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2025年04月20日
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【朝起こしにきたツンデレに「ちゅーしてくれたら起きる」と言ってみた】
2010年03月13日
朝なので起きないといけないけど、なんだか非常に眠い。だから今日は学校休み。決定。
「おい、起きろ愚図」
今日は休日だとさっき決まったのに、俺の体を揺する奴がいる。
「うーん……今日は休みだぞ。なんでも、どこかの偉い人が眠いから今日は休みにしようと」
「いいから起きろ莫迦。飯を食う時間がなくなるぞ」
それはダメだ。ご飯はとても大事だからね。だがしかし、今の俺は非常に眠まっているので起きるのは大変面倒だ。うーんうーんうーん、そうだ。
「ちゅーしてくれたら起きる」
「断る」
1秒と経たず返って来た答えに、がっかりする。
「何故貴様なぞに接吻せねばならん。想像しただけで胸に不快感が込み上げてくる」
がっかりどころか泣きそうになってきた。
「分かった起きる起きるからそれ以上言わないで泣くぞ!」
「もう泣いておる。まったく、いくつになっても情けない奴だ」
そう言って、俺を起こそうとしていた奴──みことは部屋から出て行った。
「……もーちっと優しくしてくれてもいいと思うんだけど、どうだろう?」
床で丸まってる猫に問いかけると、ため息を吐かれた。猫にまで馬鹿にされた。
「あー……やる気出ねぇ」
ぐだぐだ言いながら着替え、台所に入る。ちょうどみことが卵を割っていた所だった。
「む、卵を割るところから察するに……玉子焼きだな?」
「目玉焼きだ」
制服にエプロンをつけたみことが、フライパンに生卵を落としながら言った。じゅうという音が台所に響く。
「半熟がいい。なぜ半熟がいいというと、とろっとした黄身は俺の好物であり」
「知ってる。いいから席に着いてろ。後ろでちょろちょろされると邪魔だ」
いらんもの扱いされたので、復讐とばかりにみことのスカートを……
「分かってると思うが、スカートをめくると朝食はなくなるぞ」
……スカートについた埃を払い、ぎこちなく席に着く。……危ういところだった。
リモコンを手に取り、テレビのスイッチを入れる。
『今日は暑い! 真夏日って奴ですゼ旦那! 6月なのにこの気温……7月には暑さで人類絶滅やも!』
近頃のニュースはおかしいなあと思いながらテレビをぼんやり見てると、みことが皿と茶碗を両手に持ってやってきた。
「ほれ」
「ん」
ご飯と目玉焼きを受け取り、いただきます。
「むぐむぐ……もう一品くらい欲しい。みそ汁とか」
「以前作ったが、全部食べなかったではないか」
「だって、その時中に刺身入ってたぞ? みそ汁の具が刺身って、ありえないだろ」
「夕食の残りだ。残しては勿体無いだろうが」
「……おばあちゃんめ」(ぼそり)
「聞こえたぞ! 誰がおばあちゃんだ!」
「お、俺! 俺がおばあちゃん! 将来の夢は駄菓子屋!」
華麗な言い訳でやり過ごす。
「そんなわけないだろうが、たわけめ!」
失敗。怒られた。
「まったく、飯を作ってもらっている立場のくせに、文句ばかり言いおって……」
「や、それは純粋に感謝してる。みことが作る飯、おいしいし」
「……ふ、ふん。貴様なんぞに褒められたところで、気持ち悪いだけだ」
なんて言いながらも、みことの口元は少し上がっていた。
「色々世話してくれるのはいいんだけど、ちょっとでいいから可愛げがあったらなあ……はぁ」
「我にそんなもの、あるわけないだろうが。それが嫌なら、普通の可愛げある女性に世話を頼むんだな」
「俺の学校での女性陣からの扱いを知っての台詞なら、今のは言葉による暴力です」
「……なんだ、気づいておらんのか。……ふふっ」(ぼそり)
「よく聞こえない。もう一度大きな声で……あ、その前におかわり」
「ああ、分か……むっ、時間だ。行くぞ」
「ご飯おかわり」
「時間だと言っている!」
「それでもおかわりたい!」
「いいから行くぞ莫迦!」
みことに手を引っ張られ、茶碗を持ったまま学校へ行きました。
「おい、起きろ愚図」
今日は休日だとさっき決まったのに、俺の体を揺する奴がいる。
「うーん……今日は休みだぞ。なんでも、どこかの偉い人が眠いから今日は休みにしようと」
「いいから起きろ莫迦。飯を食う時間がなくなるぞ」
それはダメだ。ご飯はとても大事だからね。だがしかし、今の俺は非常に眠まっているので起きるのは大変面倒だ。うーんうーんうーん、そうだ。
「ちゅーしてくれたら起きる」
「断る」
1秒と経たず返って来た答えに、がっかりする。
「何故貴様なぞに接吻せねばならん。想像しただけで胸に不快感が込み上げてくる」
がっかりどころか泣きそうになってきた。
「分かった起きる起きるからそれ以上言わないで泣くぞ!」
「もう泣いておる。まったく、いくつになっても情けない奴だ」
そう言って、俺を起こそうとしていた奴──みことは部屋から出て行った。
「……もーちっと優しくしてくれてもいいと思うんだけど、どうだろう?」
床で丸まってる猫に問いかけると、ため息を吐かれた。猫にまで馬鹿にされた。
「あー……やる気出ねぇ」
ぐだぐだ言いながら着替え、台所に入る。ちょうどみことが卵を割っていた所だった。
「む、卵を割るところから察するに……玉子焼きだな?」
「目玉焼きだ」
制服にエプロンをつけたみことが、フライパンに生卵を落としながら言った。じゅうという音が台所に響く。
「半熟がいい。なぜ半熟がいいというと、とろっとした黄身は俺の好物であり」
「知ってる。いいから席に着いてろ。後ろでちょろちょろされると邪魔だ」
いらんもの扱いされたので、復讐とばかりにみことのスカートを……
「分かってると思うが、スカートをめくると朝食はなくなるぞ」
……スカートについた埃を払い、ぎこちなく席に着く。……危ういところだった。
リモコンを手に取り、テレビのスイッチを入れる。
『今日は暑い! 真夏日って奴ですゼ旦那! 6月なのにこの気温……7月には暑さで人類絶滅やも!』
近頃のニュースはおかしいなあと思いながらテレビをぼんやり見てると、みことが皿と茶碗を両手に持ってやってきた。
「ほれ」
「ん」
ご飯と目玉焼きを受け取り、いただきます。
「むぐむぐ……もう一品くらい欲しい。みそ汁とか」
「以前作ったが、全部食べなかったではないか」
「だって、その時中に刺身入ってたぞ? みそ汁の具が刺身って、ありえないだろ」
「夕食の残りだ。残しては勿体無いだろうが」
「……おばあちゃんめ」(ぼそり)
「聞こえたぞ! 誰がおばあちゃんだ!」
「お、俺! 俺がおばあちゃん! 将来の夢は駄菓子屋!」
華麗な言い訳でやり過ごす。
「そんなわけないだろうが、たわけめ!」
失敗。怒られた。
「まったく、飯を作ってもらっている立場のくせに、文句ばかり言いおって……」
「や、それは純粋に感謝してる。みことが作る飯、おいしいし」
「……ふ、ふん。貴様なんぞに褒められたところで、気持ち悪いだけだ」
なんて言いながらも、みことの口元は少し上がっていた。
「色々世話してくれるのはいいんだけど、ちょっとでいいから可愛げがあったらなあ……はぁ」
「我にそんなもの、あるわけないだろうが。それが嫌なら、普通の可愛げある女性に世話を頼むんだな」
「俺の学校での女性陣からの扱いを知っての台詞なら、今のは言葉による暴力です」
「……なんだ、気づいておらんのか。……ふふっ」(ぼそり)
「よく聞こえない。もう一度大きな声で……あ、その前におかわり」
「ああ、分か……むっ、時間だ。行くぞ」
「ご飯おかわり」
「時間だと言っている!」
「それでもおかわりたい!」
「いいから行くぞ莫迦!」
みことに手を引っ張られ、茶碗を持ったまま学校へ行きました。
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【みこメイド2】
2010年03月13日
みことがメイドとして我が家で働いているのだけど、なぜか嫌われている。俺だけが。
「他のメイドや執事たちには笑顔で接してるのに、なんで俺相手だと怒ってるのかなあ」
「こういうことをしているからだ、たわけっ!」
掃除中のみことに後ろから抱きついておっぱいを揉んだら、何度も何度も何度も踏まれた。
「踏むことで俺にM属性を開花させようという目的か……負けん、負けんぞ!」
「そんな目的あるかっ! この馬鹿主めが!」
