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2024年03月28日
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【"ちなみん"ならぬ"ちなまん"】

2010年03月10日
 家に帰ると、なんか湯気たててる物体が。あ、こっち向いた。
「こんにちは」
 まんじゅうに挨拶された。あ、いや、ちなみだ。まんじゅうの中心はくりぬかれており、そこからちなみが顔を覗かせている。
「……まんじゅうです。ちなみのまんじゅう、略してちなまんです。……おいしいと、大評判」
「そういうことでは、ないと思う」
 ぺしぺしとちなみの頭にチョップする。
「……むぅ。チョップする人には、食べさせてあげませんよ?」
「別に食べたくないし、いい」
「……ダンボールは入ってませんよ?」
「時事ネタはすぐ風化するから危険ですよ、ちなみさん」
「……まぐまぐ、おいしい」
 人がせっかく危機を知らせているのに、ちなみときたら自分の体をちぎって食べてる。
「……右っかわがあんこ、左っかわが肉。……一つで二つの味が楽しめます」
 “すごい? 褒める?”と視線が訴えていたので、無視する。
「……タカシはあまり褒めてくれないので、つまらないです。……つまり、タカシはつまらない人間です。死んだほうがいいです。えいえい」
 えいえいと言いながらちなみは俺の頬を引っ張った。そんなのでは死ねない。
「……ふぅ。……満足したので、死刑は中止します」
「近頃の死刑は気分次第で中止したりするのですね」
「うるさいです。……そんなのいいから、ちゃんと褒めるべきです。……褒めないと、結婚してあげませんよ?」
「嫁がまんじゅうなのはちょっと」
「……今明かされる新事実。実は、私は、……まんじゅうではないのです。ばばーん」
「知ってる。あと、効果音を口で言うな」
「…………」
 不満そうな顔をされても。
「あーもー分かった。褒めてやる。……おほん。えっと、……ち、ちなみは可愛いなぁ」
「……わ、私を褒めるのでなく、まんじゅうを褒めるのです。……た、タカシの勘違いには、困ってしまいます」
 珍しく照れた顔で、ちなみは俺の胸をぺちぺち叩いた。
「特に、貧乳な所が可愛い」
 泣き怒りな顔で俺の顔をべしべし叩くちなみだった。

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