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2025年04月11日
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【バナナの日】

2010年08月07日
 今日はバナナの日らしいのでバナナを買い込んだら部屋がバナナに侵された。このままでは以後の人生に多大なる影響を与えそうだったので、かなみを呼んで事態の収拾を要請したら殴られた。
「痛いですよ?」
「うっさい、ばか! なに考えたら部屋に入れなくなっちゃうくらいバナナ買っちゃうのよ!」
 部屋の入り口から溢れてるバナナを指して、かなみが叫ぶ。
「暑いから頭が動かなかったんだと思う。ほら、夏だし。あと、搬入が超大変だった。だけどそれでも頑張った俺を褒めるか?」
「100回死ね!」
「頭の悪い台詞ですね!」
 無言で頬をぎううううっとつねりあげられたので大変に痛く超泣きそう。
「まだ何か言うことは?」
「今日もかなみ様はお綺麗ですね。だから俺の頬を取り外さないで」
「別に取り外そうとはしてないわよっ! お仕置きしてるだけっ!」
「なんだ」
「なんでこの子はこんな馬鹿なの……?」
 本気で不思議がらないで。
「まあそういうことなんで、バナナの処理をお願いします」
「なんであたしがそんなのやんなきゃいけないのよ。アンタの招いたことなんだから、アンタがやりなさいよね」
「友達が悲劇に見舞われているというのに、なんて酷い奴なんだ。今日はお前を痴漢する妄想をおかずにしてやる」
「著作権の侵害っ!」
 いちいち殴らないで。そりゃ鼻血も出ますよ。
「脳内に著作権は適用されませんよ?」
 鼻血をフキフキしながら訴える。関係ないが、フキフキ、という単語を聞くと無性に興奮する。
「うっさい、馬鹿! 気持ち悪いからあたしをアンタの妄想に登場させるなっ!」
「俺をかなみの妄想に登場させてもいいから」
「しっ、したことないわよっ! 妄想なんて! 一回も!」
「そんな顔を赤くして怒らなくても分かってます」
「うー……し、したことないからね! 本当に! アンタなんか出てきたことなんてないから!」
「ほうほう」(もぐもぐ)
「人の話は真剣に聞けっ!」
 部屋から溢れてるバナナをもぐもぐ食べてたら殴られた。この人は俺をすぐ殴るので酷いと思います。
「あーもうっ、しょうがないからあたしも手伝ってあげるわ。この暑さだし、すぐ傷んじゃうだろうし」
 かなみはバナナを一房取ると、いそいそと皮をむき始めた。
「舌をえろちっくに這わせてくれると嬉しいです」
「…………」
「嬉しいです!」
「睨んでることに気づけ、ばかっ!」
 また殴られた。そろそろ訴えたら勝てるレベルだと思う。
「はぁ……。馬鹿だし変態だし、アンタっていいとこ一個もないわねー。そんなアンタを見捨てずにつきあってあげてるあたしって、ほんっと優しいわねー?」
「優しい人は自分でそう言わないだろうし、何よりすぐ手を出さないと思う」
「手が滑った!」
 全力でバナナの皮を人の口に投げ入れる事を、手が滑ったとは言いません。
「もがもがもが」
「あははっ! ばっかみたーい」
「もがもが……ぺっ。あのな、死ぬから」
「いいじゃない、別に」
「なんて言い様だ。悪魔がここにいる」
「あははっ、ばーかばーかばーか。……うん、お似合い♪」
 かなみは楽しそうに俺の頭にバナナの皮を乗せた。ちっとも嬉しくない。
「アンタって馬鹿な格好よく似合うわよねー」
「そうか? じゃ、夏休みが明けたらこの姿で学校行く」
「来てもいいけど、あたしに近寄らないでよね」
「その時には頭のバナナが腐って異臭を放ってるから?」
「新しいのに取り替えてから来いっ!」
 近寄るなと言った割に新品に取り替えろと忠告してくれるあたり、根っこはいい奴なのだろう。
「ふぅ……。それにしても、食べても食べても減らないわねー」
 くだらない話をしつつも食べているのだが、一向にバナナは減らない。いい加減黄色い山に嫌気を指したのか、うんざりした表情でかなみが呟いた。
「どうしよう。ロケットにくくりつけて宇宙にでも飛ばすか?」
「バイバインは関係ないっ!」
「おお……すぐにそのツッコミを選択するとは。すごいな、かなみ」
「う……べ、別にアンタなんかに褒められても嬉しくなんてないし」
 と言いながらも、かなみはほんのり頬を染めてこっそり笑っていた。
「あー、それにしてもいい加減飽きたな。それに、腹もかなり膨れてきた」
「どうするの? ……言っとくけど、捨てたりしたら許さないからね。食べ物を粗末にする奴は嫌いよ」
「大丈夫、俺もそうだ。……よし、奥の手だ!」
