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2024年04月27日
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【白魔法も黒魔法も使えるちなねえ】

2010年04月01日
「……タカくん、タカくん」
 耳慣れた声が聞こえたので、全力で逃げる。
「……えい、ぱららいず~」
「ぐっ」
 ちなねえのやる気のない声を聞いた瞬間、全身が金縛りにあったかのように動かなくなる。慣性の法則により、顔面から床に落ちた。
「……タカくん、お姉ちゃんから逃げてはいけません」
 のんびりやって来たちなねえが、俺の顔の前にしゃがみ込んだ。
「あ、あの、ち、ちなねえ、か、体、ぴりぴり、すんだけ、ど」
 俺の顔の前に座ったため、ちなねえのパンツは全開です。頑張れ網膜、今こそ残された力を解き放ち、脳裏に全て刻み込め!
「……? タカくん、どこ見てるんです?」
「ぱんつ」
 思わず素直に答えると、ちなねえの顔が真っ赤に染まった。
「……た、タカくんのばかばか。……お姉ちゃんのパンツを見るなんて、反則です」
 俺をぽかぽか叩きながら、ちなねえは恥ずかしそうに片手でパンツを隠してしまった。無念。
「そ、そんなことより、しびれを、どうにかして」
「……お姉ちゃんのパンツは、そんなことなんですか……」
 ちなねえが凹んだ。
「い、いいから、今はしびれを……」
「……ちょっと不満ですが、弟の頼みは断れません。……えい、でぃすぱららいず~」
 ちなねえのやる気のない声で、体の痺れが取れた。軽く腕を回し、ちゃんと動くか確認する。
「はぁ……やっと戻った」
 軽く息をついてると、ちなねえが「治したよ? 褒める?」と期待に満ちた目で俺を見ていたので、無視してあげる。
「……タカくん、最近お姉ちゃんに冷たいです」
 ちなねえが拗ねた。
「夏場だから冷たくした方がいいと思って」
「……そんなことされても、嬉しくありません。……はっ。ということは、冬になれば暖かくされるのでしょうか? ……だ、抱っことか?」
「しないよ」
「…………」
 ちなねえは悲しそうに俺を見た。ちょっと犬っぽい。
「そんなことより、ちなねえ俺に何したんだ? 急に痺れたんだけど……」
「……ふふ、よくぞ聞いてくれました」
「あ、やっぱいい」
 嬉しそうにほくそ笑むちなねえに嫌な予感がしたので、慌てて首を横に振る。ちなねえの眉尻が悲しそうに下がった。
「……タカくん、お姉ちゃんのこと、嫌いになっちゃいましたか?」
「じ、冗談だよ、冗談。ごめんな、ちなねえ」
 ちょっと泣きそうになっていたので、慌ててちなねえの頭をなでる。
「……こ、こんなことで喜びませんよ。……お姉ちゃんですから」
 ものすごくニコニコしながら言われた。
「……あ、そうそう。……痺れなんですが、……なんと、お姉ちゃんの新技、黒魔法でタカくんをびりびりさせました」
「それは……えっと、また例の本から学んで?」
「……これですか?」
 そう言って、ちなねえは例の本──月刊お姉ちゃんを取り出した。いつものように奪う。
「『この夏は黒魔法で決まり! 弟を捕縛、魅了、抹殺、なんでもこい』……?」
「かっ、返してください」
 物騒な事が書かれてる本を取られた。抹殺って何だ、抹殺って。
「……まったく、タカくんはすぐ私の本を取ろうとしますね。……そんなにお姉ちゃんの物が欲しいんですか?」
 単に怖いもの見たさで取っただけなのだが、変に解釈された。でもなんか嬉しそうだし、黙っていよう。
「……ど、どうしてもと言うなら、その、……お姉ちゃん、ぱんつあげても……」
「いりません」
 きっぱり断ると、ちなねえは悲しそうに俺を見上げた。姉のパンツ貰って喜ぶって、俺は変態と思われているのだろうか。
 ……いや、まぁ欲しいけど。
「んで、ちなねえ。他にどんなことができるんだ? 胸が大きくなる魔法とかないのか?」
「……ないです」
 自分の薄い胸を見下ろし、ちなねえはとてもとても悲しそうに呟いた。
「……タカくんは、おっきなおっぱいの女性が好みですか?」
「嫌いじゃないが、俺はつるぺたの方が好きだな。子供みたいで可愛いよね」
 ちなねえはまるで花が咲いたように笑った。……が、その後少し難しい顔をした。
「……弟が変態に。……だけど、私の胸はぺたぺた。……むむ、これは難しい問題です」
 難しい顔をして何か悩んでるちなねえだった。

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