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2024年11月21日
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【ツンデレとコンビニ行ったらポーション発見】

2010年04月11日
 梓と一緒に学校から帰ってると、ノドが渇いた。
「梓、涎よこせ」
「い、いきなり何言ってるんだよぉ!?」
「ノドが渇いたんだ。キスすんのが嫌なら口開けてくれ、舌でお前の涎舐め取るから」
「タカシ妖怪みたいだよ!? ノド渇いたならそこのコンビニでなんか買えばいいじゃん!」
「お金がもったいない。ほら、口開けろ」
 梓を抱き寄せ、ぐぐぐっと口を寄せる。
「おごるから! ジュースおごるから、コンビニ行こ!」
「それはありがたい」
 あっさり解放すると、梓は不満そうに俺を睨んだ。
「う~……ひょっとして、最初からそれが狙い?」
「何を言っているのか皆目見当がつきません」
「う~……」
「ほれ、何うなってんだ。早く行くぞ」
「おごってもらうのに、なんでそんなに偉そうなのかなぁ……」
 少し悲しそうな梓と一緒に店内へ。うろうろと徘徊してると、珍しいものを見つけた。
「梓あずさ、これこれ」
「なに……あっ、これポーションだ! へぇ、初めて見た」
「CMじゃ、これを取り合って魔法合戦してたな」
「えへへっ、くらえ、ブリザガ!」
 梓はおどけて俺に手の平を向け、ブリザガと叫んだ。
「…………」
 可哀想な子を見る目で見てあげる。
「なんか反応してよ! ボクがバカみたいじゃん!」
「仕方ねぇなぁ……ほれ、もう一回やってみろ」
「ちゃんとやってよ? えい、ブリザガ!」
「うお、寒い!」
 叫ぶなり、近くにあったアイスを保存してるフリーザーに上半身を突っ込む。
「反応しすぎだよ! 普通でいいんだよ、普通で!」
 フリーザーから俺を引きずり出し、梓は俺を叱った。
「いや、氷結魔法だし、臨場感出そうかと思って」
「いいから、普通にして!」
「分かった、次は頑張る」
「タカシが頑張るとか言うと、また変なことしないか不安だよ……」
 失礼な。
「まぁいいや。えい、ブリザガ!」
「なんの、ジオンガ!」
「じおんが? ジオングの親戚?」
 梓がまたとんちんかんなことを言い出した。
「そうだ。足なんて飾りということが偉い人には分からんことに腹を立て、偉い人の足を飾りにしてしまった犯罪者だ」
「へぇ……物知りだね、タカシ」
「…………」
 適当ぶっこいたのに、尊敬のまなざしで見られ良心が大変痛んだ。
「お客様、店内で魔法の使用はご遠慮願います」
「あ、す、すいません……もう、タカシのせいだよ」
 様子を見ていた店員に注意され、梓は顔を真っ赤にして俺を責めた。
「明らかにお前のせいだと思うが……とにかく、買ってみようぜ。どんな味か気になる」
「そだね……うわっ、高ッ! 200円だって」
「頑張れ梓、今こそ財布の封印を解く時だ!」
「……高いから、一個でいっか」
「情けないぞ、梓!」
「おごってもらっておいて偉そうなこと言わないの! これくださ~い」
 俺を置いて梓はぽてぽてレジへ向かって行った。……外に出るか。
 少し待ってると、梓が出てきた。
「はい、どうぞ。感謝して飲んでよね」
「くるしゅうない」
「わ、殿様だ」
「…………」
 ポーションを受け取り、飲む。
「どう? どう? おいしい?」
「お、おおおおおお……おいしい?」
「なんで疑問系なんだよ!」
「ま、まぁお前も飲んでみろ」
 ポーションを無理やり梓に渡す。
「えー、タカシの後? ……なんか、変な病原菌がついてそう」
「失敬な。最近の俺は便所行った後に手を洗う確率が50%を超えたり超えなかったりするんだぞ?」
「怖いよ! 一か八かだよ! 毒薬を飲む気分だよ!」
 最後の言葉はたぶん合ってる。
「いーから飲め、ほれほれ」
「あぅ、つつくなよぉ……うー、間接キスかぁ」
「嫌なら直接キスしようか?」
「悪化してるよッ! もういい、飲むよ!」
 顔を赤くしたまま、梓はポーションを口に含んだ。
「……うぁ、まずい」
「だよなぁ、とても好んで飲もうとは思えない味だよな」
「だったら最初からそう言えよ! なんだよ、“おいしい”とか言ったくせに!」
「物事は正確にな。“おいしい”ではなく、“おいしい?”だ。疑問系の違いは極めて大きいぞ」
「そんなレベルじゃないよ! まずいよ、鬼まずいよ!」
「しゃーねぇな、残り貸せ。飲んでやるよ」
 梓からポーションを引ったくり、一気にノドに流し込む。
「うげぇ……やっぱダメだ。回復するどころかダメージ受けそうだ」
「タカシ、アンデットだったんだね」
「うう……いかん、今も胃が継続ダメージを受けてる。梓、口直しになんか作ってくれ」
「うあ、奢ってもらっておいてすごい横暴だね、タカシ」
「作ってくれないなら今すぐお前の口に舌突っ込んで口直しするが、それでも構わないと言うのだな」
「言わないよッ! ……あーもう、ホントにタカシはしょうがないなぁ。いーよ、なんか作ってあげる」
「おおっ、さすがは梓。愛と正義のボクっ娘とはよく言ったものだ」
「言わないよッ!」
 怒りながらも、それでも楽しそうな梓と一緒に帰宅した。

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