 携帯電話をとりだし、ぴぽぱ。
「大変だ、リナっ! 俺の家がバナナに……バナナに襲われてるんだ! 助けてくれっ!」
 それだけ言って、すぐに通話を切る。電源も落とす。これでよし、と。
「ね、ねぇ、今の……?」
 かなみの問いかけとほぼ同時に、遠くから何かの曲が聞こえてきた。これは……ワルキューレの騎行?
「ほーっほっほっほ! わたくしにお任せ、でーっすわ!」
 馬鹿がヘリコプターでやってきた。
 うちの狭い庭に無理やり着地すると、ヘリからリナが颯爽と出てきた。そして、優雅な所作でうちに入ってきた。
「バナナに襲われたというわけの分からない理由でも、優しい優しいわたくしは助けに……ばっ、バナナが家を蹂躙してますわ!?」
 俺の部屋からあふれ出るバナナを見て、リナが驚いてた。
「こんちゃ、リナ。とりあえずバナナをおっぱいではさんで下さい」
「「下品っ!」」
 ステレオで怒られた。あと、貧乳の方に殴られた。
「まったく……。それで、どうしたんですの、このバナナ?」
「バナナの日だから買い込んだらKONOZAMAだ」
 リナが残念な人を見る目で俺を見るので悲しい。
「ええと、まあそういうわけなんで、おまえんちの巨大冷蔵庫を貸してくれると嬉しい。あと、おっぱいを触らせてもらえるともっと嬉しい」
「胸のことは言わないでくださいますことっ!?」
 リナの胸がぶるんっと震えた。
「……いいなあ」(ぼそり)
「隣で貧乳がうらやましそうに何か言っていた」
「そういうことは心の中で言えっ!」
 貧乳が僕の口にバナナをたくさんつめこみます。
「と、とにかく、このバナナをわたくしの家の冷蔵庫に入れればいいんですのね?」
「もがもが……ぺっ。そう。お願いできるか?」
「……ふふん。どうして貴方なんかの言う事を聞かなければならなくって? お断りよ! おーっほっほっほっほ!」
「あー、これが言いたくてヘリで飛んできたのか。暇だなあ」
「貴方に呼ばれて来たのになんて言い様ですの!?」
「とにかく、頼むよ。もし断るならお前の目の前で全部捨てる」
「捨てる!? ……え、この大量のバナナを、ですの?」
「そう、全部。まだ食えるのに捨てる。完膚なきまでに捨てる」
「……か、考え直しませんこと? もったいないですわよ?」
 このお嬢さんは金持ちのくせに庶民の感性も持っているので、こういった攻撃が割と有効だったりする。
「考え直さない。捨てる。飽食の日本人を体現した存在に俺はなる!」
「……分かった、分かりましたわ! わたくしが全部持って帰ればいいんでしょう!?」
「おお、流石は俺のリナ。そう言ってくれると信じていたぜ」
「だっ、誰が貴方のリナですの!? ふ、不愉快ですわ! ぷんぷんですわ! ぷんぷーんですわ!」
 リナは怒りで顔を真っ赤にして、家から飛び出した。そしてそれと入れ替わりに黒服の連中がぞろぞろと家に入ってきたかと思ったら、手際よくバナナをヘリに詰め込み、そして飛び立って行った。
「すげー……全部なくなった」
 あっという間にバナナは消え、綺麗な俺の部屋が残った。
「…………」
 そして、なんか知らんがぶっすーとしてる貧乳の人。
「え、ええと。ありがとな、かなみ。手伝ってくれて」
「……俺のリナ、って言った」
「え、あ、ああ。こ、言葉のあやでな」
「……ふーん」
 いかん。なんか知らんが俺の背中が冷や汗ダンス。
「……一番に呼んだのあたしなのに、あたしにはそーゆーの言わないんだ。……まあ、言って欲しくもないけど」
「そ、そなんだ」
「…………」(じぃーっ)
 見られてる。超見られてる。何かを期待した目で超見られてる。
「え、ええと……こほん。今日は助かったよ、かなみ。えーと、あー……その、なんだ、なんだろう?」
「……別に、言われなくても平気だし」(涙じわーっ)
「これからもどうか俺のそばにいてください俺のかなみ!?」
「…………」
 ど、どうだ? セーフか? アウトか?
「……そ、それ、言いすぎだし。なんかプロポーズみたいだし。アンタなんかにそんなの言われるの超迷惑だし」
「え、あ、そ、そうだな。悪かった」
「……め、迷惑だけど、もっかい言って。もっかい」
 なんでちょっと頬を赤らめながら上目遣いで俺の服をくいくい引きますか。どんなスタンド攻撃ですか。
「え、えーと。……俺のそばにいてください、俺のかなみ?」
「う、うわぁ、気持ち悪い台詞。……で、でも面白いからもっかい。もっかい」
 なんで引き続き俺の服をくいくい引きますか。そしてなんで言葉とは裏腹に笑顔なんですか。
「もう無理。死にます」
「いいからもっかい! もっかい言うの!」
 わにゃわにゃ言うかなみに服を引っ張り続けられる俺だった。