全体的に体が平べったくなったところで、ようやっとみことは俺を踏むのをやめてくれた。
「いいか、もう私に近寄るな」
「断る! なぜなら、俺はみことの主! 君が主で執事が俺ではなく、君がメイドで主が俺! 故に、俺はみことに寄りまくる。みこりーん♪」
ぎゅいーんとみことに寄ったら、相撲の要領でうっちゃられ、窓から捨てられた。ここ2階。
「不要物は捨てるべきだ」
みことのそんな声を聞きながら、自由落下を堪能の後、尻を痛打。
「うーん……なんでこんな嫌われてるのかなあ」
尻をさすりながら廊下をほろほろ歩いてると、執事の千葉に会った。
「丁度いい。千葉、みことをメロメロにさせる策はないか?」
「策……ですか? そんなことをせずとも、強引に迫ればいいではないですか。この館の中では、どんなことでもご主人様の思いのままですよ」
「それじゃ性欲が満たされるだけで、愛がないだろうが! こう、みことが頬染めて『せんぱい……お弁当、作ってきました。よかったら、その……きゃっ、言えない♪』とかそんな風な感じに! なりたいんです! 俺は!」
「今日も気持ち悪いですね、ご主人様」
にっこり笑顔で言われて、俺はもうどうしたら。
「とにかく、そういうことなので権力でどうこうは没の方向で」
「はぁ……面倒臭いご主人様です」
目の前で堂々と悪口を言われてる所から察するに、どうやら俺はあまり尊敬されていないらしい。
「じゃ、こういう作戦は……」
千葉に作戦を耳打ちされる。
「ほう、ほう、ほう……うむ、いいかも! よし、その作戦で行こう!」
「では、早速実行致します」
そう言って、千葉はそそくさと作戦に向かった。俺も行こう。
みことがいる廊下付近の曲がり角に移動し、千葉が来るのを待つ。
「まったく、セクハラばかりしてきおって……いつか殺してやる」
ぶちぶちと俺への文句(殺人予告?)を言いながら、みことが掃除している。
……うーん、掃除してる姿もラブリー。フリフリと揺れるお尻が大変可愛い。後ろから襲い掛かりたい衝動に駆られるが、襲うとまた窓から突き落とされるので我慢。
「よーよー、ねーちゃん、かわいいねー。俺と遊ばね?」
尻を視姦してると、リーゼントにダボダボの学生服という過去から輸入したファッションに身を包んだ不良がみことにからみはじめた。
「……何をしているのですか、千葉さん」
「ぼ、僕は千葉じゃないです。一介の不良です」
みことは一瞬で千葉の変装を見破った。つーか、そんな服装で騙せると思ってたのか、千葉。
「なんで邸内に不良が、それも子供の不良がいるんですか。明らかなキャスティングミスですね」
「こ、子供じゃない! ちょっと発育不良なだけだ!」
千葉はかなりのショタ力の持ち主なので小学生と間違われがちだが、実は高校生な俺と同級生。どうでもいい。
「……ああ、あの馬鹿主にけしかけられたんですね。待っててください、今すぐ喋れなくしてきますから」
いかん、殺される。慌てて逃げ出そうとして、足元にあるバケツに気づかず思い切り蹴り飛ばしてしまった。
静かな廊下に、がらんがらんと金属が転がる音が盛大に転がりました。
「……そこか」
聞いただけで背筋が凍るような声が耳に届く。
「ち、千葉! ご主人様命令! 命をかけて俺を守れ!」
「我が命はご主人様のため。ですので、この命を捨ててしまうとご主人様の世話ができないので、ご自分で頑張ってください。ふぁいと、ご主人様!」
どうやら、俺はこの館の住人に好かれていないらしい。
とにかく、全力で逃げる。なに、相手は女。男の足に敵うはずがあれなんでみことが俺の前にいて俺のおててを掴んでるの?
「さて、と。地下室行こうな」
にっこりと、みことはこの上ない笑顔で俺に死を宣告した。
「嫌だあ、拷問は嫌だあ! ち、千葉さん! いや、千葉様! 助けてお願い!」
「がんばれー」
ものすごくやる気なさげに小さな旗を振られた。
「テメェ全部お前の考えた作戦なのになんで俺だけ拷問なんだよッ!」
「……千葉さんが考えたことなんですか?」
みことが鋭い視線を千葉に向ける。よし、これで千葉も拷問! ざま見ろ!
「どゆこと? ぼく、わかんにゃーい♪」
「そ、そうですね。こんな可愛い千葉さんが、こんなこと考えるハズないですよね」
こんな時だけ見た目を有効活用する千葉が非常にムカツク。
ずるりずるずる引っ張られて、俺だけ地下室に連行されました。
で、ドアが閉められる瞬間、千葉があかんべーしてて。それはつまり、俺が拷問室送りになることまで作戦通りと。
拷問大嫌い。あと千葉も。覚えてろ。
「他のメイドや執事たちには笑顔で接してるのに、なんで俺相手だと怒ってるのかなあ」
「こういうことをしているからだ、たわけっ!」
掃除中のみことに後ろから抱きついておっぱいを揉んだら、何度も何度も何度も踏まれた。
「踏むことで俺にM属性を開花させようという目的か……負けん、負けんぞ!」
「そんな目的あるかっ! この馬鹿主めが!」
全体的に体が平べったくなったところで、ようやっとみことは俺を踏むのをやめてくれた。
「いいか、もう私に近寄るな」
「断る! なぜなら、俺はみことの主! 君が主で執事が俺ではなく、君がメイドで主が俺! 故に、俺はみことに寄りまくる。みこりーん♪」
ぎゅいーんとみことに寄ったら、相撲の要領でうっちゃられ、窓から捨てられた。ここ2階。
「不要物は捨てるべきだ」
みことのそんな声を聞きながら、自由落下を堪能の後、尻を痛打。
「うーん……なんでこんな嫌われてるのかなあ」
尻をさすりながら廊下をほろほろ歩いてると、執事の千葉に会った。
「丁度いい。千葉、みことをメロメロにさせる策はないか?」
「策……ですか? そんなことをせずとも、強引に迫ればいいではないですか。この館の中では、どんなことでもご主人様の思いのままですよ」
「それじゃ性欲が満たされるだけで、愛がないだろうが! こう、みことが頬染めて『せんぱい……お弁当、作ってきました。よかったら、その……きゃっ、言えない♪』とかそんな風な感じに! なりたいんです! 俺は!」
「今日も気持ち悪いですね、ご主人様」
にっこり笑顔で言われて、俺はもうどうしたら。
「とにかく、そういうことなので権力でどうこうは没の方向で」
「はぁ……面倒臭いご主人様です」
目の前で堂々と悪口を言われてる所から察するに、どうやら俺はあまり尊敬されていないらしい。
「じゃ、こういう作戦は……」
千葉に作戦を耳打ちされる。
「ほう、ほう、ほう……うむ、いいかも! よし、その作戦で行こう!」
「では、早速実行致します」
そう言って、千葉はそそくさと作戦に向かった。俺も行こう。
みことがいる廊下付近の曲がり角に移動し、千葉が来るのを待つ。
「まったく、セクハラばかりしてきおって……いつか殺してやる」
ぶちぶちと俺への文句(殺人予告?)を言いながら、みことが掃除している。
……うーん、掃除してる姿もラブリー。フリフリと揺れるお尻が大変可愛い。後ろから襲い掛かりたい衝動に駆られるが、襲うとまた窓から突き落とされるので我慢。
「よーよー、ねーちゃん、かわいいねー。俺と遊ばね?」
尻を視姦してると、リーゼントにダボダボの学生服という過去から輸入したファッションに身を包んだ不良がみことにからみはじめた。
「……何をしているのですか、千葉さん」
「ぼ、僕は千葉じゃないです。一介の不良です」
みことは一瞬で千葉の変装を見破った。つーか、そんな服装で騙せると思ってたのか、千葉。
「なんで邸内に不良が、それも子供の不良がいるんですか。明らかなキャスティングミスですね」
「こ、子供じゃない! ちょっと発育不良なだけだ!」
千葉はかなりのショタ力の持ち主なので小学生と間違われがちだが、実は高校生な俺と同級生。どうでもいい。
「……ああ、あの馬鹿主にけしかけられたんですね。待っててください、今すぐ喋れなくしてきますから」
いかん、殺される。慌てて逃げ出そうとして、足元にあるバケツに気づかず思い切り蹴り飛ばしてしまった。
静かな廊下に、がらんがらんと金属が転がる音が盛大に転がりました。
「……そこか」
聞いただけで背筋が凍るような声が耳に届く。
「ち、千葉! ご主人様命令! 命をかけて俺を守れ!」
「我が命はご主人様のため。ですので、この命を捨ててしまうとご主人様の世話ができないので、ご自分で頑張ってください。ふぁいと、ご主人様!」
どうやら、俺はこの館の住人に好かれていないらしい。
とにかく、全力で逃げる。なに、相手は女。男の足に敵うはずがあれなんでみことが俺の前にいて俺のおててを掴んでるの?
