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2025年04月21日
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【猫とたわむれている所を見られたツンデレ】
2010年03月07日
「こんちゃ~。……あれ、タカシいないの? なんだぁ……あっ、猫!」
部屋でまどろんでいると、梓ことボクっ娘がやってきて俺のペットである轟雷号を抱きかかえた。
「タカシいないね~。どこ行ったんだろうね~。ねね、キミ知ってる?」
「ふかっ」
轟雷号は不遜な表情のまま一声鳴いた。
「知らないの~。んー、キミ変な鳴き声だねぇ~。えへー、可愛いねえ」
梓は楽しそうに轟雷号の鼻先にすりすりした。轟雷号は物凄く迷惑そう。
「にゃんにゃ~は、にゃんにゃんにゃ~、だよ?」
梓の奴は、いわゆる猫なで声で轟雷号に意味不明な言葉を発し続けていた。
「猫に猫なで声……うっひゃっひゃっひゃっひゃ!」
「うわぁっ!? なななになに!? タカシ!? どっ、どこにいるんだよぉ!?」
しまった、あまりのくだらなさに笑ってしまった。
「これは超常現象で聞こえるのであり、超絶美形のタカシ君はここにいません」
「あー、だよねぇ。美形じゃなくて、へちゃむくれのタカシならいるけど」
「し、失敬な! そのどんぐりまなこでじっくり見やがれ、俺の美顔!」
暗い場所から飛び出ると、大層驚いた顔の梓に出迎えられた。
「うわぁっ! ど、どっから出てくるんだよぉ!?」
「なまこ」
「違うだろっ! クローゼットじゃん! じゃんじゃんじゃん!」
クローゼットの中で寝るのは至難の技です。暇つぶしにすることじゃないです。
「じゃんじゃんうるさい。ところで梓よ、ずいぶんとまぁ甘ったるい声で話してたなぁ」
「う……うるさいなぁ。タカシには関係ないだろ?」
「人の轟雷号を勝手にいじくって関係ないとな」
「ごうらいごう? ……まさか、このコの名前?」
「超かっこいい」
「全っっっ然だよ! こんな可愛いのに、そんな変な名前可哀想だよ! 哀れみを覚えるよ! 憐憫の情だよ!」
当の轟雷号はどうでもいいのか、ベッドの上でやる気なさげにアクビしていた。やる気みなぎるアクビなんて見たことないが。
「まぁ、俺のセンスフルな言語感覚はどうでもいい」
「ちっともセンスフルじゃないよ、センス0だよ!」
「そんなのはいい。ところで梓、おまいは猫と相対した時はいつもあんな風に気持ち悪いのか?」
「気持ち悪くないよッ! 超可愛いよ、ちょー! にゃんにゃんにゃーだよッ!」
「自分で可愛い言うな」
「タカシはボクが可愛くないって言うのかよっ!」
「いや、俺は可愛いと思うぞ」
「なんで猫見てるんだよ、ねこっ!」
轟雷号は頭を撫でられ、面倒くさそうに“ごあー”と鳴いた。
「特にこの口元のラインがたまらん」
「だから、それ猫のことだろ、ねこ! ボクを見ろ、ボクを!」
「可愛いなぁ、轟雷号。ほりほり」
頭を大層撫でると、轟雷号は大層嫌そうにしっぽをはためかせた。
「ぐぅぅぅぅ……にゃ!」
「……はい?」
「にゃ、にゃーだよ! ほ、ほら、こっちの猫も可愛がってはいかがかな?」
後ろにいたボクっ娘が、猫にジョブチェンジしたと言い張る。
「本物猫がいい」
「嘘猫もいいものだよ? ほ、ほら、なでなでされると、喜ぶよ?」
なでろと言わんばかりに頭を差し出すボクっ娘。そっと轟雷号を乗せてやる。
「違うよ、なでるんだよ! ……って、重い重いよ! このコ何kgあるの!?」
「6kg。普通の体重だと思うが」
「いいからどけろっ! んで、なでろっ!」
「なでなで」
「なんで猫をなでるんだよぉ!? いたたたっ、このコ爪立ててるよ! タカシ嫌われてるよ!」
「それくらい知ってるさ。俺を見くびるなよ?」
「知ってるなら好かれる努力しろよ、ばかっ! いーからどけろっ!」
そろそろ本気で怒られそうなので、轟雷号をベッドに移す。
「うー……頭痛い」
「まぁまぁ。痛いの痛いのとんでけー」
「あ……」
梓の頭を軽くなでると、息が漏れたような声がした。梓の頬に朱が射す。
「その後再び痛み戻ってこーい」
「いたたたた! タカシ痛いよ、ボクの頭割ろうとしてるよ!?」
「割れた後の処理は任せろ!」
「いーから離せっ!」
怒られたので離す。
「あいたた……まったく、タカシと関わるとろくな事が起きないよ」
「好んで俺と遊んでいるように見えましたが」
「き、気のせいだよ?」
ものすごく目が泳いでますが。
「い、いーから遊ぼ?」
「まぁいっか。よし、ここは童心に返ってお医者さんごっこでも」
「しないっ!」
「いや、俺が先生役で、梓が胸に疾患のある患者役だから」
「余計にしないっ! なんでそんな配役ですると思うんだよっ!」
「まさぐるだけだぞ?」
「まさぐんなぁっ!」
非常に残念である。
部屋でまどろんでいると、梓ことボクっ娘がやってきて俺のペットである轟雷号を抱きかかえた。
「タカシいないね~。どこ行ったんだろうね~。ねね、キミ知ってる?」
「ふかっ」
轟雷号は不遜な表情のまま一声鳴いた。
「知らないの~。んー、キミ変な鳴き声だねぇ~。えへー、可愛いねえ」
梓は楽しそうに轟雷号の鼻先にすりすりした。轟雷号は物凄く迷惑そう。
「にゃんにゃ~は、にゃんにゃんにゃ~、だよ?」
梓の奴は、いわゆる猫なで声で轟雷号に意味不明な言葉を発し続けていた。
「猫に猫なで声……うっひゃっひゃっひゃっひゃ!」
「うわぁっ!? なななになに!? タカシ!? どっ、どこにいるんだよぉ!?」
しまった、あまりのくだらなさに笑ってしまった。
「これは超常現象で聞こえるのであり、超絶美形のタカシ君はここにいません」
「あー、だよねぇ。美形じゃなくて、へちゃむくれのタカシならいるけど」
「し、失敬な! そのどんぐりまなこでじっくり見やがれ、俺の美顔!」
暗い場所から飛び出ると、大層驚いた顔の梓に出迎えられた。
「うわぁっ! ど、どっから出てくるんだよぉ!?」
「なまこ」
「違うだろっ! クローゼットじゃん! じゃんじゃんじゃん!」
クローゼットの中で寝るのは至難の技です。暇つぶしにすることじゃないです。
「じゃんじゃんうるさい。ところで梓よ、ずいぶんとまぁ甘ったるい声で話してたなぁ」
「う……うるさいなぁ。タカシには関係ないだろ?」
「人の轟雷号を勝手にいじくって関係ないとな」
「ごうらいごう? ……まさか、このコの名前?」
「超かっこいい」
「全っっっ然だよ! こんな可愛いのに、そんな変な名前可哀想だよ! 哀れみを覚えるよ! 憐憫の情だよ!」
当の轟雷号はどうでもいいのか、ベッドの上でやる気なさげにアクビしていた。やる気みなぎるアクビなんて見たことないが。
「まぁ、俺のセンスフルな言語感覚はどうでもいい」
「ちっともセンスフルじゃないよ、センス0だよ!」
「そんなのはいい。ところで梓、おまいは猫と相対した時はいつもあんな風に気持ち悪いのか?」
「気持ち悪くないよッ! 超可愛いよ、ちょー! にゃんにゃんにゃーだよッ!」
「自分で可愛い言うな」
「タカシはボクが可愛くないって言うのかよっ!」
「いや、俺は可愛いと思うぞ」
「なんで猫見てるんだよ、ねこっ!」
轟雷号は頭を撫でられ、面倒くさそうに“ごあー”と鳴いた。
「特にこの口元のラインがたまらん」
「だから、それ猫のことだろ、ねこ! ボクを見ろ、ボクを!」
「可愛いなぁ、轟雷号。ほりほり」
頭を大層撫でると、轟雷号は大層嫌そうにしっぽをはためかせた。
「ぐぅぅぅぅ……にゃ!」
「……はい?」
「にゃ、にゃーだよ! ほ、ほら、こっちの猫も可愛がってはいかがかな?」
後ろにいたボクっ娘が、猫にジョブチェンジしたと言い張る。
「本物猫がいい」
「嘘猫もいいものだよ? ほ、ほら、なでなでされると、喜ぶよ?」
なでろと言わんばかりに頭を差し出すボクっ娘。そっと轟雷号を乗せてやる。
「違うよ、なでるんだよ! ……って、重い重いよ! このコ何kgあるの!?」
「6kg。普通の体重だと思うが」
「いいからどけろっ! んで、なでろっ!」
「なでなで」
「なんで猫をなでるんだよぉ!? いたたたっ、このコ爪立ててるよ! タカシ嫌われてるよ!」
「それくらい知ってるさ。俺を見くびるなよ?」
「知ってるなら好かれる努力しろよ、ばかっ! いーからどけろっ!」
そろそろ本気で怒られそうなので、轟雷号をベッドに移す。
「うー……頭痛い」
