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2024年11月24日
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【布団で寝ないツンデレ】

2010年03月05日
 みことが遊びに来たので、だらりだらだら遊んでたら、夜になった。
「もう夜ですね。今から帰ると危ないので、泊まっていきなさい。あ、紳士ですので身体をまさぐったりはしませんよ?」
「断る。絶対に何かするに決まっている」
 みことは腕を組んで俺を睨んだ。
「じゃあするから泊まっていきなさい」
「誰もしてほしいなどと言ってない!」
 みことの話は難しい。
「とにかく、泊まってけ。明日は日曜日で休みだし、お布団トークとしゃれ込みませんか」
「仮にも若い男女が同じ屋根の下で一泊なぞ、論外に決まっているだろう」
「じゃあ野宿しよう。屋根がないのでおーけー、びーはっぴー」
「お前の頭には本当に脳が入ってるのか?」
 真顔で問われた。
「ま、ま。実は事前におまいのおばさんにも連絡済みでして」
「なんだと!?」
 みことは慌てた様子で携帯を取り出し、どこかにダイヤルした。
「母か。母は私がどうにかなってもいいと言うのか。……ふむ、なるほど。……ああ、大丈夫だ。刀は持っている。……よし、分かった」
 物騒な言葉が飛び出ているのが気にかかるが、何か納得したようでみことは携帯を切った。
「一晩世話になる」
「俺は殺されるのですか?」
「なに、殺しはせん。……貴様が何もしないならな」
「あ、あはははは、するわけないじゃんかー」
 『えっちなことしたら殺すよー』と言外に言われたので、ガクガク震えながら必死で笑った。
「さて、そうと決まったら風呂を借りるとするか」
「お背中流します!」
「早速出番か……」
 みことの懐に小刀が見えたので、エビみたいに後ろに飛んだ。
「ご、ごゆっくりどうぞ! 自宅の風呂と思ってくつろいでくださいな!」
「そうさせてもらおう」
 みことは悠々と部屋を出て行った。
 ……ええいコンチクショウ、ちょっと刀をちらつかせたらなんでも言う事きくと思いやがって! こうなったら、みことの座ってたクッションにダイブして鬱憤を晴らしてやる!
「いざ……うおおーっ!」
「いかん、忘れ物だ」
 顔からクッションに飛び込んだら、みことが部屋に舞い戻ってきました。
「…………」
「……何か言う事は?」
「みこと臭はいいかほり」
 縄でぐるぐる巻きにされて窓から干された。犬が俺を見て吠えた。

 近所迷惑になるということで風呂上りのみことに回収され、部屋に戻る。
「うう……もう冬なんだな、すげー寒かった」
「馬鹿な事をするからだ、愚か者」
 タオルで髪を拭いてるみことが冷たい視線と言葉を俺に投げかける。しかし……。
「……む、なんだ? じっと見おって」
「や、なんでもない、なんでもない」
「なんでもない、などと言われたら余計気になるだろう。男ならはっきり言え」
「まるでカラスの濡れ羽色のようなつややかな黒髪がきれいだにゃーと思った。あと、パジャマ代わりに俺の服を着てるので、そのダボダボ感がたまらなくかわいいにゃーと思った」
「なっ……そ、そういうことを言うな!」
 みことは顔を真っ赤にして怒った。
「女の子が坊主頭ってのは正直いただけないと思った。あと、全裸はどうかと思う」
「誰も嘘ついてまでけなせとは言ってない!」
 やっぱりみことの話は難しい。
「まぁ、とにかく好ましいということですよ、と結論づいた所で俺も風呂に入ってきます。そう、みことエキスが濃縮された液体に!」
「先ほど、貴様のお母堂様が風呂に入ったようだぞ」
「Nooooooooooooooo!!!!! 年増エキスが混入された!!! 死者が出るぞ!」
 風呂に入ってるはずの母さんが部屋に入ってきて無言で俺に高角度ジャーマンをして出て行った。
「……生きてるか?」
 痙攣する俺にやや心配そうな声をかけるみことだった。

