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2024年11月23日
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【桃太郎タカシと鬼ツンデレ】

2010年03月20日
 今日の俺は桃太郎! 桃の太郎なので鬼を退治せねばならない宿命! というわけで舟を漕ぎ漕ぎ鬼ヶ島に来た俺! もう漕ぎ疲れたので正直帰りたい!
「それでも頑張る桃太郎! だがしかし、道中小腹が空き、ついきび団子を食ってしまい旅のお供が誰もいないという体たらく。どうするどうなる、俺!」
 とにかく、どうにか鬼に見つからないよう隠れ家まで行き、財宝を奪って逃げよう。ただの泥棒のような気もするが英雄なので問題なし! let's スネークスネーク!
「あ、団子だ」
 丁寧に『罠ではありません』と張り紙がしてあったので、食べた。
 しびれた。罠だった。捕まった。縄でぐるぐる巻きにされた。
「まさか、こんなのに引っかかる奴がいるとは……」
 鬼は女の子でした。だからと言って怒りを治めるつもりは毛頭ありません!
「ずるい! 卑怯! 罠ではありませんって書いてたのに! でも美味しかった! ごちそうさま!」
「感謝すんなっ! 罠だぞ、罠! もっと怒れ!」
 なんか知らんが逆に怒られた。よし、怒ってみよう。
「許さねえ……絶対殺す」
「ひぃッ」
 顔を伏せ、震える声で脅したら短い悲鳴をあげられた。
「怖かった?」
「こ、怖くない、怖くなんかないぞっ!」
 そんな半泣きで言われても。
「ごめん、冗談。団子でも食うか? ちょっとしびれるけど……あ、全部食っちゃったんだ」
「うるさいっ! 貴様は処刑だ、処刑! 鬼だから情に訴えても無駄だぞ! 絶対処刑だ!」
「そんなにしびれ団子が食いたかったのか……うまいけど、アレしびれるぞ?」
「ちーがーうっ! 団子なんて食べたくないっ! 人の話聞けっ!」
「人じゃなくて、鬼じゃん」
「う、うるさいっ! 揚げ足取るな、ばかっ! おまえ絶対死刑死刑死刑!」
「死刑の三乗……それはつまり、超死刑と? どんな刑? 超とついてるんだ、さぞすごい刑だろうなぁ?」
「え、えと……」
「いやはや、鬼ともあろう方が、何も考えてないとは……まさか、ねぇ?」
「かっ、考えてたぞ? えっと、えっとえっと……」
「まだー? 早く早くー」
「……ばーんってなってどかーんってなってちゅどーんってなる刑!」
「…………」
「な、なんだよっ! ホントだぞ、どかーんってなるぞ! ばかにすんなあ!」
「あー、はいはい。なんか成敗する気失せた。帰る」
「えっ?」
 縛られていた縄を引き千切り、軽く腕を回す。問題なし。
「えええええっ!? そんな簡単に千切れるの!?」
「ほら、一応桃太郎だし。きび団子全部一人で食ったし。団子ぱぅわー+桃太郎ぱぅわーで今なら奈良の大仏も片手で持ち上げられそうな予感」
 この時代に奈良の大仏はまだなかったような気はするが、それくらい強まったと言いたいのです!
「じゃ、そゆことで」
「あ……か、帰るのか? 成敗しないのか? ほら、私鬼だぞ? がおーがおー」
「鬼の鳴き声でがおがお言うような奴は成敗しない」
「……だって、鬼の鳴き声知らないもん」
 鬼はつまらなさそうに足元の小石を蹴った。
「ところで、他の鬼は? 見たところおまえ一人みたいだけど」
「いっ、いるぞ? 私には100万人の部下がいて、お前の命を虎視眈々と……」
「ホントは?」
「……私ひとり」
「……はぁ。んじゃ、帰る」
「あっ……」
「……また明日、成敗しにくる」
「えっ?」
「だから、あんま悲しそうな顔すんな」
「しっ、してない! するわけない! あー嫌だなー明日もお前の顔見なきゃいけないなんてー。……えへへへっ」
 ……ちょっとは笑顔隠せ、馬鹿。
「じゃな、また明日」
「お、おー! 明日な、ももたろー! 明日はお前倒すからなー!」
 満開の笑顔で手を振る鬼に見送られ、舟を漕ぐ桃太郎な俺でした。