「まぁまぁ。痛いの痛いのとんでけー」
「あ……」
梓の頭を軽くなでると、息が漏れたような声がした。梓の頬に朱が射す。
「その後再び痛み戻ってこーい」
「いたたたた! タカシ痛いよ、ボクの頭割ろうとしてるよ!?」
「割れた後の処理は任せろ!」
「いーから離せっ!」
怒られたので離す。
「あいたた……まったく、タカシと関わるとろくな事が起きないよ」
「好んで俺と遊んでいるように見えましたが」
「き、気のせいだよ?」
ものすごく目が泳いでますが。
「い、いーから遊ぼ?」
「まぁいっか。よし、ここは童心に返ってお医者さんごっこでも」
「しないっ!」
「いや、俺が先生役で、梓が胸に疾患のある患者役だから」
「余計にしないっ! なんでそんな配役ですると思うんだよっ!」
「まさぐるだけだぞ?」
「まさぐんなぁっ!」
非常に残念である。
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【ビーム撃ってくるツンデレ】
2010年03月06日
とある休日、ボクっ娘の家に遊びに行くと、腕にビーム砲が装着されてた。
「ふふふ……これでいっつもボクをいじめるタカシを倒せるよ! びびびびび、だよ!」
「ボンバーマンしよーぜ」
「まるでびびびに興味を持たずいつもやってるボンバーマンに興味深々!? こら、ちょっとはこっちに興味持て! 倒すとか言ってる人がいるのにゲームしようとするなっ!」
「じゃ、後で倒されてやるからボンバーマンしよ」
「なんでそんなボンバーマンしたいんだよ……」
「俺、ボンバーマンし終わったら、小さな店を開くんだ……」
「タカシ死ぬ気だ!」
「そんなのはいいから、ゲームしよーぜ」
「うー……終わったら勝負だよ?」
「しかし、ただするのもつまらんな……よし、一つ賭けをしよう。梓が勝ったら俺をビームで撃ってもいい。で、俺が勝ったら梓を肉奴隷にする」
「えええええ!? 困るよ、超困るよ!」
「しまった、既に調教済みだったか」
「されてないっ! そんな賭けはノーだよ、お断りだよっ!」
「しゃーねーなぁ……じゃ、俺が勝ったらキスしてくれ、キス」
「うええっ!? そっ、そんな、困るよ!」
「異議は認められません。はい、開始ー」
そんなわけで、あぅあぅしてる梓を放ってゲーム開始。
「あぅ……ビーム砲が邪魔でコントローラーが持てない」
「…………。えっと、TVとかで障害者が足で鉛筆持ったりするのあるだろ? ああいう風に足で操ってはどうだろう」
「あ、それいい! ……あ、でも、それしちゃうと、パンツ見えちゃう……」
梓はボクっ娘のくせに今日はスカートをはいてるので、足を広げるとパンツが見える塩梅だ。
「大丈夫、俺にしか見えないから」
「それが嫌なんだよっ!」
「うーん……お、名案が浮かんだ! パンツを脱げば、パンツ見えなくなるぞ?」
「もっと危ないものが見えちゃうだろっ! どこが名案なんだよっ!」
「じゃあおっぱいも出せばいいじゃない」
「何がじゃあなんだよ、何が! タカシが見たいだけじゃん!」
「おっぱいっていいよね。素敵だね。夢が詰まってるよね」
「うー……なんでこんな変態なんだろ」
「とか言いながら、既に梓の操るボンバーマンは爆殺済みです」
「え……あああああ!」
梓がTVに向き直ると、そこには爆風で吹き飛ぶ梓のボンバーマンが映っていた。
「ずるい! 卑怯! ボクが動かせないうちに倒すなんて、悪い人がすることだよ!」
「むふー」
「うう……すっごく満足げな顔が憎たらしいよ……」
「しかし、梓は弱いな。よわよわだな。頭の加減とゲームの腕は比例するのか?」
「馬鹿にされた! ううううう……許せないよ、許しがたいよ! 今こそビーム砲の力を発揮する時! くらえ!」
へろへろへろ、ぺち。
「……?」
「え、あれ、おかしいな……もっかい! えい!」
へろへろへろ、ぺち。
「……ビームか、これ?」
「あれ、あれれ? なんでこんなへろへろなの?」
砲口から飛び出たビームは、なんつーか……目視できるほどゆっくり進み、俺の体に当たったはいいが、蚊に刺されたほどの痛みもなかった。
「懐中電灯の方が役に立ちそうだな」
「ううう……欠陥品だったよ」
どこで買ったか知らないが、ご愁傷様で。まぁ俺は死ななくてよかったけど。
「さて! お待ちかねのご褒美タイム!」
「……な、なんのことカナ?」
「えっちさせてくれるという話ですが、心の準備はよろしいか?」
「違うだろっ! ちゅーだろ、ちゅー!」
「そう。流石は梓、よく覚えてたな」
「あっ……うう、誘導尋問だよ」
「さて。ぶちうーとかますがいい」
……つっても、梓のことだから、自分からってのは無理だろうな。ま、ある程度遊んだら許してやるか。
「…………んっ!」
ちゅ。
「…………」
「……ほ、ほら、したよ。これで満足だろ?」
「…………」
「……な、なんだよ。なんとか言えよ」
「…………」
「う、うー……」
「……はっ、夢か。ふひゅー、梓がキスする夢を見るだなんて、たまってんのか?」
「現実だよっ! ……なんだよ、夢って。ホントはしたくなかったのかよ」
「あ、いや、そうじゃなくて、その、びっくりしたのです。まさか口にキスされ、その上梓の舌が俺の口内に入り込み蹂躙し尽くすとは予想だにしていなくて」
「蹂躙なんてしてないっ! ちゅーはほっぺにした!」
「んむ。やーらかかったよ?」
「う……そ、そーゆーことは言わなくていいよっ!」
「梓、顔赤い」
「知ってるよっ!」
「しかし、俺だけされるのもなんだか悪いな。なので、俺もお返しにキスしようと思う」
「そんなっ! こ、こ、こ、困るよ、困りまくりだよ!」
「ちゅー」
「ひゃ、ひゃああ」
そんな感じでちゅっちゅちゅっちゅしました。
「あうう……タカシ、ちゅーしすぎだよ。顔、べたべたになっちゃったよ」
「や、その、思ったより楽しくて。ははは。し、しかし、口は理性をフル動員させて回避しましたよ? 褒めて褒めて」
「それ以外の箇所全部にちゅーしたら意味ないよっ!」
頑張ったのに褒めてくれなかった。
「まったく……タカシはえろすぎだよ。タカシのえろ。えろタカシ」
えろえろ言う梓にほっぺを軽く引っ張られるも、実際えろいので何も言い返せませんでした。
「ふふふ……これでいっつもボクをいじめるタカシを倒せるよ! びびびびび、だよ!」
「ボンバーマンしよーぜ」
「まるでびびびに興味を持たずいつもやってるボンバーマンに興味深々!? こら、ちょっとはこっちに興味持て! 倒すとか言ってる人がいるのにゲームしようとするなっ!」
「じゃ、後で倒されてやるからボンバーマンしよ」
「なんでそんなボンバーマンしたいんだよ……」
「俺、ボンバーマンし終わったら、小さな店を開くんだ……」
「タカシ死ぬ気だ!」
「そんなのはいいから、ゲームしよーぜ」
「うー……終わったら勝負だよ?」
「しかし、ただするのもつまらんな……よし、一つ賭けをしよう。梓が勝ったら俺をビームで撃ってもいい。で、俺が勝ったら梓を肉奴隷にする」
「えええええ!? 困るよ、超困るよ!」
「しまった、既に調教済みだったか」
「されてないっ! そんな賭けはノーだよ、お断りだよっ!」
「しゃーねーなぁ……じゃ、俺が勝ったらキスしてくれ、キス」
「うええっ!? そっ、そんな、困るよ!」
「異議は認められません。はい、開始ー」
そんなわけで、あぅあぅしてる梓を放ってゲーム開始。
「あぅ……ビーム砲が邪魔でコントローラーが持てない」
「…………。えっと、TVとかで障害者が足で鉛筆持ったりするのあるだろ? ああいう風に足で操ってはどうだろう」
「あ、それいい! ……あ、でも、それしちゃうと、パンツ見えちゃう……」
梓はボクっ娘のくせに今日はスカートをはいてるので、足を広げるとパンツが見える塩梅だ。
「大丈夫、俺にしか見えないから」
「それが嫌なんだよっ!」
「うーん……お、名案が浮かんだ! パンツを脱げば、パンツ見えなくなるぞ?」
「もっと危ないものが見えちゃうだろっ! どこが名案なんだよっ!」
「じゃあおっぱいも出せばいいじゃない」
「何がじゃあなんだよ、何が! タカシが見たいだけじゃん!」
「おっぱいっていいよね。素敵だね。夢が詰まってるよね」
「うー……なんでこんな変態なんだろ」
「とか言いながら、既に梓の操るボンバーマンは爆殺済みです」
「え……あああああ!」
梓がTVに向き直ると、そこには爆風で吹き飛ぶ梓のボンバーマンが映っていた。
