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2024年11月21日
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【ボクっ娘義妹vs尊大幼なじみ】

2010年02月27日
 親が再婚して、ボクっ娘が妹になった。
「貴様、俺が妹大好き人間と知っての犯行か!? ええいもう知らん、嫌というほど可愛がってやる!」
「超お断りだよッ!」
 そんな感じもうすでにハッピーエンドの匂いがしますが、それでも日々は続いて行くわけで。
「お兄ちゃんだよー。お兄ちゃんは妹を起こすんだよー」
「なんで毎日毎日布団に潜り込んで起こすんだよ! 普通に起こせ、ばかっ!」
 いつものように布団から蹴り出されてから居間に向かうと、幼なじみのみことがいた。
「ここまで声が響いてきたぞ。まったく、朝からやかましいことだ」
 みことは優雅にコーヒーなんぞ飲んでいた。隣のイスに座り、俺も同じのを飲む。
「いや、あいつが俺を離してくれないんだ。まったく、困った妹だよ」
「超聞き逃せないよ! そんなの頼んだ覚えナッシングだよ! タカシが勝手に入ってくるんだろ!」
 みことと談笑していると、着替えを済ませた梓が走りながら居間に入ってきた。
「タカシじゃなくて、お兄ちゃん。さん、はい」
「え、そ、そんなの、今さらじゃん。別に変えなくても……」
「言わないとみことを妹扱いするぞ」
「なぜだ!?」
 みことが物凄くびっくりしてた。
「さらに、妹としてみことを可愛がりまくる。こんな風に」
「あ……こ、こら、何をするか」
 みことの頭をなでると、みことは困ったような、でも少し嬉しそうに顔を綻ばせた。
「それが嫌なら素直に俺の事をお兄ちゃんと……梓?」
「う~……なんだよ、ボクが妹だろ! そんな嘘妹より、ボクを可愛がれよ!」
 梓は俺の膝の上に座り、俺を見上げた。
「いや、それは構わんが……随分積極的ですね。お兄さん、ちょっとドキドキですよ」
「えっ!? あっ、ち、違うんだよ? い、妹的感情が可愛がって欲しいと思っただけで、ボク自身としてはちっともなんだよ?」
「よく分からんので俺なりに噛み砕くと、異性としてではなく妹として嫉妬したってことでいいのかにゃ?」
「そっ、そうそれ! そんな感じ! さっすがタカシ、ボクの兄だけあってよく分かってくれてるね♪」
 梓は嬉しそうにニコニコした。その笑顔に俺の兄心が刺激されたので、ぎゅーっと後ろから抱きしめてみる。
「く、苦しいよぉ……もー♪」
「あまりの苦しさに梓はもーと言いながら嘔吐した」
「してないッ! 嘘解説すんなっ!」
 機嫌を損ねたのか、梓は俺の隣、ちょうどみことの前の席に座ってしまった。寂しいね。
「ふむ。梓殿が妹としての責務を果たせないのなら、私が卿の穴を埋めてやろう」
 みことはイスから降りると、俺の膝の上に乗った。
「あああああーっ! ぼ、ボクの席! ボクの席なのに!」
 そして梓がやかましい。
「何を言うか、梓殿自ら降りたのだろう。私は別段こやつの膝になど乗りたくはないのだが、こいつは放っておくと余計なことばかりするから、こうして近くで監視しなくてはな。ああ嫌だ嫌だ」
 梓を横目で見ながら、みことは薄く笑った。
「い、嫌なら乗らなくていいんじゃないカナ? ほ、ほら、兄の膝に乗るのは妹の仕事だし、嫌だけどボクがやるからさ?」
 梓はみことをぐいぐい押したが、みことは頑なに俺から離れなかった。
「結構だ。なに、幼なじみでもその仕事は可能だ。ああ嫌だ嫌だ」
 梓に見せ付けるように、みことは俺の胸に横顔をこすりつけた。
「ぐ、ぐぐぐ……ほ、ホントはタカシ、嫌がってるんじゃないの? ほら、タカシって妹大好きなダメ人間だし」
「ふん、これだから新参者は。タカシは昔から幼なじみ属性保持と知らないのか?」
 梓とみことが争う度、どんどん俺の性癖が暴かれて泣きそう。
「あーもーいいからどけよっ! そこボクの席だぞっ!」
 みことを押し、梓は俺の膝の上に座った。しかしみことも負けじとしがみついているので、右半分がみこと、左半分が梓に座られている。ちょっと重い。
「ねータカシ、ボクの方がいいよね?」
「何を言うか。私の方がいいに決まっている」
「「……どっち!?」」
 四つのまなこが俺をじっと見る。
「心労で胃に穴が開いたぐえええ」
「そんな一瞬で開かない! ちゃんと答えろよ! ヤンデレるぞ!」
 みことはやれやれと肩をすくめるだけだったが、梓はきちんとつっこんだ。
「ヤンデレとか怖いのでこっち」
 みことをぎゅっと抱きしめると、梓の目に涙がぶわっと浮かんだ。
「う、うわああああーん! タカシのロリやろうーっ!」
 梓は鞄を持って部屋から出て行ってしまった。
「ま、待て梓! おまえの体も充分にロリコンの欲望を充足させるぞ、梓ー!」
「超嬉しくないッ! ……あ」
 引き返して俺に鞄を投げつける梓だった。だが、鞄は俺の膝に座ってるみことの顔にぶち当たった。
「……ほほう、私に鞄を投げるとはいい度胸だ。どこから削がれたい?」
 みことが懐から守刀を取り出すのを見て、梓の顔が青くなった。慌ててみことを押さえつける。
「俺が押さえてるから、今のうちに逃げろ、梓!」
「え、で、でも……」
「決して押さえる→胸に偶然手が当たる→『『あ……』』→恋人展開とか思ってないから!」
「うああああーんっ! タカシのばかーっ!」
 梓は目をぐるぐるさせて俺をぽかぽか叩いてきた。
「いていて、冗談に決まってるだろ。みことがそんな展開許すかっての」
「え、あ、いや、私はその、……まあ、こいつを暴走させぬため、世間には恋人と思わせ常に側にいるのも、まあ、その、やぶさかではないが」
「にゃーっ!!?」
 混乱の極みにある梓を落ち着かせるのにすごく時間がかかったため、三人揃って遅刻した。
「もーっ、もーっ! 全部タカシのせいだよ! 反省しろっ!」
「全くだ。私の皆勤賞が水の泡だ。どうしてくれる」
 二人からほっぺをつねられる俺だった。

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