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2025年04月20日
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【ツンデレとコンビニ行ったらポーション発見】

2010年04月11日
 梓と一緒に学校から帰ってると、ノドが渇いた。
「梓、涎よこせ」
「い、いきなり何言ってるんだよぉ!?」
「ノドが渇いたんだ。キスすんのが嫌なら口開けてくれ、舌でお前の涎舐め取るから」
「タカシ妖怪みたいだよ!? ノド渇いたならそこのコンビニでなんか買えばいいじゃん!」
「お金がもったいない。ほら、口開けろ」
 梓を抱き寄せ、ぐぐぐっと口を寄せる。
「おごるから! ジュースおごるから、コンビニ行こ!」
「それはありがたい」
 あっさり解放すると、梓は不満そうに俺を睨んだ。
「う~……ひょっとして、最初からそれが狙い?」
「何を言っているのか皆目見当がつきません」
「う~……」
「ほれ、何うなってんだ。早く行くぞ」
「おごってもらうのに、なんでそんなに偉そうなのかなぁ……」
 少し悲しそうな梓と一緒に店内へ。うろうろと徘徊してると、珍しいものを見つけた。
「梓あずさ、これこれ」
「なに……あっ、これポーションだ! へぇ、初めて見た」
「CMじゃ、これを取り合って魔法合戦してたな」
「えへへっ、くらえ、ブリザガ!」
 梓はおどけて俺に手の平を向け、ブリザガと叫んだ。
「…………」
 可哀想な子を見る目で見てあげる。
「なんか反応してよ! ボクがバカみたいじゃん!」
「仕方ねぇなぁ……ほれ、もう一回やってみろ」
「ちゃんとやってよ? えい、ブリザガ!」
「うお、寒い!」
 叫ぶなり、近くにあったアイスを保存してるフリーザーに上半身を突っ込む。
「反応しすぎだよ! 普通でいいんだよ、普通で!」
 フリーザーから俺を引きずり出し、梓は俺を叱った。
「いや、氷結魔法だし、臨場感出そうかと思って」
「いいから、普通にして!」
「分かった、次は頑張る」
「タカシが頑張るとか言うと、また変なことしないか不安だよ……」
 失礼な。
「まぁいいや。えい、ブリザガ!」
「なんの、ジオンガ!」
「じおんが? ジオングの親戚?」
 梓がまたとんちんかんなことを言い出した。
「そうだ。足なんて飾りということが偉い人には分からんことに腹を立て、偉い人の足を飾りにしてしまった犯罪者だ」
「へぇ……物知りだね、タカシ」
「…………」
 適当ぶっこいたのに、尊敬のまなざしで見られ良心が大変痛んだ。
「お客様、店内で魔法の使用はご遠慮願います」
「あ、す、すいません……もう、タカシのせいだよ」
 様子を見ていた店員に注意され、梓は顔を真っ赤にして俺を責めた。
「明らかにお前のせいだと思うが……とにかく、買ってみようぜ。どんな味か気になる」
「そだね……うわっ、高ッ! 200円だって」
「頑張れ梓、今こそ財布の封印を解く時だ!」
「……高いから、一個でいっか」
「情けないぞ、梓!」
「おごってもらっておいて偉そうなこと言わないの! これくださ~い」
 俺を置いて梓はぽてぽてレジへ向かって行った。……外に出るか。
 少し待ってると、梓が出てきた。
「はい、どうぞ。感謝して飲んでよね」
「くるしゅうない」
「わ、殿様だ」
「…………」
 ポーションを受け取り、飲む。
「どう? どう? おいしい?」
「お、おおおおおお……おいしい?」
「なんで疑問系なんだよ!」
「ま、まぁお前も飲んでみろ」
 ポーションを無理やり梓に渡す。
「えー、タカシの後? ……なんか、変な病原菌がついてそう」
「失敬な。最近の俺は便所行った後に手を洗う確率が50%を超えたり超えなかったりするんだぞ?」
「怖いよ! 一か八かだよ! 毒薬を飲む気分だよ!」
 最後の言葉はたぶん合ってる。
「いーから飲め、ほれほれ」
「あぅ、つつくなよぉ……うー、間接キスかぁ」
「嫌なら直接キスしようか?」
「悪化してるよッ! もういい、飲むよ!」
 顔を赤くしたまま、梓はポーションを口に含んだ。
「……うぁ、まずい」
「だよなぁ、とても好んで飲もうとは思えない味だよな」
「だったら最初からそう言えよ! なんだよ、“おいしい”とか言ったくせに!」
「物事は正確にな。“おいしい”ではなく、“おいしい?”だ。疑問系の違いは極めて大きいぞ」
「そんなレベルじゃないよ! まずいよ、鬼まずいよ!」
「しゃーねぇな、残り貸せ。飲んでやるよ」
 梓からポーションを引ったくり、一気にノドに流し込む。
「うげぇ……やっぱダメだ。回復するどころかダメージ受けそうだ」
「タカシ、アンデットだったんだね」
「うう……いかん、今も胃が継続ダメージを受けてる。梓、口直しになんか作ってくれ」
「うあ、奢ってもらっておいてすごい横暴だね、タカシ」
「作ってくれないなら今すぐお前の口に舌突っ込んで口直しするが、それでも構わないと言うのだな」
「言わないよッ! ……あーもう、ホントにタカシはしょうがないなぁ。いーよ、なんか作ってあげる」
「おおっ、さすがは梓。愛と正義のボクっ娘とはよく言ったものだ」
「言わないよッ!」
 怒りながらも、それでも楽しそうな梓と一緒に帰宅した。

