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2024年11月23日
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【職員室で騒動を起こしている所をツンデレに見られたら】
2010年03月31日
ここ数日の猛暑で、死にそう。クーラーもこの間壊れちゃって温風しか出ないし、辛い。
「う~あ~う~。みんな~、おはよー。先生だよーん。……出席取るるー」
「先生、だらけ過ぎです」
教室に入ると、双海に注意された。
「だって暑いんだもん」
「暑いんだもん、じゃないです! 先生なんですから、もっとしっかりしてください!」
「むー……分かった。しっかし、本当最近暑いよな。みんな、暑いし授業さぼってプール行かない? 先生泳ぐの得意だぞー?」
「教師が率先してサボらせないでくださいっ!」
叱られたので授業する。ぽやぽやしてたらチャイムが鳴った。
「やたっ、終わった!」
「先生がそういうこと言わないでくださいっ!」
「ご、ごめんなさい」
やることなすこと全部怒られる。
「……ったく。はい、起立、礼」
双海の号令で授業終了。職員室に戻り、机に倒れこむ。
「あちー……」
「あははっ、暑そうですね」
甲高い声に振り向くと、ここの生徒より幼く見える大谷先生がいた。
「こうも暑くちゃ、授業に集中できなくって。大谷先生、なんかいい方法ない?」
「パンツ一丁で授業したら涼しいですよ? ……なーんちゃっ」
「それはいい案だ!」
早速上下脱いでパンツ一丁になる。うむ、涼しくていい感じ。
「ひゃああああ! せ、先生!?」
「涼しくていいですよ。ほら、大谷先生も!」
「わ、私はいーですよぉ!」
「遠慮は無用! さあ、全部俺に任せて!」
「や、ヤダヤダ! ふえーーーーん!」
「失礼します。先生、ここ……って、何やってんですか!」
職員室にやって来た双海が駆け寄ってきて、大谷先生を脱がそうとしてる俺を張り倒した。
「いてて……い、いや俺は善意で」
「善意で、じゃないです! 大谷先生泣いてるじゃないですか!」
「ふえーん、奈々ちゃーんっ」
情けない声で双海に抱きつく大谷先生。ほんとに教師か、この人。
「ああよしよし、泣かないでください先生」
「俺は泣いてないぞ。大人だからな」
「先生じゃなくて、大谷先生ですっ! 馬鹿な方の先生も服着てください、服っ!」
「呼んでるぞ、馬鹿な方の先生」
「え、ワシ?」
「違うっ! パンツ一丁の方っ!」
通りかかった校長に呼びかけると、双海に叱られた。
「よかったー、ワシじゃなかったー」
「うっさい、ハゲ」
俺だけ叱られて悔しかったので、校長のつるりと禿げ上がった頭を見ながら言ってやる。
「校長先生になんて口きいてんのよっ! 謝りなさいっ!」
「ハゲの魅力に気づかず申し訳ありませんでした」
「そういうことじゃなくてっ! ……ああもう、ごめんなさい校長先生。この馬鹿に後でよーっく言って聞かせておきますから」
俺じゃなく双海が校長に謝った。
「うむ、可愛い女の子に謝られていい気分なので許すっ! じゃ、ワシは体育を見学してくるので、これで!」
ブルマブルマと歌いながら、校長はスキップで職員室を出て行った。
「……この学校ってすげえな」
「……うん」
思わず双海と頷きあう。
「じゃ、俺も校長に倣ってブルマを視姦してくる」
そそくさと職員室を出ようとしたら、双海に肩を掴まれた。
「……言いたいことは星の数ほどありますが、とりあえず。服着ろ」
「は、はい」
すごく怖かったので服を着る。
「次。大谷先生に謝る」
「幼い肢体を気にしていることに気づかず、申し訳ありませんでした」
「違うっ!」
「じゃあ双海は大谷先生が大人の色気でムンムンと、そう言うのだな?」
「え、えと……」
双海は大谷先生を見下ろした。
「誰がどう見ても年下のはずである双海の方が色気があることに、この職員室全ての人間が心の中で確信していた」
「思っても口に出すな、この馬鹿教師っ!」
「ふええええーんっ!!」
双海に殴り飛ばされるは、大谷先生に泣かれるは、大変。
「いつつ……ほ、ほらアレだ。昨今はつるぺたの方が需要があるから、大谷先生もそんな泣く必要ないぞ?」
「つるぺたじゃないもん! ちょっとあるもん!」
「はいはい。それにな、大人になったら胸も大きくなるかもしれないから、希望を捨てるな」
「もう大人ですっ! ふえーん、奈々ちゃーん! 先生がいじめるよーっ!」
「先生っ!」
「ごめんなさい」
双海に叱られたので、大谷先生に謝る。
「うう……もういじめない?」
「幼い恋愛感情が炸裂してしまい、いじめちゃったのです。ごめんな」
適当言って逃れようとしたら、大谷先生の顔が真っ赤に染まった。
「大谷先生?」
「え、あ、……えへへへへっ♪ なーんだ、そっかー♪ じゃあしょがないねー♪」
ものすげーニコニコしながら俺に笑いかける大谷先生。
「……な、なぁ双海。どうしちゃったんだ、大谷先生?」
「私が知るわけないでしょうがッ!」
その一方で急に機嫌を損ねる女生徒が一人。
「え、えーと……あ、チャイム! 授業行かねば! 双海も早く教室戻れよーっ!」
「あ、こら待て馬鹿教師!」
逃げるように職員室から飛び出す俺だった。
「う~あ~う~。みんな~、おはよー。先生だよーん。……出席取るるー」
「先生、だらけ過ぎです」
教室に入ると、双海に注意された。
「だって暑いんだもん」
「暑いんだもん、じゃないです! 先生なんですから、もっとしっかりしてください!」
「むー……分かった。しっかし、本当最近暑いよな。みんな、暑いし授業さぼってプール行かない? 先生泳ぐの得意だぞー?」
「教師が率先してサボらせないでくださいっ!」
叱られたので授業する。ぽやぽやしてたらチャイムが鳴った。
「やたっ、終わった!」
「先生がそういうこと言わないでくださいっ!」
「ご、ごめんなさい」
やることなすこと全部怒られる。
「……ったく。はい、起立、礼」
双海の号令で授業終了。職員室に戻り、机に倒れこむ。
「あちー……」
「あははっ、暑そうですね」
甲高い声に振り向くと、ここの生徒より幼く見える大谷先生がいた。
「こうも暑くちゃ、授業に集中できなくって。大谷先生、なんかいい方法ない?」
「パンツ一丁で授業したら涼しいですよ? ……なーんちゃっ」
「それはいい案だ!」
早速上下脱いでパンツ一丁になる。うむ、涼しくていい感じ。
「ひゃああああ! せ、先生!?」
「涼しくていいですよ。ほら、大谷先生も!」
「わ、私はいーですよぉ!」
「遠慮は無用! さあ、全部俺に任せて!」
「や、ヤダヤダ! ふえーーーーん!」
「失礼します。先生、ここ……って、何やってんですか!」
職員室にやって来た双海が駆け寄ってきて、大谷先生を脱がそうとしてる俺を張り倒した。
「いてて……い、いや俺は善意で」
「善意で、じゃないです! 大谷先生泣いてるじゃないですか!」
「ふえーん、奈々ちゃーんっ」
情けない声で双海に抱きつく大谷先生。ほんとに教師か、この人。
「ああよしよし、泣かないでください先生」
「俺は泣いてないぞ。大人だからな」
「先生じゃなくて、大谷先生ですっ! 馬鹿な方の先生も服着てください、服っ!」
「呼んでるぞ、馬鹿な方の先生」
「え、ワシ?」
「違うっ! パンツ一丁の方っ!」
通りかかった校長に呼びかけると、双海に叱られた。
「よかったー、ワシじゃなかったー」
「うっさい、ハゲ」
