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2024年03月29日
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【ツンデレは寝不足なようです】

2010年02月25日
 先生が子供で困る。いや、精神年齢でなく、実年齢が。特例で先生になったらしい。
「う~……出席取るから席に着け、愚民ども」
 そんな先生が目をこすりながら教室に入ってきた。だらだら出席を取った後、先生は大きくあくびをした。
「ふあああああ……ふう。えーと、今日は自習。てけとーに勉強してろ。騒いだら停学だかんな」
 そう言って、先生は教室を出て行った。
 ……なんという横暴だろうか。先生という権力をかさに着て生徒に苦行を布き、自分は寝ると? 許せない、許せるものか! クラスを代表してばにゅーんと言ってやる!
「べ、別府くん? どこ行くの? 自習しないの?」
「決して寝込みを襲おうとか思ってないから安心しろ」
「ものすっごい不安なことを言い残してどこ行くの!? 別府くーん!」
 隣の女生徒が何か叫んでた。

 教師に見つからないようにしながら、どうにか子供先生が半ば自室にしている化学準備室に到着した。鍵は……む、かかってる。まあ、合鍵あるから平気さ。
 鍵穴に鍵をさしこみ、くるりと回す。軽い抵抗があり、鍵が開いた。音を立てないようにドアを開け、素早く室内に入り、静かにドアを閉める。
「……ご、ごごごごごご……ぐおおお~っ」
 可愛さの欠片もない寝息を立てる子供がソファーで寝てた。
「声だけだとおっさんだな」
 ただ、寝顔は歳相応で可愛かった。いや、俺はロリコンじゃないので欲情はしませんが。本当に。マジで。
 なに、信じられないだと! よし分かった、俺がロリコンじゃない事を証明してやる!
 大義名分は整ったのでいたづら開始。信じられないと言った幻聴に感謝。まずはほっぺをふにふにするゼ!
「んー……んあ?」
 起きた。全くいたづらできなかった。神を呪わずにはいられない。
「んあっ!? ななっ、なんで別府がここにいるんだっ!?」
「許せねえ……絶対殺す」
「ぴきゃあああっ!?」
 物凄く怯えられた。
「あ、いや、違うぞ? 俺は神を呪っただけで、先生に言ったんじゃないぞ?」
「だっ、ダメだぞっ! 先生を殺したりしたら警察の人に怒られるんだかんなっ!」
 別に先生に限らず、誰かを殺すと捕まります。
「いーから落ち着け」
 ほっぺをむにーっとして落ち着かせる。
「は、ははへーっ!(は、はなせー!)」
「落ち着いたか?」
「ほふふふは、ははっ!(落ち着くか、馬鹿!)」
 なんだかとってもムカついたので、さらにほっぺを引っ張る。
「ふひゅーっ! ふひふふはふーっ!(訳不能)」
「落ち着いた?」
 涙目でコクコク頷かれたので、手を離してあげる。
「うああああ……痛いぃ……」
 先生は真っ赤なほっぺをさすった。
「大丈夫、泣き顔の先生も可愛いよ?」
「ぜんっっっぜん嬉しくないっ!」
「というか、そそる」
「へ……変態だーっ!」
「先生、たとえ眠くても授業はちゃんとしたほうがいいと思うぞ」
「変態について何か言及しろっ!」
 何を今さら。
「……まあいいや。で、なんでここにいるんだ、別府? 自習してろって言ったじゃんか」
「さっきも言ったように、授業をしろと提言を」
「眠いから嫌だ」
 簡単に断られた。なんだこのわがまま先生は。
「あんまりわがまま言うと、怒るぞ」
「別府なんかに怒られても怖くないよーだ」
 そう言って、先生はあっかんべーをした。なんだその時代錯誤。つーか、さっきメチャメチャ怯えてたの誰だ。
「俺を怒らせると、おしりぺんぺんという名の尻触りまくり大会が開かれるぞ」
「へ……変態だーっ!」
「ということで、触るぞ」
「だから、変態について言及しろっ! ていうか触んな、ばかっ!」
 尻を触ろうとしたらげしげし蹴られた。非常に残念。
「あーもう、いーじゃんちょっとくらい寝ても。昨日寝るの遅かったからねみーんだよ」
「だからあれほど早く寝ろと言ったのに……」
「あーうっさいうっさいうっさい! ぐちぐち言うな! おまえ私のママか!」
「ただの下宿人です」
 何の因果か俺はさる事情により、こいつの家に下宿している。
「なんでお前は眠くねーんだ? 朝の3時くらいまで一緒に桃鉄してたのに……」
 先生は大きくあくびをした。女の子なんだからちょっとくらい隠せ。
「先生と違い、大人ですから」
「んだよ……私が子供だってばかにしてんのか!」
「いや、子供は大好きなので馬鹿になんて。……大好きと言ったけど、ロリコンじゃないよ?」
「心底信用できねー」
「よし、なら幼女の裸に興奮するかテストだ。舞台は病院、俺が医者で先生が患者な。ちみちみ、診察するので服脱いで」
「ただのお医者さんごっこじゃねーか! やっぱお前ロリコンだ!」
 なかなか信用されなかった。
「まぁどうでもいいか。それより授業しろ、授業」
「……あー、ダメだ。やっぱ眠い。起きたら授業してやっから、ちょっとだけ寝かせろ」
 先生はソファに寝そべり、目をつむってしまった。こりゃ無理かな。
「しょうがない先生だな……ちょっとだけだぞ?」
 先生の隣にこしかけ、さらさらの髪をすくようになでる。
「むー……なんか低い。おい別府、枕になれ」
「はい?」
「だから……こうだよ、こう」
 じりじりとにじり寄り、先生は俺の太ももに頭を乗せた。
「これでよし。はふー」
 満足したように息を吐く先生だったが、すぐに目を開いた。
「むー……固くて寝にくい」
「じゃあ膝枕やめて、普通に寝ろ」
「それは嫌だ。理由は別府には秘密なのだー」
 イタズラっぽく言って、先生は目をつむった。それから一分もしないうちに、先生はまたおっさんのような寝息を立て始めた。
「……あれ、ひょっとして俺戻れないんじゃ?」
 涎を垂らし始めた先生の寝顔を見ながら、まあいいかと思う俺だった。

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