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【ちゅんでれが「かたたたきけん」をくれたようです】

2010年03月19日
「父、これをやろう」
 仕事に飽きたので気分転換に家中の掃除をしていると、小学校から帰ってきた娘が紙切れを差し出した。
「娘よ、これは伝聞でしか聞いたことのない品、『かたたたたたたたきけん』ではないか」
「父、“た”が多すぎる。父は私がまだ漢字を書けない事を逆手に取り、巧みに嫌がらせを差し込んでくる。きっとここから性的嫌がらせに移行するに違いない。ああなんという父の元に生まれてきてしまったのだろうか」
 後半部分だけ周りの家々に届くよう声を張って叫ぶ娘の口を慌てて塞ぎ、半泣きで窓を閉める。
「は、はは、本当に冗談が好きだな、娘よ」
「別に冗談のつもりはないが……それより父、早速使ってはどうだろうか。いつも遊んでばかりいるのでこっていないとは思うが、軟体動物よりはこっているだろう」
「娘よ、父は遊んでばかりいるわけではないぞ。ただ、仕事が非常に面倒でしんどいので、その気分転換に遊んだりして」
「父、早くしろ。私も暇ではないのだ」
 怒られたので券を渡そうとして、思い止まる。こんな何でもない時に使っていいものだろうか。それより、もっと重大なイベントの際……そう、娘が結婚する時にでも……結婚、娘もいつかするのだろうか。
「ち、父!? 何を泣いている!?」
「ん? あ、ああ」
 娘が結婚する光景を想像したら、もう泣けてきた。
「大丈夫か? お腹でも痛いのか?」
「あ、いや、……まあ、そんなところだ」
 さすがに想像で泣けたとは言えず、適当に言葉を濁して涙を拭う。
「痛いの痛いのとんでけー、痛いの痛いのとんでけー」
 すると面白いことになった。
「父、飛んだか? 痛いの飛んだか?」
 俺の腹を何度もさすり、心配そうに声をかける娘に胸キュン。
「いや、胸キュンじゃないだろ」
「父?」
「あ、いや……うむ、父は少々疲れているのかもしれない。少し横になる」
「大丈夫か? お腹痛いの飛んだか? ……そうだ、ゆたんぽを持ってくる! ちょっと待ってろ、父!」
 別に腹は痛くないしゆたんぽなんて暑いだけだと思ったが、娘の珍しい善意なのでありがたく受け取ることにする。
「そういえば、この券どうするか……」
 考えるとまた結婚に行き着いて泣いてしまうので、ひとまず保留としよう。
「父、持ってきたうあっ」
 ゆたんぽを持ってきた娘が足元の雑誌につまずき、転んで父である俺の布団の上に乗った。そして飛んだゆたんぽが俺の顔面に突撃して鼻が痛い。
「ち、父!? なにを……」
 あまりの痛みに布団の上の物体をがっしり抱きしめる。物体の顔が赤らんでいくが、鼻が痛くてあまり言及できないのが辛いところ。
「……ち、父は娘である私を性欲の対象で見る。なんという星の元に生まれてきたのだろうか」
「娘よ、いま父は性欲より痛みの方が強い。飛んできたゆたんぽが鼻に激突したため、鼻が痛い。別に娘が愛しくて抱きしめたわけではない」
「……わ、分かっている! ふん、そんなことお見通しだ。まったく、父は浅はかで困る。こんなことで勝ち誇ってどうする。莫迦め。えいえい」
 別段勝ち誇ってもいないのだが、苛立たしげに俺の頬を引っ張る娘を見てると、どうでもいいかと思えてくる。
「娘よ、父は鼻と頬が同時に痛いという稀有な経験をしているが、できれば鼻だけの痛みで止まりたいのだが、どうだろう」
「うるさい黙れ。寝てろ莫迦」
 不満そうに俺の頬をぎうぎう引っ張る娘だった。