拍手[18回]

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【ツンデレがどうしても観たくて行った映画がおもいっきり地雷だったらどうなるの】

2010年06月03日
「……かなみさん、ひとつよろしいでしょうか?」
「何よ? あ、ポップコーン買って来て。おごりで」
「(黙殺)どうして俺が映画館にいるのでしょうか?」
「……(無視されたことにやや腹を立てながら)今日はレディースデーだから安いのよ? 知らないの?」
「あいにく俺は股間になんか付いてるので通常料金で……いや、そうじゃなくて、なんで俺まで映画見なきゃいけないんだ? 一人で見りゃいいだろ」
「いっ……いいでしょ!? どうせ休みだからって家でダラダラしてるだけでしょッ!」
「決め付けるなよ。……まぁ、当たらずとも遠からじだけど」
ビー
「あ、映画始まる。ほら、ポップコーン買って来て」
「えー、予告編見たい……」
「いいから!」
「…………」

 上映が終わり、近所の喫茶店にて感想会。
「…………」
「…………」
「……あんなのが見たかったのか?」
「ちっ、違っ! 予告編で見たときはもっと面白そうだったの!」
「いやいや、無理しなくていいって。かなみのレベルにぴったりの作品だったな」
「ばっ、馬鹿にしてーーーーーーーーーーーー!」
「ばーか、ばーか」
 ひらりひらりと小馬鹿にした踊りを舞う。店員や客の視線がとても辛い。
「そういうこと言ってるんじゃない!」
 すごい殴られる。
「しっかしアレだな、おまえも寂しい奴だな」
 殴られた顔をさすりながらしみじみと言う。
「な、何よいきなり」
「せっかくの休みに俺なんかと二人で映画か。他に誘う奴いなかったのか?」
「そ、それくらいいるわよ!」
「へぇ~ほぉ~ふぅ~ん」
「私はただタカシと一緒に見たかっただけで!」
「……ほぉ」
「あっ! ち、違う! そうじゃなくて、えっと、……あぅ」
 真っ赤になってうつむくかなみに、俺はにっこり笑って言った。
「まぁ映画はアレだったけど、俺はかなみと一緒に休日過ごせて悪くなかったぞ」
「!? あ、あんた何言って……」
 かなみは顔を上げ、酷く驚いた様子で俺を見つめていた。
「……タカシ」
「何だ?」
「鼻血垂れてるわよ」
 言われてみれば鼻に違和感。先ほどの暴行が今にして実を結んだということか。
「これも素敵な思い出だ」
「鼻血が……?」
 怪訝そうに、だけどどこか楽しそうに微笑むかなみだった。

