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2025年04月21日
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【何だか酷く眠いので、ツンデレに膝枕をねだってみたら】

2010年03月13日
「なんだか眠いので、ここは一つボクっ娘の膝枕で寝てみよう。それにはまずボクっ娘をいい気にさせる必要があるため、世辞の一つでも言わねばならない。膝枕のためとはいえ、ボクっ娘に世辞を言うのは非常に憂鬱だ」
「じゃあ言わなきゃいいじゃん! ていうかそーゆーことは本人の目の前で言うなっ! あと、何回も何回も言ってるけどボクっ娘ってゆーな!」
 梓の家に来た途端眠くなってこのザマです。さて、褒めよう。
「最近梓の爪って短いよな。いい爪切り持ってんだな。……よし、褒めた!」
「それ褒めてない! コンビニで買った普通の爪切り! ほら、褒める場所なんてもっとあるじゃん? ボーイッシュな所が可愛いとか、控えめな胸が好みだとか、人よりやや小さいところがたまらんとか……ね?」
「ふぅ……さてと。膝枕して」
「まだ世辞言われてないっ! やり切った男の顔すんなっ!」
「眠ぃんだよ……ふわあああ」
「口も隠さないでアクビしてぇ……それにしても、おっきな口だね。手、入るかな?」
 手を握って俺の口の中に入れようとするので、べろりと舐めてやる。
「うわわわわ! な、なめた! ボクの手舐めた!」
「うぐぐ、梓の手に生えてる毛が口の中に。まるで意思を持っているかのように、剛毛がのどちんこにからみつく」
「毛なんて生えてない! い、いや、そりゃ産毛は生えてるけど、剛毛じゃないよ! ほら見てほらほら!」
 梓が手をぐりぐり目に押し付けてくる。痛い。
「分かった分かった。梓はまだ生えてないと。パイパンと」
「なななっ、何の話だよっ! は、生えてるよっ! ……ちょっとだけど」
「ほう。確認のため見せて」
「みっ、見せるわけないだろ、ばかっ!」
「じゃあ膝枕。断ると下の毛検査になります」
「どんな選択肢なんだよっ! タカシ横暴だよ、横暴王だよ!」
「いいからひざまくらー。いやなら胸枕でも……あ、いや、なんでもない。ごめん」
「ボクの胸見て謝った!? タカシ失礼が過ぎるよ!」
「平らな所だと、熟睡できないんだ」
「つるぺたいと!? かちーんときたよ! もー絶対膝枕なんてしてやんない!」
「がーん」
「ふふ、ショック受けてるよ。やーいやーい、いい気味だよ」
「しょうがない。梓、ベッド借りるぞ」
 膝枕の方がよかったのだけど、無理なら仕方ない。ベッドに転がり、目をつむる。
「え……あれ、もう諦めるの? 諦めたらそこで試合しゅーりょーですよって、デブい人が言ってたよ?」
「デブい人の教えには何が何でも逆らえというのか別府家の家訓なんだ」
「また適当言ってぇ……ね、ホントにいいの? 膝枕、してほしかったんじゃないの?」
「眠気の勝利。もうダメ。ぱたり」
「……むー」
 不満そうな唸り声が聞こえたと思った瞬間、俺の顔に柔らかい何かが何度も叩きつけられた。
「いていて、いや本当は柔らか素材なので痛くないけど、なんか叩かれると痛いと言いがちな人間ですこんにちは」
 目を開けると、クッションを持った梓が俺の隣に座っていて、不満そうな顔をぶらさげていた。
「普通の人だったらさ、怒ってる人放って寝たりしないよ。ボク怒ってるんだから、ちゃんと謝るなりなんなりしてから寝てよ」
「んー、なんか分からんが、ごめん?」
「なんで疑問系なんだよ!」
「あーもー眠いんだよ。どうしろと言うのだ小童め」
