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2026年03月21日
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【ツンデレとウェディングケーキ】

2010年01月28日
 学校からの帰り道、暑いにゃーと思いながらだらだら歩いてると、見知った後姿を見かけた。
「おす、瑠姫」
「ひにゃーっ!?」
 軽く声をかけると、瑠姫は猫っぽい悲鳴を上げた。
「どうしたっ、俺の声に反応して破瓜でもしたかっ!?」
「なんか頭がぬるぬるしゅるー!?」
「なんだ。それは俺が挨拶と共に乗せた昆布だ、安心しろ」
 瑠姫は昆布を取ると俺の顔にぶつけた。
「何をする」
 顔から昆布を垂らしつつ、文句をぶつける。
「こっちの台詞っ! いきなり昆布乗せる奴なんて聞いたことないっ!」
「だって、既に二つほど昆布を頭から垂らしているし、その方がいいかなーって。ただ、携帯に大変苦労するので次回から乾燥昆布にさせてもらいます。ご了承ください」
「昆布じゃないっ! 髪! ツインテール! 何回言ったら覚えるんだっ! もー乗せるなー!」
「そう怒るなよ、はるぴー」
「るきーっ! もーついてくるな、ばかーっ!」
 るきーと言いながら瑠姫はてててっと駆けていった。もちろんついていく。
「来るなって言ってるのにー!」
「ははははは。こんなクソ暑いのに走るとかどんな残虐行為手当てだ」
「うるさいついて……」
 突然瑠姫の語気が弱まった。どうしたのかと瑠姫の視線の先を探ると、そこには教会があった。丁度結婚式の最中で、ライスシャワーが行われていた。
「きれー……」
 キラキラとした目で幸せそうな夫婦を見つめる瑠姫。
「確かに。だがしかし、あの新婦の乳が育ちすぎているのが少々難点か。もっと平らなのが好みです」
「オマエの好みなんて聞いてにゃー!」
「瑠姫のそれがちょうどベストです」
「すっごく聞いてにゃーっ! だいたい、あたしは将来すっごく大きくなるもんっ! ママはすっごく大きいから、きっとあたしも大きくなるもん!」
「お前のおばさん、太ってるからバストも大きいだけじゃねえか」
「うるしゃー!」
 などとやりあってる間に、新婚夫婦は車に乗ってどっかへ行ってしまった。
「もー! ちゃんと見れなかったじゃんか!」
「ごめんね。そんなつもりじゃなかったんだ。ただ、俺の好みを言っただけなんだ。どういうわけか瑠姫が怒っただけなんだ」
「あたしが悪いみたいにゆーな!」
「そんなつもりは毛頭……ん?」
 ふと教会の中を見ると、大きなケーキが見えた。
「瑠姫、でけーケーキがあるぞ。食え」
「ダメに決まってるの! あれはウェディングケーキ! ……まー、おいしそーだけど。食べるなんて無理だろーけどね」
「ふむ。ちょっと待ってろ」
「にゃ?」
 瑠姫をその場に置いて、教会の中へ侵入する。中にいた人に事情を過剰に説明する。
「よし。瑠姫、おいで」
 教会の表に出て、瑠姫を手招きする。
「にゅー?」
「許可を得た。少しなら食っていいってさ」
「ホントっ!? やたっ!」
 言うが早いか、瑠姫は素早く教会の中へ飛び込んだ。飛ぶような動きでケーキの前まで来ると、一目散にかぶりついた。
「あぐあぐあぐ……おいしー! 別府、これおいしーよ!」
「少しだ、少しッ! 誰も全部食っていいとは言ってない!」
「少しだよ?」
「どこがだっ! ケーキに抱きつくな! ああもう、クリームでべとべとじゃねえか……」
「もぎゅもぎゅもぎゅ……んー、おいしー♪」
 全身をクリームでべったべたにしながら、瑠姫は幸せそうな顔でケーキをほうばっていた。子供だ、コイツ。
「んー♪ でもさ、どうやって許可得たの?」
「ブレインウォッシュって知ってる?」
「……知んないけど、知らないほうがいい気がする。ま、なんでもいーや、おいしーし。ありがとね、別府♪」
「礼はその幼い肢体で結構です」
 丁寧に言ったのに、どういうことかケーキをぶつけられた。
「違う、そうじゃない」
「うるしゃー! ばーかばーか変態!」
 猿カニ合戦の猿のごとく、ケーキを俺に投げまくる瑠姫だった。

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【ツンデレに怖い話をしてみました】

2010年01月28日
 ↑の結果、ちなみが俺から離れません。
「ちなみさん、ぴたーっとくっついてくれるのは大変に嬉しいのですが、生憎と現在の日本の気候は夏なので暑いから離れろ」
「……離れたいのはやまやまだが、私には私の都合がある。……諦めろ」
「都合って何スか」
「……どっかの馬鹿がとても怖い話をしたので、夜尿症の恐れが」
「いい年して寝小便するなッ!」
「……その危機をタカシになすりつけるために、一緒にいなければならない」
「ぬ」
 どうしよう。それってつまり一緒に寝るってことだよね。それは大変に喜ばしいことだけど、人の布団で寝小便すると公言してる奴と一緒に寝るの?