俺だけ叱られて悔しかったので、校長のつるりと禿げ上がった頭を見ながら言ってやる。
「校長先生になんて口きいてんのよっ! 謝りなさいっ!」
「ハゲの魅力に気づかず申し訳ありませんでした」
「そういうことじゃなくてっ! ……ああもう、ごめんなさい校長先生。この馬鹿に後でよーっく言って聞かせておきますから」
俺じゃなく双海が校長に謝った。
「うむ、可愛い女の子に謝られていい気分なので許すっ! じゃ、ワシは体育を見学してくるので、これで!」
ブルマブルマと歌いながら、校長はスキップで職員室を出て行った。
「……この学校ってすげえな」
「……うん」
思わず双海と頷きあう。
「じゃ、俺も校長に倣ってブルマを視姦してくる」
そそくさと職員室を出ようとしたら、双海に肩を掴まれた。
「……言いたいことは星の数ほどありますが、とりあえず。服着ろ」
「は、はい」
すごく怖かったので服を着る。
「次。大谷先生に謝る」
「幼い肢体を気にしていることに気づかず、申し訳ありませんでした」
「違うっ!」
「じゃあ双海は大谷先生が大人の色気でムンムンと、そう言うのだな?」
「え、えと……」
双海は大谷先生を見下ろした。
「誰がどう見ても年下のはずである双海の方が色気があることに、この職員室全ての人間が心の中で確信していた」
「思っても口に出すな、この馬鹿教師っ!」
「ふええええーんっ!!」
双海に殴り飛ばされるは、大谷先生に泣かれるは、大変。
「いつつ……ほ、ほらアレだ。昨今はつるぺたの方が需要があるから、大谷先生もそんな泣く必要ないぞ?」
「つるぺたじゃないもん! ちょっとあるもん!」
「はいはい。それにな、大人になったら胸も大きくなるかもしれないから、希望を捨てるな」
「もう大人ですっ! ふえーん、奈々ちゃーん! 先生がいじめるよーっ!」
「先生っ!」
「ごめんなさい」
双海に叱られたので、大谷先生に謝る。
「うう……もういじめない?」
「幼い恋愛感情が炸裂してしまい、いじめちゃったのです。ごめんな」
適当言って逃れようとしたら、大谷先生の顔が真っ赤に染まった。
「大谷先生?」
「え、あ、……えへへへへっ♪ なーんだ、そっかー♪ じゃあしょがないねー♪」
ものすげーニコニコしながら俺に笑いかける大谷先生。
「……な、なぁ双海。どうしちゃったんだ、大谷先生?」
「私が知るわけないでしょうがッ!」
その一方で急に機嫌を損ねる女生徒が一人。
「え、えーと……あ、チャイム! 授業行かねば! 双海も早く教室戻れよーっ!」
「あ、こら待て馬鹿教師!」
逃げるように職員室から飛び出す俺だった。
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【ツンデレ母】
2010年03月29日
夏休みっていいよね。宿題とかないと、もっといいよね。今日が31日って嘘だよね。なんだよこの宿題の量。
「タカシ、宿題もうやったの?」
あまりの量にやる気をなくし、居間でぐったりしながらテレビ見てると母さんに声をかけられた。
「した」
「じゃ、見せて。嘘だったらお仕置きね」
「したけど、現在の科学では理解できない事象が起こり、回答欄に埋めた全ての文字が消えた」
「なんでこの子は素直に『してませんでした。嘘ついてごめんなさい、美しいお母様』って言えないのかしらねぇ……」
そう小首を傾げる母さんは、美しいというより可愛らしかった。超童顔の上、145cmという身長のせいで、誰が見ても中学生にしか見えない。……本当に俺の親か?
「聞いてるの、タカシ?」
「どうだろう」
「ちゃんと答えなさい!」
「お腹空いた」
「……この子は。まぁいいわ、なに食べたい?」
「チョコ」
「おやつじゃないの! おかずを聞いてるの、おかず!」
「玉子焼き」
「最初からそう言いなさいよ。……それにしても、チョコが食べたいってアンタもまだまだ子供ねぇ」
なんだか嬉しそうに冷蔵庫の中を覗いてる母さんの言葉に、少しムッとする。
「まんま子供な人に言われたくない」
「こっ、子供じゃないわよ! お母さん、大人よ? ほら見なさい、この溢れる大人の魅力!」
そう言いながら、母さんは上半身を前に倒してぐぐっと胸を寄せた。……う、倒しすぎて、服の隙間からピンク色のが一瞬。
「よ、寄せても寄る胸がないというのは、見てて哀れですね」
だが、母親ので動揺したなんて思われるのはアレなので、心の中を隠したまま強がる。
「よっ、寄ってるわよ! タカシがちゃんと見てないから見えないだけ! ほら、ちゃんと見なさい!」
母さんは俺の頭を抱え、ぐっと胸に押し付けた。ほのかな膨らみと、そしてぽっちの感触が俺の頬に!
「ちょ、ちょっと! 見えない! つーか当たってる、当たってるから!」
いきなりのことに、少し乱暴に母さんの手を払う。……うう、動悸ドキドキ心臓破裂しそう。
「なにを慌ててるの? ……ははーん」
まるで獲物を見つけたかのように、母さんの目が少し細まった。
「ママのおっぱいに興奮しちゃった? あはっ、お母さん綺麗だからドキドキしちゃうわよねー♪」
やけに機嫌よさそうに両手で頬を押さえ、やんやんと年甲斐なくはしゃぐ我が母。
「や、綺麗ってのはどうだろう」
ドキドキしたことにはあえて触れず、気になった部分だけ言及する。
「むーっ!」
すると、急激に機嫌を損ねた母さんに頬をつねられた。
「キレイでしょ! ほら、言ってみて! き・れ・い!」
「胃液」
「全然違うでしょっ!」
「や、可愛いとは思うけどさ、綺麗ってのはちょっと違うような……」
「っ! か、可愛いだなんて、こんなオバサンに何言ってるんだか! まったく、馬鹿な子ねー♪」
機嫌を直した母さんは、遠慮なく俺の背中をバシバシ叩いた。
「いて、いていて」
「それじゃお母さん、ぱぱっとご飯作っちゃうからね。いい子にして待っててねー♪」
スキップでもしそうな勢いで、母さんは台所に向かった。あ、転んだ。パンツ丸出し。
母さんの頭を撫でて慰めてからしばらく後、料理ができたと声がかかった。
「じゃ~ん! おまちどぉ~!」
普通より小さめとはいえ、テーブル半分を占めるほどの巨大な黄色。……全部玉子焼き?
「ちょーっとお母さん張り切っちゃった。でも若いし、大丈夫よね?」
「隠していたけど、実は更年期障害に悩まされる年代なんだ」
「ささっ、召し上がれ♪」
俺の必死の抵抗を無視し、母さんは満面の笑みで俺が食うのを今か今かと待ち構えていた。
「あ、あの、全部は流石に……」
「……お母さんの料理、嫌い……かな?」
「母さんと同じくらい大好きさ!」
演技とはいえ泣きそうになってる母さんを見てると、そんな言葉が口をついて出ていた。一気に玉子焼きに食いつく。なんだこの量。
「お、同じくらいって……もう、この子は馬鹿なことばっか言って♪」
必死で料理と格闘する俺を、母さんは微笑ましそうに、楽しそうに見つめていた。
「タカシ、宿題もうやったの?」
あまりの量にやる気をなくし、居間でぐったりしながらテレビ見てると母さんに声をかけられた。
「した」
「じゃ、見せて。嘘だったらお仕置きね」
「したけど、現在の科学では理解できない事象が起こり、回答欄に埋めた全ての文字が消えた」
「なんでこの子は素直に『してませんでした。嘘ついてごめんなさい、美しいお母様』って言えないのかしらねぇ……」
そう小首を傾げる母さんは、美しいというより可愛らしかった。超童顔の上、145cmという身長のせいで、誰が見ても中学生にしか見えない。……本当に俺の親か?