「……え、えと、タカシは膝枕してほしいんだよね? だったらさ、ボクの出す交換条件に乗ったら、やってあげなくも」
「乗った」
「早ッ! まだ何の条件も出してないのに、いいの?」
「眠いので、早く膝枕をして欲しいです」
「わ、分かったよ。……で、でも、後で出すボクの条件に、ちゃんと応えないとダメだかんね! 絶対だかんね!」
 なんか言ってるけど、もう眠気がMAXを越しまくりなのでイモムシのように這いずって梓の膝に辿り着く。
「タカシ、瀕死のシャクトリムシみたい」
「ぐぅぐぅ」
「わ、膝枕した途端寝ちゃった。……へへ、ぷにぷに」
 頬を押されてるような、そんな。

「……ん、むぅ……」
「あ、起きた? タカシってば、どれだけ寝てるんだよ。ボク、足しびれちゃったよ」
「……んー、む」
「まだ寝てるね。ほら、起きて起きて。次はボクのお願い聞いてもらう番だからね」
「あー……分かった。ギャルのパンティをおまえに贈ろう」
「そんなお願いしてないっ! ほら、起っき起っき」
 座らされたが、まだ眠いので体ぐにゃぐにゃ頭まわらない梓犬っぽい。
「ええとね、ボクのお願いは」
「ぐー」
「また寝てる! もうっ、起ーきーろっ!」
 体を揺らされたので目を開けると、目の前に梓の顔がどアップでした。
「ぶちゅー」
「ふひゃっ!?」
 なので、鼻にキスしてみる。理由? 眠い人にそんなことを聞くのは野暮ってもんだろうが!(逆切れ)
「はっ、はな! ボクの鼻にちゅーした!」
「俺が、梓の鼻にキスを? はは、馬鹿な」
「しただろ! 嘘つくなよ! ちゅーってしたじゃん!」
「前世の記憶が蘇ったので、つい」
「ぜんせ? 鼻にキスする人……なに?」
「鼻にキスするマン」
「…………」
「寝起きだとこんなもんですよ?」
「うるさいっ! あーもーいいからボクのお願い聞くの! いい? いいね!」
「あい」
「じゃ、じゃあ……えっと、えっと、……えっとね、深い意味はないよ? ないけど、その……」
「鼻にキスか。ずいぶん気に入ったんだな」
「違うっ! ぎゅーってしてほしいの!」
「…………」
「……な、なんだよ。いいだろ別にっ! ぎゅーくらい、いいじゃん!」
「や、まあいいけど」
「“けど”なんだよっ! 思ったこと全部言えよっ!」
「梓は俺のことが大好きなんだなあと思った」
「ぜっ、ぜぜぜ、全然! まったく! ちっともだよ! な、なーにを言ってるのかな、この人は。勘違いも甚だしいよ」
「梓の顔は見てるこっちが気の毒になるほど真っ赤になっていたが、俺は優しいキャラで売ってるので黙っておくことに決めた」
「メチャ言ってるよぉ!? タカシ優しいフリして、すっごくいじわるだよ!」
「で、どうします? 俺としてはぎゅーとしても構いませんが。というか、したいですが。さらに、ぎゅーからすりすりへ移行し、頭なでなでへのコンボになるやもしれませんが」
「な、なにその致死コンボ! ……い、いいの?」
「もちろん。梓のためなら、なんだってしてあげたいからさ」
 一瞬間を置いてから、梓の顔がボンという音を立てて赤くなった。
「な、ななななな、なにを言ってんだよお!? そ、そんな……ば、ばかじゃないの? ぼ、ボクのためならって……は、はぅぅ」
「や、膝枕してもらったから、その分はなんだってしてあげないと」
「……あ、そ、そうだよね。そういう意味だよね。……もっ、勿論分かってたよ! 他の意味で捉えたりなんてしてないし!」
「はぁ」
「ほ、ほら、そんなのいいから早くぎゅーしてよ! ……ちょ、ちょっと誰かにぎゅーってされたいからお願いしただけだからね! 別に誰でもよかったんだけど、近くにいたのタカシだけだったから!」