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【勝ち気にスカートを履かせて見ました】

2010年03月17日
 先日、勝美とかいう娘っ子と仲良くなりました。だがこの娘、私立ということを逆手に取り、学校でさえズボンばかりはいてるくるという始末。
「ええい、スカートをはけ、スカートを! パンツが見れないではないか! よし、こうなっては俺自らズボンを脱がし、スカートを!」
 などと優しく囁いてズボンをずらそうとしてみたものの、どういうことか蹴られる始末。不条理な世の中だと思わずにはいられないものでした。
「……と、悔し涙を流したのも昨日まで。今日がおまえの……いやさ、おまえのズボンの命日だ!」
「また訳のわかんねーことを……」
 勝美は机の上に両足を乗せ、イスの背もたれに体を預けたままげんなりした様子で言った。
「ええと……どこだったかな……あ、あった。せーの、うひゃあ」
 ポケットから取り出したソースを、さりげない動作で勝美のズボンにつける。
「てっ、テメェ、いきなり何しやがる!」
「ああこりゃいかんなんということだ俺の不注意で勝美のズボンにしみが。ああ幸いにして俺は代えを持ってるのでそれを使えほれ休み時間終わるぞ」
「ちょ、テメェ何を棒読みで! あっ、こら押すな!」
 勝美に無理矢理俺のバッグを持たせ、教室を追い出す。……ううん、無理があったか?
「いや、俺のアカデミー級の演技に騙せない奴なんていない。大丈夫さ!」
「別府くん、今の騙そうとしたの……? たぶん、小学生でも無理だよ」
 隣からなんか聞こえるけど聞こえない。
 で、待つことしばし。教室後ろのドアが静かに開いた。
「……うぅ」
 果たして、そこに夢にまで見たスカート姿の勝美がいた。
「……ベネ(良し)。ディ・モールト・ベネ(非常に良し)!」
「う、うっせえ! べねじゃねえよ! なんだよこのスカート! み、短えじゃねえか!」
 はき慣れないのか、勝美は真っ赤な顔で必死にスカートの裾を押さえていた。
「いや、他の子と変わらんと思うが……短かったか?」
 スカートを調べようと顔を近づけると、顔面を蹴られた。
「よよ、寄んな! 遠くから見ろ! いや、見んな!」
「見るな、ということは……脱がせろと!? よし、任せろ!」
「なにをどうなったらそんな結論になんだよっ! 笑うな来るな近寄んな!」
「痛い痛い蹴るな蹴る……蹴る、ケルルルル!!?」
「うわあっ!?」
 勝美に蹴られまくってると、大変なことに気づいてしまった。
「……お、おい、大丈夫か? ……変なとこ蹴っちまったかなあ。おーい、狂ったか?」
「なんと、蹴る際に足をあげ、そうするとパンツが全開──いわゆる“パンモロ”になるではないか!」
「んなっ!?」
「普段ズボンをはいているせいか、足技を多用することがあだになったのだろう。だが、俺にとっては好都合! よし、このことに勝美が気づかないうちにパンツをこの目に焼き付け……勝美?」
 頭の中でプランを練っていたら、勝美がスカートの裾を押さえ、真っ赤な顔で俺を睨んでて。
「な、なにをそんな怒ってるのかにゃー? そして、怒ってるなら俺を蹴るべきかと」
「蹴るかっ! な、なんでオレのパンツ見ようとすんだよっ!」
「何ィッ!? な、なぜ俺の計画がばれて!?」
「自分で言っといて何故もクソもねーよ、この馬鹿!」
「そ、そんなはずは……そこのキミ、俺がそんな間抜けなことするわけないよね?」
 近くで俺たちの様子を眺めていた女子に尋ねてみる。
「え、えっと……別府くんが考えてたこと、全部口に出してたよ?」
「がびーん」
 自分の間抜けっぷりに、多大なるショックを受ける。
「がびーんって実際に言う人、始めて見た……」
 女子にも馬鹿にされ、ショック追加。
「うう……俺はただ、勝美のスカート姿が見たかっただけなのに、どうしてこんな屈辱を……」
「何がオレのスカート姿を見たかっただけ、だ! ぱ、パンツ見ようとしてたじゃねーか!」
「いや、見ようとしたんじゃなくて、見たよ。飾り気のない無地の薄い水色のパンツが、今もこの胸に」
「……そうか。……記憶を失う覚悟は、OK?」
 指を鳴らしながら、勝美は暗い笑みを浮かべた。死ぬのは嫌なので全力で逃げる。
「待ちやがれ、この変態野郎ーっ!」
「これから先、ずっとスカートはいてくれるなら待つ」
「こっ、こんなヒラヒラしたのはくわけねーだろ! いいから待ちやがれーっ!」
 ここでフェードアウトするとよくある場面になるのだけど、そうはならず、捕まりました。
「痛い痛い殴るな殴るくらいなら蹴れ蹴ってもっとパンツを!」
「う、うっせー! パンツパンツ言うな、この馬鹿!」
 べこんぼこんにされましたが、一度も蹴られませんでした。無念。