「聞いてるの、タカシ?」
「どうだろう」
「ちゃんと答えなさい!」
「お腹空いた」
「……この子は。まぁいいわ、なに食べたい?」
「チョコ」
「おやつじゃないの! おかずを聞いてるの、おかず!」
「玉子焼き」
「最初からそう言いなさいよ。……それにしても、チョコが食べたいってアンタもまだまだ子供ねぇ」
なんだか嬉しそうに冷蔵庫の中を覗いてる母さんの言葉に、少しムッとする。
「まんま子供な人に言われたくない」
「こっ、子供じゃないわよ! お母さん、大人よ? ほら見なさい、この溢れる大人の魅力!」
そう言いながら、母さんは上半身を前に倒してぐぐっと胸を寄せた。……う、倒しすぎて、服の隙間からピンク色のが一瞬。
「よ、寄せても寄る胸がないというのは、見てて哀れですね」
だが、母親ので動揺したなんて思われるのはアレなので、心の中を隠したまま強がる。
「よっ、寄ってるわよ! タカシがちゃんと見てないから見えないだけ! ほら、ちゃんと見なさい!」
母さんは俺の頭を抱え、ぐっと胸に押し付けた。ほのかな膨らみと、そしてぽっちの感触が俺の頬に!
「ちょ、ちょっと! 見えない! つーか当たってる、当たってるから!」
いきなりのことに、少し乱暴に母さんの手を払う。……うう、動悸ドキドキ心臓破裂しそう。
「なにを慌ててるの? ……ははーん」
まるで獲物を見つけたかのように、母さんの目が少し細まった。
「ママのおっぱいに興奮しちゃった? あはっ、お母さん綺麗だからドキドキしちゃうわよねー♪」
やけに機嫌よさそうに両手で頬を押さえ、やんやんと年甲斐なくはしゃぐ我が母。
「や、綺麗ってのはどうだろう」
ドキドキしたことにはあえて触れず、気になった部分だけ言及する。
「むーっ!」
すると、急激に機嫌を損ねた母さんに頬をつねられた。
「キレイでしょ! ほら、言ってみて! き・れ・い!」
「胃液」
「全然違うでしょっ!」
「や、可愛いとは思うけどさ、綺麗ってのはちょっと違うような……」
「っ! か、可愛いだなんて、こんなオバサンに何言ってるんだか! まったく、馬鹿な子ねー♪」
機嫌を直した母さんは、遠慮なく俺の背中をバシバシ叩いた。
「いて、いていて」
「それじゃお母さん、ぱぱっとご飯作っちゃうからね。いい子にして待っててねー♪」
スキップでもしそうな勢いで、母さんは台所に向かった。あ、転んだ。パンツ丸出し。
母さんの頭を撫でて慰めてからしばらく後、料理ができたと声がかかった。
「じゃ~ん! おまちどぉ~!」
普通より小さめとはいえ、テーブル半分を占めるほどの巨大な黄色。……全部玉子焼き?
「ちょーっとお母さん張り切っちゃった。でも若いし、大丈夫よね?」
「隠していたけど、実は更年期障害に悩まされる年代なんだ」
「ささっ、召し上がれ♪」
俺の必死の抵抗を無視し、母さんは満面の笑みで俺が食うのを今か今かと待ち構えていた。
「あ、あの、全部は流石に……」
「……お母さんの料理、嫌い……かな?」
「母さんと同じくらい大好きさ!」
演技とはいえ泣きそうになってる母さんを見てると、そんな言葉が口をついて出ていた。一気に玉子焼きに食いつく。なんだこの量。
「お、同じくらいって……もう、この子は馬鹿なことばっか言って♪」
必死で料理と格闘する俺を、母さんは微笑ましそうに、楽しそうに見つめていた。
【ツンデレに押しかけられたら】
2010年03月24日
物を書いて飯を食うようになって早数年。近頃はどうにか書き物だけで暮らしていけるようになった。
ただ。まあ、なんというか、その。俺の小説の挿絵を書いてくれてる人がいるのだけど、この人がちょっと。
いや、ありがたいんですよ? 俺みたいなのの小説に絵をつけてくれるなんて。毎回素晴らしい出来だし、そのおかげで売り上げも悪くないみたいだし。……ただなあ。
とか思ってると、携帯が鳴った。液晶に映し出された名前に一寸身体の動きが止まる。とはいえ、出ないわけにもいかない。恐る恐る通話ボタンを押す。
『遅いッ! 早く出なさいよ馬鹿ッ!』
「ごめんなさい」
『まったく……んで、なんなの、これ』
「ふんぬっ! ……いや、ごめんなさい。超能力を今この瞬間に開花させ貴方が言っていることが何か探ろうとテレパシーで貴方の脳内を調べたものの、なしのつぶてで」
『いらんことはせんでいいっ! じゃなくて、アンタの今回の小説よッ!』
「はぁ」
『なんだってまたこんなシーンがあるのよッ! 論外よ、論外! どういうこと!?』
「いや、どうと言われても、どの箇所の事を差していっているのか分からないので、俺にもちっとも」
『……ああもう、埒が明かないわ。いいわ、今からアンタの家行くから、首洗って待ってなさいッ!』
「え、いや、でも今はまだ学校の時間ではないのだろうか。そして俺の首はそんなに臭うのだろうか。ふがふが……ふむ、よく分からん」
『そういう意味じゃないッ! いーから待ってるのよ、いいわねッ!?』
はいともいいえとも言ってないのに、一方的に通話が切られた。嗚呼困った。
ほどなくして、家政婦さんが誰か来たと怯えた様子で俺に伝えに来た。上がってもらうよう伝え、しばし待つ。
「来てやったわよ!」
先ほど電話で話してた相手で、俺の小説の挿絵を描いてくれてるお嬢さん、智恵理が襖障子を勢いよく開けて部屋に入ってきた。
「頼んでません」
「何か言った!?」
「お腹が痛くなってきた」
「便所にこもるのは後にしなさいっ!」
俺の頬をうぎーっと引っ張ってから、智恵理は学生鞄の中を探った。そして紙の束を取り出すと、俺に見せつけた。
「ほら、ここ! 何なの、これ!」
「ところで智恵理さん、学校は?」
「早退! 気になって授業どころじゃないわよ!」
智恵理は学生という身分でありながらイラストレーターという肩書きも持つ、ダブル草鞋の人物だ。
俺も以前はコンビニ店員と小説家モドキというダブル草履を履いていたが、近頃は小説家風味という草履だけ履けるようになった。……草履? ……ふむ、草履か。
「聞いてるの!? ……あー、また空想の世界に入ってる。聞きなさい!」
「みぎゃあっ」
智恵理は自分のツインテールを持つと、俺の両目にざくりと突き刺したので超痛い。
「髪を武器にしないで」
「うるさいっ! ほら、ここ! 見なさいよ!」
「ツインテールが俺の視力を一時的に奪ったため、何も見えません」
智恵理は再び俺の頬をうぎーっと引っ張った。引っ張られてもそんなすぐは回復しません。
「もー! まだ!?」
「ああ待て、徐々によくなってきた。徐々の奇妙な回復」
「イチイチ余計なことは言わなくていいのっ! ほら、回復したならコレ見なさいッ!」
「もがもが」
「食べるんじゃなくて見るの!」
しかし、紙の束を顔に押し付けられている現在、見るのは大変に難しい。
「もが……ふむふむ。相変わらず俺の話は面白いなあわはははは!」
紙の束は前に書いた俺の小説のコピーのようだ。とりあえずプライドを保つために大笑いしてみる。
「虚しい自画自賛はしなくていーの!」
超ショックなので寝る。
