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2024年04月21日
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【ツンデレを遊びに誘ったら】

2013年03月01日
 最近暖かくなってきたので、どうにも眠い。
「くああ……」
 そんなわけで、絶賛眠気と戦い中の授業中の中まみれであり、ロン、中のみ(麻雀知識皆無なのですよー)である。
「うーむ……。眠い。これほど眠いのに寝ると怒られるのが理解に苦しむ。いっそ軽く眠ってから授業を受けたほうが効率は上がるのではないだろうか。外国に倣い、シエスタを導入してはどうだろう」
「うるさい。授業中よ。話しかけるな。授業中じゃなくても話しかけるな。そのまま死ね」
 眠気を覚ますべく、隣の席のかなみに軽く話しかけたら死ねって言われた。
「いかに親しい仲とはいえ、挨拶代わりに死ねと言うのは如何なものかと思いますがね!」プンスカ
「親しくない。だから話しかけるな。いいから死ね」
「む、また言われた。あと一回くらい言われたら絶望のあまり公衆の面前で死ぬやも。ただ、自棄になって死ぬ前にかなみを襲うやもしれないので、ご注意を」
「…………」
 悪霊あたりなら見ただけで消滅しそうな鬼睨みをされた。超怖い。
「はい、分かりました。授業に専念します」
「……分かればいいのよ」
 超ドスの聞いた声で俺を脅し、かなみは前を向いた。怖かった。