 そこで調子に乗ってかなみの顔に鼻血をなすりつけたら大変なことになった。
 俺が。俺の顔が。

拍手[11回]

【昼休み】

2010年06月03日
「かなみ、メシ食おうぜメシ」
「メシメシうるさいわねぇ。ちょっとは待ちなさいよ」
「腹が減ったんだ。メシが食いたいメシがメシメシメシメシメシメシ」
「うるさい!」
 怒鳴られたのでシュンとなりつつ弁当をかなみの席に乗せる。
「いただきます」
 もしゃもしゃ飯を食ってると、ふと脳裏によぎるものがあった。
「かなみ」
「むぐむぐ……ん?」
 真剣な顔つきで、かなみの瞳を見つめながら言った。
「赤ちゃんプレイしよう」
 ぶばー、と勢いよく飯粒を俺に飛ばすかなみ。
「な、なに考えてんのよこの変態!」
「したくなった。んなことより、飯粒を飛ばすな」
 顔に飛んだ飯粒を拾い食い。
「な、なに食べてるのよ馬鹿!」
「飯粒」
「そうじゃなくて! ああもうこの馬鹿動くな!」
 ハンカチで顔を拭われる。
「むぐむぐ……なんか甘いな。かなみ味?」
「う……」
 すごい顔で睨まれる。気のせいか拭う手に力がこもっているような……。
「痛い痛い痛い痛い!」
 思い切り顔を拭われる。顔が変形するくらい痛い。
「あ、あんたが変なこと言うのが悪いのよ!」
「変なことって?」
「う……そ、その、ええと……」
「?」
 かなみは俺の顔を拭うのをやめ、その手を自分の両膝に乗せた。そして上目遣いに、
「……か、かなみ味、……って」
 真っ赤な顔で、どうにかそれだけ搾り出した。
「あ、あははは……ま、まぁ、美味しかったしいいじゃん」
「……よくない」
「へ?」
「よくない! あんただけずるい! 私も食べる!」
 椅子を吹き飛ばす勢いで立ち上がり、おかしなことを言い出すかなみ。
「な、なにを?」
「……タ、タカシ味のごはん」
「な、なに言ってるんだ?」
「食べるの! 動かないで! いい!? いいわよね! 動いたら結婚してもらうからね!」
「は、はい」
 あまりの剣幕に、言われた通りじっとする。本当はすごい動きたい。
「……ごはん、もうない」
 俺の弁当箱を覗いたかなみが、悲しげにつぶやく。
「早弁は俺の唯一誇れる特技だ」
「うー……」
 不満そうに唸るかなみ。困ったなぁ……あ、そうだ。
「かなみ、かなみ」
「あによ……っ!」
 不意打ち気味にキスする。
「な、な、な、何すんのよーーーーーーーーーーッ!!」
「俺味」
「へ? ……へ?」
「だから、タカシ味」
 照れ隠しにニッ、と笑いかける。
「~~~~~~~~~~!!」
 おお、真っ赤だ真っ赤。湯気出てる。
「あ、あんたは、なんでそういうことを平然と……!」
「いや、これでもドキドキしてるぞ、実は」
 かなみの手を取り、自分の心臓に当てる。
「……うあ、すごいドキドキしてる」
「な?」
「でも、こんなところでさっきみたいなのは……」
「こんなところ……?」
 ふと、周囲を見回す。……うあ。
 そういや、ここは教室で、しかも飯時で、半分以上の生徒がここにいるわけで。更に言うなら全員こっちに注目してるわけで。
「「「別府ーーーーーーーーーーー!!!」」」
 男子生徒に担ぎ上げられ教室から連れ去られる最中、かなみの呟きが耳に届いた。
「(次は……不意打ちはなしだからね!)」