「こら、寝るな! 意味わかんないわよ!」
「砂で出来たプライドの山が今の台詞で崩れたので復旧作業中だ」
「あーもう、めんどくさいわねぇ……こほん。わ、わー、このお話、とっても面白いー♪」
「台詞が超棒読みだったが、それでもなんとか元気を取り戻した俺をどう思うか。褒めるか?」
「面倒くさい」
立ち上がった勢いのまま再び不貞寝。
「だーかーらーっ! イチイチ寝るなッ!」
「傷つけられたから今日は傷心記念日。なので一日寝る」
「だーっ、もうっ! 大人が簡単に傷つくな! ほら、起きろ!」
俺の身体にまたがり、智恵理はべしべし人の頭を叩いた。
「一叩きにつき俺の脳細胞が一万破壊されることを忘れるな! あ、一万。あ、また一万。もう面白いのなんて書けない」
「うるさいのっ! ほら、起きる起きる!」
「いていて……いて?」
髪を掴まれ上半身を起こしたが、そこで気づいた。智恵理の奴、俺にまたがってるのはいいが、スカートがまくれてますよ。グリーン地のパンツが俺に丸見えですよ。小さなリボンのアクセントが素晴らしいですよ。
「うん? 何を見て……っきゃああああ!!!」
「ぐへっ」
気づかれたため、俺のみぞおちにナイスパンチが炸裂。内臓飛び出そう。
「みっ、見るなっ、ばかっ! えっちえっちえっち!」
「おげげぇ」
「おげげーじゃないっ! おっ、大人だったら注意しなさいっ、ばかっ!」
「うぐぐ……お、俺がそんな出来た大人なわけないだろう。パンツがあれば凝視する。当然だろ?」
「この変態変態変態っ!」
「ごめんね?」
「うう……まるで誠意が感じられないし」
「まあ、その、このシチュエーションは作品に役立たせていただきます。そこで、詳しく取材したいのでもう一度同じ状況を再現してはくれないでしょうか? 寝るので再び俺に乗り、スカートをまくってください」
寝そべったらいっぱい殴られた。
「畜生、未成年だからって安心して犯罪を行いやがる……! こうなったらエロ小説もかくやと思うほど超緻密に書いてやる!」
「うっさい! ていうか、書くなッ!」
「担当からも言ってもらい、その場面を挿絵にするよう仕組んでやる」
「絶っっっっっ対、描かないっ!」
「頑なに描かないといいつつ、プロとして描かずにはいられない。資料として自身のパンツを見ながら、しかしやはり羞恥で頬は桜色に……おおっ、何やらイマジネーションが! ありがとう、智恵理! いいネタが浮かんだぞ!」
「うっ、浮かぶなっ、ばかっ! そ、それより、て、手っ! 掴まないでよっ!」
「あ、こりゃ失敬」
喜びのあまり思わず智恵理の手を握ってしまっていた。慌てて離すと、智恵理は顔を赤くしながら手をぷらぷらと振った。
「……もー、ばか」
「いやははは。とまれ、ありがとな。思いがけずネタが手に入った」
「……まぁ、いいケドさ。あんまりえっちなの、やめてよね。……は、恥ずかしいんだからさ、描くの」
「仕事だろ。ていうか、お前が選ぶんじゃないのか、描く箇所は」
「だ、だって、こーゆーえっちなシーン描いた方が効果的だし……そりゃもちろん過剰にやりすぎたら逆効果だけどさ」
恥ずかしくても、そういうところはプロなのな。ちょっと感心する。
「……な、何よ。勘違いしないでよね、本の売り上げが悪かったらあたしにも影響があるから描くだけだからねっ! アンタのどーしようもない話なんてどーでもいいんだからっ!」
「ぐふっ、うっ、うぐっ……」
面と向かってどうしようもない話と言われたので、全力で傷ついた。
「泣くなっ! 大人でしょうがっ! ……な、何よ。私が悪いみたいじゃない」
もういい。どうせ書いててもさっきのような心ない誹謗中傷が襲ってくるだけだ。辞めよう。で、死のう。
「……うー、も、もう。ほ、ほら。泣かないの」
智恵理は申し訳なさそうに俺の頭をなでた。
「ど、どーしようもない話だけど、つまんなくないことはない……よ?」
「……抱腹絶倒?」
ちらりと顔を上げ、智恵理に伺う。
「い、いや、そこまではいかないけど」
「やっぱり死のう」
「絶倒! 抱腹絶倒だから! だから死なないのっ!」
「なんだそうか。……いややっぱりな、俺の書く話は天下一面白いからな! わーっはっはっはっは!」
「はぁ……疲れる。この情緒不安定大人が」
智恵理はちょっと安心したような顔で俺の頬をぐにーっと引っ張った。
「わはは。それで、今日のご予定は?」
「ん? ……あーっ、そうよ! もーっ、忘れてたじゃないの! この馬鹿!」
俺のせいではないよね、と頬を再び引っ張られながら思った。
「んっと……ここ、これ!」
智恵理は床に落ちてたコピーを拾い上げ、目的の箇所を差しながら俺に見せた。
「ふむ……ああ、新キャラの悠里が主人公にパンツを見られるシーンな」
「なんだってアンタの小説は毎回毎回毎回毎回パンツを見られるシーンがあるのよっ! 何ルール!?」
「空想の中くらいは思う存分パンツが見たいからです」
即答だったのに殴られた。
「だって現実でスカートまくってパンツ見たら怒られるんです。いや、怒られるどころか捕まる始末。この世界はおかしい」
「おかしいのはアンタの頭っ! なんだってこんなシーン描かなくちゃいけないのよっ! 絵にするあたしの気持ちになれっ!」
「いつも感謝してます」
「そっ! ……そ、そんなの当然じゃない、ばーか」
深々と頭を下げると、智恵理は困ったように顔を赤くしながら悪態をついた。居心地が悪いのか、ツインテールの毛先をいじくりながら視線をさ迷わせている。
「……で、でさ。……このシーン描かなくちゃいけないから、その……」
「ん、ああ。例の」
「れっ、例のとか言うなっ! そんな言うほどしてないっ!」
ともかく、例のアレの準備をする。襖をしっかり閉め、カーテンを閉める。
「こっちはOKだぞ」
「せ、急かさないでよ」
智恵理は鞄からデジカメと三脚を取り出すと、布団の近くに置いた。そしてファインダーを覗き、位置を調整した。
「ん、ここでいいわね……よし、っと」
「じゃあ、そういうことで」
智恵理がセルフタイマーのようなものを押したようなので、俺は急いで布団の上に寝そべった。これでこちらの準備は全ておーけー。
「う、うー……い、言っとくけどね、したいからしてるんじゃないからねっ! 作画に使う写真のためだからねっ!」
「はいはいはい」
「……う、うーっ」
智恵理は俺に下半身にまたがって立つと、顔を真っ赤にしながらスカートの裾をゆっくりと上げた。徐々に露になる太ももとパンツにお兄さん大変だ。
……一応智恵理の名誉のために言っておくと、別に智恵理が突然露出癖に目覚めたのではなく、挿絵の参考にする写真を撮るだけだ。こんなことを頼める友人もいないようで、いつも作者である俺が被写体にされる。そして俺は誰に言っているのだ。
「あっ、あんまりジロジロ見るなっ、ばかっ!」
「い、いや、見る姿勢を収めることが大事なのではないかと」
「目を開ける必要はないじゃないっ! は、早くつむりなさいっ、馬鹿っ!」
「分かった、明日のこの時間につぶる」
「いまっ! いまつむるのっ!」