「ずるい! 卑怯! ボクが動かせないうちに倒すなんて、悪い人がすることだよ!」
「むふー」
「うう……すっごく満足げな顔が憎たらしいよ……」
「しかし、梓は弱いな。よわよわだな。頭の加減とゲームの腕は比例するのか?」
「馬鹿にされた! ううううう……許せないよ、許しがたいよ! 今こそビーム砲の力を発揮する時! くらえ!」
へろへろへろ、ぺち。
「……?」
「え、あれ、おかしいな……もっかい! えい!」
へろへろへろ、ぺち。
「……ビームか、これ?」
「あれ、あれれ? なんでこんなへろへろなの?」
砲口から飛び出たビームは、なんつーか……目視できるほどゆっくり進み、俺の体に当たったはいいが、蚊に刺されたほどの痛みもなかった。
「懐中電灯の方が役に立ちそうだな」
「ううう……欠陥品だったよ」
どこで買ったか知らないが、ご愁傷様で。まぁ俺は死ななくてよかったけど。
「さて! お待ちかねのご褒美タイム!」
「……な、なんのことカナ?」
「えっちさせてくれるという話ですが、心の準備はよろしいか?」
「違うだろっ! ちゅーだろ、ちゅー!」
「そう。流石は梓、よく覚えてたな」
「あっ……うう、誘導尋問だよ」
「さて。ぶちうーとかますがいい」
……つっても、梓のことだから、自分からってのは無理だろうな。ま、ある程度遊んだら許してやるか。
「…………んっ!」
ちゅ。
「…………」
「……ほ、ほら、したよ。これで満足だろ?」
「…………」
「……な、なんだよ。なんとか言えよ」
「…………」
「う、うー……」
「……はっ、夢か。ふひゅー、梓がキスする夢を見るだなんて、たまってんのか?」
「現実だよっ! ……なんだよ、夢って。ホントはしたくなかったのかよ」
「あ、いや、そうじゃなくて、その、びっくりしたのです。まさか口にキスされ、その上梓の舌が俺の口内に入り込み蹂躙し尽くすとは予想だにしていなくて」
「蹂躙なんてしてないっ! ちゅーはほっぺにした!」
「んむ。やーらかかったよ?」
「う……そ、そーゆーことは言わなくていいよっ!」
「梓、顔赤い」
「知ってるよっ!」
「しかし、俺だけされるのもなんだか悪いな。なので、俺もお返しにキスしようと思う」
「そんなっ! こ、こ、こ、困るよ、困りまくりだよ!」
「ちゅー」
「ひゃ、ひゃああ」
そんな感じでちゅっちゅちゅっちゅしました。
「あうう……タカシ、ちゅーしすぎだよ。顔、べたべたになっちゃったよ」
「や、その、思ったより楽しくて。ははは。し、しかし、口は理性をフル動員させて回避しましたよ? 褒めて褒めて」
「それ以外の箇所全部にちゅーしたら意味ないよっ!」
頑張ったのに褒めてくれなかった。
「まったく……タカシはえろすぎだよ。タカシのえろ。えろタカシ」
えろえろ言う梓にほっぺを軽く引っ張られるも、実際えろいので何も言い返せませんでした。
【男がホモであるという噂を聞いて何とかしようとするツンデレ】
2010年03月04日
なんでも、今の流行はショタだとか。流行の最先端を行く俺としては、そして、ガイアが俺にもっと輝けと囁いてくる末期の幻聴が聞こえる俺としては、調べねばならないだろう。
というわけで調べるべく、とあるゲームを入手し、店から出たところでボクっ娘とエンカウントした。コマンド?
「たたかう」
「あぅぅぅぅっ!」
梓の頬をぎうぎう引っ張ったら、素っ頓狂な声をあげられた。愉快なので手を離してあげる。
「いきなり何すんだよッ!」
「いや、コマンドという響きを聞いたら逃げずに戦う、という俺流のドラクエのプレイスタイルに従ったまでだ」
「コマンドなんて響いてないよ、幻聴だよ、脳がヤバイ感じだよ!」
「梓、街中で大きな声を出さない」
「正しい事言われてるのに、釈然としないよ……」
何故か憮然とした顔の梓だった。
「じゃ、俺は急ぐのでこれにて失礼。ちなみに、急ぐ理由と俺が小脇に抱えているこの袋には何ら因果関係がないので、追求しないように」
「何買ったの?」
「追求しないようにと言ったそばから何を追及しているか! これだからボクっ娘呼ばわりされるとなぜ分からない!」
「すっごい怒られた!? ていうかボクのことボクっ娘って呼ぶのタカシだけだよ、タカシおんりーだよ、おんりーわんだよ!」
「おんりーにゃんだったらよかったのにな」
「まるで理解が不能だよ! いーから見せろよ、別に見せたからって減るもんじゃないだろ?」
「いや、見せると梓の乳が減るんだ」
「減らないっ! ていうかこれ以上減りようがないよッ! 自分で言ってて悲しいよっ!」
「俺は貧乳大好きだよ?」
「超嬉しくないっ!」
褒めたのに。
「もー怒った、見せてくれるまで許さない!」
そう言って、梓は俺の持ってるビニール袋を引っ張った。取られまいとこちらも引っ張りながら、気合を入れるため声を荒げる。
「いやあっ、堪忍してえ!」
「なんで町娘が乱暴されてるみたいな声出すんだよっ!? みんな見てるじゃんか!」
俺の町娘乱暴されボイスが冴え渡ったせいで、道行く人たちがじろじろこっちを見る。
「見料5万円」
「金取んなッ! 適当もいい加減にしろ……よっ!」
梓が力を込めた瞬間、俺の持ってた袋が無残にも引き裂かれた。そして。
「……『ツイ☆てる』?」
「『つのだ☆ひろ』の亜種だ」
「☆が間に入ってるのが一緒なだけだよ! なんだよこれ、『こんな可愛いコが女の子なわけないじゃないですか』って書いてるじゃん!」
「いやその、違うんですよ? ちょっと興味があっただけで、決して新しい趣味に目覚めたんじゃないぞ? いやまあ確かに可愛い男の子もいいなあと思ったり思わなかったり」
「…………」
必死で言い訳するが、梓は下を向いて小さく震えるばかり。
「梓? 聞いてる?」
「……タカシのド変態っ! 死んじゃえばかっ!」
俺の頬をばしーんと平手し、梓は肩を怒らせながらどっか行ってしまった。
「ショタものでなく、BLの方がよかったのでしょうか。しかし、それは流石に辛い、辛いのです!」
「わ、私に言われても……」
近くで携帯を販売してるお姉さんに訴えたら困惑された。
翌日。部屋で漫画読んでたら、梓がやってきた。否、梓にエンカウントした。コマンド?
「たたかう」
「あぅぅぅぅぅっ!」
しまった、昨日と同じ轍と踏んでしまった。慌てて手を離す。
「何すんだよ何すんだよ! 昨日と同じ展開じゃんか!」
「いやその、俺の脳内でドラクエの戦闘シーンの音楽が流れたもので。ごめんね」
むーっとした顔の梓に謝る。
「しかし、昨日の今日で遊びに来るって……怒ってたんじゃないのか?」
「……ま、まぁ、趣味は人それぞれだし。そもそも、ボクが無理やり見ようとしたのが悪かったんだし」
「その通り! さあ、土下座しろ」
「調子に乗りすぎだよっ! それにさ、隠されたら見たくなるだろ。タカシも悪いんだよ」
梓と話してる最中、格好の奇妙さに気づいた。普段からスカート等の娘っぽい格好を嫌い、少年っぽい格好をしているボクっ娘だったが、今日はそれに輪をかけて男っぽい格好をしている。具体的には半ズボン。
「で、梓。なんだって今日はそんな格好を?」
「な、なんだよ、普通だろ? ……あ、そっか、タカシは変態だから、ボクをそういう目で見てるんだろ」
「……? どゆこと? 話が見えないんだけど」
「だ、だから、……ボクって男だけど、見た目は可愛いから、狙ってるんだろ!」
……あー、あーあーあー。そういう『設定』な。実際は女だけど、俺の趣味が少年と思いこんで、自分が男という『設定』と。しょうがない。責任の一端は俺になくもないので、乗ってやろう。
「そーうなーのだー。俺は貴様のような『こんな可愛いコが女の子なわけないじゃないですか』なやつが大好物なーのだー」
「タカシ、陸に打ち上げられたタコみたい」
人が折角乗ってやったのにこの仕打ち。
「ショック。寝る」
「あっ、寝るなよ! ほら、男同士なんかやろうぜー」
「なんか……よし! 裸のお付き合いしよう! 風呂!」
「のーだよお断りだよ下心見え見えだよ! そういうエッチなのは禁止だよっ!」
「梓……俺、キスしたことないんだ。お前相手に練習してみていいかな? 男同士だし、いいだろ?」
「だから、エッチなのは禁止って言っただろっ! キスしたいだけだろ! そもそも男同士でキスなんてしないっ!」
「うぅん……難しいものだな」
『少年相手』かつ『エロくない行為』だと、できることが極端に限られてしまう。しかし、健全で貫けるほど俺は真っ当な精神をしていないのだ! それとなくエロいことしてやる!
