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2025年04月30日
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【猫ツンデレvsねこちなみん】

2010年04月15日
 今日もうちの猫は人型女性のままで困ってます。
「んー……ん? あ、タカシだタカシだ。膝、ひざー」
 そして当然のように俺の膝に乗ってくるので困ってます。に、にやけてなんかいませんよ!?(超狼狽)
「ほれ、なでれ。なでなですれ」
「撫でられることを当然と享受する今の心境は?」
「むー? ……さては、難しいこと言ってあちしを馬鹿にしたな。がぶ」
 がぶ、と言いながら俺の指を噛む猫たん。痛いです。
「……あ、飼い猫を自分の肉奴隷にしてる最低なやろー発見」
「まだ挿れてない! こんな人聞きの悪いことを言う貴様は……やっぱちなみか。こんにちは」
「……はろー、にゃ」
 軽く手を上げてフランクに挨拶を返すちなみは、猫でした。ミミとしっぽがラブリー。
「……最近かまってくれないと思ったら、新しい子を可愛がってるなんて……タカシはとんだプレイボーイです」
「いやいやいや、今の状況見て言ってるか? 飼い猫に手を噛まれてるぞ?」
 猫は噛むのに飽きたのか、あむあむぺろぺろな甘噛みに移行して痛気持ちいいのですがそれは秘密の方向で。
「……プレイボーイは、去勢するというのが昔からのしきたりです」
 ちなみはクロックタワーを彷彿とさせるでっかいハサミを取り出した。どこに隠し持ってたんだと思うより早く、血の気が引く。
「……ちゅぱっ。タカシ、なでなですれ。早くなでなですれ」
 人が青くなっているというのに、猫はまるで気にせず撫でろとせがむ。いいから指舐めてて。
「……むっ。……去勢される瀬戸際だと言うのに、イチャイチャするなんて……許しがたいです」
 違う。俺じゃない、猫が撫でろと言ってるんです。
「……許しがたいので、私も撫でるべきです」
「うなっ」
 ちなみは猫を転がし、俺の膝の上に乗ってきた。
「うぬぬ……やいちなみ、そこはあちしの席な。のけ」
「……知らないです。……ずっとなでなでされてたんだから、いいじゃないですか」
「タカシはあちしの奴隷な。あちしの取るな!」
「……残念ながら、タカシは私のおもちゃです。……こんな愉快なおもちゃ、あげません」
「かーっ! あちしの取るとはいい度胸な!」
「はいはい、喧嘩しない喧嘩しない。いい子いい子ー」
 二人(匹?)を膝に乗せ、なでなでなで。
「あぅ……な、撫でられただけで機嫌直すほど、子供じゃないです」
「うな……うう、もっとなでれ。なでなですれー」
 ちなみと違い、やはり元獣として猫は簡単に転んだ。口元をむにむにさせ、もっと撫でろと目がせがんでいる。
「おおっ、おまえは可愛いなぁ。なでなで、なでなで」
「うな……ぐるぐるぐる」
 猫はノドを鳴らし、気持ち良さそうに目を細ませた。
「……うー」
 そうして猫を撫でていると、ちなみが不満そうに俺を見上げながらうなった。
「おや、どうしたちなみ? おまえは撫でられたぐらいじゃ機嫌直さない大人だろ?」
「……タカシはいじわるです。ずるいです。卑怯です」
「全くもってその通り。わはははは!」
「……ううっ。……私は、まだ子供だったみたいです。……だから、その、……なでなでを」
 そう言って、ちなみは恥ずかしげに顔を伏せた。
「……はぁ。まったく、おまえは可愛いなぁ!」
「ひゃあ!」
 ちなみを胸に抱き、なでなでなで。
「……あ、あの、……ちょっと、恥ずかしいです」
「可愛いなぁちなみは可愛いなぁ」(聞いてない)
「……あぅぅ」
「……むー。もっとあちしをかまえ、タカシ。がぶ」
 変な音がしたなぁと思ったら、猫が俺の背中に張り付き、俺の頭を食べようとしていた。
「痛い痛い痛い! 噛むな!」
「もっとかまう。もっとなでる。シャンプーはしない。ご飯はもっといいのにしろ」
「前半は了解、後半は不可」
 ちなみを少し横によけ、空いた場所に猫を乗せ、なでなで。
「……がぶ」
「ちなみまで噛むなっ! 歯食い込んでる!」
「……私にも、なでなで」
 結局、夜になっても解放してくれませんでした。腕だるいし、頭から血出てるけど、楽しかったから今日は100点!