 悲しみに打ち震えながら年増混入湯に浸かり、部屋に戻るとみことがベッドの上にちょこんと座っていた。
「上がったか。さ、寝るか」
「早ッ! まだ9時だぞ?」
「早寝早起きこそ長生きの基本だ」
「年寄り臭え……」
「貴様、ご老体を馬鹿にするか!」
「いや、年寄りを馬鹿にしたのではなく、みことを馬鹿にしたのです」
 ほっぺをぎうぎう引っ張られて痛い痛い。
「それに、早く床に着けば、それだけ話も沢山できるだろう? ……さ、さっき言ってたではないか、お布団とーくとかなんとか」
 あ、あー。なるほど。可愛いところあるな、こいつ。
「なんだ、にやにやしおって。気持ち悪いな」
 前言撤回。可愛くない。
「じゃ、みことがお話したいようだし、ずずずいっとお話すか」
「わ、私がしたいのではなく、貴様がしたいのでは……ん? 何をしている?」
 床の上に毛布を引いてると、みことが不思議そうな顔をした。
「いや、流石に板張りの床の上に直で寝ると身体が痛いので、毛布でも、と」
「……そ、そうか、それもそうだな。……なんで私は一緒に寝ると思ってたんだ」
 みことは照れ臭そうに小さな小さな声で言った。
「そんなことはない! 俺だって一緒に寝たい! そして、みことの身体を余すところなく触りまくりたい! さあ、共に寝ようではないか!」
「お前はそっちの毛布で寝ろ。こっちに来たら斬る」
 俺の提案が一瞬で却下された。なんでだろう。

 しばらく毛布の上で転がりながらみこととだらだら喋ってたら、1時になった。
「ふああ……流石に眠いな」
 盛大に口を大きく開けてアクビをする。それを見て、みことが小さく笑った。
「ふふっ、大きな口だな。そろそろ寝るか?」
「んー……そだな。寝るるるー」
「そうか。よい夢を、タカシ」
「悪夢を、みこと」
「なんでだっ!? こら寝るなタカシ、訂正しろ! よい夢と言え!」
 なんか言ってるけどとても眠いのでよく分からないぐーぐー。