わーきゃー言ってる間にすっかりスカートはまくり上がり、完全に智恵理のパンツはその姿を現した。 薄いグリーンに映える小さなリボン、そして何より下方にうっすら刻まれている食い込みが俺の理性を粉砕しているのがよく分かる。
「見るな見るな見るなーっ!」
「仕事って大変だよね」
食い込みを凝視しつつ脳内のHDDに保存していると、シャッターが連続で切られた。タイマーが作動したようだ。
「ううううう……アンタのせいっ! アンタがえっちなシーンばっか書くからこんなことする羽目になんの! もっと高尚なの書きなさいよ、ばかーっ!」
「次回はお風呂のシーン入れてやる」
「書くな、ばかーっ!」
パンツをふるふる震わせながら写真を撮られまくる智恵理だった。
ただ。まあ、なんというか、その。俺の小説の挿絵を書いてくれてる人がいるのだけど、この人がちょっと。
いや、ありがたいんですよ? 俺みたいなのの小説に絵をつけてくれるなんて。毎回素晴らしい出来だし、そのおかげで売り上げも悪くないみたいだし。……ただなあ。
とか思ってると、携帯が鳴った。液晶に映し出された名前に一寸身体の動きが止まる。とはいえ、出ないわけにもいかない。恐る恐る通話ボタンを押す。
『遅いッ! 早く出なさいよ馬鹿ッ!』
「ごめんなさい」
『まったく……んで、なんなの、これ』
「ふんぬっ! ……いや、ごめんなさい。超能力を今この瞬間に開花させ貴方が言っていることが何か探ろうとテレパシーで貴方の脳内を調べたものの、なしのつぶてで」
『いらんことはせんでいいっ! じゃなくて、アンタの今回の小説よッ!』
「はぁ」
『なんだってまたこんなシーンがあるのよッ! 論外よ、論外! どういうこと!?』
「いや、どうと言われても、どの箇所の事を差していっているのか分からないので、俺にもちっとも」
『……ああもう、埒が明かないわ。いいわ、今からアンタの家行くから、首洗って待ってなさいッ!』
「え、いや、でも今はまだ学校の時間ではないのだろうか。そして俺の首はそんなに臭うのだろうか。ふがふが……ふむ、よく分からん」
『そういう意味じゃないッ! いーから待ってるのよ、いいわねッ!?』
はいともいいえとも言ってないのに、一方的に通話が切られた。嗚呼困った。
ほどなくして、家政婦さんが誰か来たと怯えた様子で俺に伝えに来た。上がってもらうよう伝え、しばし待つ。
「来てやったわよ!」
先ほど電話で話してた相手で、俺の小説の挿絵を描いてくれてるお嬢さん、智恵理が襖障子を勢いよく開けて部屋に入ってきた。
「頼んでません」
「何か言った!?」
「お腹が痛くなってきた」
「便所にこもるのは後にしなさいっ!」
俺の頬をうぎーっと引っ張ってから、智恵理は学生鞄の中を探った。そして紙の束を取り出すと、俺に見せつけた。
「ほら、ここ! 何なの、これ!」
「ところで智恵理さん、学校は?」
「早退! 気になって授業どころじゃないわよ!」
智恵理は学生という身分でありながらイラストレーターという肩書きも持つ、ダブル草鞋の人物だ。
俺も以前はコンビニ店員と小説家モドキというダブル草履を履いていたが、近頃は小説家風味という草履だけ履けるようになった。……草履? ……ふむ、草履か。
「聞いてるの!? ……あー、また空想の世界に入ってる。聞きなさい!」
「みぎゃあっ」
智恵理は自分のツインテールを持つと、俺の両目にざくりと突き刺したので超痛い。
「髪を武器にしないで」
「うるさいっ! ほら、ここ! 見なさいよ!」
「ツインテールが俺の視力を一時的に奪ったため、何も見えません」
智恵理は再び俺の頬をうぎーっと引っ張った。引っ張られてもそんなすぐは回復しません。
「もー! まだ!?」
「ああ待て、徐々によくなってきた。徐々の奇妙な回復」
「イチイチ余計なことは言わなくていいのっ! ほら、回復したならコレ見なさいッ!」
「もがもが」
「食べるんじゃなくて見るの!」
しかし、紙の束を顔に押し付けられている現在、見るのは大変に難しい。
「もが……ふむふむ。相変わらず俺の話は面白いなあわはははは!」
紙の束は前に書いた俺の小説のコピーのようだ。とりあえずプライドを保つために大笑いしてみる。
「虚しい自画自賛はしなくていーの!」
超ショックなので寝る。
「こら、寝るな! 意味わかんないわよ!」
「砂で出来たプライドの山が今の台詞で崩れたので復旧作業中だ」
「あーもう、めんどくさいわねぇ……こほん。わ、わー、このお話、とっても面白いー♪」
「台詞が超棒読みだったが、それでもなんとか元気を取り戻した俺をどう思うか。褒めるか?」
「面倒くさい」
立ち上がった勢いのまま再び不貞寝。
「だーかーらーっ! イチイチ寝るなッ!」
「傷つけられたから今日は傷心記念日。なので一日寝る」
「だーっ、もうっ! 大人が簡単に傷つくな! ほら、起きろ!」
俺の身体にまたがり、智恵理はべしべし人の頭を叩いた。
「一叩きにつき俺の脳細胞が一万破壊されることを忘れるな! あ、一万。あ、また一万。もう面白いのなんて書けない」
「うるさいのっ! ほら、起きる起きる!」
「いていて……いて?」
髪を掴まれ上半身を起こしたが、そこで気づいた。智恵理の奴、俺にまたがってるのはいいが、スカートがまくれてますよ。グリーン地のパンツが俺に丸見えですよ。小さなリボンのアクセントが素晴らしいですよ。
「うん? 何を見て……っきゃああああ!!!」
「ぐへっ」
気づかれたため、俺のみぞおちにナイスパンチが炸裂。内臓飛び出そう。
「みっ、見るなっ、ばかっ! えっちえっちえっち!」
「おげげぇ」
「おげげーじゃないっ! おっ、大人だったら注意しなさいっ、ばかっ!」
「うぐぐ……お、俺がそんな出来た大人なわけないだろう。パンツがあれば凝視する。当然だろ?」
「この変態変態変態っ!」
「ごめんね?」
「うう……まるで誠意が感じられないし」
「まあ、その、このシチュエーションは作品に役立たせていただきます。そこで、詳しく取材したいのでもう一度同じ状況を再現してはくれないでしょうか? 寝るので再び俺に乗り、スカートをまくってください」
寝そべったらいっぱい殴られた。
「畜生、未成年だからって安心して犯罪を行いやがる……! こうなったらエロ小説もかくやと思うほど超緻密に書いてやる!」
「うっさい! ていうか、書くなッ!」
「担当からも言ってもらい、その場面を挿絵にするよう仕組んでやる」
「絶っっっっっ対、描かないっ!」
「頑なに描かないといいつつ、プロとして描かずにはいられない。資料として自身のパンツを見ながら、しかしやはり羞恥で頬は桜色に……おおっ、何やらイマジネーションが! ありがとう、智恵理! いいネタが浮かんだぞ!」
「うっ、浮かぶなっ、ばかっ! そ、それより、て、手っ! 掴まないでよっ!」
「あ、こりゃ失敬」
喜びのあまり思わず智恵理の手を握ってしまっていた。慌てて離すと、智恵理は顔を赤くしながら手をぷらぷらと振った。
「……もー、ばか」