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【みことに憧れる百合の後輩と共同戦線を張ったら】

2010年03月12日
 どうにかしてみことと仲良くしたいのだけど、うまくいかない。
「うう……お姉さま、ちっとも私に振り向いてくれません。こんなに好きなのに、どうしてなの?」
 そして、後輩であり、百合属性を保持している百合子も俺と同じ悩みを持っているようだ。一人より二人、共に頑張ってみよう。
「百合子、俺と共同戦線を張らないか?」
「あなたみたいな人と一緒になんていたくありませんっ! だいたい、あなたと私はライバルなんです! そんな人と馴れ合うつもりはないですっ!」 
「いや、俺も馴れ合うつもりは毛頭ない。そうじゃなくて、お互いに情報を交換するんだ。みことの好みとか知ったら、仲良くなりやすいんじゃないか?」
「いいです。結構です。私ひとりでやります」
「……そうか。そこまで言うなら、俺はもう何も言わん」
「それがいいです。じゃ、私はお姉さまを探しに……」
「が、断るとお前で色々想像……いや、妄想する」
「え?」
「ふむ……綺麗なピンク色か。素敵だね」
 百合子の胸元をねちっこく見ながらつぶやく。
「なななっ、何を想像してるですかっ!?」
 百合子は顔を真っ赤にしながら胸元を隠した。
「そりゃもちろん、ちく」
「分かりましたっ、分かりましたからやめてくださいっ!」
 誠実なる説得の甲斐あって、百合子と共同戦線を張ることと相成りました。
「じゃ、協議開始ー。まずおまえの知ってるみこと情報を」
 近所のマックに移動し、相談開始。
「えっとですねー、お姉さまは凛々しくて、でも時々可愛らしいんです。あとあと、すっごく美人で」
「や、そういうのじゃなくて、好きな食い物とか、趣味とか」
「そういうのは、クラスメイトであるせんぱいの方が詳しいんじゃないですか?」
「近づくと警戒されるので、全然分からない」
「せんぱい使えなさすぎです! あーあ、これじゃ共同作戦の意味ないですよぅ。……あーっ、私のジュース取った!」
 失礼な後輩からジュースを失敬する。
「先輩を敬わない後輩に対する罰だ」
「うう、年功序列なんて大嫌いです……」
「ずずず……あ、これって間接キスだな」
「うっきゃーーーーーーーっ! 嫌ですやめてください今すぐストローから口を離してくださいっ!」
「んな嫌がらなくても……」
「いいから早くって言ってるのになんで飲み続けてるですか!?」
「オレンヂジュースは嫌いじゃないからな。ずずずーっ」
「そういう状況じゃないことに早く気づいてくださいっ!」
「お前はリアクションが大きいから、一緒にいると楽しいな」
「私はせんぱいといると、すっごく疲れますぅぅぅ……」
「んなぐったりすんな。ほれ、これ飲め」
「あ、ありがとうございます」
 飲みかけのオレンヂジュースを渡すと、百合子は何も考えずにストローを口を含んだ。
「ずずずーっ」
「そして再び間接キスの図式、完成!」
「ぶぶぶーっ!」
 盛大にオレンヂ汁をぶっかけられた。
「げほっげほっ……な、なにをするですか! うっかりしてて気づきませんでしたよ! 気づいてたなら先に言ってください!」
「……その前に何か言うことは?」
「え? ……せんぱい、なんでそんなビショビショなんですか?」
「お前のせいだ、このたわけーーーーーっ!」
「ご、ごめんなさいぃぃぃぃっ!」
 そんなこんなで、騒いだだけで終わった。こんなのと共同戦線はったのは、早計だったかもしれない。
「……せんぱい、まだ怒ってるですか?」
 店から出た後も、百合子は俺の様子をうかがっていた。
「あーもー怒ってないから早く帰りなさい。あんまり遅くなると御母堂様が心配するぞ」
「うう、ごめんなさいです。……ところで、なんでそんなお母さんの所だけかしこまった言い方なんですか?」
「その方がかっこいいからだ」
「ほえー……せんぱいって、やっぱり変な人なんですね」
「なんだとコンチクショウ!」
「あははっ。それじゃせんぱい、また明日ですー。明日こそ、ちゃんとお姉さまの情報探ってきてくださいよー」
 手を振って、百合子は帰っていった。
 ……んー、早計だったかもしれないけど、面白いし、いっか。