「あーあ、なんか想像と全然違うよ」
どうすればエロくできるか腕を組んで考えてると、梓が少し呆れたようにそう言った。
「想像? どんな?」
「え、えと……笑うなよ?」
「大丈夫。どんなことでも、梓が言う事なら、俺……笑うから」
「タカシ……え、いや、笑うの!? 今の雰囲気だと、笑わないから、だろ!」
「よし! 男同士だし、俺が梓のおっぱいを吸うってのはどうだろう?」
「全然人の話を聞いてない上、またエッチなことだよ! どれだけエッチなんだよこの人!? そもそも男同士でおっぱい吸うとかないし! いーからボクの話聞けっ!」
「はい」
「こほん。……えっとね、ぼ、ボクは男なんだからさ、ぎゅーってされても問題ないよね?」
「…………」
「……な、なんだよ。男同士のコミュニケーションなんだから、それくらい普通だろ!」
普通、男同士で抱き合ったりしません。だがしかし、こんなナイス提案を否定するほど馬鹿でもないので。
「するする、しまくり! よし、いざ!」
「い、いいけど……えっちなことすんなよ! 絶対だぞ!」
「分かってるって。ダチョウ倶楽部方式だろ?」
「違うっ!」
なんか言ってる梓を後ろからむぎゅーっと抱きしめる。
「は、はぅ……」
「は、はぅ」
「……なんだよ」
「何も言ってません」
憮然とした顔の梓を少し強く抱きしめる。
「はぅ……はふ」
「はぅはふ」
「…………」
「……何か?」
「何かじゃないよっ! 絶対確実に馬鹿にしてるだろ! しょうがないじゃん、声が漏れちゃうんだから!」
「尿が漏れないでよかったですね」
「うがーっ!」
なんか怒った。
「もーっ、タカシすぐボクのこと馬鹿にするから嫌い嫌い嫌い! どっか行けばかーっ!」
「任せろ! 望み通り、どっか行くぞ!」
梓を後ろから抱っこした状態のまま立ち上がり、ベッドへ移動する。
「うわうわうわ、違う違うよ! ボクを離してからどっか行けよ! ていうかベッドって嫌な予感しまくりなんだけど!?」
「大丈夫。まだ挿れないから」
「何する気だよお!?」
……いかん! “ナニ”をする気だよ、というとんでもないダジャレが思いついてしまった! どうする、どうする!
「“ナニ”をする気だよ」
耐え切れずに言ってしまった。
「うわ。タカシ、最悪」
ショックのあまりベッドに倒れこむ。
「ちょ、ちょっとちょっと! 倒れこむならボクを解放してからにしろよっ! 潰されてる、ボクがタカシの体に潰されてるよっ!」
「うーん、今日の敷布団は柔らかくて嬉しいなあ」
「敷布団違うっ! それボクの体っ! こら、さわさわすんなっ!」
梓は体をくるりと180度回転させ、俺の手を制した。仕方がないので、梓の髪に顔を埋めて思い切り息を吸い込む。
「んーっ、梓って、男のくせに女の子みたいないい匂いするな」
「こっ、こら匂うな、くんくんすんなっ! ぼ、ボクは男なんだから、そういうことすんなよっ!」
……うーん。そういう“遊び”ってのは分かってるんだけど、本当に梓が男になったような、そんな倒錯的な気分になる。
「……ショタもあり、かなあ」
そう呟いた瞬間、梓は俺を蹴り飛ばした。
「痛いっ!? こらボクっ娘、俺を蹴り飛ばすとは何事か!」
「うっさい! ショタもありとか言うからだよっ! なに考えてんだよ、この変態変態変態っ!」
「いやいや、おまいが最初にそういう設定を持ち込んだんだろうが」
「うぐ……だ、だって、タカシがそういう趣味に目覚めちゃったから、その……」
「?」
「あーもーいいっ! もー終わりっ!」
「えー? もっとやろーぜ。やっとエンジン温まってきたのに」
「やんないっ!」
「あーあ。ま、いーや。ショタもいいが、ボクっ娘の方がいいしな」
「え? そ、それって……」
どこか嬉しそうに目を輝かせるボクっ娘。
「なぜなら、ショタ設定だとスカートをめくれないから! しかし、ボクっ娘の場合だと、制服の場合ならスカートをめくれるから! なんだったら中に侵入なんかしちゃったり!」
「…………」
「おや、震えてますね。寒いのですか?」
「怒りの震えだよ! このどエッチっ!」
「なんだと!? 本当に俺がどエッチなら、そのズボンをズボンっと脱がしてパンツを鑑賞してるぞ!」
「今まさにやろうとしてるだろっ、このばかっ!」
言われて見れば、俺の手が梓のズボンに手をかけて降ろしてますね。まあ、そんなことを冷静に考えてる最中もがっつんがっつん頭を殴られているわけなんですが。
とにかく、頭が痛いので冗談は終わりにする。
「うー……そういういじわる、嫌い。本当に嫌いになっちゃうよ?」
「ごめんなさい」
自分でも冗談が過ぎたと思うので、素直に頭を下げる。
「ところで、本当に、と言ったところから察するに、今は俺の事を嫌ってないと取ってよろしいのでしょうか?」
「え? えー……っと、どう思う?」
期待と不安が半々、といった様子で、梓が問いかける。
「個人的には3が一番好きだけど、最近リメイクされた4も結構好き」
「ボクの話がいつのまにかドラクエの話に!?」
「あと、玉子焼きが好き」
「さらにはタカシの好物の話に移行したよ!? もう訳わかんないよ……」
「そして、割と梓も好き。梓も俺の事を好いていてくれたら、嬉しく思う」
「あ……。え、えっと、……ぼ、ボクも、タカシのこと、そ、その、……ま、まぁ、嫌いじゃないよ?」
「つまり、いてもいなくてもいい存在と。路傍の石と変わらぬ存在と。不要の物と、そう言うのだな?」
「違うよ必要な存在だよかなり好きだよっ! ……あ」
「あー……その、照れますね」
「ちっ、ちちちっ、違うよっ! とっ、友達として! 友達としてだよ? ホントに!」
梓は顔を真っ赤にして、友達友達と連呼した。
「分かってるって。俺も性奴隷として好きだよ」
「何も分かってないよこの人!? そんなのになった覚え、まるでないよっ!」
「じゃあ覚えておこうね」
「うがーっ!」
怒りながら俺の頭をがじがじかじるボクっ娘だった。
というわけで調べるべく、とあるゲームを入手し、店から出たところでボクっ娘とエンカウントした。コマンド?
「たたかう」
「あぅぅぅぅっ!」
梓の頬をぎうぎう引っ張ったら、素っ頓狂な声をあげられた。愉快なので手を離してあげる。
「いきなり何すんだよッ!」
「いや、コマンドという響きを聞いたら逃げずに戦う、という俺流のドラクエのプレイスタイルに従ったまでだ」
「コマンドなんて響いてないよ、幻聴だよ、脳がヤバイ感じだよ!」
「梓、街中で大きな声を出さない」
「正しい事言われてるのに、釈然としないよ……」
何故か憮然とした顔の梓だった。
「じゃ、俺は急ぐのでこれにて失礼。ちなみに、急ぐ理由と俺が小脇に抱えているこの袋には何ら因果関係がないので、追求しないように」
「何買ったの?」
「追求しないようにと言ったそばから何を追及しているか! これだからボクっ娘呼ばわりされるとなぜ分からない!」
「すっごい怒られた!? ていうかボクのことボクっ娘って呼ぶのタカシだけだよ、タカシおんりーだよ、おんりーわんだよ!」
「おんりーにゃんだったらよかったのにな」
「まるで理解が不能だよ! いーから見せろよ、別に見せたからって減るもんじゃないだろ?」
「いや、見せると梓の乳が減るんだ」
「減らないっ! ていうかこれ以上減りようがないよッ! 自分で言ってて悲しいよっ!」
「俺は貧乳大好きだよ?」
「超嬉しくないっ!」
褒めたのに。
「もー怒った、見せてくれるまで許さない!」
そう言って、梓は俺の持ってるビニール袋を引っ張った。取られまいとこちらも引っ張りながら、気合を入れるため声を荒げる。
「いやあっ、堪忍してえ!」
「なんで町娘が乱暴されてるみたいな声出すんだよっ!? みんな見てるじゃんか!」
俺の町娘乱暴されボイスが冴え渡ったせいで、道行く人たちがじろじろこっちを見る。
「見料5万円」
「金取んなッ! 適当もいい加減にしろ……よっ!」
梓が力を込めた瞬間、俺の持ってた袋が無残にも引き裂かれた。そして。
「……『ツイ☆てる』?」
「『つのだ☆ひろ』の亜種だ」
「☆が間に入ってるのが一緒なだけだよ! なんだよこれ、『こんな可愛いコが女の子なわけないじゃないですか』って書いてるじゃん!」
「いやその、違うんですよ? ちょっと興味があっただけで、決して新しい趣味に目覚めたんじゃないぞ? いやまあ確かに可愛い男の子もいいなあと思ったり思わなかったり」
「…………」
必死で言い訳するが、梓は下を向いて小さく震えるばかり。
「梓? 聞いてる?」
「……タカシのド変態っ! 死んじゃえばかっ!」
俺の頬をばしーんと平手し、梓は肩を怒らせながらどっか行ってしまった。
「ショタものでなく、BLの方がよかったのでしょうか。しかし、それは流石に辛い、辛いのです!」
「わ、私に言われても……」
近くで携帯を販売してるお姉さんに訴えたら困惑された。
翌日。部屋で漫画読んでたら、梓がやってきた。否、梓にエンカウントした。コマンド?