「うーむむむむむ」
「……何を悩んでいる。今この時を逃せば、タカシに女の子と一緒に寝る機会など訪れるはずがない」
「何気に失礼ですね」
「……ただの事実。……それに、私のような見事なちっちゃなおっぱい、所謂ちっぱいな子とそうなることなど、最早天文学的数字と言えよう」
「自分で言うことにやや萎えはしましたが、確かに。うーむ。うーむむむ。うーむむむむむ」
「……では、そういうことで」
「何も結論を出してないのに勝手に人の布団にいそいそと!? なんたる勝手、恐るべき傍若無人!」
「……早く、こっち来る」
 布団から顔だけ出し、寂しそうに言うちなみ。
「ぬう!? この誘惑には何一つ勝てる要素がないので行きます」
 いそいそとちなみがINしている布団に俺もIN。
「……あ、触ったら殺す」
「馬鹿な!?」
「……でも、頭をなでなでするのは許可する」
「それは、いいです」
「……訂正。強要する」
 何その全然嬉しくないなでなで。
「……早くする」
「あーはいはい」
 言われるがまま、ちなみの頭をなでなでなで。
「……んー」
「目を細めていることから、気持ちよいと判断しましたが、どうなのでしょうか」
「……気持ちよくない。吐き気。げーげー」
 それはいけないので、手を止める。
「……何をしている。早くなでろ」
「気持ち悪いと言っていたので」
「……なでてないと、余計に気持ち悪い。……タカシと一緒の布団とか、考えるだけでおえー」
「俺が大統領なら、死刑にしてるに違いない」
「……だいじょぶ。私が大統領でも、タカシを死刑にしてる。……いっしょ♪」
 何その全然嬉しくないシンクロニシティ。
「……戯言はいいから、早くなでなで」
「しかし、俺から戯言を取ったら美男子しか残らないぞ」
 ものすっごいため息を吐かれた。
「……ものすごい戯言だった。戯言レベルSS」
「流石に泣きそうだぜ」
「……泣きそうなのは、こっち。……まさかアレほど怖……んにゃにゃ、迫力ある話をできるとは思わなかった」
 さっきした怖い話を思い出したのか、ちなみは布団の中で俺の腹辺りの服をきゅっと掴んだ。
「夜中に思い出したらちょっと便所行けないレベルだと自負しております」
「……将来の役に立たない技術ばかりが発達している」
 言い返したいのに何も言えないよパトラッシュ。
「……勉強とか、運動とか、部活とか、他に頑張ることが沢山あるように思える」
「あまりいじめるな。そんなこと言う奴は今から一人で帰ってもらうぞ」
「……無意味な人生もいいよね」
 同調されたはずなのに、本気で泣きそうだよ。
「……ということで、なでなで」
「はいはいはい」
 放置しておくと俺の心をえぐりまくられるので、諦めてちなみの頭をなでなでする。
「……んー」
「いかがですか、お姫様」
「……悪くない。……んじゃ、私が寝付くまでそうしておくこと」
「嫌です」
「……はぅーとか萌え言語言ってやるから頑張れ。はうー。はうー」
 馬鹿にされてる。絶対馬鹿にされてる。
「……はわわの方がよかった?」
「一緒だッ! ええい、馬鹿にしおって! そういうわざとらしいのは萎え萎えなんだよ!」
「はわわ」
「こいつ人の話聞いてねえ!」
「……こんな可愛らしい女の子がはわわと言っているんだから、神と私に感謝したらどうだろう」
「神と自分を同列にするな! あと萌え言語のチョイスが全体的に古い」
「……だって、よく知らないもん」
「じゃあ教えてやるから学べ。lesson1.みゅー」
「み゛ゅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛」
「怖っ、怖ぁっ! どっから出てる、そのデスボイス!」
「……墓の下から萌えキャラ登場」
「んなところからは出てこねえよッ!」
「……チャームポイントは抜け落ちた目玉」
「お前怖いから俺と一緒に寝てるんじゃなかったのかよ!?」
「……タカシと一緒だったら、へっちゃら」
「う」
 突然そんなこと言われたら、照れるじゃないですか。
「……な、何を赤くなってるか。か、勘違いも甚だしい。……や、やれやれだぜー」