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【ちゅんでれがぬれたら】

2010年03月11日
 朝は雲ひとつない晴天だったというのに、昼過ぎから急に曇ってきて、夕方には雨が降っていた。降水確率は20%だというので、娘に傘を持たせていない。
「嗚呼、今頃娘は雨に打たれているに違いない。ビショビショの体で帰宅しようとしているに違いない。秘書の秘所はビショビショ、なんちて。うひゃひゃ」
 ビショビショと言ったらこのダジャレを言わなくてはならないので言ったが、ちっとも面白くない。
「父。面白くない上、下ネタとは最低だな」
「言われずとも分かっている。これは義務ゆえ、仕方のないこと……ああ、帰ったか娘よ」
 回転座椅子に底力を発揮させてくるりと回転すると、そこに髪やらランドセルやらから雫を滴らせる娘がいた。
 濡れた黒髪とまつ毛、そして肌にぴたりと張り付いた服がとても小学生と思えぬ色気をかもし出しており、父ならずともドッキドキ。……いや、父がドキドキするのは非常にマズイと言えよう。
「……父? ……む、この視線は……いやらしい方の目つきだ」
 ばれた。娘はわざとらしく自分の体を抱きしめた。
「ああ父は娘である私を性欲の対象として見る。なんという星の下に生まれてきてしまったのだろうか」
「娘よ、いちいち大声で、それも窓を開け外に向かって叫ぶのはやめてほしい。近頃、父が近所の方々にどんな目で見られているか知っているだろうか」
 全速で窓を閉めつつ、涙目になるのを止められないまま娘に言う。
「ふん。娘である私が父のことで知らぬことなどない」
 娘は腕を組み、胸を逸らして口角を吊り上げた。おおいばりだ。いばるな。
「とにかく、やめてください」
「ふん、つまらんな。……さて、このまま父の相手をしていても仕方がない。濡れてしまったので、風呂に入ってくるとしよう。覗くなよ」
 風呂か。風呂はいい。裸と裸の付き合い。風呂はいわば、父と娘のコミュニケーション、略してコミュョの場。そんなコミュョの場を持つことにしよう。