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【犬と握手しているところをツンデレに目撃されたら】

2010年04月10日
「……何やってるの、タカシ」
 近所の犬と握手してると、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「梓と握手してるんだ」
「わんわんと握手してるじゃん! ボクはここだよ!」
 振り返ると、思った通りボクっ娘が腰に手を当てて怒っていた。
「梓が二人!? ドッペルゲンガーを目の当たりにする非常事態に、どうしていいか分からない別府タカシであった」
「どこまでボクを馬鹿にしたら気がすむんだよぉ!」
「ここまで。満足した」
 最後に犬を一撫でし、立ち上がる。
「こんにちは、梓」
「こんにちは! もー、変なことばっかり言って……」
 怒りながらもちゃんと挨拶する梓は偉いと思う。
「で、休日のうららかな昼下がりに何やってんだ?」
「それはこっちが聞きたいよ。なんでわんわんと握手なんかしてたの?」
「たまに犬と握手したくなるんだ」
 別に言い方をすれば、肉球を触りたくなる。
「……タカシって、普通に頭おかしいよね」
 そう言って梓は苦笑いを浮かべた。
「なんだと!? 犬をわんわんと呼ぶ奴に変人呼ばわりされたくない!」
「わ、わんわんはわんわんじゃん! わんわん、わんわん、わんわんわん!」
 自分でも恥ずかしいと思っているのだろうか、梓は少し顔を赤らめながらわんわんと連呼した。恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。
「じゃ、猫は?」
「? 猫は猫だよ」
「……つまり犬を自分と同類の特別な生き物と認め、親しみを込めてわんわんと呼んでいるのか。さすがは犬属性」
「違うよッ! 犬属性とか言うなッ!」
 犬属性が怒った。
「まぁこんなところで会ったのも何かの縁だ、暇つぶしに付き合え」
「なんでそんなに偉そうなのかなぁ……」
「どうかこのクソ虫の暇つぶしに付き合ってくださいませ、犬属性様」
「へりくだっているようで馬鹿にされてる!?」
「さて、ぼちぼちどっか行くか。梓、イヌミミってどこ売ってたっけ」
「知らないし、知ってても教えないよ!」
「アナルに入れるしっぽの方がいいのか……チャレンジャーだな、梓」
「そんなこと一言も言ってないよ! 天下の往来でエッチなこと言うな、ばかっ!」
「ごめんなさい」
「なんで犬に謝ってるんだよぉ!?」
 頭を下げる俺を、近所の犬が不思議そうに見ていた。
「しまった、梓と間違えた。でも、似てるから仕方ないよね?」
「仕方なくないよ! 明らかに違うよ! ボクは鼻濡れてないよ!」
 そこで見分けるのか。
「さて、ぼちぼち梓をからかうのも飽きたし、どっか行くか。どこ行きたい?」
「いじわるなタカシと一緒に遊ぶの嫌だよ!」
「未熟な恋愛経験ゆえ、いじめることでしか愛情を伝えることが出来ないんだ」
「自分で言ったら意味ないよ! どう見ても嘘っぱちだよ! ウソツキさんだよ!」
「そんなウソツキさんと遊びませんか? 噂によると、からかったお詫びに今日は奢りらしいぞ」
「えっ、ホント!? ……う、でもウソツキさんが言ってるから嘘かも……」
「大丈夫だ。今日のウソツキさんは自身のアイデンティティが崩壊しかねないほど嘘をつかないぞ」
「なんで普通に『嘘はつかない』って言えないのかなぁ……」
 それは持って回った話し方が好きだからです。
「ともかく、行こうぜ」
 話を打ち切るように梓の頭に手を乗せる。うーん、何度触ってもほこほこして気持ちいい。まるでなでられるために存在しているかのようだ。
「……タカシって、暇さえあればボクの頭なでるよね」
 少し不満そうに俺を見ながら梓が言った。なんでそんな目で見てるんだと思ったら、手が勝手に梓の頭をなでていた。
「いや、その、……まぁ気にするな。わはははは!」
 笑って誤魔化しつつ、わしわし梓の頭を撫でる。
「……ボクが大きくならないのって、いっつもタカシに頭なでられてるからじゃないのかなぁ」
「責任転嫁はよくないぞ。第一、頭をなでるのをやめても胸は大きくならないと思うが」
「身長の話だよ、ばかっ!」
 顔を赤くしながら叫ぶ梓だった。