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【ツンデレと一緒に映画鑑賞】

2010年04月13日
 日曜日。ちなみと話してると、映画でも観に行こうかという話になった。
「なに観る? コメディ? アクション?」
 映画館への道すがら、何を観るかちなみと相談する。
「……うーん、そんな気分でもない。……ホラーとか、どう? 内臓ぴゅーって」
「貴様、俺を泣かす気か! 自慢じゃないが、ホラーは大の苦手だぞ!」
「……本当に自慢にもならないことを、タカシは誇らしげに言う」
 いいじゃん、怖いんだから。
「そういや、今なんかファンタジーのやってるよな。なんつったっけ?」
「……ナルニア国物語。……ライオンさんが出てる」
「そう、そのライオンのやつ。それ観るか」
「……しかたない、そんなにタカシが観たいなら付き合ってあげる」
「いや、そんなどうしても観たいわけじゃ」
「……タカシはライオンさんがどうしても観たいと言う。……おこちゃま。ぷぷー」
 んなこと一言も言ってません。言ってませんが、どうせ話がこじれるだけだしいいか。ちなみも観たいようだし。
 しばらく歩いて映画館に着いたはいいが、ちなみが観たいと言った映画は大人気で、立ち見しなければならないようだった。
「どーする、ちなみ?」
「うう……2時間以上立ちっぱなしは、イヤ。……残念だけど、別の観よ」
「別のって……今観れるの、恋愛モノだけだぞ」
「……ん~、一緒に観る相手がタカシってのがアレだけど、……まーいっか」
 アレってどういうことか詳しく聞こうとしたが、ちなみは一人でチケット売り場に行ってしまった。
 俺もちなみに続いてチケットを買い、適当な席に座る。しばらく話してると、ブザー音が鳴り響いた。
「……この瞬間、好き」
「お、ちなみもか。なんかこう、ワクワクしてくるよな」
 場内の明かりが落ち、予告編が始まった。
「……映画って、予告編の方が面白かったりするよね」
「確かにな。色んな予告編だけ集めたDVDとか出ないかな? 俺、出たら買うぞ」
「……また変なことを。……でも、確かにちょっと欲しいかも」
 なんてことを話してるうちに予告編も終わり、本編が始まった。
 映画の中身はなんということはない、ありきたりな恋愛モノだった。
 なんというか……話の先が見えてしまって、退屈極まりない。俳優たちのオーバーアクションと相まって、あくび出そう。
 ちなみも退屈してるだろうに、と隣を見ると、ちなみさん頬を染めて恍惚としてますよ!?
「はぅぅ、いいなぁ……」
 スクリーンに映されてる甘々シーンに、ちなみは羨ましそうに息を漏らした。面白い奴。
 ……ここで手とか握ったら、驚くかな? やってみよう、えい。
「……! た、タカシ?」
 なんでもないようにスクリーンを見る。……さ、どうでる?
「……は、はぅ……ふにゅ」
 ちなみは変な響きを漏らし、うつむいてしまった。
 ……ええと。てっきり「……タカシはすぐえろいことする」とか言って振りほどくと思ったのだけど、……どうしよう。
「う……にゅ」
 いかん、ちなみが猫っぽくなってきた。手を離すべきか!?
「……にゅ♪」
 ……なんか幸せそうだし、いっか。
 結局、1時間近く手を繋いだままスクリーンを眺めてました。柔らかいとか気持ちいいとか小さい指だなとか、そんな感想しか思いつきません。
「……え、えと、面白かったね」
 近くの喫茶店で休みながらちなみと映画の感想を交わす……が、感想なんて上記したことしかありません。
「そ、そうだな。はは、ははは」
「……あ、あの、また今度、一緒に映画、観に行こっか……?」
 顔を赤く染めたまま、ちなみは恐る恐る切り出した。
「あ、そ、そだな。次こそナルニアを……」
「そ、それもいいけど、……また恋愛モノがいいな、……なんて」
「う……」
 ちなみの手の平の感触を思い出し、俺は顔が熱くなるのを感じながらコクコクと頷くのだった。