 娘が風呂場に向かってから数分後。できるだけ足音を忍ばせ、物音を立てないよう脱衣場にて服を脱ぎ、そして風呂場への扉を開けた。
「っ!? ちちちちち、父っ!?」
 案の定、体を洗っていた娘が目を白黒させて父である俺を見た。
「娘よ。覗くなと言われたので、一緒に風呂に入る方向で攻めてみたのだが、どうだろう」
「ばっ、ばかっ、論外に決まっているだろう! 入ってくるな、ばかっ! ばか父!」
 娘は後ろを向き、しゃがみ込んだ。体を隠そうとしたのだろうが、後ろを向いた結果ぷりんとした尻を父である俺の前にさらすことになったので視姦開始。
「ばかばか、見るな、お尻を見るなっ!」
「じゃあ父はどこを見ればいいのだろうか。父だけに乳を見ろと言うのか。む、ナイスジョーク。娘よ、父を褒めるがいい。そして、その薄い胸を父に晒すがいい」
「薄いは余計だ、ばか父っ! いいから出てけっ!」
 怒られたけど、湯船に浸かる。
「出てけと言ったのに、なんでお風呂に入るんだ!?」
「父は娘とコミュョをとりたいのだ。決して一緒に風呂に入りたいだけではないぞ。さらに、一緒に入った上で色々といやらしいことをしたいわけではない」
「うう……父が本格的にエロくなってきた。今日で膜ともお別れか」
「そこまでするほど鬼畜じゃないっ! 女の子が膜とか言うなっ! まったく、父をなんだと思っているか」
「……なんだ、しないのか」
「娘は意外にも残念そうだった。本当は父とエッチがしたいのだろうかと思ったが、それを言葉にするのは野暮なので父の心の中に秘めておこうと思った」
「言葉にしているぞっ!?」
「ああ、すまない。わざとなんだ」
「ああ、わざとか……わざと!?」
「娘よ、お風呂では静かにしなさい」
「なぜ私が怒られているのだ……」
 悲しそうな娘だった。
「とにかく、娘よ。父はエッチな気持ちなぞ欠片もないので、一緒に風呂に入るがいい」
「…………」
 とても不審な目で見られた。
「いや、無論イチャイチャしたりぎゅーっとしたりチュッチュしたい気持ちは潤沢に、それこそ売るほどあるが、それを表に出すほど父も愚かではない。ふふ、褒めていいぞ?」
「だから、それを言って表に出したらダメだろうが! ええい、本当に隠す気があるのか!」
「少なくとも、今の娘の格好以上にはあると自負している」
「格好……あっ!」
 興奮のあまり立ち上がっていた娘は慌ててしゃがみ込み、俺をにらんだ。
「よく漫画等で幼い少女の股間をすじと表記するが、なるほど確かにすじと表するに値する縦の線だと父は思った」
「感想を言うなぁっ!」
 物凄く怒られた。
「では、感想は言わないので一緒に風呂に入ろう」
「嫌だ! 父は私にいやらしいことをするに決まっている。娘であるということも気にせず、いやむしろ娘だからこそ興奮して、言葉にするのもためらわれるような行為をするに違いない」
 まったく信頼されていなかった。
「はぁ……残念だ。父はただ、娘と一緒に風呂に入りたかっただけなのだが……しょうがない、父はもう出るとしよう」
「…………」
「出ようっと。さあ出る出る出る出るついに出る。……出るぞ?」
「早くしろ」
「そこは涙ながらに止めるところだろうが! ええい、我が娘ながら空気が読めなくて困る!」
「止めるかっ! まったく、父は脳に蛆がわいているに違いない」
「し、失礼な! いかに愛しい娘とはいえ、許せぬことはある! その程度の悪口なら許せるが!」
「だったらいいではないか。まったく、相も変わらず父の脳は哀れだ」
「ところで娘よ」
「なんだ、父?」
「またしてもすじが父の目に映っているが、いいのだろうか。あと、ピンク色な乳首も」
「っ!! 見るな見るな見るなっ、このばか父ーっ!」
 一緒に風呂には入れなかったが、色々見れたので大満足。後で物凄く怒られたけど。

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