「じゃあ、今から友達に連絡してみよ」
 携帯を取り出しボタンを押すフリをしたら、素早くもぎ取られ、窓から捨てられた。
「携帯なくなっちゃったから無理! ほら、早く!」
「……軽い冗談に、すごい対応をしますね、梓たん」
「いいから早くしろっ!」
「あー、はいはい。むぎゅー」
 梓の小さな体を、すっぽり包み込むようにぎゅっと抱きしめる。
「は、はぅぅ……」
「はうう」
「……な、なんだよ。ちょっと声が漏れただけだよ」
 目を逸らしながら、少し恥ずかしそうに梓は言った。
「むぎゅー」
「は、はぅぅ……」
「はうう」
「…………」
「はうう」
「タカシのいじわるいじわるいじわる! タカシって超いじわるだよ!」
「むぎゅー」
「は、はぅぅ……」
「……あー、もう! 可愛いなあコンチクショウ!」
 辛抱たまらなくなって、梓にほおずりする。ぷにぷにだ。
「うぅぅぅぅ……タカシなんて嫌いだよぉ!」
 割とかなりすごく楽しい一日でした。

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【ツンデレに愛国心は何処へいった!?って言ったら】

2010年03月11日
 学校の帰り。暑いので、プールに行こうと梓を誘った。
「ヤだ。ボク、泳げないもん」
「大丈夫。もし梓が溺れたら、助けようとする監視員の妨害を頑張るから」
「なんでそっちを頑張るんだよ! 助けるの頑張ってよ!」
「いや、だってそれは監視員の仕事だし。邪魔すると悪いし」
「妨害するより100倍はマシだよっ! それくらい分かれよ! はぁ……」
 疲れた感じのため息を吐かれた。なんでだ。
「まぁいいや。ここでタカシの相手するより、プールで相手する方がちょっとはマシだし、行ってもいいよ」
「よし! あ、スク水を忘れるなよ。できれば旧スク。無理なら、俺が用意するからちゃんと言えよ」
「……普通の水着がいいんだけど」
「愛国心は何処へいった!?」
「なんでここで愛国心が出てくるの!?」
「……え? あれ、スク水って日本独自の水着だよね? 違った? お母さんに怒られる?」
「え、あってるし、お母さんには怒られないけど……愛国心、関係ないよね?」
「日本古来から脈々と伝えられてきたスク水を『こんなの着ないだよもん。紐ビキニ、もしくは全裸がいいだよもん。だよもん星人あらわるもん』とか言って貶す奴に、愛国心のなんたるかが判るはずがない」
「……それ、ボクのマネ?」
「そっくりだよもん」
「全然まったくちっとも似てないっ! そもそも、ボクはだよもん星人じゃないっ! だよもん星人ってなんだよ!」
「じゃ、一度家に帰ってから行くか。準備してからお前ん家に行くから、部屋で待ってろ」
「人の話聞けっ!」

「そんなわけで、プール到着! 水が大量に溢れ、そして押し寄せるそのさまに、世界崩壊の日を連想せずにはいられませんね」
 流れるプールを眺めるフリをしつつ、流れる女体を視姦する。ナイスおっぱい!
「とか言いながら、実は女の子を見てるのに100ガバス」
「ビンゴ。100カボス進呈……」
 聞き慣れた声に振り向くと、そこに俺が待ち望んでいた姿の梓がいた。
「な、なんだよ。……あんまじろじろ見るなよぉ」
 と言いながら恥ずかしそうに浮き輪で自分の体を隠す梓だけど、じろじろ見る。
 凹凸のない体にあわせて作ったかのようにベストフィットした紺色の旧スクが、俺の煩悩を直撃。
 さらに、シャワーでも浴びたのか濡れたスク水の表面のてかりといったらもう! なにコレ! そりゃ辛抱たまらず抱きしめちゃいますよ!