「たたかう」
「あぅぅぅぅぅっ!」
しまった、昨日と同じ轍と踏んでしまった。慌てて手を離す。
「何すんだよ何すんだよ! 昨日と同じ展開じゃんか!」
「いやその、俺の脳内でドラクエの戦闘シーンの音楽が流れたもので。ごめんね」
むーっとした顔の梓に謝る。
「しかし、昨日の今日で遊びに来るって……怒ってたんじゃないのか?」
「……ま、まぁ、趣味は人それぞれだし。そもそも、ボクが無理やり見ようとしたのが悪かったんだし」
「その通り! さあ、土下座しろ」
「調子に乗りすぎだよっ! それにさ、隠されたら見たくなるだろ。タカシも悪いんだよ」
梓と話してる最中、格好の奇妙さに気づいた。普段からスカート等の娘っぽい格好を嫌い、少年っぽい格好をしているボクっ娘だったが、今日はそれに輪をかけて男っぽい格好をしている。具体的には半ズボン。
「で、梓。なんだって今日はそんな格好を?」
「な、なんだよ、普通だろ? ……あ、そっか、タカシは変態だから、ボクをそういう目で見てるんだろ」
「……? どゆこと? 話が見えないんだけど」
「だ、だから、……ボクって男だけど、見た目は可愛いから、狙ってるんだろ!」
……あー、あーあーあー。そういう『設定』な。実際は女だけど、俺の趣味が少年と思いこんで、自分が男という『設定』と。しょうがない。責任の一端は俺になくもないので、乗ってやろう。
「そーうなーのだー。俺は貴様のような『こんな可愛いコが女の子なわけないじゃないですか』なやつが大好物なーのだー」
「タカシ、陸に打ち上げられたタコみたい」
人が折角乗ってやったのにこの仕打ち。
「ショック。寝る」
「あっ、寝るなよ! ほら、男同士なんかやろうぜー」
「なんか……よし! 裸のお付き合いしよう! 風呂!」
「のーだよお断りだよ下心見え見えだよ! そういうエッチなのは禁止だよっ!」
「梓……俺、キスしたことないんだ。お前相手に練習してみていいかな? 男同士だし、いいだろ?」
「だから、エッチなのは禁止って言っただろっ! キスしたいだけだろ! そもそも男同士でキスなんてしないっ!」
「うぅん……難しいものだな」
『少年相手』かつ『エロくない行為』だと、できることが極端に限られてしまう。しかし、健全で貫けるほど俺は真っ当な精神をしていないのだ! それとなくエロいことしてやる!
「あーあ、なんか想像と全然違うよ」
どうすればエロくできるか腕を組んで考えてると、梓が少し呆れたようにそう言った。
「想像? どんな?」
「え、えと……笑うなよ?」
「大丈夫。どんなことでも、梓が言う事なら、俺……笑うから」
「タカシ……え、いや、笑うの!? 今の雰囲気だと、笑わないから、だろ!」
「よし! 男同士だし、俺が梓のおっぱいを吸うってのはどうだろう?」
「全然人の話を聞いてない上、またエッチなことだよ! どれだけエッチなんだよこの人!? そもそも男同士でおっぱい吸うとかないし! いーからボクの話聞けっ!」
「はい」
「こほん。……えっとね、ぼ、ボクは男なんだからさ、ぎゅーってされても問題ないよね?」
「…………」
「……な、なんだよ。男同士のコミュニケーションなんだから、それくらい普通だろ!」
普通、男同士で抱き合ったりしません。だがしかし、こんなナイス提案を否定するほど馬鹿でもないので。
「するする、しまくり! よし、いざ!」
「い、いいけど……えっちなことすんなよ! 絶対だぞ!」
「分かってるって。ダチョウ倶楽部方式だろ?」
「違うっ!」
なんか言ってる梓を後ろからむぎゅーっと抱きしめる。
「は、はぅ……」
「は、はぅ」
「……なんだよ」
「何も言ってません」
憮然とした顔の梓を少し強く抱きしめる。
「はぅ……はふ」
「はぅはふ」
「…………」
「……何か?」
「何かじゃないよっ! 絶対確実に馬鹿にしてるだろ! しょうがないじゃん、声が漏れちゃうんだから!」
「尿が漏れないでよかったですね」
「うがーっ!」
なんか怒った。
「もーっ、タカシすぐボクのこと馬鹿にするから嫌い嫌い嫌い! どっか行けばかーっ!」
「任せろ! 望み通り、どっか行くぞ!」
梓を後ろから抱っこした状態のまま立ち上がり、ベッドへ移動する。
「うわうわうわ、違う違うよ! ボクを離してからどっか行けよ! ていうかベッドって嫌な予感しまくりなんだけど!?」
「大丈夫。まだ挿れないから」
「何する気だよお!?」
……いかん! “ナニ”をする気だよ、というとんでもないダジャレが思いついてしまった! どうする、どうする!
「“ナニ”をする気だよ」
耐え切れずに言ってしまった。
「うわ。タカシ、最悪」
ショックのあまりベッドに倒れこむ。
「ちょ、ちょっとちょっと! 倒れこむならボクを解放してからにしろよっ! 潰されてる、ボクがタカシの体に潰されてるよっ!」
「うーん、今日の敷布団は柔らかくて嬉しいなあ」
「敷布団違うっ! それボクの体っ! こら、さわさわすんなっ!」
梓は体をくるりと180度回転させ、俺の手を制した。仕方がないので、梓の髪に顔を埋めて思い切り息を吸い込む。
「んーっ、梓って、男のくせに女の子みたいないい匂いするな」
「こっ、こら匂うな、くんくんすんなっ! ぼ、ボクは男なんだから、そういうことすんなよっ!」
……うーん。そういう“遊び”ってのは分かってるんだけど、本当に梓が男になったような、そんな倒錯的な気分になる。
「……ショタもあり、かなあ」
そう呟いた瞬間、梓は俺を蹴り飛ばした。
「痛いっ!? こらボクっ娘、俺を蹴り飛ばすとは何事か!」
「うっさい! ショタもありとか言うからだよっ! なに考えてんだよ、この変態変態変態っ!」
「いやいや、おまいが最初にそういう設定を持ち込んだんだろうが」
「うぐ……だ、だって、タカシがそういう趣味に目覚めちゃったから、その……」
「?」
「あーもーいいっ! もー終わりっ!」
「えー? もっとやろーぜ。やっとエンジン温まってきたのに」
「やんないっ!」
「あーあ。ま、いーや。ショタもいいが、ボクっ娘の方がいいしな」
「え? そ、それって……」
どこか嬉しそうに目を輝かせるボクっ娘。
「なぜなら、ショタ設定だとスカートをめくれないから! しかし、ボクっ娘の場合だと、制服の場合ならスカートをめくれるから! なんだったら中に侵入なんかしちゃったり!」
「…………」
「おや、震えてますね。寒いのですか?」
「怒りの震えだよ! このどエッチっ!」
「なんだと!? 本当に俺がどエッチなら、そのズボンをズボンっと脱がしてパンツを鑑賞してるぞ!」
「今まさにやろうとしてるだろっ、このばかっ!」
言われて見れば、俺の手が梓のズボンに手をかけて降ろしてますね。まあ、そんなことを冷静に考えてる最中もがっつんがっつん頭を殴られているわけなんですが。
とにかく、頭が痛いので冗談は終わりにする。
「うー……そういういじわる、嫌い。本当に嫌いになっちゃうよ?」
「ごめんなさい」
自分でも冗談が過ぎたと思うので、素直に頭を下げる。
「ところで、本当に、と言ったところから察するに、今は俺の事を嫌ってないと取ってよろしいのでしょうか?」
「え? えー……っと、どう思う?」
期待と不安が半々、といった様子で、梓が問いかける。
「個人的には3が一番好きだけど、最近リメイクされた4も結構好き」
「ボクの話がいつのまにかドラクエの話に!?」
「あと、玉子焼きが好き」
「さらにはタカシの好物の話に移行したよ!? もう訳わかんないよ……」
「そして、割と梓も好き。梓も俺の事を好いていてくれたら、嬉しく思う」
「あ……。え、えっと、……ぼ、ボクも、タカシのこと、そ、その、……ま、まぁ、嫌いじゃないよ?」
「つまり、いてもいなくてもいい存在と。路傍の石と変わらぬ存在と。不要の物と、そう言うのだな?」
「違うよ必要な存在だよかなり好きだよっ! ……あ」
「あー……その、照れますね」
「ちっ、ちちちっ、違うよっ! とっ、友達として! 友達としてだよ? ホントに!」
梓は顔を真っ赤にして、友達友達と連呼した。
「分かってるって。俺も性奴隷として好きだよ」
「何も分かってないよこの人!? そんなのになった覚え、まるでないよっ!」
