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2024年11月24日
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【男がホモであるという噂を聞いて何とかしようとするツンデレ】

2010年03月04日
 なんでも、今の流行はショタだとか。流行の最先端を行く俺としては、そして、ガイアが俺にもっと輝けと囁いてくる末期の幻聴が聞こえる俺としては、調べねばならないだろう。
 というわけで調べるべく、とあるゲームを入手し、店から出たところでボクっ娘とエンカウントした。コマンド?
「たたかう」
「あぅぅぅぅっ!」
 梓の頬をぎうぎう引っ張ったら、素っ頓狂な声をあげられた。愉快なので手を離してあげる。
「いきなり何すんだよッ!」
「いや、コマンドという響きを聞いたら逃げずに戦う、という俺流のドラクエのプレイスタイルに従ったまでだ」
「コマンドなんて響いてないよ、幻聴だよ、脳がヤバイ感じだよ!」
「梓、街中で大きな声を出さない」
「正しい事言われてるのに、釈然としないよ……」
 何故か憮然とした顔の梓だった。
「じゃ、俺は急ぐのでこれにて失礼。ちなみに、急ぐ理由と俺が小脇に抱えているこの袋には何ら因果関係がないので、追求しないように」
「何買ったの?」
「追求しないようにと言ったそばから何を追及しているか! これだからボクっ娘呼ばわりされるとなぜ分からない!」
「すっごい怒られた!? ていうかボクのことボクっ娘って呼ぶのタカシだけだよ、タカシおんりーだよ、おんりーわんだよ!」
「おんりーにゃんだったらよかったのにな」
「まるで理解が不能だよ! いーから見せろよ、別に見せたからって減るもんじゃないだろ?」
「いや、見せると梓の乳が減るんだ」
「減らないっ! ていうかこれ以上減りようがないよッ! 自分で言ってて悲しいよっ!」
「俺は貧乳大好きだよ?」
「超嬉しくないっ!」
 褒めたのに。
「もー怒った、見せてくれるまで許さない!」
 そう言って、梓は俺の持ってるビニール袋を引っ張った。取られまいとこちらも引っ張りながら、気合を入れるため声を荒げる。
「いやあっ、堪忍してえ!」
「なんで町娘が乱暴されてるみたいな声出すんだよっ!? みんな見てるじゃんか!」
 俺の町娘乱暴されボイスが冴え渡ったせいで、道行く人たちがじろじろこっちを見る。
「見料5万円」
「金取んなッ! 適当もいい加減にしろ……よっ!」
 梓が力を込めた瞬間、俺の持ってた袋が無残にも引き裂かれた。そして。
「……『ツイ☆てる』?」
「『つのだ☆ひろ』の亜種だ」
「☆が間に入ってるのが一緒なだけだよ! なんだよこれ、『こんな可愛いコが女の子なわけないじゃないですか』って書いてるじゃん!」
「いやその、違うんですよ? ちょっと興味があっただけで、決して新しい趣味に目覚めたんじゃないぞ? いやまあ確かに可愛い男の子もいいなあと思ったり思わなかったり」
「…………」
 必死で言い訳するが、梓は下を向いて小さく震えるばかり。
「梓? 聞いてる?」
「……タカシのド変態っ! 死んじゃえばかっ!」
 俺の頬をばしーんと平手し、梓は肩を怒らせながらどっか行ってしまった。
「ショタものでなく、BLの方がよかったのでしょうか。しかし、それは流石に辛い、辛いのです!」
「わ、私に言われても……」
 近くで携帯を販売してるお姉さんに訴えたら困惑された。

 翌日。部屋で漫画読んでたら、梓がやってきた。否、梓にエンカウントした。コマンド?