 その言葉があるから、屋上からロープで吊らされてても平気さ。

拍手[20回]

【甘いものが好きなツンデレ】

2010年06月03日
 授業も終わり帰る準備をしてると、かなみに呼び止められた。
「あんた今日暇? 暇よね? どうせ暇なんだし私につき合わせてあげる」
「いや、今日は古本屋で一日潰そうかと……」
「いいから来なさい!」
 ぐい、と首を掴まれる。
「ぐげっ」
 万力のような指が喉に食い込む。そのままの状態で引っ張られ、たどり着いた場所は喫茶店。
「ここ……あんた、なに土気色してんの?」
 超根性で現世に復帰した俺に対しあんまりな言葉。ここは一つビシッと言ってやらねば!
「かなみ!」
「何よッ!」
「ごめんなさいなんでもないです」
 物凄く怖かったので、思わず条件反射で土下座してしまう。
「な、なに土下座してんのよ。ほら、みんな見てるじゃない、いいから中に入る!」
 無理矢理立たせられ、店内へ。店員さんに案内され、席に着く。そしてそのまま注文すべくメニューを開く。
「なに頼む?」
「そうだな……それじゃ」
「たまには甘いの食べたら? これとか」
 かなみが指したのは、優に5人分はあるであろう、パーティー用のパフェだった。
「いや、俺甘いの苦手だし、仮に食うとしてもこんなのは……」
「いいわね? コイツはこのミラクルデラックスパフェ、私はコーヒー」
 かしこまりました、という言葉を残して店員さんは去ってしまった。
「……あれ?」
「なに馬鹿みたいな顔してんのよ。馬鹿なのは生まれつきだろうけど」
「あ、いや……あれ?」
 小首を傾げていると、店員さんがやってきた。手に、なんか凄いのを持ってる。
「お待たせしました、こちらミラクルデラックスパフェになります」
 そう言って、凄いのをドスンと俺の前に置いた。かなみにコーヒーを渡し、店員さんは戻って行った。
「……なんだ、これ」
 ちょっと一人で食うには多すぎる量のパフェを前に、途方に暮れる。
「ばっかねぇ、そんなの一人で食べれるわけないじゃないの」
 これを頼んだのは、目の前で馬鹿にしてる娘さんだったような気がするのは俺の勘違いだろうか。
「しょうがないわね、手伝ってあげる」
 俺の手からスプーンをひったくると、かなみは凄い勢いでパフェを口に放り込んだ。
「んん~~~~!!」
 至福の表情で次々とパフェの山を崩していくかなみ。手持ち無沙汰になった俺は、彼女の注文したコーヒーに口をつけた。
「まったく、タカシってば自分で食べれないものを注文するなんて、ほんっと馬鹿ねぇ」
 俺に悪態を吐きながらもパフェを食べる手は止まらない。
「……なによ、変な顔して」
 口にスプーンを入れたまま、かなみが変なこと言い出した。
「失礼な、変なのは生まれつきだ」
「じゃなくて、……なんか、笑ってる」
「ん? ……あ」
 口の中に入れるたび嬉しそうに顔を綻ばせるかなみを見て、我知らず微笑んでいたようだ。
「いや、悪ぃ悪ぃ。かなみがあんまり嬉しそうに食ってるから、つい」
「ば、馬鹿にしてんの!? 馬鹿にしてんのね!」
「いや、そんなことは一言も」
「い、いいじゃない私がパフェ食べても! 女の子らしくないって自分でも思ってるけど、別にいいじゃない!」
「俺はかなみのこと、すげー女の子らしいって思ってるけどな」
「な……!」
 まるで鳩が豆鉄砲を食らったかのように、かなみは目を見開いて言葉を失った。
「ほらほら、ぼーっとしてないで残り食っちまえ」
 再びコーヒーを飲んでいると、ぼそっとかなみが言った。
「わ、私のこと女の子らしいって、言ったわよね」
「ん? ああ、言ったぞ」
「な、なら……」
 ずい、と俺の前にアイスの乗ったスプーンを突き出すかなみ。
「私がこう、あ、あーんってやっても、食べれる?」
 俺は躊躇なくそのスプーンを口に含んだ。う、甘い。
「当たり前だろ。ほれ、次くれ次」
 なんだかぽーっとしてるかなみに催促する。こんなことで機嫌を直してくれるなら、苦手なパフェだろうといくらでも食べれるってもんだ。
「……(ハッ!)だっ、誰がアンタなんかにそんなことするもんですか! ばか、ばーか!」
「んむ、それでこそかなみだ」
 俺はにっこり笑ってコーヒーを一口飲んだ。
 かなみはばつが悪そうにむぐむぐと口の中で何か呟いていたけど、諦めてパフェを食べていた。