「そう言ってるお前も、結構な赤さを保持しているぞ」
「こ、これは……め、酩酊してるだけだもん」
「そっちの方が問題だ、未成年ッ!」
「ごくごく。げぶはー」
「人のジュースを勝手に飲むな!」
 一瞬いい雰囲気になったかと思ったが、やはりちなみ相手だとこんな感じです。

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【犬子 弁当】

2010年01月28日
「おはよー符長くん! あのねあのね、昨日のテレビふぎゃっ!?」
 教室でぐでーとしてると、朝っぱらからしっぽを振って(幻覚)犬子が寄ってきたので、顔面にチョップを入れて黙らせる。
「ううう……酷いよ符長くん。女の子の顔にチョップするなんて悪人がすることだよ」
「ごめんね」
「うー……まあ、謝られたから許すよ。あっ、それでねそれでね、昨日のテレビふぎゃっ!?」
 再び姦しくなったので、顔面にチョップを入れて黙らせる。
「ううう……二回もチョップしたよ、されたよ! 酷いよ符長くん!」
「ごめんね」
「もう許せないよ! 怒りがふつふつーだよ!」
「言われてみれば確かに、犬子の全てを司る犬耳が逆立っている」
「こっ、これは犬耳じゃなくて、そーゆー髪型だよぅ!? それに、逆立ってないよ! 仮に犬耳だとしても、私の全てを司るってどーゆーこと!?」
 変なことを言う犬だなあ。
「うー、聞いてないフリするしぃ……じゃなかった。今日の私はすっごくすっごく怒ってるんだから、いっぱいいっぱい謝らないと許さないよ!」
「じゃあ、今日の俺はズゴックズゴック怒っている」
「語感が似てるだけで意味不明だよ!?」
「なんだと!? いや、こう、ズゴックが、こう、赤鼻とか……赤い三連星?」
「黒い三連星だよ」
 曖昧なガンダム知識で煙に巻こうとしたが、あまりに曖昧だったので自身が煙に巻かれ、結果犬子に教わる始末。くそう、負けるか!
「知ってる知ってる。オルテガ、マッシュ、ポテトだな」
「最後料理名になってるよ?」
「お腹が空いたから、しょうがないんだ」
「まだ朝なのに……朝ご飯食べなかったの?」
 こっくりうなずくと、犬子は疲れたようにため息を吐いた。
「しょうがないなぁ……じゃじゃじゃじゃーん!」
「なーまーくーびー!」(青いサイバーロボネコ風に)
「違うよっ!? 今日のおやつにって持ってきたホットケーキだよ!?」
「なんだ。紛らわしい」
「生首がタッパーに入ってるってどうして思うのかなあ……?」
 なにやらぶつぶつ言いながら、犬子は鞄から取り出したタッパーを机に置いた。
「よかったら一つあげるよ。感謝して食べてよね?」
「気持ちは嬉しいが、プラスチックは消化できないんだ」
「中身の話だよ!?」
「なんだ。遠まわしに死ねと言ってるのかと思った」
「符長くんって、根性ひねくれまくってるよね♪」
 色々思ったがここで文句を言うと食事が手に入らなくなるので、黙ってタッパーのフタを開ける。
「はい、どーぞ。おいしいよ?」
「…………」
「黙ってフタを閉めようとしてる!? ダメだよ、食べるまで許さないよ!」
「違うんだ。俺が食べようと手を伸ばそうとしたら、ホットケーキが炭に変化してたんだ」
「ちょっと焦げちゃったカナ? あっ、でも女の子の手作り料理を食べないなんて酷いこと、符長くんはしないよね?」
「チョイ悪だからする」
「しないよね……?」(うるうる)
「ホットケーキ超うめぇ!」
 手掴みでホットケーキ(?)を食べまくる。触感が砂抜きしてないアサリの身を抜いた部分みたい。つまり砂。じゃりじゃりじゃり。
「わっ、ホントに食べた!」
 どういうことだテメェ、と言いたいがじゃりじゃりで喋れない。
「……あ、あの、まずいよね? ぺってしたらいいよ? 私、怒らないよ?」
「じゃりじゃりじゃり、ごくん。超まじい」
「だ、だから、ぺってしていいって言ったのに……」
「次はもうちょっとマシなの作れ」
 そう言いながら、タッパーに入った炭、もとい、ホットケーキに手を伸ばす。