「たっ、タカシタカシタカシ! だっ、抱きしめてる、抱きしめてるよっ!?」
「大丈夫、分かってる」
「分かってるならやめろっ! みんな見てるみんな見てる!」
「そんな面白い見世物でもないのになぁ。ところで梓、まずどこ行く?」
「相談は抱きしめるのやめてからだよ、ばかーっ!」
 大変怒られたので、だっこ解除。
「うー……まさか、いきなりぎゅーってされるとは思いもしなかったよ」
 梓はぺたりと地面に座り込み、すねたように口をとがらせて俺を見た。
「俺もまさかいきなり抱きしめるとは思わなかった。恐るべし、スク水の魔力……」
「タカシの性欲の方が恐るべしだよ……」
「てへ」
「タカシ、びっくりするくらい可愛くない……」
 失礼な。
「ま、いーや。泳ごうぜ。泳げないフリして梓に抱きつき、尻やら乳やらまさぐるけど、気づかないフリしてくれ」
「それ言っちゃダメだしまさぐられたら怒るし外でエッチなことするのダメに決まってるだろっ!」
「中ならいいと?」
「う……そ、そうは言わないけどさ。……まぁ、外よりはマシだけど」
「なんと! 言ってみるもんだ! よし梓、泳ぐのなんて切り上げて、俺の家行こう! そしてちょっと人には言えない事しよう!」
「しないっ! 外よりはマシって言っただけで、するとは言ってない! 今日は泳ぐの!」
「お前のバヤイ、泳ぐじゃなくて浮かぶ、だけどな」
 カナヅチの象徴である浮き輪を軽くつまむと、梓の頬がぷくーっとふくれた。
「おや、フグ出現。人間界にようこそ」
「フグ違うっ! にんげん! 人間界には前々からいる! このぷくーは、馬鹿にされて怒ってることを表してるの!」
「そう怒るない。よし、今日はお兄さんがお前に水泳をレクチャーしてやろう」
「え、ホント? ボクでも泳げるようになる?」
「いや、レクチャーと銘打って実際には尻やら乳をまさぐることに終始するから無理だろ」
「だから、それ言っちゃダメだろっ、ばかっ!」
 怒られたのでレクチャーはせず、普通に梓と遊びました。

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【アニソンを口ずさんでいるのを男に見られたツンデレ】

2010年03月10日
「……一万年と二千年前からあっいっしってっる~」
 遊びに来た梓と部屋で別々に漫画読んでたら、梓方面から変な歌が聞こえてきた。変な奴が変な歌を歌うと、相乗効果でとても変だなぁとか思いながらじーっと見てたら、目が合った。
「……なんか用?」
「それでも俺はこいつと友達でいてやろうと思った」
「いきなりそこだけ抜き出されても意味分かんないし、なんか上から目線でムカつくっ!」
 怒られたので、思ってた事を全部言ったらまた怒られた。
「変な奴じゃないし変な歌じゃないし相乗効果でとても変じゃないっ! それを言うならタカシこそ変じゃん、変! その場の思い付きで、さっきみたいな変なことすぐ言うしさ」
「変なこと……実は梓は男の子だった、とか?」
「それは変なことじゃなくてただの事実無根な嘘だよっ! 超女の子だよ、ちょー!」
「ははっ、まったまた」
「なんで冗談っぽく流されてるんだよぉ!? こら、信じろ!」
「む……この流れは、『じゃあ実際に調べてみるか』『そんなつもりじゃないのに……ああ、流されるボク』みたいな感じでエロくなりそうな! よし、この方向でいってみよう!」
「いくなっ! タカシえろすぎ! エッチな人は嫌いだよっ!」
「大丈夫。梓が俺を嫌いでも、俺は梓が好きだから」
「っ! ……う、う~……タカシ、すぐそーゆーこと言うから、……嫌いだよ」
 梓は軽くうつむき、困ったように視線をさ迷わせた。
