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2024年11月23日
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【ちゅんでれが「かたたたきけん」をくれたようです】
2010年03月19日
「父、これをやろう」
仕事に飽きたので気分転換に家中の掃除をしていると、小学校から帰ってきた娘が紙切れを差し出した。
「娘よ、これは伝聞でしか聞いたことのない品、『かたたたたたたたきけん』ではないか」
「父、“た”が多すぎる。父は私がまだ漢字を書けない事を逆手に取り、巧みに嫌がらせを差し込んでくる。きっとここから性的嫌がらせに移行するに違いない。ああなんという父の元に生まれてきてしまったのだろうか」
後半部分だけ周りの家々に届くよう声を張って叫ぶ娘の口を慌てて塞ぎ、半泣きで窓を閉める。
「は、はは、本当に冗談が好きだな、娘よ」
「別に冗談のつもりはないが……それより父、早速使ってはどうだろうか。いつも遊んでばかりいるのでこっていないとは思うが、軟体動物よりはこっているだろう」
「娘よ、父は遊んでばかりいるわけではないぞ。ただ、仕事が非常に面倒でしんどいので、その気分転換に遊んだりして」
「父、早くしろ。私も暇ではないのだ」
怒られたので券を渡そうとして、思い止まる。こんな何でもない時に使っていいものだろうか。それより、もっと重大なイベントの際……そう、娘が結婚する時にでも……結婚、娘もいつかするのだろうか。
「ち、父!? 何を泣いている!?」
「ん? あ、ああ」
娘が結婚する光景を想像したら、もう泣けてきた。
「大丈夫か? お腹でも痛いのか?」
「あ、いや、……まあ、そんなところだ」
さすがに想像で泣けたとは言えず、適当に言葉を濁して涙を拭う。
「痛いの痛いのとんでけー、痛いの痛いのとんでけー」
すると面白いことになった。
「父、飛んだか? 痛いの飛んだか?」
俺の腹を何度もさすり、心配そうに声をかける娘に胸キュン。
「いや、胸キュンじゃないだろ」
「父?」
「あ、いや……うむ、父は少々疲れているのかもしれない。少し横になる」
「大丈夫か? お腹痛いの飛んだか? ……そうだ、ゆたんぽを持ってくる! ちょっと待ってろ、父!」
別に腹は痛くないしゆたんぽなんて暑いだけだと思ったが、娘の珍しい善意なのでありがたく受け取ることにする。
「そういえば、この券どうするか……」
考えるとまた結婚に行き着いて泣いてしまうので、ひとまず保留としよう。
「父、持ってきたうあっ」
ゆたんぽを持ってきた娘が足元の雑誌につまずき、転んで父である俺の布団の上に乗った。そして飛んだゆたんぽが俺の顔面に突撃して鼻が痛い。
「ち、父!? なにを……」
あまりの痛みに布団の上の物体をがっしり抱きしめる。物体の顔が赤らんでいくが、鼻が痛くてあまり言及できないのが辛いところ。
「……ち、父は娘である私を性欲の対象で見る。なんという星の元に生まれてきたのだろうか」
「娘よ、いま父は性欲より痛みの方が強い。飛んできたゆたんぽが鼻に激突したため、鼻が痛い。別に娘が愛しくて抱きしめたわけではない」
「……わ、分かっている! ふん、そんなことお見通しだ。まったく、父は浅はかで困る。こんなことで勝ち誇ってどうする。莫迦め。えいえい」
別段勝ち誇ってもいないのだが、苛立たしげに俺の頬を引っ張る娘を見てると、どうでもいいかと思えてくる。
「娘よ、父は鼻と頬が同時に痛いという稀有な経験をしているが、できれば鼻だけの痛みで止まりたいのだが、どうだろう」
「うるさい黙れ。寝てろ莫迦」
不満そうに俺の頬をぎうぎう引っ張る娘だった。
仕事に飽きたので気分転換に家中の掃除をしていると、小学校から帰ってきた娘が紙切れを差し出した。
「娘よ、これは伝聞でしか聞いたことのない品、『かたたたたたたたきけん』ではないか」
「父、“た”が多すぎる。父は私がまだ漢字を書けない事を逆手に取り、巧みに嫌がらせを差し込んでくる。きっとここから性的嫌がらせに移行するに違いない。ああなんという父の元に生まれてきてしまったのだろうか」
後半部分だけ周りの家々に届くよう声を張って叫ぶ娘の口を慌てて塞ぎ、半泣きで窓を閉める。
「は、はは、本当に冗談が好きだな、娘よ」
「別に冗談のつもりはないが……それより父、早速使ってはどうだろうか。いつも遊んでばかりいるのでこっていないとは思うが、軟体動物よりはこっているだろう」
「娘よ、父は遊んでばかりいるわけではないぞ。ただ、仕事が非常に面倒でしんどいので、その気分転換に遊んだりして」
「父、早くしろ。私も暇ではないのだ」
怒られたので券を渡そうとして、思い止まる。こんな何でもない時に使っていいものだろうか。それより、もっと重大なイベントの際……そう、娘が結婚する時にでも……結婚、娘もいつかするのだろうか。
「ち、父!? 何を泣いている!?」
「ん? あ、ああ」
娘が結婚する光景を想像したら、もう泣けてきた。
「大丈夫か? お腹でも痛いのか?」
「あ、いや、……まあ、そんなところだ」
さすがに想像で泣けたとは言えず、適当に言葉を濁して涙を拭う。
「痛いの痛いのとんでけー、痛いの痛いのとんでけー」
すると面白いことになった。
「父、飛んだか? 痛いの飛んだか?」
俺の腹を何度もさすり、心配そうに声をかける娘に胸キュン。
「いや、胸キュンじゃないだろ」
「父?」
「あ、いや……うむ、父は少々疲れているのかもしれない。少し横になる」
「大丈夫か? お腹痛いの飛んだか? ……そうだ、ゆたんぽを持ってくる! ちょっと待ってろ、父!」
別に腹は痛くないしゆたんぽなんて暑いだけだと思ったが、娘の珍しい善意なのでありがたく受け取ることにする。
「そういえば、この券どうするか……」
考えるとまた結婚に行き着いて泣いてしまうので、ひとまず保留としよう。
「父、持ってきたうあっ」
ゆたんぽを持ってきた娘が足元の雑誌につまずき、転んで父である俺の布団の上に乗った。そして飛んだゆたんぽが俺の顔面に突撃して鼻が痛い。
「ち、父!? なにを……」
あまりの痛みに布団の上の物体をがっしり抱きしめる。物体の顔が赤らんでいくが、鼻が痛くてあまり言及できないのが辛いところ。
「……ち、父は娘である私を性欲の対象で見る。なんという星の元に生まれてきたのだろうか」
「娘よ、いま父は性欲より痛みの方が強い。飛んできたゆたんぽが鼻に激突したため、鼻が痛い。別に娘が愛しくて抱きしめたわけではない」
「……わ、分かっている! ふん、そんなことお見通しだ。まったく、父は浅はかで困る。こんなことで勝ち誇ってどうする。莫迦め。えいえい」
別段勝ち誇ってもいないのだが、苛立たしげに俺の頬を引っ張る娘を見てると、どうでもいいかと思えてくる。
「娘よ、父は鼻と頬が同時に痛いという稀有な経験をしているが、できれば鼻だけの痛みで止まりたいのだが、どうだろう」
「うるさい黙れ。寝てろ莫迦」
不満そうに俺の頬をぎうぎう引っ張る娘だった。
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