 ……む。なんか目が覚めた。時計時計……4時。早朝じゃん。
 しかし、寒い。毛布だけだし、風邪ひきそう。湯たんぽでもあればよかったんだけど……ん? 俺の体の前面に、なんか温かい物体がある。
「……みこと?」
 どうしてみことがベッドの上から俺の毛布の中へテレポーテーションしているのか。あれか、俺が隠れた力を知らず発揮し、ここまで運んだのか。
「……んなわきゃねーか。おいみこと、起きろ」
 ゆさゆさ揺すってみことを起こす。どうせこいつのことだ、ベッドの上から転がり落ちたに違いない。
「……くーくー」
 揺すっても起きる気配がない。しょうがない、お姫さまだっこで担ぎ上げて……っ!
「お、重い……」
 みことの寝息が一瞬止まった。
「うん? みこと、起きてるのか?」
 しばらくそのまま待ってみたが、寝息は規則正しく繰り返されている。……気のせいだったかな。
 重さを堪えながら、みことをベッドの上に運ぶ。
「はー、腕だる。……さて、寝直すか」
 手をすり合わせ、毛布に包まる。寒さが身に染みて辛いにゃー、なんて思ってると、みことが転がり落ちてきた。そして、毛布の中に入ってきた。
「…………」
「……く、くーくー」
「……いや、流石に無理だから」
 みことは申し訳なさそうに目を開いた。
「いつから起きてた?」
「い、いまさっき。本当だぞ?」
 たぶん、抱っこした時からだろうな。まぁいいや。
「ほれ、いいから戻れ。こんな所いたら風邪ひくぞ」
「……むう」
「みことが変な声で鳴いた」
「変とは何だ、変とは!」
「みこと、いま深夜。大きな声は近所迷惑」
「む……す、すまん」
「申し訳なさそうに目を伏せるみことが、ちょっと可愛いと思った」
「思った事をそのまま言うなっ!」
 眠いので思考回路と口が直結しています。
「なんでもいいから、早くベッドに戻りなさい。風邪ひいたら辛いぞ?」
「し、しかし……そうだ! 部屋の主を毛布で寝かせて、自分だけベッドで寝れるわけなかろう。な?」
「な、じゃねえ。女の子なんだから腰冷やすのダメ。ほれ、戻れ」
 みことをぐいぐい押すが、ぐいぐい押し返されてまるでおしくらまんじゅう。押されて泣くな。
「女の子相手におしくらまんじゅうを行うのは、なんだかとてもえっちな感じがしていいと思います」
「意味が分からんが、貴様はいつでもどこでもスケベだな……」
 気のせいか侮蔑の視線を感じるような。
「とにかくだ! 貴様がベッドで寝ない以上、私がベッドを使うわけにはいかんのだ」
「じゃあ一緒に寝たらいいじゃん」
 なんだか最初は一緒に寝るのまずいと言ったような気もするが、眠すぎて記憶を掘り起こせない。とにかく今はぐーぐー寝たい。
「い、いいのか……?」
「よいー。さあ、共に眠りの王国へようこそ」
「ふひゃっ!?」
 半分目をつむったままみことを抱き寄せ、毛布に潜り込む。寒いはずの毛布の中は、暖かかった。
「ご、強引だな……む?」
「すぴゃーすぴゃー」
「……もう寝ているのか。……む、こ、これは……腰を固定され、動けん! こ、こらタカシ、ちょっと手を離せ」
「すひゃーすひゃー」(離すどころか手が尻に)
「ふひゃっ!? どどどどこを触っておる!? あっ、こら、さわさわするな、ばかっ!」

「ん……んーっ。はふー、よく寝た」
「…………」
 伸びをして一秒 みこと真剣な目をしてたから そこから何も言えなくなるの
「……何か言うことは」
「星屑ロンリネス」
「意味が分からんッ! よくも一晩中私の尻を触り続けてくれたな……」
「ええっ!? 全然覚えてないぞ!」
「覚えてなくとも行ったのは事実。……さあ、覚悟しろ」
「記憶がないのに罰されるというのか! そんなのってないよ! と思ったので、今から再度行います」
「は?」
 油断してるみことのお尻をなでなでなで。指先がほにゅっとめりこんだ。
「な……」
「うむ、よい尻! 続いて、薄いゼ薄いゼ薄くて死ぬゼって感じの乳も揉みますがよろしいか?」
「……よろしいわけないだろう、この色魔ーッ!」
 朝からべこんぼこんにされた。
「いいか、次こんなことしたら絶対許さんからな!」
「……次、ということは、お泊りはこれからもする予定?」
「うっ、うるさいっ! 貴様はそんなこと気にするな、ばかっ!」
 怒りか照れか知らないけど、顔を真っ赤にしながらあわあわしているのは大変可愛らしいですが、その手に刀があるので怖すぎる。
「と、とにかくだ。私を傷モノにしたのだ、それなりの罰を与えんとな?」
「尻をまさぐっただけで傷物扱いとな! はっはっは、これは笑え……甘んじて罰を受けさせていただきます」
 首筋に刀を押し当てるという脅迫を受ける。
「そっ、そうか! なら、今日は一日私に付き合ってもらうぞ。か、かへーとやらに行ってみたかったのだ」
 みことは満面の笑みを浮かべながら不思議な言葉を言った。かへー?
「かへー……ああ、喫茶店な。つまり、デートな」
「ちっ、違う! 勘違いするな、貴様はただの財布だ! デートなんかじゃないからな!」
「へーへー」
 真っ赤な顔でまくしたてるみことを適当にあしらいながら、どこの喫茶店に行くか頭の中で算段を立てる俺だった。

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