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【あしかちなみん】

2010年04月11日
 学校終了。家に帰り、自室のドアを開ける。アシカ発見。
 そっとドアを閉めると、すごい勢いでドアが開き、顔面を思い切りドアにぶつけた。
「ぐああああ! 鼻、鼻もげる!」
「……なにか一言あっても罰は当たらないと思うアシカなのです」
 痛みで廊下を転がってると、のっそりのっそりアシカがこっちにやってきた。
「それどころじゃねえ! すげー痛い!」
「……アシカです。あぅっ、あぅっ」
 痛みを訴えてるのに、ちなみときたらアシカだと言いながら俺の顔をひれでぺしぺし叩くばかり。叩くな。なんでちょっと濡れてんだ。
「……アシカとオットセイは間違いやすいので、注意が必要なのです」
「知らん。興味ない」
「……えい」
「ぐげっ」
 ちなみは器用にひれを用い、俺のノドを貫いた。
「……興味、深々?」
「……は、はい、どういうことなのか知的好奇心が訴えております」
 どんな手段を用いても自分のシナリオ通りにさせようとするちなみに、恐怖を感じないでもない。
「……ええと、アシカとオットセイは……まぁ、似たようなもんです」
「ええっ!? 人に地獄突きしておいてそんなオチ!?」
「……えい」
「ぐげっ」
 ひれが俺のノドを再び貫く。意見すると飛んでくるようだ。
「……そんなのどうだっていいのです。……ほら、ピクピクしてないで話聞いてください」
 ちなみはピクピクしてる俺の脚を持ち、部屋に連れ込んだ。
「うう……ちなみが怖い」
「……アシカは、ハーレムを形成します。……人間がそれを形成すると去勢されるという噂です」
「お、俺は関係ないよね?」
 にやりと暗い笑みを浮かべるちなみがもう怖すぎる。
「……アシカちなみとしては、ハーレム反対です。……やはり、一対一が基本だと思うのです」
「ま、まったくです!」
「……だというのに、目の前のタカシとかいうオスは他の子にデレデレデレデレする体たらく。……去勢されても仕方ないです」
「いいい異議あり! デレデレなんてしてません! notデレデレ!」
「……今日、日直の子を手伝ってました。……なんだか、楽しそうに笑ってました」
 ……あー、アレか。
「それは別にデレデレとかじゃなくて、単に日直の片割れが休んでたから、手伝っただけだぞ?」
「……誰にでも優しいのは、嫌です。……私だけ優しくするべきです」
 そう言って、ちなみは俺の胸にぽふりと飛び込んだ。……うーん、ぬるぬる。
「や、でも目の前に困ってる奴がいて、自分が何かできるなら助けるだろ?」
「……タカシは、なんだかもやもやして困ってる私を助けてはくれないのですか?」
「うん」
「…………」
 ちなみは泣きそうな目で俺を見た。
「冗談だよ、わがまま娘」
 アシカをぎゅっと抱きしめる。……うーん、やっぱりぬるぬる。
「うう……タカシのくせに私をいじめるなんて、十年早いです」
 そう言いながら、ちなみは俺の胸に顔をぐりぐり押し付けた。頭を優しくなでると、ちなみはうっとりしたように息を漏らした。
「はふぅ……うう、タカシになでられると、困ってしまうくらい気持ちいいです」
「んじゃ止めようか?」
「……うう、やっぱりタカシはいじわるです。……もっと、なでてください」
「りょーかい、アシカ姫」
 ちなみの頭をなでながら、髪を軽く手で梳く。ちなみの髪はサラサラで、とても気持ちよかった。
「あぅぅ……おかしいです、最初は私が主導権を握っていたはずなのに……なんだか、タカシのいいようにされてるようです」
「嫌か?」
「嫌じゃない、……ということにしておきます」
 そう言って、ちなみは俺に頭を預けるのだった。