「…………」
「じゃりじゃり……ん? そんな見るな。照れるだろうが」
「……えへへへへへっ♪ 優しいね、符長くん♪」
「優しいだろ」
 照れ隠しに片手で犬子のほっぺをふにふにする。
「えへへっ♪ あのね、次はきっとじょーずに作るからさ、また食べてよね?」
「お断りだ」
「絶対嘘だよ。作ってきたら、なんだかんだ言いながら食べてくれるに決まってるもんねー♪」
 わけの分からないことを言いながら、嬉しそうに俺の手を両手で包み込む犬子だった。

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【ツンデレにお前の為だったら何だって出来るって言ったら】

2010年01月27日
 学校帰り、ふらふらしてる奴がいたので近寄ったら顔見知りだった。
「どした、ふみ。ふらふらして」
 絶賛ふらふら中の奴は知り合いの中学生、ふみだった。よく見ると顔が青ざめている。貧血、もしくは熱中症か。……こいつ身体弱いからなあ。
「……あ、おにーさん。なんでもないです。ちょっと頭がくらくらするだけです。これにはおにーさんに声をかけられ不愉快になったせいも多分にあります」
 色々思ったが、一応年上なので近くの喫茶店にふみを招きいれて休ませる。
「……ふー。落ち着きました。表面上だけでも感謝の言葉を言っておいた方が後々よさそうなので言います。ありがとうございました、おにーさん」
「最後の言葉だけなら素直に受け取れるのになあ」
 店内の涼しさに息を吹き返したのか、ふみの顔色は若干マシになっていた。口の悪さもよくなったらいいのに。
「じゃあ、ついでだし色々食べます」
「あー、そだな。何か軽く腹に入れておいた方がいいかも。少しならおごってやるよ」
「少しと言わず全部おごってもらいます。当然です」
 鼻をつまんでやる。
「きゅふー」
 困り顔が可愛かったのでおごることにする。
「簡単ですね、おにーさん」
 それすらもふみの考えの内だったことに気づき、大変に後悔する。
「まあ、言質はとったので今更無駄です。すいません、パフェとアイスケーキとアイスコーヒーと」
「やめてお願いやめてマジでやめてください!」
 必死の懇願もむなしく、しばらくすると小さなテーブルの上に続々とスイーツが並べられていった。
「おいしそーです」
「あーそりゃよかったな」
 自分で注文したコーヒーをずぞぞぞすする。
「……あの。怒ってます?」
「そりゃな。注文したものは仕方ないけど、あんま無理すんなよ。ただでさえ食が細いんだから、無理して食ってまた体調悪くしても知らねーぞ」
 ふみは目をぱちくりさせた。何か変なことでも言っただろうか。
「……あの。勝手にたくさん注文したことを怒ってるんです……よね?」
「そりゃもちろん俺の財布に大ダメージで怒り心頭だが、それとは別で冷たいもん食いすぎたら身体によくないからな。あまりこういう無茶な食い方はしてほしくない」
「……おにーさん」
 ふみはスプーンを咥え、上目遣いで俺を見た。
「あー?」
「……やさしーです。ずるいです。卑怯です」
「大人は優しくてずるいものさ」
「……なんで、そんな私に優しいんですか?」
「……お前のためなら、何だってしてあげたいのさ」
「え……ええっ!? あ、あの、あのあの、そ、その、……こ、困ります。あ、あの、悪い意味じゃないです、悪い意味ではないです。悪い意味ではないですが……あの、困ります」
 ふみの顔が真っ赤になった。湯気が出そうな勢いだな、しかし。
「──と言ったら、ふみは嬉しいか?」
「えい」
「危なっ、危あっ!?」
 普通にフォークで刺してきた。どうにか避けたが、怖すぎる。
「おまっ、おまえなあ! 無茶すんなっ! 怖えよっ!」
「乙女心をもて遊んだ罰です。おにーさんのばか」
 そう言うと、ふみはパフェを片手にがつがつ食いだした。
「あーあー、そんながつがつ食うな。まったく、どこが乙女だ」
「知りません。おにーさんのばか。……あぅっ」
 一気に食いすぎて頭がキーンとなったのだろう、ふみの手が止まった。