「といったことがあったんですよ! 軽い雑談で死ねとか、酷いと思いませんか?」
「話しかけるなって言ってるでしょ! ていうかそもそもあたしへの愚痴をあたし本人に言うなッ!」
 学校終わって帰り道、かなみがいたので勝手に横に並んで愚痴を言ったら怒られた。
「陰口は嫌いなんです」
「んじゃ愚痴自体言うな!」
「モヤモヤはあるんですよ。そういやモヤモヤさまぁ~ずで大江アナが降板するらしいね。ゴールデン行ってから見たことないけど」
「知らんッ!」
「そりゃそうだ。ところでかなみ、このあと暇だし遊びに行っていい?」
「嫌」
「じゃあ遊びに来るか?」
「嫌」
「ならどこか寄って帰るか?」
「嫌」
「そろそろ心が折れそうだが、今度の休みにどこかへ行かないか?」
「嫌」
「……よし。死ぬから自殺幇助しろ」
「折れるにしても酷すぎるっ!」
「もう無理だよ……俺の手札にはもう何もないよ……」ポロポロ
「泣くなッ! ああもう、情けないわねぇ……」ナデナデ
「でへへぇ」
「うわ、気持ち悪」シッシ
「…………」
 立ち直ったら立ち直ったでこの扱い。
「はぁ……で、どこ行くの?」
「へ?」
 シッシと追い払われたので、泣き濡れながら家で寝ようと思っていたら、不意にかなみがそんなことを言い出した。
「だ、だから。……次の休み、どっか行くんでしょ?」
「え、いや、断られましたが」
「断ったら死ぬんでしょ?」
「え、死ぬの?」
「さっき言ってたじゃない」
 いかん。軽い冗談で知らぬ間に追い詰められていた。選択次第で『ざんねん! わたしのぼうけんはここでおわってしまった!』へ一直線だ。
「で、どこ行くの? 場所によっては行ってあげなくもないわよ?」
「ラブホ」
「絶っっっっっ対に、行かないッッッッッ!!!」
 わたしのぼうけんはここでおわってしまった。
「もちろん冗談ですがね」
「分かってたけど、悪趣味よ!」
「そうだね。ごめんね」
「……ったく。で? 本当はどこ?」
「何も考えてねえ」
「…………」
「家で寝ていてえ」
「…………」
「あと、お金持ちになりてえ。ゲームとか漫画とかいっぱい買いたい」
「アンタ、本気であたしとデートする気あんの!?」
「ひぃ」
「あによ、何も考えてないだの家で寝てたいだの、あげくにお金持ちになりたい!? もうデートと全然関係ないじゃないの!」
「い、いやあの、かなみさん」
「あによ!」
「デートなんですか?」
「……へ?」
「いや、その、男女が二人で遊びに行くのをデートと称するのであればデートですが、俺としてはただ友人同士で楽しく遊ぶだけのつもりでしたので、その」
「……~~~~~!!!」
 かなみが真っ赤になった。とてもかわいい。
「そっ、そっ、そっ、そんなわけないじゃないの! なにを勝手にデートにしてんのよ! そーよ、遊びに行くだけよ! すぐにデートとか言って、これだから童貞は気持ち悪いのよ!」
「俺は言ってねえ」
「何か言った!!!!?」
「何も言ってません。お願いですから命だけは」ブルブル
 悪霊どころか生きた人間まで祓いかねない目をされたので、震えながら許しを請う。
「何が命だけは、よ」
 こっちは必死だったが、震える俺を見てかなみは少し落ち着きを取り戻したようだった。
「……で、そ、その。……デートじゃなくて、遊びに行くのはどうなったのよ」
「あ、ああ。行きたいです」
「そっ。……じゃあ、特別に、行ってあげてもいいわよ」
「やったあ! じゃあ近所の本屋でぐだぐだぐでぐで8時間くらい一緒に立ち読みしよう」
「一回だけ考えなおす機会をあげるわ♪」
 すげえ。笑顔なのに死ぬ危険を感じる。
「じ、じゃあ、その、ええとですね、か、カラオケとかどうでしょうか!?」ブルブル
「カラオケ、ねぇ……どーも陳腐ねえ」
「チンプイ?」
「陳腐よ、陳腐! 頭腐ってんじゃないの!?」
「発酵食品とか好きだから、あながち間違いではない。ヨーグルトとか」
「間違いよ! ……まあ、アンタって発想が突飛だから、陳腐も何もないわよね。……ま、まあ、そーゆーところも、結構アレだし」ゴニョゴニョ
「何ひとつ聞こえねえ。頭に続き耳が腐ったか」
「な、何も言ってないわよ!!」
「なんだ。ところで、どうしてそんなに顔が赤いのですか。少しばかり心配ですよ?」
「う、うっさい! こっち見るな、ばかっ!」
「心配したのに馬鹿扱い」
「う~……」
 どうして睨まれているのだろう。
「まあよく睨まれるし、別にいいか。というわけで、次の休みにカラオケに行きましょう」
「わ、分かったわよ……。あ、そうだ! アンタ、アニソンばっかじゃなくて、ちゃんと普通の歌も仕入れておきなさいよね! 前みたくアンタのアニソンメドレーなんて、御免なんだから!」
「分かった、一見アニソンには聞こえないのを仕入れておく」
「普通の歌を仕入れろって言ってるの!」
「一見なのに聞こえないとはこれいかに」
「うっさい!」
 そんなわけで、次の休みにはかなみと遊びに行くことになったので楽しみだという話。