「さて、と。地下室行こうな」
にっこりと、みことはこの上ない笑顔で俺に死を宣告した。
「嫌だあ、拷問は嫌だあ! ち、千葉さん! いや、千葉様! 助けてお願い!」
「がんばれー」
ものすごくやる気なさげに小さな旗を振られた。
「テメェ全部お前の考えた作戦なのになんで俺だけ拷問なんだよッ!」
「……千葉さんが考えたことなんですか?」
みことが鋭い視線を千葉に向ける。よし、これで千葉も拷問! ざま見ろ!
「どゆこと? ぼく、わかんにゃーい♪」
「そ、そうですね。こんな可愛い千葉さんが、こんなこと考えるハズないですよね」
こんな時だけ見た目を有効活用する千葉が非常にムカツク。
ずるりずるずる引っ張られて、俺だけ地下室に連行されました。
で、ドアが閉められる瞬間、千葉があかんべーしてて。それはつまり、俺が拷問室送りになることまで作戦通りと。
拷問大嫌い。あと千葉も。覚えてろ。
【みこメイド】
2010年03月12日
こんにちは、かなりの金持ちです。金持ちなので、金にあかせてみことをメイドにしてみた!
「ふふ……今日からお前は俺のメイド! なので、メイド服着て俺をお兄ちゃんと呼べ!」
「借金を肩代わりする代わりにメイドになるという条件なので、メイド服は、まあ構わん。だが、なぜ貴様なんかをお兄ちゃんなどと呼ばねばならんのだ」
「妹とか大好きだし。ダメなのか?」
「当然だ、莫迦。貴様はただの同級生であり、私の兄ではない。その程度理解しろ、低脳」
「……どうやら、メイドとしての心構えがなってないようだな。ご主人様が黒と言ったら白でも黒! これ鉄則!」
「貴様はご主人様ではなく、お兄ちゃんなのだろう? なら、その鉄則は当てはまらんな」
みことは口元をゆがめて笑った。ええい、小憎たらしい。
「じゃあ兄として妹に命ずる。にっこり笑って『はきゅん、お兄ちゃんを見てたらお胸がドキドキするのぉ……これって、恋カナ?』と言え」
「死ね」
そんなわけで妹にはできなかったが、みことがメイドとして俺の館で働くことになった。
「学生は~学校に行くのが仕事~。でも、今日はもう終わったので~、自室に戻るところ~」
現在の状況を歌いながら館の廊下を歩いてると、みことが自分の部屋から出てきたところに出くわした。可愛らしいメイド服に身を包んだみことを見てると、思わず顔が綻ぶ。
「や、みこと。今から仕事? 学校終わってすぐ仕事とは、大変だにゃー」
「うるさい。話しかけてくるな」
それだけ言って、みことは廊下の窓を拭き始めた。
「気のせいかもしれないけど、俺のこと嫌ってる?」
「当然……なっ、何をしている、何を!?」
「深呼吸。すーはー」
みことのスカートに潜り込み、尻に顔を埋めて胸いっぱいに香りを吸い込んでると、いっぱい蹴られた。
「こんなことばかりするから嫌われてると、なぜ気づかない!」
「気づいてるけど、気づいてないフリをしているんじゃないかな?」
尻を蹴られた。
「軽いスキンシップなのに……」
「どこがだ! まったく、借金さえなければ今すぐにでも出て行くというのに……」
「借金という鎖がみことを縛って離さない。鎖と言えば、首輪だよね。みこと、首輪とか着けてみない?」
「断固として断る」
「学校に行くときだけ着ければいいから」
「なお悪いッ! 論外だ、論外! ええいこの莫迦め、一度と言わず何度でも死ね!」
再び俺の尻を蹴り上げてから、みことは怒りながらどっかへ行ってしまった。
「尻が痛い」
「そ、そんなこと私に言われましても……」
近くで様子を見ていたメイドさんに訴えたら、困られた。
「どうか、キミよ。この痛みを一時でも忘れさせてくれないか?」
メイドさんの手を取り、熱く瞳を見つめる。
「た、タカシ様……私でよければ、その……」
よし、いける! 今日はこのメイドさんをお持ち帰りはうはう!