「ほら、無理すっから」
「うるさいです。無理なんてしてません。……うー」
「ったく、強情っぱりが。もらうぞ」
「あっ」
 残ってるパフェを奪い、がじがじ食う。うむ、おいしい。
「お、おにーさん。……そ、それ、私のスプーンです」
「あ、悪い。つい」
「嫌です。許しません。絶対にわざと使ったに違いありません。中学生のつばを体内に摂取したかったに違いありません」
「妖怪か、俺」
「妖怪、つば飲み。可愛い女子中学生のつばを飲まずにはいられない妖怪。別に飲まなくても生存には何ら問題ないことから、妖怪ではなくただの変質者である可能性が非常に高い」
「俺の嘘解説が取られた!」
「おにーさんはそんな妖怪なのですから、可愛い私のつばをぺろぺろしたくて私のスプーンを使ったんです。絶対です」
「人聞きの悪いことを……。あと、自分で可愛いとか言うな」
「……誰も言ってくれないなら、自分で言うしかないじゃないですか」
「ええっ!?」
「ええっ……って?」
「いや、お前のクラスの男子の目が節穴なのか、それとも恥ずかしくて言えないのか……いやはや、お兄さんびっくりだ」
「何がですか? ……おにーさんはよく分からないことばかり言います。嫌です」
「えーと……なるほど、確かに直接言うのは恥ずかしいな。だがしかし俺も男なので言うます!」
「語尾がおかしいです。おにーさんに普通の箇所はあるんですか?」
「ふみはとても可愛い。まる」
「えっ……えええっ!?」
「大丈夫。お前は体つきこそアレだが、ものすげー可愛いぞ」
「だ、騙してます。おにーさんは私を騙してるに決まってます。男子は私をからかってばかりで、そんなこと言われたこと一度もないです」
 あー……ちょっかいかけて気を引くってアレな。中学生ってまだガキなのなー。
「……でも、嘘だとしても、ちょこっと嬉しいです」
「だから、嘘じゃなくて……」
「ありがとうございます、おにーさん」
 そう言って、ふみはにっこり笑った。
「あー……うん。どういたまして」
 まあ、もう少しこいつが大人になるまでは、俺だけがこの笑顔を占有していよう。
「……で、体つきがアレってどういうことですか」
 ふみの目がすーっと細まる。忘れてたらよかったのに。
「なななんのことだか俺にはまるで見当が」
「……そりゃ、私の胸は平均的な胸囲にすら達してませんが、貧しくはありません。いわゆる微乳──いえ、“美”乳です!」
「なんでもいいからいかがわしいことを店内で叫ぶな!」
「ところでおにーさんは大きいのと小さいの、どっちが好きですか?」
「小さいの! 大好き!」
 一瞬にして本能の野郎が理性を駆逐した。
「なるほど、いいこと聞きました。今日から乳製品摂りまくりです」
「いやあああああ! 俺のふみがああ!」
「だ、誰が俺のふみですか。いかがわしいことを店内で叫ばないでください。えいえい」
 俺もふみもいかがわしいことを叫んだのに、俺だけが頬を引っ張られた。

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【沙夜 エヴァ風】

2010年01月27日
 昨日テレビで映画版のエヴァをしていたので、録画しておいた。そして、それをついさっき幼なじみの沙夜と一緒に鑑賞した。
「はー……や、結構面白かったな」
「…………」(コクコク)
「なので、ごっこ遊びをしましょう」
「……?」
「俺がシンジ君で、沙夜が綾波ぃ」
「……?」
「いや、? じゃなくて。ごっこ遊びだ。レディー?」
「…………」(ぷるぷる)
 ぷるぷる首を横に振る沙夜の頭を掴んで無理やりうなずかせ、ごっこ遊び開始。沙夜の目が「やれやれだぜー」と言ってるような気がするが気のせいだ。
「ええと……。自分に、自分には他に何もないって、そんなこと言うなよ。別れ際にさよならなんて、悲しいこと言うなよ……」
 そう言うと、沙夜は困った顔をした。恐らくだが、「ごめんなさい。こういう時、どんな顔をすればいいのか分からないの」と言いたいに違いない! 既に困った顔をしてるが!