「さて。じゃあ実際に調べてみるか」
「そこでなんでさっきの台詞が出てくんだよっ! 期待した目で見られても『そんなつもりじゃないのに……ああ、流されるボク』なんて言わない! ……折角いい雰囲気だったのにぃ。はぁ……」
「ふふ。雰囲気クラッシャー、略して噴射、そこから連想してぶっかけのタカシと呼んでくれ」
「それもう別の意味だよっ! あーもう、タカシと話してると疲れるよ……」
「ぶっかけられるから?」
「そこから離れろっ!」
 なんでかなと思いながら、場所を移動して梓の隣に座る。
「そ、そーゆー意味じゃなくて! 場所移動じゃなくて、言葉として、その……あぅぅ」
 なんとなく梓の頭をなでると、言葉尻がすぼんでいった。
「……タカシ、すぐボクの頭なでるよね。そんなボクの頭なでるの、好きなの?」
「梓を犬と誤認識してるから、ついなでてしまうんだろうね」
「今すぐその勘違いどうにかしろっ! ……い、犬じゃないから、なでられても嬉しくなんて……あぅぅ」
 困る梓が可愛くてそのままなで続けたら、日が暮れた。びっくりした。

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【ツンデレと祭りに行きました】

2010年03月09日
 今日は祭りがあるとかで、街全体の空気が浮き足立ってる。
「ねっ、ねっ、お祭り行くでしょ? 一緒に行こ? ね?」
 そして、街の空気以上に体全体が浮き足立ってる梓が笑顔で誘いをかけてきた。
「断る!」
「……そ、そうだよね。ボクと一緒に行ってもつまんないよね。……そうだよね」
 軽いいじわるで断ったら、さっきの楽しそうな空気を一瞬で粉砕し、梓はこの世の終わりみたいな顔になった。
「冗談に決まっとろーが。なんで落ち込むかな」
「わ、分かってたよ! 冗談って最初っからまる分かりだよ! でも、冗談って気づかなくて悲しむ人もいるかもしんないから、そういう冗談禁止!」
「断る!」
「断んなあ!」
 そんな感じで、祭りに行くことになった。
 待ち合わせの時間になったので、浴衣に着替え梓の家の前で待っているのだけど、まだ出てこない。着替えに手間取ってんのか?
「梓ー、まだかー? 早くしないと俺だけ先に脳内で祭りに行くぞ? ……ほほう、ここがお祭り会場か。女性は全員着衣禁止とは、粋な計らいだなぁ」
「タカシさぁ、そういうこと思ってもいいけど、口に出しちゃダメだよ。捕まるよ」
「失礼な。失礼な梓は罰として……」
「……な、なんだよぉ」
 家から出てきた梓は、色鮮やかなアサガオ柄の浴衣に袖を通し、少し恥ずかしそうに頬を染めていた。その愛らしい姿に、なんだか言葉を失ってしまう。
「……な、なんとか言えよ。可愛いとか」
「あ、ああ、うん。えっと、皮いい」
「……なんだろ、なんか素直に可愛いって言われてる気がしない」
 時々梓は鋭い。
「まーなんだ、馬子にも衣装というか、アレだな。悪くないんじゃないか?」
「え、えへ……そう?」
 梓は嬉しそうにはにかみ、その場でくるりと一回転した。
「どう? どう? 可愛いっしょ? こんな子連れて歩けるだなんて、タカシは幸せ者だね。らっきー♪」
「これで女だったら言うことないんだけどなぁ」
「メチャ女の子だよっ!? なんてこと言い出すんだよっ!」
「あはは、まったまた」
「いやいやいや、なんで冗談みたいに流されてるの!?」
「さて、こんなところでぼやぼやしてても仕方ないし、ボチボチ行くか」
「なんか納得できない感が強いけど……まぁいいや。じゃ、行こっか?」
「うおっ!」
「うひゃっ!?」
 突然手を握られ、思い切り狼狽したら梓も驚いた。