なんて思ってると、どっか行ってたみことがすごい勢いでこっちに走ってきて──
「痛い!?」
その勢いのままとび蹴りされた。さっき蹴り上げられた尻をまたしても蹴られ、とても痛い。
「貴様……私の尻に顔を埋めただけでなく、この子にまでその毒牙を突き立てる気か。いい度胸だ」
「え、いや、毒牙って。ちょっと部屋でお茶して、その後ちろっとベッドで色々するだけですよ?」
「その色々が悪いッ! 貴様は一度性根を叩き直した方がいいようだな!」
「あぁん」
腕を引っ張られて、連行される俺。
「ちぇ、玉の輿のチャンスだったのに……」
メイドのつぶやきを聞き、みことがとても怖い顔で俺を睨んだ。なんで俺を。怖いぞ。
「あ、あの、俺、雇い主。雇い主に折檻、悪いコト。折檻、ノー」
恐怖のあまりカタコトになってしまった。
「例え雇い主でも、悪い事をしたら罰をしないとな。さ、地下室行こう」
にっこりと、みことはこの上ない笑顔で俺に死を宣告した。
「嫌だあ、拷問は嫌だあ!」
ずるりずるずる引っ張られて、地下室に連行されました。拷問大嫌い。
「ふふ……今日からお前は俺のメイド! なので、メイド服着て俺をお兄ちゃんと呼べ!」
「借金を肩代わりする代わりにメイドになるという条件なので、メイド服は、まあ構わん。だが、なぜ貴様なんかをお兄ちゃんなどと呼ばねばならんのだ」
「妹とか大好きだし。ダメなのか?」
「当然だ、莫迦。貴様はただの同級生であり、私の兄ではない。その程度理解しろ、低脳」
「……どうやら、メイドとしての心構えがなってないようだな。ご主人様が黒と言ったら白でも黒! これ鉄則!」
「貴様はご主人様ではなく、お兄ちゃんなのだろう? なら、その鉄則は当てはまらんな」
みことは口元をゆがめて笑った。ええい、小憎たらしい。
「じゃあ兄として妹に命ずる。にっこり笑って『はきゅん、お兄ちゃんを見てたらお胸がドキドキするのぉ……これって、恋カナ?』と言え」
「死ね」
そんなわけで妹にはできなかったが、みことがメイドとして俺の館で働くことになった。
「学生は~学校に行くのが仕事~。でも、今日はもう終わったので~、自室に戻るところ~」
現在の状況を歌いながら館の廊下を歩いてると、みことが自分の部屋から出てきたところに出くわした。可愛らしいメイド服に身を包んだみことを見てると、思わず顔が綻ぶ。
「や、みこと。今から仕事? 学校終わってすぐ仕事とは、大変だにゃー」
「うるさい。話しかけてくるな」
それだけ言って、みことは廊下の窓を拭き始めた。
「気のせいかもしれないけど、俺のこと嫌ってる?」
「当然……なっ、何をしている、何を!?」
「深呼吸。すーはー」
みことのスカートに潜り込み、尻に顔を埋めて胸いっぱいに香りを吸い込んでると、いっぱい蹴られた。
「こんなことばかりするから嫌われてると、なぜ気づかない!」
「気づいてるけど、気づいてないフリをしているんじゃないかな?」
尻を蹴られた。
「軽いスキンシップなのに……」
「どこがだ! まったく、借金さえなければ今すぐにでも出て行くというのに……」
「借金という鎖がみことを縛って離さない。鎖と言えば、首輪だよね。みこと、首輪とか着けてみない?」
「断固として断る」
「学校に行くときだけ着ければいいから」
「なお悪いッ! 論外だ、論外! ええいこの莫迦め、一度と言わず何度でも死ね!」
再び俺の尻を蹴り上げてから、みことは怒りながらどっかへ行ってしまった。
「尻が痛い」
「そ、そんなこと私に言われましても……」
近くで様子を見ていたメイドさんに訴えたら、困られた。
「どうか、キミよ。この痛みを一時でも忘れさせてくれないか?」
メイドさんの手を取り、熱く瞳を見つめる。
「た、タカシ様……私でよければ、その……」
よし、いける! 今日はこのメイドさんをお持ち帰りはうはう!
なんて思ってると、どっか行ってたみことがすごい勢いでこっちに走ってきて──
「痛い!?」
その勢いのままとび蹴りされた。さっき蹴り上げられた尻をまたしても蹴られ、とても痛い。
「貴様……私の尻に顔を埋めただけでなく、この子にまでその毒牙を突き立てる気か。いい度胸だ」
「え、いや、毒牙って。ちょっと部屋でお茶して、その後ちろっとベッドで色々するだけですよ?」
「その色々が悪いッ! 貴様は一度性根を叩き直した方がいいようだな!」
「あぁん」
腕を引っ張られて、連行される俺。
「ちぇ、玉の輿のチャンスだったのに……」
メイドのつぶやきを聞き、みことがとても怖い顔で俺を睨んだ。なんで俺を。怖いぞ。
「あ、あの、俺、雇い主。雇い主に折檻、悪いコト。折檻、ノー」
恐怖のあまりカタコトになってしまった。
「例え雇い主でも、悪い事をしたら罰をしないとな。さ、地下室行こう」
にっこりと、みことはこの上ない笑顔で俺に死を宣告した。
「嫌だあ、拷問は嫌だあ!」
ずるりずるずる引っ張られて、地下室に連行されました。拷問大嫌い。
【幼女に嫉妬するツンデレ】
2010年03月09日
近頃、というか昔から隣家に住む子供に懐かれてます。「お兄ちゃん」と呼びながら抱きついてくるところから察するに、俺を兄と誤認識しているのだろう。
「違うぞ。俺は赤の他人であり、お前と血の繋がりはない。故に俺をお兄ちゃんと呼ぶのは不許可する」
何度もそう教えてお兄ちゃんと呼ぶのを止めさそうとするのだが、
「えぅぅぅぅ……」(半泣き)
「はーい、お兄ちゃんだよー。泣くのはダメだぞー」
すぐ泣きそうになるので、ついつい兄っぽく振舞ってしまう俺は優しいに違いない。
そんなわけで今日も俺をお兄ちゃんと呼ぶ娘と一緒にだらりと休日を過ごしていたら、ぴんぽんと鳴った。
「正解した! やったぞ麻衣! あ、ちなみに麻衣とは俺をお兄ちゃんと呼ぶお前の名ですね」
俺を置いて一人で客の応対に向かう麻衣。
「……放置プレイは嫌だなあ」
つぶやきながら俺も玄関に向かう。そこに、麻衣を見て目を輝かせているみことがいた。
「レズロリ?」
「だっ、誰がレズロリだっ、誰がっ! 失礼な奴だ」
「んで、何か用? 遊びに来たのか?」
「誰が貴様なんぞと遊ぶか。たまたま近くを通りがかったので、犯罪行為をしていないか様子を見に来たまでだ」
失敬な、とか思ってると、麻衣が俺の服の裾をクイクイ引っ張ってるのに気づいた。
「お兄ちゃん、レズロリってなぁに?」
興味津々な瞳を俺に向ける。好奇心を持つのはいいが、そんなことを教えるのも何なので、適当にあしらおう。
「頭がおかしい人のことだよ」
「お兄ちゃんのことだね!」(満面の笑み)
好かれていると思っていたのだけど、麻衣は俺のことが大嫌いなのかもしれない。
「傷ついた心を癒やすため、青年は旅に出たのだった」
「どっ、どこに頭をつっこんでいる!」
「みことのスカートの中に出かけた青年は、パンツに出会いました」
みことと麻衣の二人から暴力を受けた。
「お兄ちゃん! 麻衣以外の人のスカートに頭つっこんじゃダメでしょ!」
「はい、すいません」
で、居間に戻って麻衣に正座を命じられ、変な説教を受けています。ていうか麻衣ならOKなのか。
「まったく……ごめんね、みことお姉ちゃん。お兄ちゃんって、思ったことをすぐ実行しちゃうから犯罪行為も何のその! なの」
「……ずいぶんと仲がいいんだな」
どこか険のある口調で、みことが俺に言った。
「婚約者だからな」
「ななっ、なんだとっ! きっ、貴様、よもやこんな小さな子相手にあんな事やそんな事してるんじゃないだろうなっ!」
みことが激情して俺の首を絞めにかかった。
「わわわっ! ちっ、違うよ、お兄ちゃんと麻衣は婚約者じゃないよっ! お兄ちゃんを殺さないでー!」
麻衣がとりなしてくれたおかげで、みことは手を離してくれた。