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【ツンデレと一緒に登校したら】

2012年12月04日
 最近寒いので登校がかったるい。
「うーむ。どうにかなりませンかねェ?」
「知らないわよ馬鹿。イチイチそんなことあたしに言うな馬鹿。寄るな馬鹿」
 などと、朝っぱら酷い罵声を浴びせてくるかなみさん。
「俺の名は馬鹿ではないです」
「うっさい。アンタなんて馬鹿で充分よ、馬鹿」
「酷い話だ。うー……にしても、ホント寒いな」
 ポケットに手をつっこんでいるものの、防寒具としての効果はほぼないと言っていいだろう。明日から手袋でも持ってくるか、と思ってると、不意にかなみがこちらをじぃーっと見ていることに気づいた。
「どしました?」
「べっつにぃー。ポケットに手つっこんで背中まるめて、カッコ悪いなーって思っただけー」
「つまり平時はかっこいんですねウヘヘヘヘ」
「そうなの?」
「……そう言い切れるほどの自信はないです。チクショウ」
「あははっ。弱いわねー」
 かなみは楽しそうにケラケラ笑いながら俺の頭をぽむぽむ叩いた。チクショウ。
「ほら、いーから背中伸ばしなさい。それくらいしかアンタの取り柄なんてないんだから」
「姿勢がいい、ってだけじゃ流石に履歴書の特技欄を埋めるのは難しそうだな」
「後は……そうね、大言壮語しがち?」
「意味は分からんが、嫌な予感はする」
「できそうにもないことや威勢のいいことを言うこと、おおぼらふきって意味よ」
「なるほどコンチクショウ」
「あははっ。ぶすーってして馬鹿みたい。ばーかばーか」
 またしても楽しげに人の頭をぽむぽむしやがる。失礼な奴め。
「あー朝から面白。アンタ将来道化師にでもなんなさいよ」
「せめてお笑い芸人とかって言ってくれません?」
「あー、それは無理ね。頭の回転が早くないと無理だもん。それに、アンタには道化の方がお似合いよ」
「チクショウ、こうなったら外国のピエロの専門学校に行ってビッグになってやる……!」
「えっ、ちょ、ちょっと。冗談よね?」
 突然かなみが焦ったように俺の腕をくいくい引っ張りながらそう言った。いきなりどうしたんだろうか。
「え、そりゃ、まあ」
「そ、そうよね。分かってたけどね。焦ってなんてないけどね」
「…………」
「……な、何よ。別にアンタがどこに行こうが知ったことじゃないわよ!」
「何も言ってません」
「うるさいうるさいうるさいっ!」
「あ、うるちゃいの方がロリっぽくて好みです!」
「ドやかましいッ!」
 超怒られた。
「いやはや。まー日本語しか使えないので外国に行く予定は今のところないです。なので安心しろ、ってのも変な話だがな。はっはっは」
「……べ、別に心配とかしてないし。むしろアンタがいない方がせーせーするし」
「ふむン。悲しいですね」
「……うー」
 なにやら唸られながら睨まれた。
「なんでせうか」
「……別に」
「むぅ。あまりそんな感じはしないのだけど。アレですか、見当違いなことを言って不快にさせましたか。だとしたらごめんね」
「……ふん。今日も馬鹿」ギュッ
「えっ」
 かなみは俺のポケットに手を突っ込むと、既に中にあった俺の手をギュッと握った。
「あの、これは」
「さ、寒いから。寒いから近くのポケットに手入れたの。女子の制服にはポケットないから」
 こっちを一切見ずに、かなみは一気にまくしたてた。
「ものすごい説明力ですね。あと俺の手ぎああああ」
 何やら俺のポケット内で異変があった模様。突如かなみの手が万力に変化し、俺の手をギリギリとしめつけている。
「何か、言った?」
 ギロリ、と殺し屋と見まごうばかりの目で俺をにらみつけるかなみ。超怖え。だが、言うべきことだけは言っておかねば。
「かなみと手をつなげて嬉しいなあ、と言った」
「~~~~~!///」ペシペシ
「痛い痛い」
 俺をぺしぺし叩きつつも、決して手を離そうとしないかなみと一緒に登校しました。

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【普段はツインテールのツンデレさんが髪を降ろしたのを男が見てドキッとしちゃったら】