「いやははは。とまれ、ありがとな。思いがけずネタが手に入った」
「……まぁ、いいケドさ。あんまりえっちなの、やめてよね。……は、恥ずかしいんだからさ、描くの」
「仕事だろ。ていうか、お前が選ぶんじゃないのか、描く箇所は」
「だ、だって、こーゆーえっちなシーン描いた方が効果的だし……そりゃもちろん過剰にやりすぎたら逆効果だけどさ」
恥ずかしくても、そういうところはプロなのな。ちょっと感心する。
「……な、何よ。勘違いしないでよね、本の売り上げが悪かったらあたしにも影響があるから描くだけだからねっ! アンタのどーしようもない話なんてどーでもいいんだからっ!」
「ぐふっ、うっ、うぐっ……」
面と向かってどうしようもない話と言われたので、全力で傷ついた。
「泣くなっ! 大人でしょうがっ! ……な、何よ。私が悪いみたいじゃない」
もういい。どうせ書いててもさっきのような心ない誹謗中傷が襲ってくるだけだ。辞めよう。で、死のう。
「……うー、も、もう。ほ、ほら。泣かないの」
智恵理は申し訳なさそうに俺の頭をなでた。
「ど、どーしようもない話だけど、つまんなくないことはない……よ?」
「……抱腹絶倒?」
ちらりと顔を上げ、智恵理に伺う。
「い、いや、そこまではいかないけど」
「やっぱり死のう」
「絶倒! 抱腹絶倒だから! だから死なないのっ!」
「なんだそうか。……いややっぱりな、俺の書く話は天下一面白いからな! わーっはっはっはっは!」
「はぁ……疲れる。この情緒不安定大人が」
智恵理はちょっと安心したような顔で俺の頬をぐにーっと引っ張った。
「わはは。それで、今日のご予定は?」
「ん? ……あーっ、そうよ! もーっ、忘れてたじゃないの! この馬鹿!」
俺のせいではないよね、と頬を再び引っ張られながら思った。
「んっと……ここ、これ!」
智恵理は床に落ちてたコピーを拾い上げ、目的の箇所を差しながら俺に見せた。
「ふむ……ああ、新キャラの悠里が主人公にパンツを見られるシーンな」
「なんだってアンタの小説は毎回毎回毎回毎回パンツを見られるシーンがあるのよっ! 何ルール!?」
「空想の中くらいは思う存分パンツが見たいからです」
即答だったのに殴られた。
「だって現実でスカートまくってパンツ見たら怒られるんです。いや、怒られるどころか捕まる始末。この世界はおかしい」
「おかしいのはアンタの頭っ! なんだってこんなシーン描かなくちゃいけないのよっ! 絵にするあたしの気持ちになれっ!」
「いつも感謝してます」
「そっ! ……そ、そんなの当然じゃない、ばーか」
深々と頭を下げると、智恵理は困ったように顔を赤くしながら悪態をついた。居心地が悪いのか、ツインテールの毛先をいじくりながら視線をさ迷わせている。
「……で、でさ。……このシーン描かなくちゃいけないから、その……」
「ん、ああ。例の」
「れっ、例のとか言うなっ! そんな言うほどしてないっ!」
ともかく、例のアレの準備をする。襖をしっかり閉め、カーテンを閉める。
「こっちはOKだぞ」
「せ、急かさないでよ」
智恵理は鞄からデジカメと三脚を取り出すと、布団の近くに置いた。そしてファインダーを覗き、位置を調整した。
「ん、ここでいいわね……よし、っと」
「じゃあ、そういうことで」
智恵理がセルフタイマーのようなものを押したようなので、俺は急いで布団の上に寝そべった。これでこちらの準備は全ておーけー。
「う、うー……い、言っとくけどね、したいからしてるんじゃないからねっ! 作画に使う写真のためだからねっ!」
「はいはいはい」
「……う、うーっ」
智恵理は俺に下半身にまたがって立つと、顔を真っ赤にしながらスカートの裾をゆっくりと上げた。徐々に露になる太ももとパンツにお兄さん大変だ。
……一応智恵理の名誉のために言っておくと、別に智恵理が突然露出癖に目覚めたのではなく、挿絵の参考にする写真を撮るだけだ。こんなことを頼める友人もいないようで、いつも作者である俺が被写体にされる。そして俺は誰に言っているのだ。
「あっ、あんまりジロジロ見るなっ、ばかっ!」
「い、いや、見る姿勢を収めることが大事なのではないかと」
「目を開ける必要はないじゃないっ! は、早くつむりなさいっ、馬鹿っ!」
「分かった、明日のこの時間につぶる」
「いまっ! いまつむるのっ!」
わーきゃー言ってる間にすっかりスカートはまくり上がり、完全に智恵理のパンツはその姿を現した。 薄いグリーンに映える小さなリボン、そして何より下方にうっすら刻まれている食い込みが俺の理性を粉砕しているのがよく分かる。
「見るな見るな見るなーっ!」
「仕事って大変だよね」
食い込みを凝視しつつ脳内のHDDに保存していると、シャッターが連続で切られた。タイマーが作動したようだ。
「ううううう……アンタのせいっ! アンタがえっちなシーンばっか書くからこんなことする羽目になんの! もっと高尚なの書きなさいよ、ばかーっ!」
「次回はお風呂のシーン入れてやる」
「書くな、ばかーっ!」
パンツをふるふる震わせながら写真を撮られまくる智恵理だった。
【ツンデレと恵方巻きを丸かぶり】
2010年03月22日
小学生の娘とスーパーを探索してたら、太巻きを見つけた。
「娘よ、父は恵方巻きを食べたい」
「父、それはダメだ。我が家の家計は逼迫している。そんな余裕はない」
娘が何か言ってるが、特に気にせず買い物カゴの中に恵方巻きを入れる。
「父、私の話を聞いているか。それとも私の話を理解できないのか。ああ父が壊れてしまった」
「娘よ、父は壊れてない。父はただ太巻きを食べたいだけだ。決して娘が太巻きを口に咥えるところを見たいわけではないぞ」
「父は娘である私を性欲の対象に見る。なんと不幸なんだろうか」
一際大きな声でそんなことを言うので、周囲の客が父である俺を奇異の目で見る。
「娘よ、菓子を買ってやろう。だからあまり大きな声で変なことを言うものではない」
「父、繰り返すが我が家の家計は逼迫している。菓子など買う余裕などない。子供である私を性欲の対象に見る暇があれば、もっと仕事を頑張り、さらに無駄遣いを控えることだ」
「む、娘よ、とにかく行こう。父はなんだかお腹が痛くなってきた」
騒ぎを聞きつけた警備員が遠くからやってくるのが見えたので、娘の手を握って逃げる。
「ち、父、あまり強く握るな」
「娘よ、少しの我慢だ」
なんとか危機を脱し、買うものを買って家に帰る。
「まったく、強く握りすぎだ。手が赤くなってしまったではないか」
「す、すまない」
「……まぁ、別にいいが」
娘は少しだけ頬を染め、自分の手を軽くさすった。
「とにかく、太巻きを食べよう」
「それほどまでに娘である私が太巻きを咥える様を見たいのか。ああなんという父の元に生まれてしまったのだろう」
「ははっ。娘よ、面白い冗談だな」
「何を言う。私は冗談は好かない」
「…………」
「買ってしまったものはしょうがない、食べよう。父、娘である私が太巻きを咥える様を見るがいい。そこから親としてあるまじき想像をするのも、まあ、あまり好ましいものではないが、個人の自由だ」