「やれやれ、軽い冗談で死にかけた」
「うるさい! 嘘をつく貴様が悪い!」
「そうだよ! お兄ちゃんが悪い!」
みことに同調し、なぜか麻衣まで俺を責め立ててきた。
「だから、嘘を本当にするべく、婚約者になろっ♪」
ぴょいんと麻衣が飛びついてきて、俺の膝の上に乗った。
「ななっ!?」
それを見て、みことが素っ頓狂な声をあげた。
「お兄ちゃん、婚約指輪ちょうだい♪」
「はい」
「お兄ちゃん、これ輪ゴムだよ!」
落ちてた輪ゴムを渡したら、不満そうな顔をされた。
「今はこれで精一杯」
「あ、ルパンだ。るぱんるぱーん」
「もみあげるゼ!」
麻衣と適当にじゃれてると、みことがやけに冷たい目で俺を見て……いや、睨みつけていることに気づいた。
「……本当に、随分と仲がいいな」
「麻衣とは、かなり昔からの腐れ縁だからな。それこそ、麻衣がオムツに尿を垂れ流してる頃から」
どこが嫌だったのか知らないけれど、麻衣が俺の手に噛み付いてきたので、訂正することにする。
「尿でなく、黄金水と言わないとダメだよな。で、麻衣は今でもオムツ愛用しているオムラーだとか。今でも黄金なる水を垂れ流して生きている可哀想な生物なんだ」
「そんなのしてないもん! ほら見て、ほらほら!」
麻衣がスカートをたくしあげ、股の間にある部位を俺の顔にぐいぐい押しつけてくるので、みことがちょっと直視できないくらい怖い顔になった。
「ええと、麻衣。生暖かい部位を俺の顔に押し付けるのもいいけど、そこにいるお姉ちゃんに後で殺されちゃうので、そろそろやめてほしいと兄は思うのだが」
「んうっ……お、お兄ちゃん、麻衣のパンツに顔を埋めたまま喋らないでぇ……」
「タカシッ!」
どうやらみことの堪忍袋の緒が切れたようで、懐から刀を取り出すところが見えました。
「血まみれだね、お兄ちゃん。包帯足りるかなぁ?」
「わ、私は悪くない。貴様が悪いのだぞ? こんな小さな子に手を出すなど……」
二人から包帯を巻かれながら、みことがぶちぶち言い訳するのを聞く。
「手は出してない。パンツに顔を押し付けただけだ。いわば、顔を出した」
「黙れ」
怖いので黙ることにする。
「……ふぅっ、治療完了! これでまたお姉ちゃんに刀でずぱずぱ切られてもへーきだよ!」
刀で切られたら人は死ぬ事を麻衣には教えないといけない。いや、みことに教えるのが先か。
「みこと。刀で人を切ったら死ぬので、やめなさい」
「安心しろ。この刀は貴様にのみ使っている。死ぬとしたら貴様だけだ」
それが嫌なんだけど、麻衣が隣で「なるほど」とうなずいてるので反論できない。
「つまり、みことお姉ちゃんはお兄ちゃんが嫌いなんだね?」
「無論だ。ただ、こんな奴を野放しにしていては迷惑極まりないので、見張っているだけだ」
「じゃ、私がお兄ちゃんと好き好き同士になってもいいんだね?」
「う……む、無論だ。私はこんな奴、大嫌いだからな」
「俺はみことのこと、結構好きだけどな」
「っ!!」
みことが息を呑んだ。
「ぎゅー」
そして麻衣が俺の首を真顔で絞めるので、俺は息を呑めない。ていうか呼吸不能。
「ま、麻衣ちゃん麻衣ちゃん! タカシの顔が尋常ならざる色になっているぞ!?」
「あちゃー、やりすぎちった。てへ☆」
まるで心配の色が見えない麻衣の声を聞きながら、意識混濁。
「違うぞ。俺は赤の他人であり、お前と血の繋がりはない。故に俺をお兄ちゃんと呼ぶのは不許可する」
何度もそう教えてお兄ちゃんと呼ぶのを止めさそうとするのだが、
「えぅぅぅぅ……」(半泣き)
「はーい、お兄ちゃんだよー。泣くのはダメだぞー」
すぐ泣きそうになるので、ついつい兄っぽく振舞ってしまう俺は優しいに違いない。
そんなわけで今日も俺をお兄ちゃんと呼ぶ娘と一緒にだらりと休日を過ごしていたら、ぴんぽんと鳴った。
「正解した! やったぞ麻衣! あ、ちなみに麻衣とは俺をお兄ちゃんと呼ぶお前の名ですね」
俺を置いて一人で客の応対に向かう麻衣。
「……放置プレイは嫌だなあ」
つぶやきながら俺も玄関に向かう。そこに、麻衣を見て目を輝かせているみことがいた。
「レズロリ?」
「だっ、誰がレズロリだっ、誰がっ! 失礼な奴だ」
「んで、何か用? 遊びに来たのか?」
「誰が貴様なんぞと遊ぶか。たまたま近くを通りがかったので、犯罪行為をしていないか様子を見に来たまでだ」
失敬な、とか思ってると、麻衣が俺の服の裾をクイクイ引っ張ってるのに気づいた。
「お兄ちゃん、レズロリってなぁに?」
興味津々な瞳を俺に向ける。好奇心を持つのはいいが、そんなことを教えるのも何なので、適当にあしらおう。
「頭がおかしい人のことだよ」
「お兄ちゃんのことだね!」(満面の笑み)
好かれていると思っていたのだけど、麻衣は俺のことが大嫌いなのかもしれない。
「傷ついた心を癒やすため、青年は旅に出たのだった」
「どっ、どこに頭をつっこんでいる!」
「みことのスカートの中に出かけた青年は、パンツに出会いました」
みことと麻衣の二人から暴力を受けた。
「お兄ちゃん! 麻衣以外の人のスカートに頭つっこんじゃダメでしょ!」
「はい、すいません」
で、居間に戻って麻衣に正座を命じられ、変な説教を受けています。ていうか麻衣ならOKなのか。
「まったく……ごめんね、みことお姉ちゃん。お兄ちゃんって、思ったことをすぐ実行しちゃうから犯罪行為も何のその! なの」
「……ずいぶんと仲がいいんだな」
どこか険のある口調で、みことが俺に言った。
「婚約者だからな」
「ななっ、なんだとっ! きっ、貴様、よもやこんな小さな子相手にあんな事やそんな事してるんじゃないだろうなっ!」
みことが激情して俺の首を絞めにかかった。
「わわわっ! ちっ、違うよ、お兄ちゃんと麻衣は婚約者じゃないよっ! お兄ちゃんを殺さないでー!」
麻衣がとりなしてくれたおかげで、みことは手を離してくれた。
「やれやれ、軽い冗談で死にかけた」
「うるさい! 嘘をつく貴様が悪い!」
「そうだよ! お兄ちゃんが悪い!」
みことに同調し、なぜか麻衣まで俺を責め立ててきた。
「だから、嘘を本当にするべく、婚約者になろっ♪」
ぴょいんと麻衣が飛びついてきて、俺の膝の上に乗った。
「ななっ!?」
それを見て、みことが素っ頓狂な声をあげた。
「お兄ちゃん、婚約指輪ちょうだい♪」
「はい」
「お兄ちゃん、これ輪ゴムだよ!」
落ちてた輪ゴムを渡したら、不満そうな顔をされた。
「今はこれで精一杯」
「あ、ルパンだ。るぱんるぱーん」
「もみあげるゼ!」
麻衣と適当にじゃれてると、みことがやけに冷たい目で俺を見て……いや、睨みつけていることに気づいた。
「……本当に、随分と仲がいいな」
「麻衣とは、かなり昔からの腐れ縁だからな。それこそ、麻衣がオムツに尿を垂れ流してる頃から」
どこが嫌だったのか知らないけれど、麻衣が俺の手に噛み付いてきたので、訂正することにする。
「尿でなく、黄金水と言わないとダメだよな。で、麻衣は今でもオムツ愛用しているオムラーだとか。今でも黄金なる水を垂れ流して生きている可哀想な生物なんだ」
「そんなのしてないもん! ほら見て、ほらほら!」
麻衣がスカートをたくしあげ、股の間にある部位を俺の顔にぐいぐい押しつけてくるので、みことがちょっと直視できないくらい怖い顔になった。
「ええと、麻衣。生暖かい部位を俺の顔に押し付けるのもいいけど、そこにいるお姉ちゃんに後で殺されちゃうので、そろそろやめてほしいと兄は思うのだが」
「んうっ……お、お兄ちゃん、麻衣のパンツに顔を埋めたまま喋らないでぇ……」
「タカシッ!」
どうやらみことの堪忍袋の緒が切れたようで、懐から刀を取り出すところが見えました。
「血まみれだね、お兄ちゃん。包帯足りるかなぁ?」
「わ、私は悪くない。貴様が悪いのだぞ? こんな小さな子に手を出すなど……」