「たたかう」
「あぅぅぅぅぅっ!」
 しまった、昨日と同じ轍と踏んでしまった。慌てて手を離す。
「何すんだよ何すんだよ! 昨日と同じ展開じゃんか!」
「いやその、俺の脳内でドラクエの戦闘シーンの音楽が流れたもので。ごめんね」
 むーっとした顔の梓に謝る。
「しかし、昨日の今日で遊びに来るって……怒ってたんじゃないのか?」
「……ま、まぁ、趣味は人それぞれだし。そもそも、ボクが無理やり見ようとしたのが悪かったんだし」
「その通り! さあ、土下座しろ」
「調子に乗りすぎだよっ! それにさ、隠されたら見たくなるだろ。タカシも悪いんだよ」
 梓と話してる最中、格好の奇妙さに気づいた。普段からスカート等の娘っぽい格好を嫌い、少年っぽい格好をしているボクっ娘だったが、今日はそれに輪をかけて男っぽい格好をしている。具体的には半ズボン。
「で、梓。なんだって今日はそんな格好を?」
「な、なんだよ、普通だろ? ……あ、そっか、タカシは変態だから、ボクをそういう目で見てるんだろ」
「……? どゆこと? 話が見えないんだけど」
「だ、だから、……ボクって男だけど、見た目は可愛いから、狙ってるんだろ!」
 ……あー、あーあーあー。そういう『設定』な。実際は女だけど、俺の趣味が少年と思いこんで、自分が男という『設定』と。しょうがない。責任の一端は俺になくもないので、乗ってやろう。
「そーうなーのだー。俺は貴様のような『こんな可愛いコが女の子なわけないじゃないですか』なやつが大好物なーのだー」
「タカシ、陸に打ち上げられたタコみたい」
 人が折角乗ってやったのにこの仕打ち。
「ショック。寝る」
「あっ、寝るなよ! ほら、男同士なんかやろうぜー」
「なんか……よし! 裸のお付き合いしよう! 風呂!」
「のーだよお断りだよ下心見え見えだよ! そういうエッチなのは禁止だよっ!」
「梓……俺、キスしたことないんだ。お前相手に練習してみていいかな? 男同士だし、いいだろ?」
「だから、エッチなのは禁止って言っただろっ! キスしたいだけだろ! そもそも男同士でキスなんてしないっ!」
「うぅん……難しいものだな」
 『少年相手』かつ『エロくない行為』だと、できることが極端に限られてしまう。しかし、健全で貫けるほど俺は真っ当な精神をしていないのだ! それとなくエロいことしてやる!
「あーあ、なんか想像と全然違うよ」
 どうすればエロくできるか腕を組んで考えてると、梓が少し呆れたようにそう言った。
「想像? どんな?」
「え、えと……笑うなよ?」
「大丈夫。どんなことでも、梓が言う事なら、俺……笑うから」
「タカシ……え、いや、笑うの!? 今の雰囲気だと、笑わないから、だろ!」
「よし! 男同士だし、俺が梓のおっぱいを吸うってのはどうだろう?」
「全然人の話を聞いてない上、またエッチなことだよ! どれだけエッチなんだよこの人!? そもそも男同士でおっぱい吸うとかないし! いーからボクの話聞けっ!」
「はい」
「こほん。……えっとね、ぼ、ボクは男なんだからさ、ぎゅーってされても問題ないよね?」
「…………」
「……な、なんだよ。男同士のコミュニケーションなんだから、それくらい普通だろ!」
 普通、男同士で抱き合ったりしません。だがしかし、こんなナイス提案を否定するほど馬鹿でもないので。
「するする、しまくり! よし、いざ!」
「い、いいけど……えっちなことすんなよ! 絶対だぞ!」
「分かってるって。ダチョウ倶楽部方式だろ?」
「違うっ!」
 なんか言ってる梓を後ろからむぎゅーっと抱きしめる。
「は、はぅ……」
「は、はぅ」
「……なんだよ」
「何も言ってません」
 憮然とした顔の梓を少し強く抱きしめる。
「はぅ……はふ」
「はぅはふ」
「…………」
「……何か?」
「何かじゃないよっ! 絶対確実に馬鹿にしてるだろ! しょうがないじゃん、声が漏れちゃうんだから!」
「尿が漏れないでよかったですね」
「うがーっ!」
 なんか怒った。
「もーっ、タカシすぐボクのこと馬鹿にするから嫌い嫌い嫌い! どっか行けばかーっ!」
「任せろ! 望み通り、どっか行くぞ!」
 梓を後ろから抱っこした状態のまま立ち上がり、ベッドへ移動する。
「うわうわうわ、違う違うよ! ボクを離してからどっか行けよ! ていうかベッドって嫌な予感しまくりなんだけど!?」
「大丈夫。まだ挿れないから」
「何する気だよお!?」
 ……いかん! “ナニ”をする気だよ、というとんでもないダジャレが思いついてしまった! どうする、どうする!