「じゃあ覚えておこうね」
「うがーっ!」
怒りながら俺の頭をがじがじかじるボクっ娘だった。
【ツンデレにメガネを取られたら】
2010年03月04日
朝の教室。知り合いはまだ誰も登校していなかったので、窓の外をぼーっと見てたら急に視界がぼやけた。
「急激な視力の低下だと!? 畜生、これではエロゲやエロ漫画やエロビデオが見れない! 生きる意味の90%が消失したと言っても過言ではないぞ!」
「タカシさぁ、そういうことあんまり人前で言わない方がいいよ。そのうち捕まるよ?」
わたわたしてる俺の背後で、聞き覚えのある声がした。
「その舌ったらずで馬鹿っぽい声は……近所のポチだな?」
「ポチってわんわんじゃん! わんわんは喋らないっ! ボク超喋ってる!」
「お手」
後ろを向いて手を差し出す。
「お手らないよっ! 人だよ、人!」
「冗談だよ、梓。いーからメガネ返せ」
梓がいると思われる人影に手を出す。手の平にわずかな膨らみが触れた。
「うひゃあっ!? どどどっ、どこ触ってんだよ!」
手をはねのけられた。その弾みに梓がメガネを落としたようで、軽い音が響いた。適当に探ってメガネを拾い、つける。真っ赤な顔をして胸を覆っている梓が視界に映った。
「近視のため、裸眼だと何がなにやらよく分からない、という免罪符を持っているため、多少は乳を揉んでも構わないだろう、という考えからの行為じゃないか?」
「超構うよっ! タカシのえっち変態貧乳まにあ!」
「もちろん貧乳が一番好きだけど、巨乳も好きですよ? あ、もちろん普通のおっぱいも。言うなれば、世界にあまねく乳全てが好きです。あ、人の乳に限りますが」
「うるさいっ! 言っとくけどね、これセクハラだかんね! 警察の人に言ったら、タカシ捕まるんだぞ?」
「先に俺のメガネを取ったお前が悪い。メガネを取らなければ、お前も貧相な乳を触られずに済んだ」
「貧相言うなっ! まったくもう……。ところでさ、タカシってメガネないと結構見れるよね。コンタクトにしないの?」
「コンタクトつけると眼球から緑色の汁が出るんだ」
「それ明らかにヤバい病気だよっ! ……あれ、あれれれ、ひょっとして、つけるの怖いの?」
「怖くない」
顔を逸らす。逸らした先に嬉しそうな顔をした梓がやってきた。
「怖いんだろ?」
「全然」
再び逸らす。またしてもにやにや顔の梓が現れた。
「あは。タカシってば、実は怖がりなんだね。かっこわるー♪」
「……ことりばこ」
「ぎにゃーっ!?」
その言葉を聞いただけで、梓は両耳を塞いでその場に座り込んだ。以前、とあるサイトで見たものを臨場感たっぷりに聞かせたのがトラウマになったようだ。
「ふふん。俺に勝つなぞ100年早い!」
「あーあーあー聞こえない聞こえない聞こえないー」
人がせっかく勝ち誇ってるというのに、梓ときたら両耳を塞いだまま大声でわめくばかり。これはこれで楽しい光景だけど、教室の皆がうるさそうにこっちを見てるので、どうにかしよう。
梓の両手を持ち、力任せに耳から離す。
「あぅあぅあぅ……」
恐怖のためか混乱のためか、梓の目はぐるぐるしてた。ちょっと面白い。
「はいはい、怖くないからなー。あんなの嘘っぱちの作り話だからなー」
「ほ、ホントに……?」
「…………。もちろん!」
「即答しろ、ばかっ! やっぱ実話なんだろっ! 寝る時にあの怖い話思い出しちゃったらどうすんだよっ! 怖くて寝れないじゃんかっ!」
「寝るのが怖ければ、ケーキを食べればいいじゃない」
「アントワネっても解決しないっ! 責任取ってどうにかしろよっ!」
「うるさいなぁ……じゃあ、もっと怖い話をして、ことりばこなんて大した事ないぜーって感じにすれば」
「超却下だようっ!」
まだ話してないのに、もう梓は涙目になっていた。
「今から数ヶ月前の話なんだけどさ」
「却下しただろ! 話すなばかっ!」
梓は俺の唇をむぎゅっと掴んだ。アヒルみたいな口になってしまい、喋れない。
「ふー。……怖い話しないなら、離してあげるよ」
アヒル状態は少々恥ずかしいので、コクコク頷く。ようやっと梓は手を離してくれた。
「ふぅ。で、だな。この学校は創立が結構古いだろ?」
「話すなって言ってるだろっ!」
「わーったよ。もう怖い話はしない」
本気で泣きそうになってるので、そろそろやめておく。
「うー……タカシ、すぐボクにいじわるするから嫌いだよ」
「俺はトマトが嫌いだな」
「誰も食べ物の好き嫌いの話なんてしてないよっ!」
「でもケチャップは平気。なんでだろうな?」
「知んないよっ! ううう……もう、ホントにどうしよう。今日寝れないよ……」
「はぁ……ま、俺にも責任の一端があるし、今日は寝るまで電話で愉快な話をしてやるよ」
「えっ、ホントに!?」
よほど怖かったのか、そう言った途端、梓は顔を輝かせた。
「ネットで調べまくっておくから、覚悟しろよ?」
「うん、うん! あはっ、よかったあ」
「猿夢に、錆だらけのドライバー、あと何があったかな……」
喜びに満ちていた梓が停止した。
「……なんか、怖い響きなんだけど」
「寝る前に電話するだなんて、ちょっと恋人同士みたいで照れるな。ははははは」
「誤魔化すなよっ! アレだろ、どーせ怖い話すんだろっ! またボクをいじめる気だろっ!」
「照れ隠しに、ついいじめちゃうんだ。恋愛経験の少なさが露呈してるんだ」
「自分で言ったところで説得力皆無だよっ! いーもん、着信拒否にしておくもん!」
「じゃあお前が帰る前にお前の部屋に忍び込んでおく。で、直接話す」
「それ不法侵入だよ!?」
「お前のおばさんと顔見知りだから大丈夫。ヤッタネ!」
「ちっともヤッタネじゃないっ! こーなったらタカシが帰る前にボクが先に帰って、家に鍵かけてやる……!」
「ふっふっふ。お前の足で、俺より先に帰れるかな?」
「ふっふっふ。……無理だよっ! クラスで一、二を争うくらいボク遅いよ! どうしろって言うんだよ! もー、もー!」
梓はだだっこのように俺をぽこぽこ叩いた。
「あーもう、暴れるでない。冗談だよ、冗談。怖い話なんてしないから。なんか適当な怖くない話してやるよ」
「うー……」
ちっとも信じてない目で俺を見る。
「大丈夫だって。俺を信じろ」
梓の頭に手を置き、ぐりぐりなでる。
「あれだけ怖がらせておいて、よくそんなこと言えるね。信じるなんて無理だよ」
「信じない場合、とてもとても怖い話を仕入れておく」
「ぼぼぼボクがタカシを信じないわけないじゃん! だ、だから怖い話とか、なしだかんねっ! 絶対だかんねッ!」
「…………」
「なんとか言えよっ! なんで薄っすら笑ってるんだよお!?」
怯えまくる梓は可愛いなあ、とか思った。
「急激な視力の低下だと!? 畜生、これではエロゲやエロ漫画やエロビデオが見れない! 生きる意味の90%が消失したと言っても過言ではないぞ!」
「タカシさぁ、そういうことあんまり人前で言わない方がいいよ。そのうち捕まるよ?」
わたわたしてる俺の背後で、聞き覚えのある声がした。
「その舌ったらずで馬鹿っぽい声は……近所のポチだな?」
「ポチってわんわんじゃん! わんわんは喋らないっ! ボク超喋ってる!」
「お手」
後ろを向いて手を差し出す。
「お手らないよっ! 人だよ、人!」
「冗談だよ、梓。いーからメガネ返せ」
梓がいると思われる人影に手を出す。手の平にわずかな膨らみが触れた。
「うひゃあっ!? どどどっ、どこ触ってんだよ!」
手をはねのけられた。その弾みに梓がメガネを落としたようで、軽い音が響いた。適当に探ってメガネを拾い、つける。真っ赤な顔をして胸を覆っている梓が視界に映った。
「近視のため、裸眼だと何がなにやらよく分からない、という免罪符を持っているため、多少は乳を揉んでも構わないだろう、という考えからの行為じゃないか?」
「超構うよっ! タカシのえっち変態貧乳まにあ!」
「もちろん貧乳が一番好きだけど、巨乳も好きですよ? あ、もちろん普通のおっぱいも。言うなれば、世界にあまねく乳全てが好きです。あ、人の乳に限りますが」
「うるさいっ! 言っとくけどね、これセクハラだかんね! 警察の人に言ったら、タカシ捕まるんだぞ?」