「なななっ、なんだよっ! びっくりしたじゃん!」
「手を握られ、狼狽してうろたえた」
「一緒の意味だよ! もー、手くらいよく繋ぐじゃん。なんでうろたえるんだよ」
「や、いきなりだったので。ところで、手を繋いだなら今度は別の箇所も繋いでみませんか?」
 しばらく考えた後、梓の顔が一瞬で赤くなった。
「た、た、た、タカシエッチだよ! エッチが過ぎるよ! いわば過半数エッチだよ!」
「そのいわばはおかしい」
「うるさいっ! いーから手ぇつなぐ! つながないと迷子になっちゃうから! 人多いし!」
「いや、まだ家から一歩出ただけだし、人が多くなってからで充分かと」
「う……わ、分かってるよ! 別に手つなぎたかったんじゃないから平気だよっ! ほら、早く行くよ!」
 離された手を、今度はこっちから繋ぎなおす。
「た、タカシ……?」
「梓は手繋ぎたくないかもしれないけど、俺は手を繋ぎたい」
「う……し、しょうがないなあ、タカシは。特別に、繋いであげるよ」
 不満そうな顔をする梓と手を繋いで(繋いだ瞬間すげー嬉しそうな顔しちゃってああもう)、祭りが行われている神社へ。
「にぎやかだねぇ。ね、ね、なに食べる?」
 色とりどりな浴衣の海を泳ぎながら、梓は顔を輝かせて言った。
「いきなり食い気か。さすがは飽食の梓、食欲にかけては右に出る者はいないな」
「なんだよその二つ名! ボクはハラペコキャラじゃないよっ! 右に出る者いまくりだよっ!」
「じゃ、そこの焼きとうもろこしを食ったりはしないんだな」
 指差した先に、こうばしい香りをたてる焼きもろこし屋があった。梓の鼻がひくつく。
「……た、食べないよ。食べるわけないよ」
「なるほど。じゃ、俺だけ食おう」
「あっ、一人で食べるなんてずるい!」
 買いに行こうと屋台に向かう俺の腕を、梓は熱烈に引っ張った。
「おまいはいらんのだろうが」
「う……タカシ、ホントにずるい」
「いわばリアルずる」
「タカシって基本的に変だよね」
 失礼なので、梓を引きずったまま屋台の前へ。
「あぅぅ……いいよいいよ。タカシ一人で食べちゃえ」
「言われなくとも。おっちゃん、もろこし二本」
「一人でふたつも……嫌がらせだ。ぜったい嫌がらせだ」
 梓が不満そうにぶつくさ言ってる中、おっちゃんからもろこしを二つ受け取る。醤油のこうばしい香りが鼻腔をくすぐる。
「うひゃひゃひゃ」
「ど、どしたの? いきなり笑い出して……ちょっと怖いよ」
「いや、くすぐられたんで」
「?」
「……いや、なんでもない。ほい」
 梓にもろこしを渡す。
「……いいの?」
「嫌か? だったら返してもら」
 最後まで言い切る前に、かぶりつかれた。
「まぐまぐ……おいしいね。おごりだと、なおおいしいよ」
「あー……まぁいいや。うまいなら、何よりだ」
「あぐあぐ、あぐあぐ……んんっ! タカシタカシ、あっちにわたあめ発見だよっ!」
「わたおに?」
「それはタカシの部屋に置いてるロリコンのための本だろっ! なんか、えっちぃ人形がついてる本」
「梓みたいなつるぺたと一緒にいたら誰だってロリコンになろうが!」
「なんでボクが怒られてるの!? ていうかつるぺた言うなっ!」
 胸元に膨らみがほとんど(全く?)ない梓が怒った。
「そう怒るな。浴衣には似合うからいいよね。素敵だね」
「ちっとも素敵じゃないよ! もー怒った、今日のデート全部タカシの奢り! けってー!」
「や、それは構わんが……これ、デートなの?」
「えっ、あっ、ちっ、ちがっ、違うよ? 友達どうしで遊びに来ただけだヨ?」
 わたわたと手を振りながら、梓は必死で抗弁した。
「まぁ、そうだよな。あーびっくりした」
「……そうだよっ!」
