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2019年10月15日
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【鶏ちなみん】

2010年05月09日
 朝からコケコケうるさい鶏がいるなぁと思ったら、ちなみだった。
「……にわとりです。こけー」
「なに人んちの前で鳴いてんだよ! 近所迷惑だし恥ずかしいからどっか行け!」
 窓から叫ぶと、ちなみは悲しそうに声を震わせて言った。
「……私、恥ずかしいですか?」
「え、いや、家の前で叫んでるのが恥ずかしいのであって、別におまえが」
「……じゃ、そっち行きます」
 言うが早いか、10秒もせずにちなみが俺の部屋に現れた。
「……にわとりです。こけこっこ」
「帰れ」
「……折角来たのに帰れだなんて、タカシはいじわるです。……新鮮な卵をあげようと思ったのに」
「……産むのか?」
「産みます」
 即答してぽろぽろ卵を産み出した。
「なんでそう無駄に高性能なんだよ!」
「……無駄とか、ひどいです。……みんな、お父さんはいじわるですね」
 ちなみは床に落ちた卵をかき集めて胸に抱き、とんでもないことを言った。
「誰がお父さんだ! 種を仕込んだ覚えはないっ!」
「……みんな、お父さんは認知してくれません。……悲しいですね」
「悲しいピヨ~」「悲しいピヨ~」「悲しいピヨ~」
 卵が割れ、中からちなみにそっくりな顔をしたヒヨコが現れた。
「ああもう、ああ! 何が悲しいピヨだ! ていうかなんでそんな無意味に凄いんだよ!」
「……頑張りました」
 薄い胸を張るちなみを見て、もっと違うことを頑張って欲しいと願わずにはいられない。
「……なんで褒めないんですか?」
「褒めるか!」
「……残念です。折角タカシが褒めてくれると思って頑張ったのに。いーこいーこしてくれると思ったのに」
 そう言って、期待を込めた目で俺をじっと見つめる。胸に抱かれたちなみ(小)も俺をじっと。
「……はぁ。いーこいーこ」
 諦めてちなみの頭をなでる。ああもう、こいつなんでそれだけでこんな嬉しそうな顔すんだよ。
「……はふぅ。タカシのなでなでは堪りません。病み付きです」
 勘弁してください。
「……満足したので今日はとりあえず帰ります。もっとたくさん産めるよう改良してくるので、次はもっともっと頭なでてください」
 俺に喋らせる暇を与えないまま、ちなみは来た時と同様素早く出て行った。
「……これも持って帰れよ」
 俺の周囲で「ぱぱ、ぱぱ」と鳴く小さなちなみを見て、俺は深くため息をついた。

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