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【ツンデレと一緒にいるところを目撃されたら】

2010年04月10日
 先日、ちなみと恋仲になった。その記念に、二人きりで映画に行きたいと言う。
 断る理由はないので行こうとするのだが、休日前になるとちなみが泊まりに来て、翌日もイチャイチャするというループを繰り返し、とうとう映画最終日になってしまった。
「今日こそ映画に行くぞ!」
「……むー、眠い。……そんなことより、イチャイチャしよ?」
「む、ぐ……の、NO! 今日こそ映画!」
 最大限の理性を駆使し、甘い誘惑を振り切る。
「……うう、イチャイチャしたいのに」
「我慢! 映画今日までなんだから、今日逃すともう見れないぞ?」
「……ビデオになるの待つ、とか」
「記念に観に行きたい、って言ったろーが! はいはい、準備準備!」
「……うー」
 不満げにうなりながらも、ちなみはもたもたとパジャマを脱ぎ始めた。
「男の前で着替えないッ!」
「……タカシの前だし、別にいい」
 下着姿のまま、こともなげにちなみは言った。
「よくないの! 恥じらいは忘れずに!」
「……ちゅーする仲だと言うのに、タカシはまだまだ照れ屋さんだ」
「廊下で待ってるから、着替え終わったら言うように!」
「……顔、真っ赤」
 聞こえないフリして、廊下に飛び出す。全く、なんというか、その……困る。
「……着替え、終わった」
 程なく、ちなみがドアを半分だけ開けて顔を見せた。
「よし、じゃ行くか」
「……タカシ、パジャマだけど、いいの?」
「……少しだけ待っててください」
 急いで着替え、ドアの前で待ってるちなみに声をかける。
「じゃ、行くか」
「……ご飯は?」
「まだ映画始まるまで時間あるし、どっかで食っていこう」
 ちなみと一緒に家を出る。寒いものの、雲一つない気持ちのいい天気だった。
「いい天気だ。ちっと寒いけど」
「……うう、ちっとじゃない。……すごい寒い」
 ちなみはぶるりと震え、俺の上着ポケットに手を入れた。
「……ほら、タカシもポケットに手入れる」
 言われた通り手を入れると、ポケットの中でちなみが手を握ってきた。
「……ん、これで心も体もポカポカ」
 ちなみはとても嬉しそうに顔を綻ばせた。思わずこっちまでにやけてしまう。
「……変な顔」
「失礼な、稀代の美男子を捕まえて」
「……おかしい、タカシの家に鏡あったと思うんだけど」
 さりげなく傷つきながら歩いてると、偶然かなみに会った。気づいた瞬間、ちなみは素早くポケットから手を抜いてしまった。
「ありゃ、タカシにちなみじゃない。こんな朝っぱらから、何やってんの?」
「ああ、ちょっとちなみと映がぁッ!」
 突然、ちなみが俺の尻を捻りあげた。
「ど、どしたの? いきなり叫んだりして」
「い、いや、ちょっと……」
「……タカシがいきなり叫んだりするのは、いつものこと。……いつも通り、変」
 ちなみは冷淡に俺を見た。学校で俺を見る時の、いつもの目だ。
「へ、変じゃない! そうだよな、かなみ?」
「はいはい。で、ちなみ。二人でどこ行くの?」
「……そこで偶然会っただけ。……タカシと一緒なんて、考えられない」
「ええっ!?」
 聞き返さずにはいられないような台詞がちなみの口から飛び出した。
「なんでアンタが驚いてんのよ……。ま、学校でタカシの相手するだけでも疲れるのに、休日まで相手するわけないか」
「……その通り。……たぶん、タカシはこの後、一人でえっちな本を買いに行くと見た」
「行かない! 俺は映ぐぁッ!」
 また尻をつねられた。
「……何か?」
「な、なんでもないです」
 ちなみの冷たい視線に貫かれ、何も言えない。うぅ……怖い。
「……あのさ、気のせいかもしれないんだけど、なんか二人して隠してない?」
「……気のせい。だいたい、タカシと私の間に秘密なんてあるはずもない」
「それもそっか。ごめんね、ちなみ」
「……気にしてない」
 色々言いたいけど、また尻の痛みを味わうのは嫌なので我慢。
「んじゃね、二人とも。あたし、コンビニ行く途中だから」
「……ん。……ばいばい、また明日」
 かなみは手を振って俺たちと別れた。姿が見えなくなった瞬間、ちなみの手が俺のポケットの中に入ってきた。
「……ちょっと、びっくりした。……まさか、かなみちんと会うなんて」
「近所に住んでるみたいだからな。けど、俺はちなみの豹変ぶりの方が驚いた。……ひょっとして、本当は俺のこと嫌いか?」
「そ、そんなわけない! そ、その、一緒に映画行くとか言ったら、付き合ってるかなって思われるかもしれないし……」
「別にいいじゃん、事実なんだし」
「……そうだけど、なんか、恥ずかしい」
「んー……まぁ、確かに俺は自慢できるような彼氏じゃないからな」
「ち、違う! そうじゃなくて、その、ええとええと……うう、なんて言ったらいいんだろ。とにかく、タカシは自慢できる彼氏。……それは、胸張って言える」
「んじゃ、かなみに言ってもよかったんでは?」
「……うう、そうなんだけど、……うう」
 ま、いいか。嫌われてないなら、それでいい。
「んじゃ、ぼちぼち飯食いに行くか」
「あ……うん。……ごめんね」
「何を謝ってのやら。いいから飯食いに行くぞ」
「……ん、分かった。……優しいね、タカシ」
 小さく笑って、ちなみはポケットの中で俺の手をぎゅっと握った。
「何の話だか」
 うそぶきながら、俺もポケットの中でちなみの手を握り返した。