「娘よ、あまり父をいじめるな」
「父が恥ずかしい事を言わなければ済む話だ」
事も無げにそう言って、娘は太巻きをかじった。
「はぐはぐ。……む、なかなか美味いな、この太巻き」
「娘よ、かじるのではなく咥えてみてはどうだろう」
「ああ父が娘である私を本気で性欲の対象で見る。なんという星の元に生まれてきたのだろう」
「娘よ、もちろん冗談だ。本当だぞ?」
「父、そんなことが信じられるだろうか。……まぁ、放っておいては性犯罪を犯しかねない。しかたない、少しだけサービスだ」
そう言って、娘は太巻きを咥えた。
「ほへへひひほは?(これでいいのか?)」
「娘よ、太巻きに舌を這わせるのはどうだろう」
「ああ父が娘である私に本格的な指導を始めた。これはもう然るべき施設に入れたほうがいいのかもしれない」
「娘よ、父は冗談を言ったまでだ。本当だぞ?」
「……はぁ。父、冗談は私だけに言うがいい。外でそんなことを口走ったら、一生臭い飯を食う羽目になるぞ」
「娘よ、安心しろ。父も多少は相手を見て言葉を選んでいる。まだ訴えられたことはないぞ」
「ああ父は娘である私にのみセクハラの津波を浴びせる。母、哀れな子羊である私を助けて欲しい」
娘は仏壇に置かれた鈴を打ち鳴らし、位牌を拝んだ。
「むぐむぐ……娘よ、うまい太巻きだな」
「父、私の太巻きを食べるな」
娘は俺の食べかけの太巻きを奪い、口にした。
「娘よ、間接キスだな」
「っ!!」
娘の顔が一瞬でゆでタコのように真っ赤になった。
「か、家族だから平気だ。まったく、何を言っているのか、この父は」
「娘よ、どうしてそんなに顔が赤いのか」
「……父、いじわるだぞ」
そう言って、娘は恥ずかしげに上目遣いで俺を見た。
「娘よ、父は恵方巻きを食べたい」
「父、それはダメだ。我が家の家計は逼迫している。そんな余裕はない」
娘が何か言ってるが、特に気にせず買い物カゴの中に恵方巻きを入れる。
「父、私の話を聞いているか。それとも私の話を理解できないのか。ああ父が壊れてしまった」
「娘よ、父は壊れてない。父はただ太巻きを食べたいだけだ。決して娘が太巻きを口に咥えるところを見たいわけではないぞ」
「父は娘である私を性欲の対象に見る。なんと不幸なんだろうか」
一際大きな声でそんなことを言うので、周囲の客が父である俺を奇異の目で見る。
「娘よ、菓子を買ってやろう。だからあまり大きな声で変なことを言うものではない」
「父、繰り返すが我が家の家計は逼迫している。菓子など買う余裕などない。子供である私を性欲の対象に見る暇があれば、もっと仕事を頑張り、さらに無駄遣いを控えることだ」
「む、娘よ、とにかく行こう。父はなんだかお腹が痛くなってきた」
騒ぎを聞きつけた警備員が遠くからやってくるのが見えたので、娘の手を握って逃げる。
「ち、父、あまり強く握るな」
「娘よ、少しの我慢だ」
なんとか危機を脱し、買うものを買って家に帰る。
「まったく、強く握りすぎだ。手が赤くなってしまったではないか」
「す、すまない」
「……まぁ、別にいいが」
娘は少しだけ頬を染め、自分の手を軽くさすった。
「とにかく、太巻きを食べよう」
「それほどまでに娘である私が太巻きを咥える様を見たいのか。ああなんという父の元に生まれてしまったのだろう」
「ははっ。娘よ、面白い冗談だな」
「何を言う。私は冗談は好かない」
「…………」
「買ってしまったものはしょうがない、食べよう。父、娘である私が太巻きを咥える様を見るがいい。そこから親としてあるまじき想像をするのも、まあ、あまり好ましいものではないが、個人の自由だ」
「娘よ、あまり父をいじめるな」
「父が恥ずかしい事を言わなければ済む話だ」
事も無げにそう言って、娘は太巻きをかじった。
「はぐはぐ。……む、なかなか美味いな、この太巻き」
「娘よ、かじるのではなく咥えてみてはどうだろう」
「ああ父が娘である私を本気で性欲の対象で見る。なんという星の元に生まれてきたのだろう」
「娘よ、もちろん冗談だ。本当だぞ?」
「父、そんなことが信じられるだろうか。……まぁ、放っておいては性犯罪を犯しかねない。しかたない、少しだけサービスだ」
そう言って、娘は太巻きを咥えた。
「ほへへひひほは?(これでいいのか?)」
「娘よ、太巻きに舌を這わせるのはどうだろう」
「ああ父が娘である私に本格的な指導を始めた。これはもう然るべき施設に入れたほうがいいのかもしれない」
「娘よ、父は冗談を言ったまでだ。本当だぞ?」
「……はぁ。父、冗談は私だけに言うがいい。外でそんなことを口走ったら、一生臭い飯を食う羽目になるぞ」
「娘よ、安心しろ。父も多少は相手を見て言葉を選んでいる。まだ訴えられたことはないぞ」
「ああ父は娘である私にのみセクハラの津波を浴びせる。母、哀れな子羊である私を助けて欲しい」
娘は仏壇に置かれた鈴を打ち鳴らし、位牌を拝んだ。
「むぐむぐ……娘よ、うまい太巻きだな」
「父、私の太巻きを食べるな」
娘は俺の食べかけの太巻きを奪い、口にした。
「娘よ、間接キスだな」
「っ!!」
娘の顔が一瞬でゆでタコのように真っ赤になった。
「か、家族だから平気だ。まったく、何を言っているのか、この父は」
「娘よ、どうしてそんなに顔が赤いのか」
「……父、いじわるだぞ」
そう言って、娘は恥ずかしげに上目遣いで俺を見た。
【ツンデレがエロ本を見つけたら】
2010年03月22日
とある日の夕方、仕事に飽いた父が娘と遊ぼうと台所に顔を出すが、そこには誰もいなかった。
「これは面妖な、何者かに連れ去られたか。いやしかしあの娘が何の抵抗もなく連れ去られるだろうか、いやない」
ぷらぷらと探し回る最中、突如猛烈な腹痛に襲われ父は便所に籠もった。
「く、このような痛みに屈するとは。屈辱である」
「父、父? ……なんだ、いないのか」
父が便所で屈辱の涙を流している頃、娘は父の書斎に顔を出していた。
「夕食に何がいいか聞こうと思ったが……まあいい、今のうちに掃除をしてしまおう。父がいたら色々と理由をつけて断られるしな」
娘はハタキを持ってきて、背伸びをしながら本棚を軽くはたいた。
「うっぷ、なんたる埃だろうか。……ん?」
埃を払っていると、ハタキに当たって本棚から本が一冊落ちてきた。
「ふむ、なにやら難しい漢字だな。なんと書いてあるのか、子供ゆえ読めないのが残念だ。仕事関係の本か?」
表紙をめくると、そこには娘と同じくらいの少女が裸で転がっている絵があった。
「こ、これは、噂に聞くエロ本ではないか。ああ父よなんたることだ、私という小学生の娘がいるというのに、私と同年代の少女が題材のエロ漫画を所持しているとは」
娘は大きく目を見開き、興味津々な様子で次々ページをめくっていった。
「む、これは……まったく胸がないではないか。父はこういったものが好みなのか。ああ完全に犯罪だ、性犯罪者ではないか」
「ああ娘よ、ここにいたのくぁーっ!?」
ズボンの位置を直しながら部屋に入ってきた父は、自分の愛読書を読む娘の姿を見て奇声を発した。