「笑えば、いいと思うよ」
 そう言うなり、沙夜はにぱーっと笑って俺にがしっと抱きついて──って、
「違ーうっ!」
 沙夜をべりばり引き剥がし、ベッドにぽすんと落とす。沙夜はびっくりした顔で俺を見ていた。
「途中まではとてもいい感じだった。だが、最後の最後で大失敗だ。なんであんなにぱにぱ笑う。そうじゃなくて、微笑む感じでひとつ頼む」
 沙夜はぶすーっとした感じでうなずいた。
「あと、抱きつくのもダメ」
 激しくショックを受けているようだが、気づかない体で。
「じゃあテイク2。……別れ際にさよならなんて、悲しいこと言うなよ」
 沙夜は落ち込んだ様子で鼻を鳴らした。
「沙夜、おまいの番だ。『こういう時どんな顔すればいいのか分からないの』だ」
 沙夜は眉を八の字にして、言った感じを出した。
「よし。──笑えば、いいと思うよ」
 そう言った瞬間沙夜はにぱーっと笑って俺に抱きついてーって!
「だから違うっての! にぱー笑い禁止! 抱きつきも禁止!」
 べりばり剥がして沙夜をベッドに落とす。抗議のつもりか、沙夜はきゅーきゅー鳴いた。
「ふん、そんな声で鳴いても無駄だ。この俺様に媚びへつらいなど──な、何ィ!?」
 気がつけば、俺の手は沙夜の頭をしきりになでていた。
「馬鹿な、俺の意思とは無関係に沙夜の頭をなでてしまうだと!? 恐ろしい……なんたる技、なんという甘え上手!」
「♪♪♪」
 人が折角格闘漫画っぽい解説をしてるのに、当の沙夜は満足そうに目を細めるばかり。
「あー……まあいいか。どうですか、沙夜様」
「……♪」
 ほにゃーっと蕩けそうな顔で俺のなでなでを受ける沙夜。嬉しそうで何よりだ。
「だがしかしこんな程度で終わっては武家の恥!」
 ということで、なでていた手を沙夜のほっぺにもっていき、うにーっと引っ張る。あと、よく考えると武家とか関係ない。
「はっはっは。これでどうだ、沙夜!」
 しかし、それでも沙夜は嬉しそうだった。自分のほっぺがうにーと伸びていくというのに、沙夜は笑顔を崩さない。
「ぬぐ……く、くそっ! これ以上は俺にはできない! ……お前の勝ちだ、沙夜」
 どこから勝負になっていたのか、判定はなんだったかすら分からないまま勝敗が決まった。
 がっくりと膝を付く俺の肩に、手が乗せられた。顔を上げると、沙夜の「笑えば、いいと思うよ」な感じの顔。
「…………」
「!!!?」
 最大限の笑顔を見せたら、ものすごく怯えられた。
「逃げるな、沙夜」
 わたつく沙夜の手を取り、ニヤリと笑う。
「っ! っ!? っ!!」
「ククク……俺様に捕まったが最後、一緒にエヴァの映画を見に行く羽目になるのだ! 諦めろ、沙夜!」
「…………」
「え? えー……あー、まあ、うん。俺のおごりで」
「……♪」
「いやその後色々遊びまわる代金全部俺が出すとか聞いてませんから! ちょっと沙夜、沙夜の人!? 聞いてます!?」
 俺の話なんてちっとも聞かずに、嬉しそうに部屋でくるくる回る沙夜だった。

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