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【ツンデレとケーキ】

2010年04月09日
 梓の部屋に忍び込み置いてあった菓子を食ってると、家主が戻ってきた。
「人に部屋で何やってんだよぉ!?」
「こんにちは」
「こんにちは! 何やってるのか聞いてるんだよっ!」
 怒りながらも一応挨拶を返す梓は偉いと思う。
「梓がぶくぶくと肥え太るのを防いでいる」
「そんな簡単に太らないよっ! 人のお菓子勝手に食べるな、ばかっ!」
「そう責めるな。誰が悪いわけでもない、強いて言うなら巡り合わせが悪かっただけだ」
「誰がどう見てもタカシが悪いに決まってるよぉ! ボクのお菓子返せよ、ばかぁ!」
 ぽこぽこ殴ってくる梓が鬱陶しいので、ケーキをご馳走することで手打ちにしてもらう。
「ケーキ、ケーキ、おいしいケーキ♪」
 ケーキ一つで簡単に機嫌を直す同級生。哀れみを通り越して少し感心する。
「で、どこ行くの? 喫茶店? ケーキ屋さん?」
「コンビニ」
「ダメだよっ! コンビニに売ってるような嘘ケーキじゃボクの怒りは治まらないよ!」
「ケーキがないならパンを食べればいいじゃない」
「逆アントワネってもダメだよ!」
 梓は新しい動詞を編み出した。
「あ、そこのケーキ屋さんでいいよ。入ろ入ろ」
 俺が着いて来るのも確認せず、梓は一人ケーキ屋に入っていった。続いて俺も入店すると、可愛らしい店員さんの笑顔に迎えられた。
「何にしよっかなー、モンブランかな、チョコかな?」
「コロッケください」
「ないよっ! 店員さん困ってるじゃん!」
 梓の言うとおり、店員さんは苦笑いを浮かべていた。
「じゃあ店員さん、麗しい貴方をお持ち帰りしたいててててっ!」
 突如尻が激痛に襲われた。尻が弾けたかと後ろを見ると、梓が不満そうに俺の尻をつねっていた。
「いきなり何すんだよ!」
「タカシが変なこと言うからだよ! 天罰だよ、神の裁きだよっ!」
「いやいや、明らかにお前がつねっただろ」
「知らないよっ! ボク、ショートケーキ!」
 店員さんは梓に少し怯えながらケーキを取った。
「あ、俺もそれ一つ」
「ボクのマネするなよっ!」
 今日の梓たんはなんか知らんけどいつもより怖い。とにかく、金を払ってケーキの入ってる箱を受け取る。
 怒気を振りまく梓にビクビクしながら家に戻り、箱を開ける。皿に取り分けて、準備完了。
「いただきます!」
 梓はフォークを振り上げ、ケーキの突端を切り崩した。そして欠片をフォークに刺し、口に放り込んだ。
「…………」
 なんとか怒りを持続させようと頑張っているが、ケーキの甘みにそれも難しそうだった。
「おいしい?」
「お、おいしいけど、それは別にタカシのおかげじゃないもん。感謝なんかしないもん」
 金を出したのは俺なんですが、またなんか言って怒らせるのもなんだし黙っておこう。
「じゃ、俺も食うとするか」
 梓のいちごにフォークを刺し、口の中に入れる。
「あああああ! ボクのいちご取った!」
「しまった、いつものクセでつい」