「父、隠すなら私の手が届かない場所に隠すべきだ。カバーを違う本で偽装していたとしても、何かのはずみで見つかってしまうぞ。今この時のように」
「は、はは、何を言ってるのか皆目分からないな」
父は素早く娘の持つ本を奪い取り、背中に隠した。
「……これは驚いた。父、思いのほか素早い動きができるのだな。いわゆる火事場の馬鹿力という奴か」
「む、娘よ、掃除は感謝する。だがしかし、ここは父の仕事場。触られると困る品もあるゆえ、掃除はやめてほしい」
「困る品というと、いま父が後ろ手に持っている明らかに未成年の少女が出てくるエロ漫画のことだな」
父は慌てて後ろ手に持った本を棚の奥に隠した。
「娘よ、父をいじめて楽しいか」
「父、大人なのだから泣くのはやめてほしい」
「大人だからこそ泣けてくることもある」
「父、父はその……いわゆる、幼児性愛者なのか? 病気なのか?」
「前者は半分肯定だが、後者は否定だ」
「ああなんたることだ。父はもうダメだ、投獄されるに違いない」
「娘よ、父はまだダメではない。父は別に幼児性愛者ではなく、ただ胸が慎ましい女性が好みなだけだ」
「本当か?」
「本当だ。まだ少女を襲った事はない」
「ああなんたることか、父はやはりダメだ。“まだ”などと言っている。いつか実行するに違いない」
「娘よ、たまには父を信用してみるがいい」
「あまり無理を言うものではない。父は信用という言葉から最も離れた場所に存在している。信用されたいのなら、普段から信用されるような事をするべきだ」
「信用……こうか?」
父は娘を抱き寄せ、向かい合わせになるように自分の膝に乗せた。そして、優しく頭をなでた。
「ち、父? 何をいきなり……」
突然のことに、娘は目を白黒させた。
「いやなに、ただのスキンシップだ。こういった小さな事を重ねることが肝要と思ってな。どうだ?」
「ふ、ふん。こんな小細工をされても、信用などできるはずがない」
顔を背ける娘だが、口元が小さく笑っている事を父は見逃さなかった。
「娘よ、信用はともかく、気持ちいいか?」
「……ふん、特に気持ちよくなどない」
憎まれ口を叩きつつ、娘は父の胸に頭を寄せるため、軽く腰を揺すった。
「あ」
「……父、娘である私の瑞々しくも張りのあるお尻に何か当たっているのだが」
「全くの気のせいだ」
「ああ父よ、娘のお尻で勃つとは何事か。それとも父を鬼畜道に堕とす程の魅力を持つ私が悪いのか」
「娘よ、父の気のせいでなければ、どこか嬉しそうなのだが」
「ま、全くの気のせいだ」
「…………」
「……ふ、ふゅーふゅー」
「娘よ、嘘が下手な上に口笛までも下手なのだな」
「……父、意地が悪いぞ」
そう言って、娘は照れくさそうに頬を染めながら口をとがらした。
「これは面妖な、何者かに連れ去られたか。いやしかしあの娘が何の抵抗もなく連れ去られるだろうか、いやない」
ぷらぷらと探し回る最中、突如猛烈な腹痛に襲われ父は便所に籠もった。
「く、このような痛みに屈するとは。屈辱である」
「父、父? ……なんだ、いないのか」
父が便所で屈辱の涙を流している頃、娘は父の書斎に顔を出していた。
「夕食に何がいいか聞こうと思ったが……まあいい、今のうちに掃除をしてしまおう。父がいたら色々と理由をつけて断られるしな」
娘はハタキを持ってきて、背伸びをしながら本棚を軽くはたいた。
「うっぷ、なんたる埃だろうか。……ん?」
埃を払っていると、ハタキに当たって本棚から本が一冊落ちてきた。
「ふむ、なにやら難しい漢字だな。なんと書いてあるのか、子供ゆえ読めないのが残念だ。仕事関係の本か?」
表紙をめくると、そこには娘と同じくらいの少女が裸で転がっている絵があった。
「こ、これは、噂に聞くエロ本ではないか。ああ父よなんたることだ、私という小学生の娘がいるというのに、私と同年代の少女が題材のエロ漫画を所持しているとは」
娘は大きく目を見開き、興味津々な様子で次々ページをめくっていった。
「む、これは……まったく胸がないではないか。父はこういったものが好みなのか。ああ完全に犯罪だ、性犯罪者ではないか」
「ああ娘よ、ここにいたのくぁーっ!?」
ズボンの位置を直しながら部屋に入ってきた父は、自分の愛読書を読む娘の姿を見て奇声を発した。
「父、隠すなら私の手が届かない場所に隠すべきだ。カバーを違う本で偽装していたとしても、何かのはずみで見つかってしまうぞ。今この時のように」
「は、はは、何を言ってるのか皆目分からないな」
父は素早く娘の持つ本を奪い取り、背中に隠した。
「……これは驚いた。父、思いのほか素早い動きができるのだな。いわゆる火事場の馬鹿力という奴か」
「む、娘よ、掃除は感謝する。だがしかし、ここは父の仕事場。触られると困る品もあるゆえ、掃除はやめてほしい」
「困る品というと、いま父が後ろ手に持っている明らかに未成年の少女が出てくるエロ漫画のことだな」
父は慌てて後ろ手に持った本を棚の奥に隠した。
「娘よ、父をいじめて楽しいか」
「父、大人なのだから泣くのはやめてほしい」
「大人だからこそ泣けてくることもある」
「父、父はその……いわゆる、幼児性愛者なのか? 病気なのか?」
「前者は半分肯定だが、後者は否定だ」
「ああなんたることだ。父はもうダメだ、投獄されるに違いない」
「娘よ、父はまだダメではない。父は別に幼児性愛者ではなく、ただ胸が慎ましい女性が好みなだけだ」
「本当か?」
「本当だ。まだ少女を襲った事はない」
「ああなんたることか、父はやはりダメだ。“まだ”などと言っている。いつか実行するに違いない」
「娘よ、たまには父を信用してみるがいい」
「あまり無理を言うものではない。父は信用という言葉から最も離れた場所に存在している。信用されたいのなら、普段から信用されるような事をするべきだ」
「信用……こうか?」
父は娘を抱き寄せ、向かい合わせになるように自分の膝に乗せた。そして、優しく頭をなでた。
「ち、父? 何をいきなり……」
突然のことに、娘は目を白黒させた。
「いやなに、ただのスキンシップだ。こういった小さな事を重ねることが肝要と思ってな。どうだ?」
「ふ、ふん。こんな小細工をされても、信用などできるはずがない」
顔を背ける娘だが、口元が小さく笑っている事を父は見逃さなかった。
「娘よ、信用はともかく、気持ちいいか?」
「……ふん、特に気持ちよくなどない」
憎まれ口を叩きつつ、娘は父の胸に頭を寄せるため、軽く腰を揺すった。
「あ」
「……父、娘である私の瑞々しくも張りのあるお尻に何か当たっているのだが」
「全くの気のせいだ」
「ああ父よ、娘のお尻で勃つとは何事か。それとも父を鬼畜道に堕とす程の魅力を持つ私が悪いのか」
「娘よ、父の気のせいでなければ、どこか嬉しそうなのだが」
「ま、全くの気のせいだ」
「…………」
「……ふ、ふゅーふゅー」
「娘よ、嘘が下手な上に口笛までも下手なのだな」
「……父、意地が悪いぞ」
そう言って、娘は照れくさそうに頬を染めながら口をとがらした。