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【休日は昼まで寝てるツンデレ】

2010年04月10日
 今日は全国的に休みということなのでちなみの家に遊びに来たのに、おばさんの話によるとまだ寝てるらしい。
「襲っちゃってもいいわよ。いっちゃえ既成事実♪」
「いきません」
 いつも思うが、ちなみのおばさん頭おかしい。人差し指と中指の間に親指挟むな。どんな親だ。
 とにかく、寝てるのなら帰ろうかと思ったらおばさんが「まぁまぁまぁ」とか言いながら俺をちなみの部屋に押し込んだ。
「今日安全日みたいだし、中でも大丈夫だいじょうぶ♪」
 そんなことを言いながら出て行くおばさんは、やっぱり頭おかしい。
 ため息を一つ吐いて、未だベッドで眠るちなみを見る。
「……幸せそうな顔して。何の夢見てんだか」
 ベッドのそばに座り、見るとはなしにちなみの顔を眺める。口がむにむにしてて、ちょっと可愛い。
「……む、むー……た、タカシ……」
 むにむにした部分から、よく聞く名が聞こえてきた。
「ん、起きたか? 寝言か? 夢の中で俺が八面六臂の活躍をしてるのか?」
「……おしっこ漏らしたの? ……くすくす、さすがタカシ。……無様さではNo.1ね」
 ある意味八面六臂な活躍をしていた。ていうか、ちなみの中では俺の認識そんなか。
 しかし夢の中の話とはいえ、腹立たしい。いたづらしてやれ。
 ちなみのほっぺを軽くつまみ、ゆっくり引っ張る。
「……む、むにぃ~」
 すべすべほにゃほにゃなちなみのほっぺは、つきたての餅のように柔らかく、よく伸びた。
「わはは、面白い顔」
「……む、むぅ……タカシほどじゃない……」
 寝言のカウンターを喰らい、酷く傷ついた。
「……でも、そんな顔も……」
 そんな顔も? なんだ?
「ん、んぅ……あ、タカシだ」
 続きを聞こうと顔を寄せてると、ちなみは目を小さく開けた。そして、突然俺に抱きついてきた。
「ん~♪」
 そして、嬉しそうに顔をぐりぐり胸にこすりつけてくるではないか。
「だ、だだ、大胆ですね、ちなみさんってば!」
「ん~……ん? ……ええと」
 俺をぼんやりとした眼で見上げ、熟考すること数秒、ちなみの顔が赤くなったと思ったら凄い勢いで後ろに飛んだ。
「な、なんでタカシが!?」
「遊びに来ました。いやしかし、ちなみがこんな大胆とは……お兄さんびっくりだよ」
「ちっ、違う! ……ちょ、ちょっと、間違っただけ」
「間違う? 何と?」
「……い、いちいち聞き返さない。……ねじ切るよ」
「一切聞きません! すいませんでした!」
 男の尊厳を人質にとられては、何も出来ない。
「……うう、一生の不覚。……さっきの、忘れるように」
「さっきのというと、ちなみが突然抱きついてきて嬉しそうに『ん~♪』と言いながら顔を擦りつけたことか?」
 ちなみの顔がこっちが恥ずかしくなるくらい赤くなった。
「い、いちいち言わない! ……と、とにかく、そのこと。他言無用」
「ん~、でもな~。ちなみの可愛いところ、みんなに教えたいしな~」
「……ペンチ、どこあったかな」
「一切言いません! 箝口令をしきます! マジすいませんでした!」
 このお嬢さんは男のシンボルを簡単に千切ろうとするので怖すぎる。
「……分かれば、いい。まったく、タカシは……」
「いやけど、可愛かったな、さっきのちなみ。……な、言わないからもっかいやって」
「ぜ、絶対いや! ……何を調子に乗ってるかな、この人は」
 恥ずかしそうにする仕草は大変目に嬉しいですが、ほっぺ引っ張らないで。痛い痛い。
「あれは、夢と勘違いしたのか?」
「ち、違う! 夢とか、意味わかんないし」
 顔が赤くなるのと比例し、ほっぺをつねる力がさらに増す。このままでは千切れる。
「ごめん千切れるからどうか手を離して痛すぎるのですあと3秒で泣くぞ!?」
「……もう、変なこと言わない?」
「たぶんきっと恐らくは! 未来のことは確証がないので自信ないですが、それでも最大限の努力はする所存です!」
「……じゃあ、許す。……夢とか、見てないからね。……ホントだからね」
 ほっぺから手を放しながらも、ちなみは恥ずかしそうにぶちぶち文句を言っていた。

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