「先に俺のメガネを取ったお前が悪い。メガネを取らなければ、お前も貧相な乳を触られずに済んだ」
「貧相言うなっ! まったくもう……。ところでさ、タカシってメガネないと結構見れるよね。コンタクトにしないの?」
「コンタクトつけると眼球から緑色の汁が出るんだ」
「それ明らかにヤバい病気だよっ! ……あれ、あれれれ、ひょっとして、つけるの怖いの?」
「怖くない」
顔を逸らす。逸らした先に嬉しそうな顔をした梓がやってきた。
「怖いんだろ?」
「全然」
再び逸らす。またしてもにやにや顔の梓が現れた。
「あは。タカシってば、実は怖がりなんだね。かっこわるー♪」
「……ことりばこ」
「ぎにゃーっ!?」
その言葉を聞いただけで、梓は両耳を塞いでその場に座り込んだ。以前、とあるサイトで見たものを臨場感たっぷりに聞かせたのがトラウマになったようだ。
「ふふん。俺に勝つなぞ100年早い!」
「あーあーあー聞こえない聞こえない聞こえないー」
人がせっかく勝ち誇ってるというのに、梓ときたら両耳を塞いだまま大声でわめくばかり。これはこれで楽しい光景だけど、教室の皆がうるさそうにこっちを見てるので、どうにかしよう。
梓の両手を持ち、力任せに耳から離す。
「あぅあぅあぅ……」
恐怖のためか混乱のためか、梓の目はぐるぐるしてた。ちょっと面白い。
「はいはい、怖くないからなー。あんなの嘘っぱちの作り話だからなー」
「ほ、ホントに……?」
「…………。もちろん!」
「即答しろ、ばかっ! やっぱ実話なんだろっ! 寝る時にあの怖い話思い出しちゃったらどうすんだよっ! 怖くて寝れないじゃんかっ!」
「寝るのが怖ければ、ケーキを食べればいいじゃない」
「アントワネっても解決しないっ! 責任取ってどうにかしろよっ!」
「うるさいなぁ……じゃあ、もっと怖い話をして、ことりばこなんて大した事ないぜーって感じにすれば」
「超却下だようっ!」
まだ話してないのに、もう梓は涙目になっていた。
「今から数ヶ月前の話なんだけどさ」
「却下しただろ! 話すなばかっ!」
梓は俺の唇をむぎゅっと掴んだ。アヒルみたいな口になってしまい、喋れない。
「ふー。……怖い話しないなら、離してあげるよ」
アヒル状態は少々恥ずかしいので、コクコク頷く。ようやっと梓は手を離してくれた。
「ふぅ。で、だな。この学校は創立が結構古いだろ?」
「話すなって言ってるだろっ!」
「わーったよ。もう怖い話はしない」
本気で泣きそうになってるので、そろそろやめておく。
「うー……タカシ、すぐボクにいじわるするから嫌いだよ」
「俺はトマトが嫌いだな」
「誰も食べ物の好き嫌いの話なんてしてないよっ!」
「でもケチャップは平気。なんでだろうな?」
「知んないよっ! ううう……もう、ホントにどうしよう。今日寝れないよ……」
「はぁ……ま、俺にも責任の一端があるし、今日は寝るまで電話で愉快な話をしてやるよ」
「えっ、ホントに!?」
よほど怖かったのか、そう言った途端、梓は顔を輝かせた。
「ネットで調べまくっておくから、覚悟しろよ?」
「うん、うん! あはっ、よかったあ」
「猿夢に、錆だらけのドライバー、あと何があったかな……」
喜びに満ちていた梓が停止した。
「……なんか、怖い響きなんだけど」
「寝る前に電話するだなんて、ちょっと恋人同士みたいで照れるな。ははははは」
「誤魔化すなよっ! アレだろ、どーせ怖い話すんだろっ! またボクをいじめる気だろっ!」
「照れ隠しに、ついいじめちゃうんだ。恋愛経験の少なさが露呈してるんだ」
「自分で言ったところで説得力皆無だよっ! いーもん、着信拒否にしておくもん!」
「じゃあお前が帰る前にお前の部屋に忍び込んでおく。で、直接話す」
「それ不法侵入だよ!?」
「お前のおばさんと顔見知りだから大丈夫。ヤッタネ!」
「ちっともヤッタネじゃないっ! こーなったらタカシが帰る前にボクが先に帰って、家に鍵かけてやる……!」
「ふっふっふ。お前の足で、俺より先に帰れるかな?」
「ふっふっふ。……無理だよっ! クラスで一、二を争うくらいボク遅いよ! どうしろって言うんだよ! もー、もー!」
梓はだだっこのように俺をぽこぽこ叩いた。
「あーもう、暴れるでない。冗談だよ、冗談。怖い話なんてしないから。なんか適当な怖くない話してやるよ」
「うー……」
ちっとも信じてない目で俺を見る。
「大丈夫だって。俺を信じろ」
梓の頭に手を置き、ぐりぐりなでる。
「あれだけ怖がらせておいて、よくそんなこと言えるね。信じるなんて無理だよ」
「信じない場合、とてもとても怖い話を仕入れておく」
「ぼぼぼボクがタカシを信じないわけないじゃん! だ、だから怖い話とか、なしだかんねっ! 絶対だかんねッ!」
「…………」
「なんとか言えよっ! なんで薄っすら笑ってるんだよお!?」
怯えまくる梓は可愛いなあ、とか思った。
【ボクっ娘義妹vs尊大幼なじみ】
2010年02月27日
親が再婚して、ボクっ娘が妹になった。
「貴様、俺が妹大好き人間と知っての犯行か!? ええいもう知らん、嫌というほど可愛がってやる!」
「超お断りだよッ!」
そんな感じもうすでにハッピーエンドの匂いがしますが、それでも日々は続いて行くわけで。
「お兄ちゃんだよー。お兄ちゃんは妹を起こすんだよー」
「なんで毎日毎日布団に潜り込んで起こすんだよ! 普通に起こせ、ばかっ!」
いつものように布団から蹴り出されてから居間に向かうと、幼なじみのみことがいた。
「ここまで声が響いてきたぞ。まったく、朝からやかましいことだ」
みことは優雅にコーヒーなんぞ飲んでいた。隣のイスに座り、俺も同じのを飲む。
「いや、あいつが俺を離してくれないんだ。まったく、困った妹だよ」
「超聞き逃せないよ! そんなの頼んだ覚えナッシングだよ! タカシが勝手に入ってくるんだろ!」
みことと談笑していると、着替えを済ませた梓が走りながら居間に入ってきた。
「タカシじゃなくて、お兄ちゃん。さん、はい」
「え、そ、そんなの、今さらじゃん。別に変えなくても……」
「言わないとみことを妹扱いするぞ」
「なぜだ!?」
みことが物凄くびっくりしてた。
「さらに、妹としてみことを可愛がりまくる。こんな風に」
「あ……こ、こら、何をするか」
みことの頭をなでると、みことは困ったような、でも少し嬉しそうに顔を綻ばせた。
「それが嫌なら素直に俺の事をお兄ちゃんと……梓?」
「う~……なんだよ、ボクが妹だろ! そんな嘘妹より、ボクを可愛がれよ!」
梓は俺の膝の上に座り、俺を見上げた。
「いや、それは構わんが……随分積極的ですね。お兄さん、ちょっとドキドキですよ」
「えっ!? あっ、ち、違うんだよ? い、妹的感情が可愛がって欲しいと思っただけで、ボク自身としてはちっともなんだよ?」
「よく分からんので俺なりに噛み砕くと、異性としてではなく妹として嫉妬したってことでいいのかにゃ?」
「そっ、そうそれ! そんな感じ! さっすがタカシ、ボクの兄だけあってよく分かってくれてるね♪」
梓は嬉しそうにニコニコした。その笑顔に俺の兄心が刺激されたので、ぎゅーっと後ろから抱きしめてみる。
「く、苦しいよぉ……もー♪」
「あまりの苦しさに梓はもーと言いながら嘔吐した」
「してないッ! 嘘解説すんなっ!」
機嫌を損ねたのか、梓は俺の隣、ちょうどみことの前の席に座ってしまった。寂しいね。
「ふむ。梓殿が妹としての責務を果たせないのなら、私が卿の穴を埋めてやろう」
みことはイスから降りると、俺の膝の上に乗った。
「あああああーっ! ぼ、ボクの席! ボクの席なのに!」
そして梓がやかましい。
「何を言うか、梓殿自ら降りたのだろう。私は別段こやつの膝になど乗りたくはないのだが、こいつは放っておくと余計なことばかりするから、こうして近くで監視しなくてはな。ああ嫌だ嫌だ」
梓を横目で見ながら、みことは薄く笑った。
「い、嫌なら乗らなくていいんじゃないカナ? ほ、ほら、兄の膝に乗るのは妹の仕事だし、嫌だけどボクがやるからさ?」
梓はみことをぐいぐい押したが、みことは頑なに俺から離れなかった。