「……食ったな」
「な、なによ、悪い?」
 かなみの腹を見る。この小さな体のどこにあの大量のパフェが入ったというのだろうか。
「美味かったか?」
「うん……あ、いや! アンタが食べれないって言うから代わりに食べてあげただけで、別に美味しいとかそういうのは」
「そか。んじゃ、また食べたくなったら付き合ってくれるか?」
「う……」
 真っ赤になったかなみは、それでも小さくコクンとうなずいた。
「よし、んじゃまた今度デートしような」
「で、で、で、デート!?」
「あれ、違ったか? 俺は今日のはデートだと思ってたけど」
「ち、違、いやでも、あうあう……」
 目をぐるぐる回しながら、かなみは混乱した面持ちであうあうと繰り返していた。
「でも、毎日こんなの食ってたら太りそうだな」
「……え?」
「今日のパフェ、カロリーどんだけあるんだ? もう太りだしたんじゃないか?」
 ぷにぷに、とかなみの腹を指でつっつく。柔らかくて気持ちいい。
「…………」
 ぷにぷに。ぷにぷにぷに。……いかん、癖になりそうだ。
「この……デリカシーゼロ人間がッ!」
 皆様が思っている以上に全身あますところなく殴られ、その痛みに耐え切れず本能が気絶を選択したようです。

拍手[13回]

【小学生 トイレ 調教】

2010年06月02日
 暇なので、近所の小学生をナンパした。
「お嬢ちゃん、お兄ちゃんと遊ぼうフヒヒヒ、フヒヒヒヒ」
 なのに、誰一人としてついて来てくれない。それどころか悲鳴を上げて逃げられる始末。
「どういうことだ、かなみッ!」
「ふひゃっ!?」
 疑問に思ったのでかなみの家に飛び込んでトイレに乱入すると、まさに用を足している最中のかなみが俺を見て驚いていた。
「なんで誰もついてきてくれないんだ!? そしておまえはなんで下半身を隠すんだ!?」
「出てけ変態!」
「まぁそういうな。あー走ったから喉渇いたな。かなみ、水くれ」
「…………」
「ああ、黄金水でも構わないぞ。むしろそっちの方が」
 ゆっくりとパンツをたくしあげ、スカートを履いたかなみが笑顔で言った。
「覚悟はいいか? 私はできてる」

 かなり顔の形が変わったけど、どうにか生き延びた現在、かなみの部屋で正座させられていた。
「馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど、ここまで馬鹿とは思いもしなかったわよ……で? なんか用があったんじゃないの?」
 俺は先の小学生について語った。
「馬鹿で変態でロリコンか……。救いようがないわね。死んだら?」
「はっはっは、冗談きついなぁ」
 かなみの目が本気なのに気づかないフリをして笑い飛ばす。
「こうなったら私が更正させるしかないかなぁ……」
「調教?」
「更正よッ!」
 そして、かなみの調教が始まった。そして、一週間後。
「成功……かな?」
「かなみさんのおかげで真人間になれました。ありがとうございます」
「あ、小学生だ」
「お嬢ちゃん象さんだよ。ほ~ら、ぱおーんぱおーん……あれ、いない。騙したな、かなみ!」
 かなみはため息をついて、110番した。

拍手[9回]