二人から包帯を巻かれながら、みことがぶちぶち言い訳するのを聞く。
「手は出してない。パンツに顔を押し付けただけだ。いわば、顔を出した」
「黙れ」
怖いので黙ることにする。
「……ふぅっ、治療完了! これでまたお姉ちゃんに刀でずぱずぱ切られてもへーきだよ!」
刀で切られたら人は死ぬ事を麻衣には教えないといけない。いや、みことに教えるのが先か。
「みこと。刀で人を切ったら死ぬので、やめなさい」
「安心しろ。この刀は貴様にのみ使っている。死ぬとしたら貴様だけだ」
それが嫌なんだけど、麻衣が隣で「なるほど」とうなずいてるので反論できない。
「つまり、みことお姉ちゃんはお兄ちゃんが嫌いなんだね?」
「無論だ。ただ、こんな奴を野放しにしていては迷惑極まりないので、見張っているだけだ」
「じゃ、私がお兄ちゃんと好き好き同士になってもいいんだね?」
「う……む、無論だ。私はこんな奴、大嫌いだからな」
「俺はみことのこと、結構好きだけどな」
「っ!!」
みことが息を呑んだ。
「ぎゅー」
そして麻衣が俺の首を真顔で絞めるので、俺は息を呑めない。ていうか呼吸不能。
「ま、麻衣ちゃん麻衣ちゃん! タカシの顔が尋常ならざる色になっているぞ!?」
「あちゃー、やりすぎちった。てへ☆」
まるで心配の色が見えない麻衣の声を聞きながら、意識混濁。
【布団で寝ないツンデレ】
2010年03月05日
みことが遊びに来たので、だらりだらだら遊んでたら、夜になった。
「もう夜ですね。今から帰ると危ないので、泊まっていきなさい。あ、紳士ですので身体をまさぐったりはしませんよ?」
「断る。絶対に何かするに決まっている」
みことは腕を組んで俺を睨んだ。
「じゃあするから泊まっていきなさい」
「誰もしてほしいなどと言ってない!」
みことの話は難しい。
「とにかく、泊まってけ。明日は日曜日で休みだし、お布団トークとしゃれ込みませんか」
「仮にも若い男女が同じ屋根の下で一泊なぞ、論外に決まっているだろう」
「じゃあ野宿しよう。屋根がないのでおーけー、びーはっぴー」
「お前の頭には本当に脳が入ってるのか?」
真顔で問われた。
「ま、ま。実は事前におまいのおばさんにも連絡済みでして」
「なんだと!?」
みことは慌てた様子で携帯を取り出し、どこかにダイヤルした。
「母か。母は私がどうにかなってもいいと言うのか。……ふむ、なるほど。……ああ、大丈夫だ。刀は持っている。……よし、分かった」
物騒な言葉が飛び出ているのが気にかかるが、何か納得したようでみことは携帯を切った。
「一晩世話になる」
「俺は殺されるのですか?」
「なに、殺しはせん。……貴様が何もしないならな」
「あ、あはははは、するわけないじゃんかー」
『えっちなことしたら殺すよー』と言外に言われたので、ガクガク震えながら必死で笑った。
「さて、そうと決まったら風呂を借りるとするか」
「お背中流します!」
「早速出番か……」
みことの懐に小刀が見えたので、エビみたいに後ろに飛んだ。
「ご、ごゆっくりどうぞ! 自宅の風呂と思ってくつろいでくださいな!」
「そうさせてもらおう」
みことは悠々と部屋を出て行った。
……ええいコンチクショウ、ちょっと刀をちらつかせたらなんでも言う事きくと思いやがって! こうなったら、みことの座ってたクッションにダイブして鬱憤を晴らしてやる!
「いざ……うおおーっ!」
「いかん、忘れ物だ」
顔からクッションに飛び込んだら、みことが部屋に舞い戻ってきました。
「…………」
「……何か言う事は?」
「みこと臭はいいかほり」
縄でぐるぐる巻きにされて窓から干された。犬が俺を見て吠えた。
近所迷惑になるということで風呂上りのみことに回収され、部屋に戻る。
「うう……もう冬なんだな、すげー寒かった」
「馬鹿な事をするからだ、愚か者」
タオルで髪を拭いてるみことが冷たい視線と言葉を俺に投げかける。しかし……。
「……む、なんだ? じっと見おって」
「や、なんでもない、なんでもない」
「なんでもない、などと言われたら余計気になるだろう。男ならはっきり言え」
「まるでカラスの濡れ羽色のようなつややかな黒髪がきれいだにゃーと思った。あと、パジャマ代わりに俺の服を着てるので、そのダボダボ感がたまらなくかわいいにゃーと思った」
「なっ……そ、そういうことを言うな!」
みことは顔を真っ赤にして怒った。
「女の子が坊主頭ってのは正直いただけないと思った。あと、全裸はどうかと思う」
「誰も嘘ついてまでけなせとは言ってない!」
やっぱりみことの話は難しい。
「まぁ、とにかく好ましいということですよ、と結論づいた所で俺も風呂に入ってきます。そう、みことエキスが濃縮された液体に!」
「先ほど、貴様のお母堂様が風呂に入ったようだぞ」
「Nooooooooooooooo!!!!! 年増エキスが混入された!!! 死者が出るぞ!」
風呂に入ってるはずの母さんが部屋に入ってきて無言で俺に高角度ジャーマンをして出て行った。
「……生きてるか?」
痙攣する俺にやや心配そうな声をかけるみことだった。
悲しみに打ち震えながら年増混入湯に浸かり、部屋に戻るとみことがベッドの上にちょこんと座っていた。
「上がったか。さ、寝るか」
「早ッ! まだ9時だぞ?」
「早寝早起きこそ長生きの基本だ」
「年寄り臭え……」
「貴様、ご老体を馬鹿にするか!」
「いや、年寄りを馬鹿にしたのではなく、みことを馬鹿にしたのです」
ほっぺをぎうぎう引っ張られて痛い痛い。
「それに、早く床に着けば、それだけ話も沢山できるだろう? ……さ、さっき言ってたではないか、お布団とーくとかなんとか」
あ、あー。なるほど。可愛いところあるな、こいつ。
「なんだ、にやにやしおって。気持ち悪いな」
前言撤回。可愛くない。
「じゃ、みことがお話したいようだし、ずずずいっとお話すか」
「わ、私がしたいのではなく、貴様がしたいのでは……ん? 何をしている?」
床の上に毛布を引いてると、みことが不思議そうな顔をした。
「いや、流石に板張りの床の上に直で寝ると身体が痛いので、毛布でも、と」
「……そ、そうか、それもそうだな。……なんで私は一緒に寝ると思ってたんだ」
みことは照れ臭そうに小さな小さな声で言った。
「そんなことはない! 俺だって一緒に寝たい! そして、みことの身体を余すところなく触りまくりたい! さあ、共に寝ようではないか!」
「お前はそっちの毛布で寝ろ。こっちに来たら斬る」
俺の提案が一瞬で却下された。なんでだろう。
しばらく毛布の上で転がりながらみこととだらだら喋ってたら、1時になった。
「ふああ……流石に眠いな」
盛大に口を大きく開けてアクビをする。それを見て、みことが小さく笑った。
「ふふっ、大きな口だな。そろそろ寝るか?」
「んー……そだな。寝るるるー」
「そうか。よい夢を、タカシ」
「悪夢を、みこと」
「なんでだっ!? こら寝るなタカシ、訂正しろ! よい夢と言え!」
なんか言ってるけどとても眠いのでよく分からないぐーぐー。
……む。なんか目が覚めた。時計時計……4時。早朝じゃん。
しかし、寒い。毛布だけだし、風邪ひきそう。湯たんぽでもあればよかったんだけど……ん? 俺の体の前面に、なんか温かい物体がある。
「……みこと?」
どうしてみことがベッドの上から俺の毛布の中へテレポーテーションしているのか。あれか、俺が隠れた力を知らず発揮し、ここまで運んだのか。
「……んなわきゃねーか。おいみこと、起きろ」
ゆさゆさ揺すってみことを起こす。どうせこいつのことだ、ベッドの上から転がり落ちたに違いない。
「……くーくー」
揺すっても起きる気配がない。しょうがない、お姫さまだっこで担ぎ上げて……っ!