「クセってなんだよ、クセって! いーから返せよ!」
「まぁいいか。むぐむぐ……うむ、新鮮ないちごだ。甘くておいしい」
「なんでボクの取るんだよ! 自分の食えよ!」
「ははっ、怒った顔は似合わないゾ☆」
「誰のせいで怒ってるんだと思ってるんだよ! それと、ちょっと気持ち悪いよ!」
 深く傷ついたので、梓のケーキにかぶりつく。
「うあああああ! な、な、なんてことすんだよぉ!?」
「もぐもぐ、おいしい」
「返せよ、ボクのケーキ返せよ、ばかぁ!」
「まぁまぁ、一発芸見せてやるから機嫌直せ。ほら、ぎょーざ」
 耳を手でぺたりと折る。
「そんなの見せられても全然ちっとも全く嬉しくないよッ! ボクのこと馬鹿にしてるだろっ!?」
「ギョーザうまいぞ?」
「そんなの関係ないよっ! もー怒った、タカシのケーキ食べてやる!」
「何ッ!? 貴様、そんなにカロリーを摂取すると後で泣きを見るぞ!」
「うっ……そ、それでもだよっ! この怒りはタカシのケーキを食べないと収まらないよっ!」
 俺のケーキを鷲掴みし、梓は口を開いた。
「怒りを収める代わりに、その体に贅肉を納めるのか。ははっ、洒落が効いてる」
「ううっ、……ううううう~!」
「どうした、食わんのか?」
「タカシのいじわる虫! そんなにいじわる虫とは知らなかったよ!」
 いじわるは分かるが、虫の意味がまるで分からない。
「まぁそう怒るな。ほら、これやるよ」
「これって……ボクのケーキじゃん! しかも、タカシの食いかけで、涎べとべとじゃん! なんでこんな涎まみれなんだよ!」
「いや、うまいこと言いくるめて俺の涎入りケーキを梓に食べてもらおうかと」
「そんなこと聞いた時点で食べる気0だよ!」
 それもそうだね。困ったね。言うんじゃなかったね。どうしようか。
「うーんうーん、気にするな。ほら食え、美味いぞ」
「気にするよ、しまくりだよ! 食べないよ、口チャックだよ!」
「聞いた話によると、俺の唾液には激痩せ効果があるらしいぞ。口にするとそれだけで体重が500キロ落ちるらしい」
「そんなに落ちたら死ぬよ! ……もが!?」
 大口を開いたので、すかさず口にケーキを詰め込む。
「わははは、容易いぞ梓!」
「もぎゅもぎゅ……ごくん。こうなったらお返しだよ! ぺろぺろぺろ!」
 梓は残ったケーキを舐めまくった。それはいいが、鼻にクリームついてるぞ。
「ほら、これ食べろよな! ボクに無理やりタカシの涎食べさせたんだから、これくらいへーきだよね?」
「随分とサービス精神旺盛だな」
「へ? ……わああああ! 食べたよ! がつがつだよ、ばくばく食べてるよこの人!」
「げふー。うむ、ケーキの甘みと梓の涎により、旨み成分がいい感じに」
「変態だよ、明らかに変態の言葉だよ!?」
「……とすると、梓の涎には旨み成分が? 梓、ちっと味見を」
「へ? だ、ダメだよ、来るなよ、にじり寄るなよ! ちょっとこら、やめろってば、ば……んんーーーっ!?」
 結論:おいしかった。ただ、梓の舌が美味いのか、涎が美味いのか判別がつかないけど気持ちよかったしまぁいいや。