 なんだか知らないが、急に怒ったように足音荒くわたあめ屋に進む梓たん。慌てて後を着ける。
「おじさんっ、はじからはじまで全部っ!」
「無茶すんなっ!」
 とんでもない大人買いをしようとする梓の頭をはたいて、暴挙を止める。
「無茶じゃないもんっ! どーせタカシのおごりだもん、買いまくるもん!」
「あーもう……おっちゃん、わたあめ一袋くれ」
 おっちゃんからわたあめをもらい、にゃーにゃー言ってる梓に押し付ける。
「ほれ。一個で充分だ」
「むー……」
 まだ不満そうだったが、一口二口食べると、途端に嬉しそうに顔を綻ばせた。だが、それを俺に見られているのに気づいた瞬間、面白くなさそうに顔をしかめさせた。
「……あー、なんか飽きちゃった。はい、残り食べて」
 半分ほど食べた後、梓は俺にわたあめを押し付けた。
「贅沢者め……もったいないお化けに食されるがいい」
「も、もったいないお化けとかいないからへーきだもん。……あ、あの、急に食べたくなったから返して!」
「もう遅い。もがもがもが」
 取り返そうとする梓の手をかいくぐり、わたあめを喰らう。甘い。
「あ、あぅ……もったいないお化けが……」
 ふるふる震える梓。こういうお馬鹿なところが可愛いな、と思わなくもない。
「大丈夫。もったいないお化けは好き嫌いなんてないから、どんなものでも残さず食べる。安心しろ」
「食べ残しの心配なんてしてないっ!」
「じゃ、間接キスの心配でもしろ」
「? かんせつ……あああーっ! そうだよ、ボクの食べ残しタカシが食べたら間接キスになるじゃん! 早く教えろよっ、ばかっ!」
「梓の食べ残しを俺が食うと間接キスになりゅ」(0.5秒)
「早口で言えってことじゃないっ! あと最後噛んだ」
 ムカついたので、わたあめを梓の口につっこむ。
「もがっ! ……むぐむぐ、なにすんだよっ!」
「間接キス返し。梓キス→俺キス→梓キス→となり、次の俺のターンが来るのが楽しみだ」
「もう来ないっ! まったくもう、タカシといたら疲れるよ……」
 なんてこと言いながら、梓はわたあめを食べた。
「ふむ、怒りは過ぎ去ったようでなによりだ。怒ってたら、祭りなんて楽しめないからな」
「……ひょっとして、さっきボクをからかったの、ボクが怒ってたのを紛らわすため……?」
 どこか嬉しそうに、上目遣いで梓が俺を見る。
「いや、それはただ純粋にボクっ娘をからかいたかっただけ。ボクっ娘をからかうのは俺のライフワークだから」
「そんな仕事捨ててしまえっ! ……まったくもう、しょうがない奴なんだから」
 そんな感じで、にっこり笑う梓と一緒に祭り会場を回った。

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【撫でられると嬉しくなっちゃうボクっ娘】

2010年03月08日
 ボクっ娘の家に遊びに来たのだけど、暇なのでほっぺでも引っ張ってやろう。
「ふひゃっ!? ひゃっ、ひゃふふんはほっ! ははへほっ!」
「ばっはむはむは、めらむぐちょ」
「ははひはひゃへへふんははは、ふふーひひゃへへ!」
 何言ってんだかちっとも分からないので、手を離してやる。
「あぅっ。タカシは喋れるんだから、ふつーに喋れよ!」
「なるほど、そう言いたかったのか。分かってやれなくてゴメンな、梓。次は頑張るからさ」
「そんなのどーでもいい上、次なんて不許可だよっ! いきなりほっぺを引っ張ったことに謝罪を求めずにはいられないよっ!」
「いや、それは謝らないよ」
「なんで!?」
「きっと、悪いと思ってないんじゃないか?」
「タカシタチが悪いよ、極悪だよ!」