「お、重い……」
みことの寝息が一瞬止まった。
「うん? みこと、起きてるのか?」
しばらくそのまま待ってみたが、寝息は規則正しく繰り返されている。……気のせいだったかな。
重さを堪えながら、みことをベッドの上に運ぶ。
「はー、腕だる。……さて、寝直すか」
手をすり合わせ、毛布に包まる。寒さが身に染みて辛いにゃー、なんて思ってると、みことが転がり落ちてきた。そして、毛布の中に入ってきた。
「…………」
「……く、くーくー」
「……いや、流石に無理だから」
みことは申し訳なさそうに目を開いた。
「いつから起きてた?」
「い、いまさっき。本当だぞ?」
たぶん、抱っこした時からだろうな。まぁいいや。
「ほれ、いいから戻れ。こんな所いたら風邪ひくぞ」
「……むう」
「みことが変な声で鳴いた」
「変とは何だ、変とは!」
「みこと、いま深夜。大きな声は近所迷惑」
「む……す、すまん」
「申し訳なさそうに目を伏せるみことが、ちょっと可愛いと思った」
「思った事をそのまま言うなっ!」
眠いので思考回路と口が直結しています。
「なんでもいいから、早くベッドに戻りなさい。風邪ひいたら辛いぞ?」
「し、しかし……そうだ! 部屋の主を毛布で寝かせて、自分だけベッドで寝れるわけなかろう。な?」
「な、じゃねえ。女の子なんだから腰冷やすのダメ。ほれ、戻れ」
みことをぐいぐい押すが、ぐいぐい押し返されてまるでおしくらまんじゅう。押されて泣くな。
「女の子相手におしくらまんじゅうを行うのは、なんだかとてもえっちな感じがしていいと思います」
「意味が分からんが、貴様はいつでもどこでもスケベだな……」
気のせいか侮蔑の視線を感じるような。
「とにかくだ! 貴様がベッドで寝ない以上、私がベッドを使うわけにはいかんのだ」
「じゃあ一緒に寝たらいいじゃん」
なんだか最初は一緒に寝るのまずいと言ったような気もするが、眠すぎて記憶を掘り起こせない。とにかく今はぐーぐー寝たい。
「い、いいのか……?」
「よいー。さあ、共に眠りの王国へようこそ」
「ふひゃっ!?」
半分目をつむったままみことを抱き寄せ、毛布に潜り込む。寒いはずの毛布の中は、暖かかった。
「ご、強引だな……む?」
「すぴゃーすぴゃー」
「……もう寝ているのか。……む、こ、これは……腰を固定され、動けん! こ、こらタカシ、ちょっと手を離せ」
「すひゃーすひゃー」(離すどころか手が尻に)
「ふひゃっ!? どどどどこを触っておる!? あっ、こら、さわさわするな、ばかっ!」
「ん……んーっ。はふー、よく寝た」
「…………」
伸びをして一秒 みこと真剣な目をしてたから そこから何も言えなくなるの
「……何か言うことは」
「星屑ロンリネス」
「意味が分からんッ! よくも一晩中私の尻を触り続けてくれたな……」
「ええっ!? 全然覚えてないぞ!」
「覚えてなくとも行ったのは事実。……さあ、覚悟しろ」
「記憶がないのに罰されるというのか! そんなのってないよ! と思ったので、今から再度行います」
「は?」
油断してるみことのお尻をなでなでなで。指先がほにゅっとめりこんだ。
「な……」
「うむ、よい尻! 続いて、薄いゼ薄いゼ薄くて死ぬゼって感じの乳も揉みますがよろしいか?」
「……よろしいわけないだろう、この色魔ーッ!」
朝からべこんぼこんにされた。
「いいか、次こんなことしたら絶対許さんからな!」
「……次、ということは、お泊りはこれからもする予定?」
「うっ、うるさいっ! 貴様はそんなこと気にするな、ばかっ!」
怒りか照れか知らないけど、顔を真っ赤にしながらあわあわしているのは大変可愛らしいですが、その手に刀があるので怖すぎる。
「と、とにかくだ。私を傷モノにしたのだ、それなりの罰を与えんとな?」
「尻をまさぐっただけで傷物扱いとな! はっはっは、これは笑え……甘んじて罰を受けさせていただきます」
首筋に刀を押し当てるという脅迫を受ける。
「そっ、そうか! なら、今日は一日私に付き合ってもらうぞ。か、かへーとやらに行ってみたかったのだ」
みことは満面の笑みを浮かべながら不思議な言葉を言った。かへー?
「かへー……ああ、喫茶店な。つまり、デートな」
「ちっ、違う! 勘違いするな、貴様はただの財布だ! デートなんかじゃないからな!」
「へーへー」
真っ赤な顔でまくしたてるみことを適当にあしらいながら、どこの喫茶店に行くか頭の中で算段を立てる俺だった。
「もう夜ですね。今から帰ると危ないので、泊まっていきなさい。あ、紳士ですので身体をまさぐったりはしませんよ?」
「断る。絶対に何かするに決まっている」
みことは腕を組んで俺を睨んだ。
「じゃあするから泊まっていきなさい」
「誰もしてほしいなどと言ってない!」
みことの話は難しい。
「とにかく、泊まってけ。明日は日曜日で休みだし、お布団トークとしゃれ込みませんか」
「仮にも若い男女が同じ屋根の下で一泊なぞ、論外に決まっているだろう」
「じゃあ野宿しよう。屋根がないのでおーけー、びーはっぴー」
「お前の頭には本当に脳が入ってるのか?」
真顔で問われた。
「ま、ま。実は事前におまいのおばさんにも連絡済みでして」
「なんだと!?」
みことは慌てた様子で携帯を取り出し、どこかにダイヤルした。
「母か。母は私がどうにかなってもいいと言うのか。……ふむ、なるほど。……ああ、大丈夫だ。刀は持っている。……よし、分かった」
物騒な言葉が飛び出ているのが気にかかるが、何か納得したようでみことは携帯を切った。
「一晩世話になる」
「俺は殺されるのですか?」
「なに、殺しはせん。……貴様が何もしないならな」
「あ、あはははは、するわけないじゃんかー」
『えっちなことしたら殺すよー』と言外に言われたので、ガクガク震えながら必死で笑った。
「さて、そうと決まったら風呂を借りるとするか」
「お背中流します!」
「早速出番か……」
みことの懐に小刀が見えたので、エビみたいに後ろに飛んだ。
「ご、ごゆっくりどうぞ! 自宅の風呂と思ってくつろいでくださいな!」
「そうさせてもらおう」
みことは悠々と部屋を出て行った。
……ええいコンチクショウ、ちょっと刀をちらつかせたらなんでも言う事きくと思いやがって! こうなったら、みことの座ってたクッションにダイブして鬱憤を晴らしてやる!