2012年10月25日
 いつものようにふらふら登校してると、前を行く女生徒の中に見知った尻を見つけた。だが、いつもと何か違う。奇妙な違和感が。なんだ? ……あ。
「あああああ!」
「うわっ!? な、何!? ……って、アンタか。今日も頭おかしいわね」
 思わず件の女生徒、つまりかなみに駆け寄る。
「そんなのどうでもいいんです! 頭から垂れてた昆布がなくなってますよ! 食べちゃった!?」
「昆布じゃないっ! 髪! ツインテールだって何百回と言ってるでしょうがっ!」
「そう、そのそれ! なんかないよ! どしたの? そんな食うに困るほど困窮してたのなら、俺に言ってくれればいいのに。少しなら金貸すよ?」
「だから昆布じゃないって言ってるでしょ、この鳥頭! ちょっとしたイメチェンよ、イメチェン。……で、ど、どう?」
「ムリダナ」
「無理ってどういうことよっ!?」
 おや、突然アイアンクローをされましたよ。こめかみが割れるようです。
「今すぐに離さないと全力で泣き叫びますがよろしいか!?」
「あにを情けないことを堂々と言ってるのよっ!」
 とはいえ流石の暴虐王かなみも往来で泣かれるのもどうかと思ったのだろう、手を離してくれた。大変痛かった。
「……て、ていうか、なによ。無理って」
「いやね、いつものツインテール? っていうの? その髪型だと背や胸と相まって非常に幼女感が高かったのに、そんなストレートだと幼女感が消えちゃうじゃないですか」
「幼女じゃないっ!」
「いいえ」
「いいえ!?」
「だというのに、そんな髪を下ろしたりしたら……ドキドキするじゃねえか!」
「えっ」
「いつもは可愛いって感じなのに、髪型を変えたら綺麗ってのはどういうことだコンチクショウ! アレか、俺を混乱させて楽しんでいるのか?」
「え、あ、あの……あ、あたし、綺麗なの?」
「おや、口裂け女ですか。初めまして」
「初めましてッ!」
 口裂け女が僕の首を絞めてきます。
「げほっげほっ……あのさ、死ぬから」
「うっさい! ……じゃ、じゃなくて。……あ、あの、その。……ほ、ホントに、その、そーゆー感じなの?」
「まあ、その、なんというか。そういう可能性も無きにしも非ずと言うか」
「……つまり、どーゆーコト?」
 楽しくなっちゃったのか、かなみは小さく笑いながら俺のわき腹をつんつん突ついた。
「だ、だから、そのだな。さっき言った感じなのですよ」
「さっきって?」
「だ、だから。つい先刻ですよ」
「なんて言ったの? ねーねー。ねーってば?」
「だ、だからぁ」
 う。コイツ分かってて訊ねてやがるな。なんて笑顔だ。
「……だから、その。……き、綺麗だな、って」
 ああもう。ああもう。超恥ずかしい。なんて拷問だ。
「……へへー。じゃ、特別に、明日からもこの髪型でいてあげるね?」
「あ、それはいいです」(NOという感じの手を突きつけながら)
「はぁ!? なんでよ!」
「前にも言ったが、幼女感がなくなるので」
「あによそれ! さっきまであんなにいい雰囲気だったのに! このロリコン!」
「はい!」(ちょお笑顔)
「うわぁ……」
「あ、大丈夫大丈夫。かなみ以外には手を出さない紳士ですから」
「あたしにも手を出すなっ!」
「ぬぅ……だ、だが、そんな扇情的なまな板を持ってたら、誰もが触りたくなるに決まってるじゃないか!」
「ほう。いい度胸だ」
「おや、胸をまな板に例えるのは駄目でしたか。これはいけない」
 かなみから殺気が巻き起こったので、逃げる。
「あっ、こら逃げるなロリコン! 待ちなさいよーっ!」
 という感じで、朝っぱらから駆け足で学校へ向かう極めて健康的な俺たちだった。