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【ツンデレにしっぽが生えたら】

2010年04月08日
 部屋で自家発電してると、いきなりドアが開いてボクっ娘乱入。
「タカシ、どうしてくれるんだよぉ!?」
「そりゃこっちの台詞だ」
「へ? ……あ」
 ディスプレイに映るちっちゃい子の痴態と、俺の人の言えない状態を見て、梓の顔がゆっくりと赤くなっていく。
「な、なにしてるんだよぉ!」
「まあ待て、とりあえずちんこしまうから」
「なんでそんな落ち着いてるんだよぉ!?」
「いてててて、チャックに挟んだ!」
 落ち着いているようで、実は大変うろたえています。
「な、何やってんだよ、早くそれしまってよ!」
 ちらちらとこっちを見ながら梓が叫んだ。
「うー、痛い。梓、舐めて」
「絶対嫌だよッ!」
 巧みな誘導尋問で舐めてもらおうとしたら失敗した。残念。
「それで、人のプライベートタイムに何用ですか」
 居住まいを正し、梓に向き直る。
「これ!」
 そう言って、梓は後ろを向いた。見慣れた背中と、見慣れないしっぽがそこにあった。もさもさしててラブリー。
「またタカシがしたんだろ! 前にも一回神様に頼んでイヌミミつけたときあったでしょ!」
「あー……んなこともあったような、なかったような。何もかも懐かしい……」
「とぼけんなよぉ! とにかく、とってよ!」
「分かった。えい」
 しっぽを掴み、引っ張る。スカートがまくりあがってちょっとパンツ見えた。
「痛い痛い痛い! 何すんだよ、ばかぁ!」
「娘さんに痛い痛いと言われるとまるで膜を破っているかのようで大変興奮しますなぁぐひひひひ」
「タカシの異常性癖なんて聞いてないよ!」
「異常性癖……」
 静かに、しかし深く傷ついた。
「ほら、傷ついたフリなんかしてないでとってよ。あ、さっきみたいに引っ張ったらダメだよ、痛いから」
「フリじゃなくて傷ついてんの! それはともかく、引っ張る以外に取る手段……切る?」
 引き出しからはさみを取り出したら、梓の顔色が青くなった。
「だ、ダメダメダメ! そんなことしたら痛いよ、血が出るよ!」
 しっぽをかばう様に梓は俺から距離を取った。
「むぅ……じゃあ諦めろ」
「ええっ!? ヤだよ、こんなのついてたらかっこ悪くて外歩けないよ!」
「お前、どうやってここまで来たんだ」
「無我夢中だよ! 五里霧中だよ! 自画自賛だよ!」
 適当な四文字熟語を並べればいいってものではない。
「まーいいじゃん、可愛いし。ほら、もっかいしっぽ見せて」
「え、かわいい……カナ?」
 後ろを向き、梓は素直にしっぽを見せた。 
「可愛い可愛い。ほら、もふもふだし」
 梓のしっぽを掴み、もふもふする。
「あっ、ちょっと触らないでよ、……んっ」
 もふもふしてると、梓の体が小さく跳ねた。
「……ほぅ」
「な、なんだよその顔……」
「えい、もふもふもふ」
 しっぽを軽く掴み、揉むように手で触る。
「あっ、ちょっと、あぅっ!」
 まるで何かに耐えるように、梓は体を前に倒した。自然、スカートの中身が俺の目に飛び込んでくる。
「……なでなで」
「そっ、そこしっぽじゃないよ、お尻だよ!? ひゃうっ!」
「梓の尻は胸とは逆に肉付きがよく、大変揉み心地がいいので喜ばしいです」
「そういうことは思っても口にするなよなっ! ていうか胸とは逆とか言うなッ!」
「いや、だけど実際胸からは想像も出来ないほど尻の揉み心地いいぞ? いや、だからといって梓のぺた胸がダメと言うのではなく逆に」
「いいから手をどけろよ! ばか、さわるな揉むな撫でるなぁ!」
 後でいっぱい叱られたけど、大変楽しかったです。

