はどうしてるんですか、と聞きたかったんです」
「言葉が足りないどころか丸々違うぞ」
「てへ、しっぱいしっぱい」
 くっ……わざとに違いないが、可愛らしいので指摘できない!
「今日もおにーさんは私の手の平の上で転げまわっていて、大変愉快です」
 そして全部分かっててやってるふみに大変腹が立ちます。ほっぺ引っ張ってやれ。
「むにょー」
 今日もふみには全く通用しない模様。胸に去来する敗北感を噛み締めながら、手を離す。
「おにーさんはすぐに女性に手をあげますね」
「相手によりけりだ」
「つまり、興味のある女性にのみ手をあげるのですね。非常に迷惑です。やめてください」
「なんて勝手な娘だろうか」
「そんなことないです。それで、さっき質問の答えは?」
「ん、ああ。昼な。大体コンビニかなあ。休みの時はなんだかんだと親が家あけてること多いから」
「その調子です。身体に悪い物質をたくさん取り込んで早死にしてください」
「そういうことをコンビニで言うなッ! ええいっ、帰るぞ!」
 話を聞いていた周りの客や店員の悲しそうな顔を尻目に、ふみを小脇に抱えて慌ててコンビニを飛び出す。
「まったく……ああもう、あのコンビニ行けやしねえ」
「おにーさんは何かあるとすぐに私を抱えますね」
 俺に抱えられているふみが、ジト目で俺を睨みながら責めた口調で話しかけてきた。
「その何かってのは大体お前によって引き起こされるものだがな」
「酷い責任転嫁を見ました」
「ちっとも転嫁してねぇ! 全てお前の責任だっ!」
「不思議な話もあったものです」
「こいつは……」
「とりあえず、離してください。私に触りたいのも分かりますが、このままでは妊娠しかねません」
「しねぇよッ! どういう身体の構造してんだ!」
 とはいえ、ふみの言う通り長々と触っているのも色々問題があるので、とっとと解放してやる。
「んしょっと。さて、おにーさん。お昼はどうするつもりですか?」
「コンビニで適当に買うというプランが何者かの手により妨害されたので、どっか適当なファミレスで食うことにする」
「しょうがない、そこまで言うならおごられてやります」
「おごると言ったのはコンビニでの話で、ファミレスはまた別の話なのだよ?」
「パフェも食べます、パフェ。あの甘いと噂の憎い奴を食べます」
「だから、あの。話を聞け」
「ほら、早く行きますよ、おにーさん。早く行かないと閉まってしまいます」
 俺の話を今日も聞かずに、ふみは俺の手を取って急かすのだった。

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