「“ナニ”をする気だよ」
 耐え切れずに言ってしまった。
「うわ。タカシ、最悪」
 ショックのあまりベッドに倒れこむ。
「ちょ、ちょっとちょっと! 倒れこむならボクを解放してからにしろよっ! 潰されてる、ボクがタカシの体に潰されてるよっ!」
「うーん、今日の敷布団は柔らかくて嬉しいなあ」
「敷布団違うっ! それボクの体っ! こら、さわさわすんなっ!」
 梓は体をくるりと180度回転させ、俺の手を制した。仕方がないので、梓の髪に顔を埋めて思い切り息を吸い込む。
「んーっ、梓って、男のくせに女の子みたいないい匂いするな」
「こっ、こら匂うな、くんくんすんなっ! ぼ、ボクは男なんだから、そういうことすんなよっ!」
 ……うーん。そういう“遊び”ってのは分かってるんだけど、本当に梓が男になったような、そんな倒錯的な気分になる。
「……ショタもあり、かなあ」
 そう呟いた瞬間、梓は俺を蹴り飛ばした。
「痛いっ!? こらボクっ娘、俺を蹴り飛ばすとは何事か!」
「うっさい! ショタもありとか言うからだよっ! なに考えてんだよ、この変態変態変態っ!」
「いやいや、おまいが最初にそういう設定を持ち込んだんだろうが」
「うぐ……だ、だって、タカシがそういう趣味に目覚めちゃったから、その……」
「?」
「あーもーいいっ! もー終わりっ!」
「えー? もっとやろーぜ。やっとエンジン温まってきたのに」
「やんないっ!」
「あーあ。ま、いーや。ショタもいいが、ボクっ娘の方がいいしな」
「え? そ、それって……」
 どこか嬉しそうに目を輝かせるボクっ娘。
「なぜなら、ショタ設定だとスカートをめくれないから! しかし、ボクっ娘の場合だと、制服の場合ならスカートをめくれるから! なんだったら中に侵入なんかしちゃったり!」
「…………」
「おや、震えてますね。寒いのですか?」
「怒りの震えだよ! このどエッチっ!」
「なんだと!? 本当に俺がどエッチなら、そのズボンをズボンっと脱がしてパンツを鑑賞してるぞ!」
「今まさにやろうとしてるだろっ、このばかっ!」
 言われて見れば、俺の手が梓のズボンに手をかけて降ろしてますね。まあ、そんなことを冷静に考えてる最中もがっつんがっつん頭を殴られているわけなんですが。
 とにかく、頭が痛いので冗談は終わりにする。
「うー……そういういじわる、嫌い。本当に嫌いになっちゃうよ?」
「ごめんなさい」
 自分でも冗談が過ぎたと思うので、素直に頭を下げる。
「ところで、本当に、と言ったところから察するに、今は俺の事を嫌ってないと取ってよろしいのでしょうか?」
「え? えー……っと、どう思う?」
 期待と不安が半々、といった様子で、梓が問いかける。
「個人的には3が一番好きだけど、最近リメイクされた4も結構好き」
「ボクの話がいつのまにかドラクエの話に!?」
「あと、玉子焼きが好き」
「さらにはタカシの好物の話に移行したよ!? もう訳わかんないよ……」
「そして、割と梓も好き。梓も俺の事を好いていてくれたら、嬉しく思う」
「あ……。え、えっと、……ぼ、ボクも、タカシのこと、そ、その、……ま、まぁ、嫌いじゃないよ?」
「つまり、いてもいなくてもいい存在と。路傍の石と変わらぬ存在と。不要の物と、そう言うのだな?」
「違うよ必要な存在だよかなり好きだよっ! ……あ」
「あー……その、照れますね」
「ちっ、ちちちっ、違うよっ! とっ、友達として! 友達としてだよ? ホントに!」
 梓は顔を真っ赤にして、友達友達と連呼した。
「分かってるって。俺も性奴隷として好きだよ」
「何も分かってないよこの人!? そんなのになった覚え、まるでないよっ!」
「じゃあ覚えておこうね」
「うがーっ!」
 怒りながら俺の頭をがじがじかじるボクっ娘だった。

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