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2024年11月23日
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【ツンデレな妹VSデレデレな姉11】
2010年03月19日
お姉ちゃんが花見をしようと言い出した。
「お姉ちゃんとタカくんとカナちゃんの三人で、お弁当食べながら。きっと楽しいよ?」
「俺は異論ないけど、カナが『姉ちゃんの弁当なんて食えたもんじゃないカナカナ。だから、兄貴にはあたしがお弁当作ってあげるカナカナ。これで兄貴とラブラブじゃないカナカナ』と言うのです」
「どういうこと、カナちゃん!?」
お姉ちゃんが超怖い顔で妹のカナに詰め寄った。
「い、言ってないわよ! ちょっと兄貴、なに勝手に捏造してんのよ!」
「騒がしい人たちだなぁ」
お茶をすすってたら殴られた。
「まぁそういうわけで一騒動あったものの、無事お花見と相成ったわけなのです」
「首謀者が何を他人事みたいに……」
近くの公園までやってきた俺たちは、手頃な桜の近くにレジャーシートを敷いてその上に座った。お姉ちゃんが作ってくれたお弁当をその脇に置く。
「わぁ、満開ね」
お姉ちゃんが髪を押さえながら桜を見上げた。……ううむ、身内びいきがあるにしても絵になる人だ。
「……兄貴、何ぼーっと姉ちゃん見つめてんのよ」
「ききき気のせいだ! そ、それより俺としては一刻も早く弁当を胃に納めたいのですが」
「タカくん、めっ! ちゃんと桜を鑑賞してからじゃないとダメ!」
「お、お姉ちゃんが俺を叱った……ああ、もうダメだ。カナ、慰めて」
よろめきながらカナの膝に頭を乗せたら、いっぱい殴られた。
「お、お姉ちゃん、カナが顔の形が変わるくらい殴る~」
「あらあら、可哀想に。よしよし」
お姉ちゃんのふくよかな胸に顔を埋める。それだけで顔の耐え難い痛みが消えていくようだ。
「ったく、甘えん坊が……」
ひとしきりお姉ちゃんに甘えた後、カナがふて腐れたようにぼそりと言った。
「俺のどこが甘えん坊だというのだ、カナ?」
「その状態でどうしてそんな台詞を言えるんだか……」
お姉ちゃんに後ろから抱っこされている状態の何が悪いというのだ。よく分からんことを言う妹だ。
「とにかく、食べよう。食べながら花見すればいいよね、お姉ちゃん?」
「そうだね、タカくん。いーこいーこ」
くりくり頭をなでられて、気分は小動物。やや屈辱的だが、もう慣れた。
「それじゃ、い……」
「いただきまーす」
手を合わせ食事開始の合図を出そうとした刹那、カナがいただきますと言い放った。
「お、お姉ちゃん! カナが俺のいただきますを取った!」
「いちいち姉ちゃんに甘えるな、馬鹿兄貴!」
カナに殴られたので、甘えるのはやめて弁当を食うことにしよう。
「むぐむぐ……やっぱお姉ちゃんの作るご飯は美味しい」
「そう? えへへへっ、ほらほらっ、これも食べて食べて」
「もがもが」
「……姉ちゃん、食べさせるのもいいけど、口に詰め込みすぎ。兄貴の顔が変色してるわよ」
「わっ、タカくんの顔色が青紫色に! 大変だけど、紫陽花みたいで綺麗♪」
お姉ちゃんは本当は俺のことが大嫌いなのではないだろうか。
「姉ちゃん、兄貴痙攣してるけど……」
「わわっ、大変たいへん! だけど、人工呼吸の大ちゃんす! いくよっ!」
「兄貴、お茶」
「ごくごくごく……ぷはーっ、サンキュ、カナ。死にかけた」
「あああああっ!? タカくん復活してる!? ちゅーできなかった、ちゅー!」
「お姉ちゃんうるさい」
「タカくんに叱られたー……しょぼーん」
ちょっと可哀想だけど、棺桶に足を半分突っ込んだ身としてはそれくらい言ってもいいだろう。
「にしても、本当姉ちゃんの作るご飯美味しいわね。……なんであたしが作ると美味しくないんだろう」
カナが唐揚げをつまみながら言った。
「人には出来ることと出来ないことがある。カナはお菓子作りが上手だから、それでよしとすればいいじゃん」
「そ、そうだけど……でもさ、やっぱ料理上手な方が女性らしいじゃない」