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【ツンデレに嫌な天気だなって言ったら】

2012年10月23日
 今日はなんだか曇っていて、今にも雨が降り出しそうだ。
「うーむ……嫌な天気だな。傘持ってくりゃよかったかなあ」
「ダウトッ!」
 いきなり隣を歩くかなみが俺に疑念を抱いたことを宣言した。
「し、信じてくれ! 俺は浮気なんてしちゃいない! そもそも相手をしてくれる異性はお前しかいないんだ! あとそういう貧乳が大好きなので浮気とか考えられない!」
 なので、かなみの手を取って必死に訴えてみる。
「何の話よッ!」
「いや、ダウトと言われたから」
「はぁ?」
 というわけで、ダウトの意味を説明してみたら、ため息をはかれた。
「ダウトが疑うって意味なのを知らないのはあたしが悪かったけど……何となく分かるでしょ、間違いって意味で使ってるって」
「手を繋ぐチャンスと思いまして」
「思うなっ! ……あ、あと、浮気とか意味分かんない。そもそも付き合ってないし」
 ほんのりと頬を染め、かなみはあさっての方を見ながらぶつぶつと呟いた。
「そうなの?」
「そうなのっ! 料理の練習のためにお弁当作って、その在庫処理を頼んでるだけっ!」
「なんと」
「まったく……あ、それと貧乳とか言うな。女性に対する言葉じゃないわよ」
「分かったぞ、えぐれ乳」
 言われた通りにしたのに、どうした訳かかなみの機嫌がすごいことになった。
「ふんっ!」
「前が見えねえ」
 あと、俺の顔もすごいことになった。主に暴力的なサムシングで。
「自業自得よ、馬鹿っ!」
「いやはや。ところでかなみ、何がダウトなのだ?」
「は?」
「いや、なんか俺が嫌な天気だなとかって言ったら、お前がダウトって言ったろ。それについてね」
「ああ。ほら、お百姓さんにとっては、雨は嫌な天気じゃないでしょ、って話をしたかったんだけど、もういっぱいアンタと話せたから満足しちゃったからいーの」
「なるほど。ところでかなみ」
 手をひらひらさせてなんでもなく言ってるが、少しだけ気になることが。
「あによ。まだ何かあるの?」
「俺といっぱい話がしたかったのですか?」
「? ……~~~~~っ!?」
 自分の台詞を思い出したのか、かなみの顔がみるみる赤くなっていく。
「ちっ、違うわよ! そんなわけないじゃない! 何をうぬぼれてるのよ、ばか、ばーか! 誰がアンタなんかと! べーっだ!」
「ちなみに俺はかなみといっぱい話したい」
「……! し、し、知らないわよ、アンタのことなんてっ!」
「だから教えてるんじゃないか」
「う、うっさい! 教えるな、ばかっ!」
「いやはや」
「……ま、まあ。あたしは心が広いから、ちょっとくらいなら、アンタとおしゃべりしてあげてもいいわよ?」
「あ、今日はもういっぱい喋ったので結構です」(NOという感じの手をつきつけながら)
「そーゆートコ大っ嫌い!」
「いていて」
 軽い冗談だったのだが、頭をがじがじかじられて大変に痛い。
「嘘嘘、冗談ですよかなみさん。いつでもいつだってウエルカムですよ」
「うー……ホントに?」
「いや、どうだろう。例えば俺が便所で頑張ってるところに突然やってきて『開けろ! 開けろぉ!』とドアをドンドン叩かれては、さしもの俺もウエルカムとはとてもじゃないが」
「ふつーにそうだよって言え!」
「は、はい、そうです。いつでも来てください」
「……わ、分かった。しょーがないから、またお喋りしたげる。か、感謝しなさいよね!?」
「ああはいはい」
 俺の目の前にちょこんと立つと、かなみはそう偉そうに言った。可愛かったので頭をなでる。
「う、うー……なでるのなんて許可してないわよ、ばか」
「なんと」
「なんとじゃないわよ、ばか」
 と言いながらも、手を払いのけないかなみさん超善人。