「いざ……うおおーっ!」
「いかん、忘れ物だ」
顔からクッションに飛び込んだら、みことが部屋に舞い戻ってきました。
「…………」
「……何か言う事は?」
「みこと臭はいいかほり」
縄でぐるぐる巻きにされて窓から干された。犬が俺を見て吠えた。
近所迷惑になるということで風呂上りのみことに回収され、部屋に戻る。
「うう……もう冬なんだな、すげー寒かった」
「馬鹿な事をするからだ、愚か者」
タオルで髪を拭いてるみことが冷たい視線と言葉を俺に投げかける。しかし……。
「……む、なんだ? じっと見おって」
「や、なんでもない、なんでもない」
「なんでもない、などと言われたら余計気になるだろう。男ならはっきり言え」
「まるでカラスの濡れ羽色のようなつややかな黒髪がきれいだにゃーと思った。あと、パジャマ代わりに俺の服を着てるので、そのダボダボ感がたまらなくかわいいにゃーと思った」
「なっ……そ、そういうことを言うな!」
みことは顔を真っ赤にして怒った。
「女の子が坊主頭ってのは正直いただけないと思った。あと、全裸はどうかと思う」
「誰も嘘ついてまでけなせとは言ってない!」
やっぱりみことの話は難しい。
「まぁ、とにかく好ましいということですよ、と結論づいた所で俺も風呂に入ってきます。そう、みことエキスが濃縮された液体に!」
「先ほど、貴様のお母堂様が風呂に入ったようだぞ」
「Nooooooooooooooo!!!!! 年増エキスが混入された!!! 死者が出るぞ!」
風呂に入ってるはずの母さんが部屋に入ってきて無言で俺に高角度ジャーマンをして出て行った。
「……生きてるか?」
痙攣する俺にやや心配そうな声をかけるみことだった。
悲しみに打ち震えながら年増混入湯に浸かり、部屋に戻るとみことがベッドの上にちょこんと座っていた。
「上がったか。さ、寝るか」
「早ッ! まだ9時だぞ?」
「早寝早起きこそ長生きの基本だ」
「年寄り臭え……」
「貴様、ご老体を馬鹿にするか!」
「いや、年寄りを馬鹿にしたのではなく、みことを馬鹿にしたのです」
ほっぺをぎうぎう引っ張られて痛い痛い。
「それに、早く床に着けば、それだけ話も沢山できるだろう? ……さ、さっき言ってたではないか、お布団とーくとかなんとか」
あ、あー。なるほど。可愛いところあるな、こいつ。
「なんだ、にやにやしおって。気持ち悪いな」
前言撤回。可愛くない。
「じゃ、みことがお話したいようだし、ずずずいっとお話すか」
「わ、私がしたいのではなく、貴様がしたいのでは……ん? 何をしている?」
床の上に毛布を引いてると、みことが不思議そうな顔をした。
「いや、流石に板張りの床の上に直で寝ると身体が痛いので、毛布でも、と」
「……そ、そうか、それもそうだな。……なんで私は一緒に寝ると思ってたんだ」
みことは照れ臭そうに小さな小さな声で言った。
「そんなことはない! 俺だって一緒に寝たい! そして、みことの身体を余すところなく触りまくりたい! さあ、共に寝ようではないか!」
「お前はそっちの毛布で寝ろ。こっちに来たら斬る」
俺の提案が一瞬で却下された。なんでだろう。
しばらく毛布の上で転がりながらみこととだらだら喋ってたら、1時になった。
「ふああ……流石に眠いな」
盛大に口を大きく開けてアクビをする。それを見て、みことが小さく笑った。
「ふふっ、大きな口だな。そろそろ寝るか?」
「んー……そだな。寝るるるー」
「そうか。よい夢を、タカシ」
「悪夢を、みこと」
「なんでだっ!? こら寝るなタカシ、訂正しろ! よい夢と言え!」
なんか言ってるけどとても眠いのでよく分からないぐーぐー。
……む。なんか目が覚めた。時計時計……4時。早朝じゃん。
しかし、寒い。毛布だけだし、風邪ひきそう。湯たんぽでもあればよかったんだけど……ん? 俺の体の前面に、なんか温かい物体がある。
「……みこと?」
どうしてみことがベッドの上から俺の毛布の中へテレポーテーションしているのか。あれか、俺が隠れた力を知らず発揮し、ここまで運んだのか。
「……んなわきゃねーか。おいみこと、起きろ」
ゆさゆさ揺すってみことを起こす。どうせこいつのことだ、ベッドの上から転がり落ちたに違いない。
「……くーくー」
揺すっても起きる気配がない。しょうがない、お姫さまだっこで担ぎ上げて……っ!
「お、重い……」
みことの寝息が一瞬止まった。
「うん? みこと、起きてるのか?」
しばらくそのまま待ってみたが、寝息は規則正しく繰り返されている。……気のせいだったかな。
重さを堪えながら、みことをベッドの上に運ぶ。
「はー、腕だる。……さて、寝直すか」
手をすり合わせ、毛布に包まる。寒さが身に染みて辛いにゃー、なんて思ってると、みことが転がり落ちてきた。そして、毛布の中に入ってきた。
「…………」
「……く、くーくー」
「……いや、流石に無理だから」
みことは申し訳なさそうに目を開いた。
「いつから起きてた?」
「い、いまさっき。本当だぞ?」
たぶん、抱っこした時からだろうな。まぁいいや。
「ほれ、いいから戻れ。こんな所いたら風邪ひくぞ」
「……むう」
「みことが変な声で鳴いた」
「変とは何だ、変とは!」
「みこと、いま深夜。大きな声は近所迷惑」
「む……す、すまん」
「申し訳なさそうに目を伏せるみことが、ちょっと可愛いと思った」
「思った事をそのまま言うなっ!」
眠いので思考回路と口が直結しています。
「なんでもいいから、早くベッドに戻りなさい。風邪ひいたら辛いぞ?」
「し、しかし……そうだ! 部屋の主を毛布で寝かせて、自分だけベッドで寝れるわけなかろう。な?」
「な、じゃねえ。女の子なんだから腰冷やすのダメ。ほれ、戻れ」
みことをぐいぐい押すが、ぐいぐい押し返されてまるでおしくらまんじゅう。押されて泣くな。
「女の子相手におしくらまんじゅうを行うのは、なんだかとてもえっちな感じがしていいと思います」
「意味が分からんが、貴様はいつでもどこでもスケベだな……」
気のせいか侮蔑の視線を感じるような。
「とにかくだ! 貴様がベッドで寝ない以上、私がベッドを使うわけにはいかんのだ」
「じゃあ一緒に寝たらいいじゃん」
なんだか最初は一緒に寝るのまずいと言ったような気もするが、眠すぎて記憶を掘り起こせない。とにかく今はぐーぐー寝たい。
「い、いいのか……?」
「よいー。さあ、共に眠りの王国へようこそ」
「ふひゃっ!?」
半分目をつむったままみことを抱き寄せ、毛布に潜り込む。寒いはずの毛布の中は、暖かかった。
「ご、強引だな……む?」
「すぴゃーすぴゃー」
「……もう寝ているのか。……む、こ、これは……腰を固定され、動けん! こ、こらタカシ、ちょっと手を離せ」
「すひゃーすひゃー」(離すどころか手が尻に)
「ふひゃっ!? どどどどこを触っておる!? あっ、こら、さわさわするな、ばかっ!」
「ん……んーっ。はふー、よく寝た」
「…………」
伸びをして一秒 みこと真剣な目をしてたから そこから何も言えなくなるの
「……何か言うことは」
「星屑ロンリネス」
「意味が分からんッ! よくも一晩中私の尻を触り続けてくれたな……」
「ええっ!? 全然覚えてないぞ!」
「覚えてなくとも行ったのは事実。……さあ、覚悟しろ」
「記憶がないのに罰されるというのか! そんなのってないよ! と思ったので、今から再度行います」
「は?」
油断してるみことのお尻をなでなでなで。指先がほにゅっとめりこんだ。
「な……」
「うむ、よい尻! 続いて、薄いゼ薄いゼ薄くて死ぬゼって感じの乳も揉みますがよろしいか?」
「……よろしいわけないだろう、この色魔ーッ!」
朝からべこんぼこんにされた。
「いいか、次こんなことしたら絶対許さんからな!」
「……次、ということは、お泊りはこれからもする予定?」
「うっ、うるさいっ! 貴様はそんなこと気にするな、ばかっ!」
怒りか照れか知らないけど、顔を真っ赤にしながらあわあわしているのは大変可愛らしいですが、その手に刀があるので怖すぎる。
「と、とにかくだ。私を傷モノにしたのだ、それなりの罰を与えんとな?」
「尻をまさぐっただけで傷物扱いとな! はっはっは、これは笑え……甘んじて罰を受けさせていただきます」
首筋に刀を押し当てるという脅迫を受ける。
「そっ、そうか! なら、今日は一日私に付き合ってもらうぞ。か、かへーとやらに行ってみたかったのだ」
みことは満面の笑みを浮かべながら不思議な言葉を言った。かへー?
「かへー……ああ、喫茶店な。つまり、デートな」
「ちっ、違う! 勘違いするな、貴様はただの財布だ! デートなんかじゃないからな!」
「へーへー」
真っ赤な顔でまくしたてるみことを適当にあしらいながら、どこの喫茶店に行くか頭の中で算段を立てる俺だった。