「そういうことは女性が言うことだぞ?」
「立派な女性よ!」
唐揚げが口に突っ込まれた。
「もがもが……ごくん。んん、うまひ。飯は美味い、桜は綺麗、さらに可愛い娘さんがいる。言うことないな」
「姉と妹だけどね。……兄貴、彼女とか作らないの?」
「ホムンクルスの作り方知らないんだ」
「誰も製造しろとは言ってない!」
「それ以外にどうやって俺に彼女を作れるというのだ!?」
「自分が全くもてないことをそこまで誇らしげに言うなんて……タカくんってすごい!」
お姉ちゃんに褒められたが、どうしても褒められているような気がしない。
「あははははっ、やっぱ兄貴ってもてないんだ」
「も、もてるぞ!? この間なんて、三丁目の花子にすごいアプローチを受けたのだ! いや、モテモテで困る」
「三丁目の花子って、山田さん家の犬のこと?」
お姉ちゃんが俺のささやかなプライドを打ち砕いた。
「兄貴、動物にだけはもてるもんね……」
昔からどういうことか動物にのみ大人気な俺です。
「もういいよ。俺は花子と一生を添い遂げるから」
「タカくんが獣姦趣味に目覚めた!? どど、どうしよう!? お姉ちゃん、動物のコスプレしたらいいのかな!?」
お姉ちゃんはそそっかしくて困る。そんな趣味に目覚めた覚えはない。
「なに考えてんのよ! そんな趣味認めないわよ、兄貴!」
認められても困る。
「あーもー冗談に決まってるだろーが。彼女なんかいなくても、二人がいればそれで充分すぎるくらいだよ」
「タカくん……お姉ちゃん、超感動!」
お姉ちゃんが感極まって俺を拿捕した。胸に頭が食われる。
「し、仕方ないわね。兄貴がそう言うなら、一緒にいてあげる」
頬を桜色に染めながら、カナが小さく言った。
「よきにはからえ」
「タカくんがお殿様みたいに」
「……調子に乗ってると潰すわよ」
恐怖のあまりお姉ちゃんにしがみつく。もにゅん、とお姉ちゃんの大きな胸が形を変えた。
「た、タカくん大胆……お姉ちゃん、ちょっとドキドキ」
「アンタどさくさに紛れて何やってんのよ! こら、姉ちゃんから離れなさい!」
騒がしくも楽しい花見でした。顔の形が変わるくらいカナに殴られなければ。
「お姉ちゃんとタカくんとカナちゃんの三人で、お弁当食べながら。きっと楽しいよ?」
「俺は異論ないけど、カナが『姉ちゃんの弁当なんて食えたもんじゃないカナカナ。だから、兄貴にはあたしがお弁当作ってあげるカナカナ。これで兄貴とラブラブじゃないカナカナ』と言うのです」
「どういうこと、カナちゃん!?」
お姉ちゃんが超怖い顔で妹のカナに詰め寄った。
「い、言ってないわよ! ちょっと兄貴、なに勝手に捏造してんのよ!」
「騒がしい人たちだなぁ」
お茶をすすってたら殴られた。
「まぁそういうわけで一騒動あったものの、無事お花見と相成ったわけなのです」
「首謀者が何を他人事みたいに……」
近くの公園までやってきた俺たちは、手頃な桜の近くにレジャーシートを敷いてその上に座った。お姉ちゃんが作ってくれたお弁当をその脇に置く。
「わぁ、満開ね」
お姉ちゃんが髪を押さえながら桜を見上げた。……ううむ、身内びいきがあるにしても絵になる人だ。
「……兄貴、何ぼーっと姉ちゃん見つめてんのよ」
「ききき気のせいだ! そ、それより俺としては一刻も早く弁当を胃に納めたいのですが」
「タカくん、めっ! ちゃんと桜を鑑賞してからじゃないとダメ!」
「お、お姉ちゃんが俺を叱った……ああ、もうダメだ。カナ、慰めて」
よろめきながらカナの膝に頭を乗せたら、いっぱい殴られた。
「お、お姉ちゃん、カナが顔の形が変わるくらい殴る~」
「あらあら、可哀想に。よしよし」
お姉ちゃんのふくよかな胸に顔を埋める。それだけで顔の耐え難い痛みが消えていくようだ。
「ったく、甘えん坊が……」
ひとしきりお姉ちゃんに甘えた後、カナがふて腐れたようにぼそりと言った。
「俺のどこが甘えん坊だというのだ、カナ?」
「その状態でどうしてそんな台詞を言えるんだか……」
お姉ちゃんに後ろから抱っこされている状態の何が悪いというのだ。よく分からんことを言う妹だ。
