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2024年11月23日
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【ツンデレと恵方巻きを丸かぶり】

2010年03月22日
 小学生の娘とスーパーを探索してたら、太巻きを見つけた。
「娘よ、父は恵方巻きを食べたい」
「父、それはダメだ。我が家の家計は逼迫している。そんな余裕はない」
 娘が何か言ってるが、特に気にせず買い物カゴの中に恵方巻きを入れる。
「父、私の話を聞いているか。それとも私の話を理解できないのか。ああ父が壊れてしまった」
「娘よ、父は壊れてない。父はただ太巻きを食べたいだけだ。決して娘が太巻きを口に咥えるところを見たいわけではないぞ」
「父は娘である私を性欲の対象に見る。なんと不幸なんだろうか」
 一際大きな声でそんなことを言うので、周囲の客が父である俺を奇異の目で見る。
「娘よ、菓子を買ってやろう。だからあまり大きな声で変なことを言うものではない」
「父、繰り返すが我が家の家計は逼迫している。菓子など買う余裕などない。子供である私を性欲の対象に見る暇があれば、もっと仕事を頑張り、さらに無駄遣いを控えることだ」
「む、娘よ、とにかく行こう。父はなんだかお腹が痛くなってきた」
 騒ぎを聞きつけた警備員が遠くからやってくるのが見えたので、娘の手を握って逃げる。
「ち、父、あまり強く握るな」
「娘よ、少しの我慢だ」
 なんとか危機を脱し、買うものを買って家に帰る。
「まったく、強く握りすぎだ。手が赤くなってしまったではないか」
「す、すまない」
「……まぁ、別にいいが」
 娘は少しだけ頬を染め、自分の手を軽くさすった。
「とにかく、太巻きを食べよう」
「それほどまでに娘である私が太巻きを咥える様を見たいのか。ああなんという父の元に生まれてしまったのだろう」
「ははっ。娘よ、面白い冗談だな」
「何を言う。私は冗談は好かない」
「…………」
「買ってしまったものはしょうがない、食べよう。父、娘である私が太巻きを咥える様を見るがいい。そこから親としてあるまじき想像をするのも、まあ、あまり好ましいものではないが、個人の自由だ」
「娘よ、あまり父をいじめるな」
「父が恥ずかしい事を言わなければ済む話だ」
 事も無げにそう言って、娘は太巻きをかじった。
「はぐはぐ。……む、なかなか美味いな、この太巻き」
「娘よ、かじるのではなく咥えてみてはどうだろう」
「ああ父が娘である私を本気で性欲の対象で見る。なんという星の元に生まれてきたのだろう」
「娘よ、もちろん冗談だ。本当だぞ?」
「父、そんなことが信じられるだろうか。……まぁ、放っておいては性犯罪を犯しかねない。しかたない、少しだけサービスだ」
 そう言って、娘は太巻きを咥えた。
「ほへへひひほは?(これでいいのか?)」
「娘よ、太巻きに舌を這わせるのはどうだろう」
「ああ父が娘である私に本格的な指導を始めた。これはもう然るべき施設に入れたほうがいいのかもしれない」
「娘よ、父は冗談を言ったまでだ。本当だぞ?」
「……はぁ。父、冗談は私だけに言うがいい。外でそんなことを口走ったら、一生臭い飯を食う羽目になるぞ」
「娘よ、安心しろ。父も多少は相手を見て言葉を選んでいる。まだ訴えられたことはないぞ」
「ああ父は娘である私にのみセクハラの津波を浴びせる。母、哀れな子羊である私を助けて欲しい」
 娘は仏壇に置かれた鈴を打ち鳴らし、位牌を拝んだ。
「むぐむぐ……娘よ、うまい太巻きだな」
「父、私の太巻きを食べるな」
 娘は俺の食べかけの太巻きを奪い、口にした。
「娘よ、間接キスだな」
「っ!!」
 娘の顔が一瞬でゆでタコのように真っ赤になった。
「か、家族だから平気だ。まったく、何を言っているのか、この父は」
「娘よ、どうしてそんなに顔が赤いのか」
「……父、いじわるだぞ」
 そう言って、娘は恥ずかしげに上目遣いで俺を見た。

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