「結構だ。なに、幼なじみでもその仕事は可能だ。ああ嫌だ嫌だ」
梓に見せ付けるように、みことは俺の胸に横顔をこすりつけた。
「ぐ、ぐぐぐ……ほ、ホントはタカシ、嫌がってるんじゃないの? ほら、タカシって妹大好きなダメ人間だし」
「ふん、これだから新参者は。タカシは昔から幼なじみ属性保持と知らないのか?」
梓とみことが争う度、どんどん俺の性癖が暴かれて泣きそう。
「あーもーいいからどけよっ! そこボクの席だぞっ!」
みことを押し、梓は俺の膝の上に座った。しかしみことも負けじとしがみついているので、右半分がみこと、左半分が梓に座られている。ちょっと重い。
「ねータカシ、ボクの方がいいよね?」
「何を言うか。私の方がいいに決まっている」
「「……どっち!?」」
四つのまなこが俺をじっと見る。
「心労で胃に穴が開いたぐえええ」
「そんな一瞬で開かない! ちゃんと答えろよ! ヤンデレるぞ!」
みことはやれやれと肩をすくめるだけだったが、梓はきちんとつっこんだ。
「ヤンデレとか怖いのでこっち」
みことをぎゅっと抱きしめると、梓の目に涙がぶわっと浮かんだ。
「う、うわああああーん! タカシのロリやろうーっ!」
梓は鞄を持って部屋から出て行ってしまった。
「ま、待て梓! おまえの体も充分にロリコンの欲望を充足させるぞ、梓ー!」
「超嬉しくないッ! ……あ」
引き返して俺に鞄を投げつける梓だった。だが、鞄は俺の膝に座ってるみことの顔にぶち当たった。
「……ほほう、私に鞄を投げるとはいい度胸だ。どこから削がれたい?」
みことが懐から守刀を取り出すのを見て、梓の顔が青くなった。慌ててみことを押さえつける。
「俺が押さえてるから、今のうちに逃げろ、梓!」
「え、で、でも……」
「決して押さえる→胸に偶然手が当たる→『『あ……』』→恋人展開とか思ってないから!」
「うああああーんっ! タカシのばかーっ!」
梓は目をぐるぐるさせて俺をぽかぽか叩いてきた。
「いていて、冗談に決まってるだろ。みことがそんな展開許すかっての」
「え、あ、いや、私はその、……まあ、こいつを暴走させぬため、世間には恋人と思わせ常に側にいるのも、まあ、その、やぶさかではないが」
「にゃーっ!!?」
混乱の極みにある梓を落ち着かせるのにすごく時間がかかったため、三人揃って遅刻した。
「もーっ、もーっ! 全部タカシのせいだよ! 反省しろっ!」
「全くだ。私の皆勤賞が水の泡だ。どうしてくれる」
二人からほっぺをつねられる俺だった。
「貴様、俺が妹大好き人間と知っての犯行か!? ええいもう知らん、嫌というほど可愛がってやる!」
「超お断りだよッ!」
そんな感じもうすでにハッピーエンドの匂いがしますが、それでも日々は続いて行くわけで。
「お兄ちゃんだよー。お兄ちゃんは妹を起こすんだよー」
「なんで毎日毎日布団に潜り込んで起こすんだよ! 普通に起こせ、ばかっ!」
いつものように布団から蹴り出されてから居間に向かうと、幼なじみのみことがいた。
「ここまで声が響いてきたぞ。まったく、朝からやかましいことだ」
みことは優雅にコーヒーなんぞ飲んでいた。隣のイスに座り、俺も同じのを飲む。
「いや、あいつが俺を離してくれないんだ。まったく、困った妹だよ」
「超聞き逃せないよ! そんなの頼んだ覚えナッシングだよ! タカシが勝手に入ってくるんだろ!」
みことと談笑していると、着替えを済ませた梓が走りながら居間に入ってきた。
「タカシじゃなくて、お兄ちゃん。さん、はい」
「え、そ、そんなの、今さらじゃん。別に変えなくても……」
「言わないとみことを妹扱いするぞ」
「なぜだ!?」
みことが物凄くびっくりしてた。
「さらに、妹としてみことを可愛がりまくる。こんな風に」
「あ……こ、こら、何をするか」
みことの頭をなでると、みことは困ったような、でも少し嬉しそうに顔を綻ばせた。
「それが嫌なら素直に俺の事をお兄ちゃんと……梓?」
「う~……なんだよ、ボクが妹だろ! そんな嘘妹より、ボクを可愛がれよ!」
梓は俺の膝の上に座り、俺を見上げた。
「いや、それは構わんが……随分積極的ですね。お兄さん、ちょっとドキドキですよ」
「えっ!? あっ、ち、違うんだよ? い、妹的感情が可愛がって欲しいと思っただけで、ボク自身としてはちっともなんだよ?」
「よく分からんので俺なりに噛み砕くと、異性としてではなく妹として嫉妬したってことでいいのかにゃ?」
「そっ、そうそれ! そんな感じ! さっすがタカシ、ボクの兄だけあってよく分かってくれてるね♪」
梓は嬉しそうにニコニコした。その笑顔に俺の兄心が刺激されたので、ぎゅーっと後ろから抱きしめてみる。
「く、苦しいよぉ……もー♪」
「あまりの苦しさに梓はもーと言いながら嘔吐した」
「してないッ! 嘘解説すんなっ!」
機嫌を損ねたのか、梓は俺の隣、ちょうどみことの前の席に座ってしまった。寂しいね。
「ふむ。梓殿が妹としての責務を果たせないのなら、私が卿の穴を埋めてやろう」
みことはイスから降りると、俺の膝の上に乗った。
「あああああーっ! ぼ、ボクの席! ボクの席なのに!」
そして梓がやかましい。
「何を言うか、梓殿自ら降りたのだろう。私は別段こやつの膝になど乗りたくはないのだが、こいつは放っておくと余計なことばかりするから、こうして近くで監視しなくてはな。ああ嫌だ嫌だ」
梓を横目で見ながら、みことは薄く笑った。
「い、嫌なら乗らなくていいんじゃないカナ? ほ、ほら、兄の膝に乗るのは妹の仕事だし、嫌だけどボクがやるからさ?」
梓はみことをぐいぐい押したが、みことは頑なに俺から離れなかった。
「結構だ。なに、幼なじみでもその仕事は可能だ。ああ嫌だ嫌だ」
梓に見せ付けるように、みことは俺の胸に横顔をこすりつけた。
「ぐ、ぐぐぐ……ほ、ホントはタカシ、嫌がってるんじゃないの? ほら、タカシって妹大好きなダメ人間だし」
「ふん、これだから新参者は。タカシは昔から幼なじみ属性保持と知らないのか?」
梓とみことが争う度、どんどん俺の性癖が暴かれて泣きそう。
「あーもーいいからどけよっ! そこボクの席だぞっ!」
みことを押し、梓は俺の膝の上に座った。しかしみことも負けじとしがみついているので、右半分がみこと、左半分が梓に座られている。ちょっと重い。
「ねータカシ、ボクの方がいいよね?」
「何を言うか。私の方がいいに決まっている」
「「……どっち!?」」
四つのまなこが俺をじっと見る。
「心労で胃に穴が開いたぐえええ」
「そんな一瞬で開かない! ちゃんと答えろよ! ヤンデレるぞ!」
みことはやれやれと肩をすくめるだけだったが、梓はきちんとつっこんだ。
「ヤンデレとか怖いのでこっち」
みことをぎゅっと抱きしめると、梓の目に涙がぶわっと浮かんだ。
「う、うわああああーん! タカシのロリやろうーっ!」
梓は鞄を持って部屋から出て行ってしまった。
「ま、待て梓! おまえの体も充分にロリコンの欲望を充足させるぞ、梓ー!」
「超嬉しくないッ! ……あ」
引き返して俺に鞄を投げつける梓だった。だが、鞄は俺の膝に座ってるみことの顔にぶち当たった。
「……ほほう、私に鞄を投げるとはいい度胸だ。どこから削がれたい?」
みことが懐から守刀を取り出すのを見て、梓の顔が青くなった。慌ててみことを押さえつける。
「俺が押さえてるから、今のうちに逃げろ、梓!」
「え、で、でも……」
「決して押さえる→胸に偶然手が当たる→『『あ……』』→恋人展開とか思ってないから!」
「うああああーんっ! タカシのばかーっ!」
梓は目をぐるぐるさせて俺をぽかぽか叩いてきた。
「いていて、冗談に決まってるだろ。みことがそんな展開許すかっての」
「え、あ、いや、私はその、……まあ、こいつを暴走させぬため、世間には恋人と思わせ常に側にいるのも、まあ、その、やぶさかではないが」
「にゃーっ!!?」
混乱の極みにある梓を落ち着かせるのにすごく時間がかかったため、三人揃って遅刻した。
「もーっ、もーっ! 全部タカシのせいだよ! 反省しろっ!」
「全くだ。私の皆勤賞が水の泡だ。どうしてくれる」
二人からほっぺをつねられる俺だった。