「とにかく、食べよう。食べながら花見すればいいよね、お姉ちゃん?」
「そうだね、タカくん。いーこいーこ」
くりくり頭をなでられて、気分は小動物。やや屈辱的だが、もう慣れた。
「それじゃ、い……」
「いただきまーす」
手を合わせ食事開始の合図を出そうとした刹那、カナがいただきますと言い放った。
「お、お姉ちゃん! カナが俺のいただきますを取った!」
「いちいち姉ちゃんに甘えるな、馬鹿兄貴!」
カナに殴られたので、甘えるのはやめて弁当を食うことにしよう。
「むぐむぐ……やっぱお姉ちゃんの作るご飯は美味しい」
「そう? えへへへっ、ほらほらっ、これも食べて食べて」
「もがもが」
「……姉ちゃん、食べさせるのもいいけど、口に詰め込みすぎ。兄貴の顔が変色してるわよ」
「わっ、タカくんの顔色が青紫色に! 大変だけど、紫陽花みたいで綺麗♪」
お姉ちゃんは本当は俺のことが大嫌いなのではないだろうか。
「姉ちゃん、兄貴痙攣してるけど……」
「わわっ、大変たいへん! だけど、人工呼吸の大ちゃんす! いくよっ!」
「兄貴、お茶」
「ごくごくごく……ぷはーっ、サンキュ、カナ。死にかけた」
「あああああっ!? タカくん復活してる!? ちゅーできなかった、ちゅー!」
「お姉ちゃんうるさい」
「タカくんに叱られたー……しょぼーん」
ちょっと可哀想だけど、棺桶に足を半分突っ込んだ身としてはそれくらい言ってもいいだろう。
「にしても、本当姉ちゃんの作るご飯美味しいわね。……なんであたしが作ると美味しくないんだろう」
カナが唐揚げをつまみながら言った。
「人には出来ることと出来ないことがある。カナはお菓子作りが上手だから、それでよしとすればいいじゃん」
「そ、そうだけど……でもさ、やっぱ料理上手な方が女性らしいじゃない」
「そういうことは女性が言うことだぞ?」
「立派な女性よ!」
唐揚げが口に突っ込まれた。
「もがもが……ごくん。んん、うまひ。飯は美味い、桜は綺麗、さらに可愛い娘さんがいる。言うことないな」
「姉と妹だけどね。……兄貴、彼女とか作らないの?」
「ホムンクルスの作り方知らないんだ」
「誰も製造しろとは言ってない!」
「それ以外にどうやって俺に彼女を作れるというのだ!?」
「自分が全くもてないことをそこまで誇らしげに言うなんて……タカくんってすごい!」
お姉ちゃんに褒められたが、どうしても褒められているような気がしない。
「あははははっ、やっぱ兄貴ってもてないんだ」
「も、もてるぞ!? この間なんて、三丁目の花子にすごいアプローチを受けたのだ! いや、モテモテで困る」
「三丁目の花子って、山田さん家の犬のこと?」
お姉ちゃんが俺のささやかなプライドを打ち砕いた。
「兄貴、動物にだけはもてるもんね……」
昔からどういうことか動物にのみ大人気な俺です。
「もういいよ。俺は花子と一生を添い遂げるから」
「タカくんが獣姦趣味に目覚めた!? どど、どうしよう!? お姉ちゃん、動物のコスプレしたらいいのかな!?」
お姉ちゃんはそそっかしくて困る。そんな趣味に目覚めた覚えはない。
「なに考えてんのよ! そんな趣味認めないわよ、兄貴!」
認められても困る。
「あーもー冗談に決まってるだろーが。彼女なんかいなくても、二人がいればそれで充分すぎるくらいだよ」
「タカくん……お姉ちゃん、超感動!」
お姉ちゃんが感極まって俺を拿捕した。胸に頭が食われる。
「し、仕方ないわね。兄貴がそう言うなら、一緒にいてあげる」
頬を桜色に染めながら、カナが小さく言った。
「よきにはからえ」
「タカくんがお殿様みたいに」
「……調子に乗ってると潰すわよ」
恐怖のあまりお姉ちゃんにしがみつく。もにゅん、とお姉ちゃんの大きな胸が形を変えた。
「た、タカくん大胆……お姉ちゃん、ちょっとドキドキ」
「アンタどさくさに紛れて何やってんのよ! こら、姉ちゃんから離れなさい!」
騒がしくも楽しい花見でした。顔の形が変わるくらいカナに殴られなければ。
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