「タカシたち……? いかん、知らない間に増えてた! 減らさないと!」
「そーゆー意味じゃないっ! 性質、性根が悪いって意味! 質であり、達ではないよ!」
 そう言いながら、梓は空中で漢字を書いた。
「なんだ、紛らわしい」
「普通間違わないよ。ある意味、すごいよ」
「褒められた! ……いや、これは馬鹿にされてるな?」
「おおあたりー。ぱちぱちぱちー」
 口でぱちぱち言いながら、梓はやる気なさげに拍手した。
「景品は?」
「け、景品?」
「当たりと言えば景品だろう。さ、くれ」
「え、えーっとえーっと……」
「5秒以内に景品をくれない場合、大惨事が」
「大惨事!? 一体何する気だよぉ!?」
「ごーよんさんにーいちー」
「とか言ってる間にカウントダウンが!? えっとえっとえっと、これ!」
 落ちてた雑誌を渡されそうになったので、華麗にかわす。
「かわされた!?」
「ぜろー」
「ずるいずるいタカシずるい! かわすなんて反則だよ、卑怯者のすることだよ!」
「おかしいな、負け犬の吠える声が聞こえるよ」
「ぐぅぅぅぅ……」
「じゃ、大惨事開始! あ、最初に言っとくけど、死ぬなよ? まだ捕まりたくないんだ」
「死ぬようなことするの!?」
「大丈夫! 人によっては生き残るから!」
「これほど安心できない大丈夫聞いたことないよっ!」
「じゃ、開始ー」
「あ、あぅぅぅぅ……あぅ?」
 震える梓の頭に手を乗せ、ゆっくりなでる。
「……これ、大惨事?」
「高校生になったというのに頭をなでられ、羞恥のあまり自害する人が後を絶たない、というニュースを夢で見た」
「夢じゃん!」
「そうだね」
「なんだぁ……ただボクの頭なでたかっただけなんだね。わふわふ♪」
「お、わふわふが出た! 説明しよう! 梓は頭をなでられると本来の犬の習性が出てしまい、思わずわふわふと鳴いてしまうのだ!」
「わんわん違う! 人間!」
「なでなで」
「わふわふ♪」(嬉しそう)
「人はなでられても嬉しそうにわふわふ言いません」
「うぐ……だ、だって、タカシになでられるとなんか言っちゃうんだもん! ボクのせいじゃないもん! タカシのせいだ!」
「責任転嫁とな。……許せん、許せるものか! 超なでなでの刑! なでなでなで!」
「わふわふ、わふわふ♪」(超嬉しそう)
「…………」
「よ、喜んでない、喜んでないよ!? ちょっとわふわふ言っただけだよ!?」
「…………」(無言でなでなでなで)
「わふわふ、きゅーきゅー♪」(とてもとても嬉しそう)
「やっぱ犬だ」
「うぐぐぐ……タカシすぐボクのこと馬鹿にするから、今日からボクの頭なでるの禁止!」
「なんと! これからは頭でなく尻をなでろと、そう言うのだな?」
「言わないっ! どこも撫でるな!」
「揉めと!?」
「揉むなぁ!」
「まぁ、揉むほどないけどな、乳」
「ぐ……い、いーもん。こないだ見たアニメで、貧乳はステータスとか言ってたもん。喜ぶ人も多いもん」
「はい! 俺! 俺とか!」
「……なんでこうも堂々と貧乳フェチって胸張れるのかなぁ」
「だって、堂々と股間張らしてたら色々問題があるだろ?」
「そういうことじゃないっ!」
「え、勃たせてていいの?」
「論外だよっ! ていうか勃つとか言うなっ!」
「分かった、言わない。代わりに頭なでる」
「え、いや、だから頭なでるの禁止って……わうわう♪」(やっぱり嬉しそう)
「お前面白いな」
「別に好きで面白いんじゃないっ! ボクで遊ぶなっ! 禁止って言ってるんだから頭なでんなぁ!」
「わはははは。なでなで」
「きゅんきゅん、きゅー♪」(嬉しそうに鼻を鳴らしながらすりすり)
 来年の夏休みの自由研究は、ボクっ娘と犬との相関関係にしよう。

拍手[8回]