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【ツンデレと練習をしたら】

2012年10月03日
 どうやら最近の俺はセクハラが過ぎるようなので、少し自制したほうがいいやもしれない。ということで、しばらくはスキンシップを禁止しよう。
「…………」
 と決意した時に限って、かなみが遊びに来たりしますか。
「ねー。なんでそんな部屋の隅っこにいるのよ」
「隅っこに追いやられがちなんだ」
「うっさい。で、どしたの?」
「や、べ、別に?」(視線をあらぬ方向へ向けつつ)
「……ふーん」
 何やら面白くなさそうな顔で、かなみはこちらに寄ってきた。同じだけ俺も部屋を移動する。
「なんでアンタも動くのよ」
「そうは言うが、自分の意志で心臓を止める技術は持ってないんだ」
「心臓の話じゃないっ! ていうか止めたら死ぬから止めるなっ!」
「だから、止められないんだっての」
「わ、わかってるわよ……」
 そう言いながらもこっちに寄ってきてるので、部屋の壁を背にして、ずりずりと移動して回避する。
「……なんで逃げるのよ」
「や、逃げてなんていないよ? 背中がかゆいから壁でかいてるだけだよ?」
「私がかいてあげるから動くな」
 また寄ってきたので、回避。
「…………」
「…………」
「…………」(涙じわーっ)
「泣くなッ!」
「な、泣いてないわよっ! アンタに嫌われたところでなんともないわよっ!」
 とか言いながら目をゴシゴシされたりされたりなんてしたら、良心がうずくじゃあないですか。
「や、嫌ってなんていないよ? そうじゃなくて、その、色々とね?」
「……ホントに?」
「ホントに、ホント」
「…………」(無言でこっちに)
「…………」(回避)
「…………」(涙じわーっ)
「だから、泣くなッ!」
「嫌ってるもん……絶対私のこと嫌ってるもん……」
「ああもう。ああもう」
 なんかあと数秒で泣きそうな雰囲気だったので、仕方なく事情を説明する。
「……なるほどね。ばーか」
 すると、なじられる不思議。
「正直に言ったのに」
「アンタがセクハラしないなんて不可能なのよ、不可能。分かった?」
「人が必死で自制しているというのに、なんたる言い草か」
「分かったら諦めることね。……ということで、もー逃げない? 近づいてもだいじょぶ?」
 くりって小首を傾げられた。くりって。
「い、いいけど、その、ほどほどの距離感って大事だよね」
「そうね。じゃ、ちょっとあぐらかいて」
「嫌な予感が止まらないよ」
「早く」
「はい」
 殴られそうな雰囲気を感じ取ったので、大人しくあぐらをかく。すると、そこにかなみがぽふりと座るじゃないですか!
「なんで!?」
「れ、練習。アンタが過剰なセクハラしないように。今からアンタは私を抱っこするの」
「はぁ!?」
「おっきな声出すな! れ、練習だから。アンタに過剰なセクハラをさせない練習だから。手つきがえっちだったら指摘するから。だから抱っこはいいの。それ以外の理由なんてないの。おーけー?」
「nope」
「yesって言え!」
 とても怖かったのでyepになった。
「ん。……じゃ、じゃあ、ぎゅってしろ」
「いや、でも」
「…………」
「おや、突然無言に。妙に怖いですね」
「……やっぱ私のこと嫌いなんだ」(涙じわーっ)
「その武器は禁止の方向でお願いします!」
 相も変わらず俺は涙に弱い様子。後ろからかなみのちっこい背中を抱きしめる。
「ぐしゅ……な、泣いてなんてないわよっ!」
「はいはい、分かったから。泣かない泣かない」(なでなで)
「子供扱いすんな、ばか……」
 そう言いながらも、かなみは大人しく俺になでられていた。黙ってりゃ可愛いんだけどなあ。
「んー」(ぐりぐり)
 しばらくそうやってなでてると、今度はかなみの方からぐりぐりと頭を俺の頬にすりつけてきた。
「それはどういう練習なのだ」
「……え、えと。すりすりすることにより、アンタが私にえっちなことをしたくなる気分を増加させ、そのうえでセクハラを我慢するっていう訓練よ!」
「なるほど。抱っこだけで手一杯で、そこまでされると流石に我慢できなくなるのでやめてください」
「……わ、分かったわよ」
 なわけで、しばらく抱っこしてなでていると。
「んー」(ぐりぐり)
 またしてもかなみがぐりぐり攻撃をしてきた。
「なにをしている」
「れ、練習だもん。練習だからいいんだもん」
「だから、我慢できなくなるのでやめてください」
「うー……」
 そしてまたしばらくなでなでしていると、三度ぐりぐりしてくるという。
「やめれ」
「うっさい! アンタのことだから、ホントは我慢できるけど意地悪のためにやめろって言ってるんでしょ! すりすりさせろっ!」
「大変に破廉恥ですね!」
 殴られたので、すりすりさせる。
「……別にすりすりしたいんじゃないもん。練習だもん」(すりすり)
 そして殴られ騒動の際にかなみが前後回転しており、つまり抱き合った形ですりすりされていて困る。色々と。困る。
「あ、あの、もう練習は十分じゃあないでしょうか」
「まだ。全然まだ。ちっとも足りてない」(すりすり)
「いや、しかしだな……ていうか、すりすりしすぎではなかろうか」
「大丈夫だもん。これは練習だもん。練習だからいいもん」(すりすりすり)
「ふぅむ。納得がいかない」
「あ、なでなでもしろ。あと、アンタからもすりすりしろ」
「俺のセクハラを抑制する練習って話だったような」
 でもまあ、否定する材料が全く無いのでなでなですりすりしました。

拍手[38回]