拍手[8回]

【ナゾナゾを出してくるツンデレ】

2010年04月07日
「タカシタカシー、ボクね、なぞなぞ考えたむぎゅ」
 走り寄ってきた梓を闘牛の要領でひらりとかわすと、後ろの壁にぶつかった。
「よけないでよ!」
「うるさい」
「うー……あ、そーだ! あのね、なぞなぞだよ、なぞなぞ!」
「歯医者」
「まだ言ってないよ! ええとね、日中、車を壊してばかりいる人って誰でしょう……ああっ、これ答え歯医者だ!」
 梓は一人で問題を出して勝手に困っていた。
「問題を出す前に答え当てないでよ!」
「そんなことで怒られたの初めてだ」
「ボクもだよ! いい? ボクの考え読んで先に答え言わないでよね」
 偶然当たっただけなのだが、エスパー気分に浸れるので黙っていよう。
「任せろ。今後なぞなぞを出されても一切答えない」
「そうじゃなくて! なぞなぞ出す前に答えないでって言ってるの!」
「難しいな……関西弁で頼む」
「えっ、ええっ!? え、えと……なぞなぞ出す前にな、答えんといて……やで?」
「すっげーイントネーション変。いずみに聞かれるとたこ焼きにされて食われるぞ」
「そんなこと言われても、ボク関西弁なんて喋れないよ! もーいいから、なぞなぞ言うよ!」
「歯医者」
「だから言うな! ええと、警察がきらいな鳥は?」
「歯医者」
「鳥って言ってるだろ! なんだよ、歯医者って!」
「人の歯を鋭利な刃物でぎゅいんぎゅいん削る刑罰執行人。知らないのか?」
「知ってるよ! 誰も歯医者の意味を教えろなんて言ってないだろ!」
「難しいな……英語で頼む」
「えっ、ええっ!? え、えと……ええと……は」
「は?」
「……はろー」
「はろー」
「…………」
「……終わり?」
「しっ、しかたないじゃん! 英語嫌いだもん! 野球で審判やってもストライクじゃなくてど真ん中って言うもん!」
 変なキレ方された。
「いいから答えろよ!」
「他の教科はそこそこ得意みたいだし、英語が苦手でもいいと思う」
「そんなこと聞いてないッ! 数学も苦手だよッ!」
 いらん知識が増えた。
「あ、ひょっとしてわかんない? なぞなぞ、わかんないかな? 警察がきらいな鳥……タカシには難しかったカナ?」
 ここぞとばかりに嬉しそうに笑いながら梓が寄ってくる。
「歯医者」
「歯医者から離れろッ! ……ふふん、わかんないみたいだね。あのね、おばかなタカシに教えてあげるよ。答えは」
「まさかサギなんて普通の答えなわけないし……なんだろうな?」
「…………」
「梓?」
「うわぁぁぁん! そうだよ、答えサギだよ、ばーか!」
 当てたのに馬鹿呼ばわり。
「うぐぐぐぐ……次!」
「つぎ?」
「次こそ、タカシをぎゃふんと言わせるようなすっごいなぞなぞ考えてくる!」
「ぎゃふん」
「まだ言うなよ! ていうかタカシ、ボクのこと馬鹿にしてるだろ!?」
「はっはっは、まさかまさか。うん、頑張れ」
 梓の頭に手を置く。頑張ることはいいことだ。例えそれがなぞなぞだとしても、お兄さん馬鹿にしないぞ。いや、ホント。
「ううううう~! ぎゃふんどころか、ぎょふんって言わせてやる! ぎょふんだよ、魚の糞だよ!」
 よく分からないことを言い残して、梓は教室から飛び出そうとした。が、チャイムが鳴って恥ずかしそうに戻ってきた。
「あー、その……ふぁいとっ、だよ」
「う、う、うるさいっ!」
 顔を真っ赤にして俺にやつあたりする梓たんでした。

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